企業向けスマホのキッティングとは何か?作業内容から代行サービスの活用メリット・事例まで徹底解説

スマホの「キッティング」とは、企業で購入したスマートフォンやタブレット端末を、社員がすぐ業務に使えるよう各種設定を行う作業のことです。
端末の開梱や初期設定、必要なアプリのインストール、社内ネットワークへの接続設定など、多岐にわたる手順を経て端末を最適な状態に仕上げます。こうしたキッティング作業は一見地味な単純作業ですが、企業で多数の端末を導入する際には莫大な工数と時間を要する重労働となります。実際、ある調査では法人携帯導入時の課題として約4分の1の企業が「端末のセットアップ作業」を挙げています。それだけ、多くの企業がキッティング作業の負担に頭を悩ませているのです。

本記事では、スマホのキッティングの基本と課題、効率化する方法を解説するとともに、専門業者にアウトソーシングするメリットや実際の導入事例まで詳しく紹介します。キッティング作業に追われて本来の業務に支障が出ている情シス担当者の方や、社内に専門知識を持つ人材が不足していてお困りの方は、ぜひ参考にしてみてください。

キッティングとは?

キッティングとは、会社で新たに導入したスマホやPCなどのIT機器に対し、必要なソフトウェアや設定を行い、ユーザー(従業員)がすぐに業務利用できる状態に準備することを指します。企業の情報システム担当者が端末を箱から取り出し、初期設定やアプリのインストール、社内システムとの連携設定、セキュリティ設定、そして管理台帳への登録まで、あらゆるセットアップ作業を包括した概念が「キッティング」です。

言い換えれば、キッティングは新しい端末を「使える状態」に仕上げる一連の作業です。たとえば法人スマホのキッティング作業は、端末の開梱・充電に始まり、SIMカード挿入、OS・言語などの初期設定、Wi-Fiやメール等のネットワーク設定、業務アプリのインストール設定、不要アプリの削除、セキュリティポリシー適用、動作確認、管理用ラベル貼付と資産管理システムへの登録、といった流れになります。これらをすべて実施して初めて、従業員に端末を手渡せる状態になるのです。

セットアップとの違い

「セットアップ」という言葉もIT機器の初期設定作業を指しますが、キッティングとセットアップでは指す範囲が異なります。
一般にセットアップとはOSやソフトウェアのインストール、ネットワーク接続設定など端末を基本的に使える状態にする作業を指すことが多く、言わば初期設定作業そのものです。一方でキッティングは端末の開梱から始まり、セットアップ作業も含めて、ユーザーが業務で支障なく利用できる最終状態にまで仕上げる一連の作業全般を意味します。つまりセットアップはキッティングの一部要素に過ぎず、キッティングの方が作業範囲は広範と言えるでしょう。
端末にOSや必要なアプリをインストールして社内ルールに沿った設定をすべて施し、現場で使える状態にするまでがキッティングの範囲なのです。

スマホのキッティングにおける課題

企業でスマホを導入する際、端末購入後に待ち受けているキッティング作業にはいくつかの課題があります。
特に、

  • 時間・工数の問題
  • セキュリティ対策の問題
  • コスト面の問題

の3点が多くの企業で懸念されています。それぞれ詳しく見てみましょう。

設定に時間と手間がかかる

社内でスマホをキッティングする場合、端末1台ごとに細かな設定を全て手作業で行わなければならず、台数が増えるほど膨大な時間と労力が必要になります。
例えば弊社の試算では、iPhone1台あたりの初期設定に平均で約54分を要します。メールやWi-Fi、業務アプリ設定など項目ごとに数分ずつかかるためですが、100台導入すれば単純計算で90時間にもなります。一人の作業者が対応すれば実働約12日間(残業込みでも1か月近く)を要する計算です。

このように大量導入時のキッティングは非常に工数がかかる作業ですが、現実には情報システム部門の限られた人員で対応せざるを得ないケースも少なくありません。通常業務と並行しながら数十~数百台分のキッティングを進めるのは非現実的であり、担当者の疲弊やミスの発生にもつながります。にもかかわらず、端末や料金プランの手配に気を取られて「導入後のキッティング作業がこんなに大変」と契約時に想定できていないケースも多いようです。

結果として納期ギリギリになって慌てて設定を行う羽目になり、ミスが増えたり運用開始に遅れが出るリスクがあります。

セキュリティ対策の不備リスク

キッティング作業ではセキュリティ関連の設定も重要なポイントです。
社内で利用するスマホには業務データや顧客情報が含まれるため、初期設定時に万全のセキュリティ対策を施しておかなければ大きなリスクにつながります。不用意に手を抜けば、ウイルス感染や不正アクセスといったサイバー被害、あるいは端末紛失・盗難による情報漏えいなど深刻なトラブルに発展しかねません。

具体例を挙げると、OSやアプリのセキュリティパッチ適用やウイルス対策ソフトの導入、画面ロックやパスワードポリシーの設定、不要な機能の制限(カメラや外部ストレージ制御など)、MDMによる遠隔ロック/ワイプ設定──これらを徹底しておく必要があります。
しかしキッティングを社内の人手で行う場合、セキュリティに精通した担当者が不足していたり、ヒューマンエラーで一部設定漏れが生じる懸念は拭えません。実際に、盗難対策として一定回数ログインパスワードを間違えると端末データを初期化(ワイプ)する設定を入れたところ、社員が自分で設定したパスワードを忘れてしまい、月に100台以上もデータ消去が発生してしまったという企業事例もあります。

このような事態を防ぐには専門知識に基づくきめ細かな対策が必要ですが、自力対応には限界があるのが現状です。

コストパフォーマンスの低下

キッティング作業を軽視するとトータルコストの悪化を招く恐れもあります。
端末代や通信費は抑えられても、社内人件費が初期設定対応に大量に投入されては結果的に高くついてしまいます。また、必要な業務ツールを入れ忘れたり、逆に不要なアプリをインストールしてしまったりすると生産性の低下やライセンス費用の無駄につながります。せっかく最新のスマホを用意しても、キッティングが不十分で現場が使いこなせなければ投資対効果は半減してしまいます。

さらに、キッティングに追われて情報システム部門のリソースが圧迫されると、本来注力すべき他のITプロジェクトやDX推進が後回しになる機会損失も無視できません。こうした隠れたコストも含めると、キッティングを安易に社内対応することが中長期的なコストパフォーマンス低下につながるケースもあるのです。

スマホのキッティングの主な作業内容

スマホのキッティングでは具体的にどのような作業を行うのか、一般的な項目をリストアップしてみましょう。

  • 端末の開梱・検品・充電:
    購入したスマホを箱から取り出し、付属品の欠品や破損がないか確認。初期設定に備えて充電も行います。
  • SIMカードの挿入:
    法人契約したSIMカードを端末に装着し、通信できる状態にします。
  • 初期設定:
    言語・地域、日時、キーボード、画面ロックなど端末の基本設定を行います。必要に応じてOSのアップデートも実施します。
  • ネットワーク設定:
    社内のWi-Fiアクセスポイントの設定、VPN接続設定、公衆無線LANの設定、テザリング有効化/無効化などを行います。メールやカレンダー等の社内サービスにアクセスできるようアカウント設定もします。
  • セキュリティ設定:
    端末パスコードや指紋認証の設定、デバイス暗号化の確認、MDM(モバイルデバイス管理)ツールへの登録、紛失時のリモートワイプ設定などセキュリティポリシーを適用します。不要な機能があれば制限も加えます。
  • 業務アプリのインストール:
    会社で使用するメール・チャット・オンライン会議・SFA・グループウェア等の業務アプリをインストールし、初期設定やログイン設定を済ませます。利用可能なアプリストアやインストール制限の設定もここで行います。
  • 不要なプリインストールアプリの削除:
    業務に不要なメーカー標準アプリやゲーム等が入っていれば可能な範囲で削除し、業務以外の利用を抑制します。
  • 動作確認:
    設定が完了したら、通話・通信や各種アプリが正常に動作するかテストします。社内システムにアクセスできること、セキュリティポリシーが有効に機能していることも確認します。
  • 資産管理ラベル貼付・台帳登録:
    管理番号や社員名を記載したシールを端末に貼り付け、対応する情報をIT資産管理台帳やMDMシステムに登録します。今後の管理に備え、端末の製造番号(IMEI)や電話番号、配布先部署/社員などの情報も記録します。

以上が一般的なキッティング作業内容です。これらの作業を端末の台数分すべて繰り返す必要があるため、台数が多くなるほど管理者の負担は大きくなります。中小企業でも数十台、大企業なら数百台規模のキッティングが一度に発生することも珍しくありません。その場合、手順が多岐にわたるため設定ミスも起こりやすくなり、後から一台ずつ修正対応するのはさらに手間がかかります。
スムーズに運用開始するには、事前に綿密な計画と体制準備が欠かせません。

キッティング作業を簡略化・自動化する方法

上述の通り、キッティングは非常に手間のかかる作業ですが、専用ツールやサービスを活用して大幅に効率化・自動化することも可能です。
ここでは社内でキッティングを行う場合に役立つ主な方法を紹介します。

MDM(モバイルデバイス管理)の活用

MDM(Mobile Device Management)とは企業が保有するスマホやタブレットなどを一元管理できるツールであり、キッティング作業の効率化にも大いに役立ちます。
MDMに対応した端末であれば、管理コンソールからアプリや設定プロファイルを一斉配信することが可能です。たとえばメール設定やWi-Fiパスワードの配布、業務アプリのインストール指示などを遠隔で一括実行できるため、端末ごとに人手で設定する手間を省略できます。またMDMには基本機能として、紛失時の遠隔ロックやワイプ、端末の利用状況モニタリング、アプリのバージョン管理などの機能も含まれており、導入後の運用管理やセキュリティ強化にも効果を発揮します。

MDMを導入しておけば、新規端末のセットアップ時に自動でMDMサーバに登録され、指定のポリシーやアプリが適用されるように設定できます。特にApple社のiPhone/iPadを導入する場合は「Apple Business Manager (ABM)」と連携した自動デバイス登録 (ADE: Apple Device Enrollment、旧DEP) を活用することで、初回起動時に管理設定を自動適用することも可能です。AppleのADEでは、ユーザーが端末を起動した際にプロファイルが自動適用されるため、IT担当者が手元で個別設定しなくても済みます。Android端末の場合も、Google提供の「ゼロタッチ登録 (Zero-Touch Enrollment)」機能を使えば同様に端末のキッティングを自動化できます。

例えばAndroidのゼロタッチ登録を利用すると、対応端末を購入後に登録しておくだけで、従業員が受け取った端末の電源を入れてわずかな操作を行うだけで自動的にMDMクライアントがインストールされ、社内向け設定が施された状態で利用開始できるようになります。つまりオンラインでのデバイス初期設定が簡略化され、端末を受け取ったその場で即業務に使い始めることが可能になるのです。

キッティング専用ツール・スクリプトの活用

MDM以外にも、複数台の端末に対しキッティング手順を自動化する専用ツールが市販・公開されています。
例えば一部のAndroid向けには、PCに端末を接続して一括で初期設定やアプリ導入を行えるスクリプトツールが存在します。そうしたツールを用いると、手順書に沿って人手で一台ずつ設定していた時間が大幅に短縮できます。

実際にある企業では、Androidタブレット用の専用キッティングツールを導入した結果、1台あたり30分かかっていた作業が約3分で完了する(作業時間1/10)という成果も報告されています。
もっとも、こうしたツールの導入にはライセンス費用や事前のスクリプト作成・検証作業が必要になるため、端末台数や社内のスキルに応じて投資対効果を見極めることが大切です。台数が非常に多い場合や定期的な大規模キッティングが発生する場合には、専用ツールの活用によって劇的な効率化が見込めるでしょう。一方、数台~数十台程度の小規模導入なら、MDMの簡易テンプレート機能や携帯キャリアの提供する初期設定サービスなどを組み合わせて対応するのも一策です。

キッティングを自社で行うか外注するか:最適な選択は?

ここまで社内でのキッティング対応について見てきましたが、近年ではキッティング作業自体を専門業者にアウトソーシング(外注)する企業も増えています。
では、自社対応と外注のどちらを選ぶべきか判断するポイントは何でしょうか。双方のメリット・デメリットを整理してみます。

まず自社でキッティングを行う場合、特に手作業で1台ずつ設定する方法は「思い立ったらすぐ自社内で作業に取り掛かれる」という利点があります。自社の事情を熟知した担当者が柔軟にカスタマイズしながら設定できるため、細かな要望にも対応しやすいでしょう。また内製化すれば外注費用はかかりません。しかしデメリットとして、担当者個人に大きな負担が集中しやすく、台数が多い場合は人的リソース的に非現実的であることが挙げられます。加えて人手作業はミスが発生しやすいため、品質にばらつきが出たり漏れが生じるリスクもあります。

次に自社で専用ツールを使って行う場合は、複数台をまとめて高速に設定でき、作業品質も安定するというメリットがあります。社内に一定のITスキルがあれば、ツール導入により大幅な工数削減が可能です。ただしツール購入や構築にはコストが発生する点がデメリットです。またツールの習熟やメンテナンスも必要になるため、ケースによっては「費用をかけてまでツールを入れるほどではない」という場合もあるでしょう。

一方でキッティングを外注(代行サービス利用)する場合、社内担当者が本来の業務に専念できるようになるのが最大のメリットです。専門業者が対応することで作業品質が均一かつ安定し、自社でやるよりミスや漏れが減る期待もあります。さらに業者によってはキッティング以外にも端末の調達や運用サポート、廃棄処理まで任せられるケースもあり、総合的な負荷軽減につながります。デメリットとしてはもちろん委託費用がかかる点があります。また社内のノウハウが直接には蓄積されないこと、業者とのやり取りやスケジュール調整が必要になることも考慮すべきでしょう。

ポイントは端末の規模感や自社のリソース状況、求める品質レベルに応じて最適な方法を選ぶことです。少数の端末更新で余裕がある場合は自社で対応し、大量導入やタイトなスケジュールの場合は迷わず外注する、といった柔軟な判断も必要でしょう。「社内にIT人材が少なく手が回らない」「短期間で数百台セットアップしないといけない」「確実にセキュアな設定を施したい」といった場合には、次章で述べるキッティング代行サービスの活用を積極的に検討すべきです。

キッティング代行サービスのメリット・デメリット

では、専門のキッティング代行サービスに外注した場合のメリットとデメリットを具体的に見てみましょう。メリットだけでなくデメリットも把握しておくことで、導入判断の参考になります。

アウトソーシングする主なメリット

大量導入時の作業負荷を大幅軽減:

専門業者に任せることで、情報システム部門の担当者が一台一台設定する必要がなくなります。人手不足の中で数百台ものキッティングをこなすという無理な状況を避けられ、担当者は本来の業務に集中可能です。特に新年度やプロジェクト開始前など短期間に多数の端末を準備しなければならない場合、アウトソーシングは強力な助けとなります。

社内の時間・人件コストを削減:

自社対応の場合、人員の拘束や教育にコストがかかりますが、代行サービスを使えばこれらを省けます。キッティングに不慣れな社員が試行錯誤するより、プロに任せたほうが結果的に工数とコストを大きく圧縮できます。予想外のトラブル対応に追われるリスクも減り、納期遵守もしやすくなります。

最新デバイスや技術への対応力:

業者によっては端末の調達からセットアップまで一括依頼できます。その場合、最新機種の選定から初期設定まで委託できるため、自社では扱いが難しい新技術にもスムーズに対応可能です。例えばOSの大幅アップデートや新しいMDM設定項目にも精通したプロが対応するので安心です。

繁忙期・大量展開でも柔軟に対応:

企業によっては年度末や新入社員受入れ時にまとめて端末配備を行うことがあります。その臨時のピークに合わせて一時的に人員を増やすのは非効率ですが、代行サービスなら必要なときに必要な分だけ依頼できます。短期間での大規模キッティングでも自社リソースを逼迫させずに乗り切れるため、繁忙期のコスト増や品質低下を防げます。

アウトソーシングする際の懸念点(デメリット)

情報セキュリティ面の不安:

外部の業者に端末設定を任せるということは、業務に関わる機密情報や個人情報をある程度共有することにもなります。もちろん信頼できる業者は厳重なセキュリティ対策のもと作業しますが、具体的にどんな設定が行われているか社内からは見えにくい部分もあり、不安を感じる担当者もいるでしょう。委託にあたっては秘密保持契約の締結や作業エリアのセキュリティ確認など、信頼担保の措置が必要です。

業者との綿密な連携が必要:

大量の端末を短期間でキッティングしてもらう場合など、納期遵守のために業者とのスケジュール調整や情報共有を密に行う必要があります。例えば「○月○日までに○○台を完了させたい」といった計画に合わせ、進捗管理やコミュニケーションをしっかり取らなければなりません。社外とのやり取りが増える点は手間に感じるかもしれませんが、これはアウトソーシング全般に言える注意点です。

費用対効果の見極めが必要:

アウトソーシングには費用が発生するため、依頼台数や作業内容によっては社内対応より割高になる場合もあります。特に少数端末のキッティングだけを外注する場合、基本料金等との兼ね合いでコスト高になるケースがあります。したがって「どの程度の規模・内容なら外注すべきか」自社の状況に応じて費用対効果を検討することが重要です。依頼範囲を必要最小限にする、あるいは他のIT業務も含めて委託してスケールメリットを出す、といった工夫も考えられます。

キッティング代行サービスを選ぶ際のポイント

キッティング代行サービスを検討する際は、以下のようなポイントに注意して業者やプランを選びましょう。

  • ◎ セキュリティ対策が万全かを確認する
  • ◎ 自社の規模とニーズに合った費用対効果
  • ◎ LCM(ライフサイクル管理)まで視野に入れる

◎ セキュリティ対策が万全かを確認する

業者がどのような環境で作業を行い、どのレベルのセキュリティ設定まで対応してくれるのか事前にチェックしましょう。
作業エリアへの部外者立入禁止や情報漏えい防止策が講じられているか、端末に施すセキュリティ設定内容は適切かなど、信頼のおける事業者かどうか見極めることが重要です。必要ならセキュリティ項目を洗い出し、提案内容と比較検討してください。

◎ 自社の規模とニーズに合った費用対効果

依頼する台数や作業範囲に対してコストに見合う効果が得られるか慎重に判断しましょう。
自社で対応した場合の人件費や残業代、教育コスト、本業への影響度合いなどを算出し、代行費用と比較することが大切です。台数が少ない場合は内製の方が安上がりなこともありますし、逆に大量導入時は外注の方が圧倒的に効率的な場合もあります。見積もりを複数社から取り、自社ニーズに合った最適なプランを選びましょう。

◎ LCM(ライフサイクル管理)まで視野に入れる

キッティングは端末導入時の一工程に過ぎません。
実際には端末の調達・キッティング・運用・サポート・機種変更・廃棄まで含めた「端末ライフサイクル全体」で最適化を考えることが重要です。この端末のライフサイクル管理(LCMサービス)まで提供できる業者であれば、導入後の運用管理や故障対応、余剰端末の処理まで一括して任せられます。結果的に一社にまとめた方が効率が良くセキュリティ面でも安心な場合が多いです。将来的な拡張も見据え、必要に応じてキッティング以外のサポート範囲も含めて検討することをおすすめします。

以上のポイントを踏まえ、信頼できる代行サービスを選べば、社内の運用負荷を大幅に減らしつつ安全なスマホ利用環境を構築できるでしょう。

それでは最後に、具体的なサービス例としてコネクシオ株式会社の提供する「マネージドモバイルサービス」の特徴や導入事例を紹介します。

コネクシオの「マネージドモバイルサービス」とは?

コネクシオ株式会社の「マネージドモバイルサービス(Managed Mobile Service, MMS)」は、企業のモバイル端末利用に関わる業務を導入前から導入時、導入後までワンストップで支援する総合サービスです。
端末の選定・調達からキッティング、運用サポート、故障・紛失対応、さらには使用済み端末の廃棄処理まで、一連のライフサイクルを包括的にサポートします。いわば法人向け携帯の導入運用に特化した「LCMサービス」と言えるでしょう。

コネクシオはこの分野で2008年から15年以上の実績があり(業界のパイオニアです)、現在までに累計57万回線以上のモバイル運用を支援してきました。キッティングだけでも年間24万台以上の端末設定実績があり(※2024年3月現在)、豊富なノウハウと安定した対応力を誇ります。通信キャリアの一次代理店として培った知見と、自社内に専門のキッティングセンターとヘルプデスクを擁する体制により、迅速かつ高品質なサービス提供を実現しています。

また、各企業専用の「MMSポータル」というオンライン管理ツールを提供している点も特徴です。
MMSポータル上で各端末の利用者情報や対応履歴、ユーザーからの問い合わせ状況を一元管理・可視化できるため、社内の管理者はリアルタイムに運用状況を把握できます。例えば端末の追加発注や回線変更、紛失時の対応依頼などもポータル経由でシステム受付でき、従来はメールや電話で個別対応していた作業をデジタル化・省力化できます。結果としてモバイル運用管理に関わる担当者の稼働削減につながり、本来のコア業務に注力できる環境を整えます。

マネージドモバイルサービスの提供フロー

コネクシオのマネージドモバイルサービスは、大きく分けて次の4つのステップで提供されます。それぞれのステップでどんな支援が受けられるのか確認してみましょう。

  1. コンサルティング・設計(導入前)
  2. キッティング・配布(導入時)
  3. 運用サポート(導入後)
  4. 入れ替え・廃棄(端末更新時)

1. コンサルティング・設計(導入前)

まずはスマホ導入前の段階で、各企業が抱える課題や要望をヒアリングします。
現在の運用上の問題点や「こんなことに困っている」「ここを改善したい」といった点を洗い出し、最適な運用設計プランを提案します。具体的には、端末選定や導入スケジュール策定、セキュリティポリシーの検討、MDM導入の要否、運用体制の構築など、多方面からコンサルティングを実施します。豊富な知識を持つ担当者が現状課題を分析し、最適な解決策をプランニングしてくれる段階です。

2. キッティング・配布(導入時)

次に、実際に購入した端末のキッティング作業を代行します。
数十台から数万台規模まで、コネクシオのキッティングセンターで柔軟に対応可能です。基本的な内容は本記事で述べてきたキッティング作業と同様ですが、企業ごとの要件に応じて各種カスタマイズ設定やアプリのインストール、利用制限設定なども行います。端末一台一台に資産管理シールを貼付したり、付属品(充電器やケース等)の同梱・管理も行います。必要に応じて従業員向けの使い方マニュアル配布や初期研修トレーニングなどもサポートします。キッティング済みの端末は、各拠点や社員宅など指定の配布先へ確実に届けられます。

3. 運用サポート(導入後)

スマホを無事配布した後も、日々の運用をしっかり支援します。
前述のMMSポータルを活用し、各種申請や端末の状態確認をオンラインで行える環境を提供します。例えば「端末を追加で5台発注したい」「この社員が退職するので端末を回収し初期化したい」「紛失した端末を回線停止してほしい」といった依頼をポータルから送信できます。コネクシオ側で受け付け・処理し、状況はポータル上で確認可能です。これにより問い合わせ先が一本化され、担当者が迷うことなく迅速に対処できます。またユーザー(従業員)からの端末操作やトラブルに関する問い合わせにも、ヘルプデスクが一次対応します。電話やメールでの問い合わせ窓口をコネクシオが代行することで、社内IT担当者の手を煩わせません。

4. 入れ替え・廃棄(端末更新時)

利用中のスマホが古くなったり故障した場合の機種変更や、契約満了による回収・廃棄にも対応します。
例えば2年に一度の端末リプレース時には、新端末へのデータ移行や設定コピーもサポートし、古い端末のデータ消去・適切な廃棄処理まで安全に実施します。廃棄証明書の発行などコンプライアンス面も安心です。これら一連の流れをすべて任せられるため、企業側は常に最新・最適な端末環境を維持できます。

以上のように、導入前から運用中、そして廃棄に至るまで切れ目なく支援してもらえるのがマネージドモバイルサービスの大きな特徴です。

マネージドモバイルサービス導入の主なメリット

コネクシオのマネージドモバイルサービスを利用することで、企業側には具体的にどんなメリットがあるのでしょうか。ここでは代表的なメリットを3つ紹介します。

① 運用開始までの工数を大幅削減できる:

端末の選定から調達、キッティング作業まですべてプロに任せられるため、社内の工数を劇的に減らせます。
例えば本来なら社内要員で何日もかけて行う初期設定を丸ごと委託でき、短期間で運用開始できます。専門知識豊富なスタッフが事前に課題や要件をヒアリングした上で進めるので、無駄のないスケジュールで導入が完了します。実際、ある企業では数千台規模のスマホ配備において、自社対応に比べキッティング作業時間を90%以上削減できました(通常業務と並行する負担がなくなり、担当者は進行管理に専念)。このように導入にまつわる雑多な作業から解放される点は大きなメリットです。

② 自社に最適なツール構成で導入できる:

マネージドモバイルサービスでは単に設定を代行するだけでなく、コンサルティングを通じて企業に本当に必要なツールや設定を見極めてくれます。
自社だけで進めると「何となく不安だから全部盛り」にしてしまったり、逆に「必要な管理ツールを入れ忘れ」たりといった失敗が起こりがちです。しかしコネクシオのサービスでは、経験豊富な担当者が課題解決のために最適な手段を提案してくれます。例えばMDM選定ひとつとっても、複数製品の中から自社環境に合うものを提案可能です。結果として不要なものにコストを割かず、必要十分な構成でスマホを活用できるようになります。

③ 導入後の運用まで含めて継続サポート:

キッティング代行だけを請け負う業者もありますが、コネクシオの場合は端末の運用開始後まで継続してサポートしてくれる点が大きな強みです。
他社でありがちな「調達はA社、キッティングはB社、運用サポートはC社」と分散する状況とは異なり、コネクシオに任せれば一貫して面倒を見てもらえます。窓口が一本化されているためセキュリティ上のリスクも低減できますし、何かトラブルが起きても責任の所在が明確なので安心です。実際、前述の専用ポータルやヘルプデスク対応によって「問い合わせ対応やトラブルシュートを自社で抱え込まなくてよかった」という声も多く聞かれます。端末運用中の課題改善提案なども受けられ、長期的にモバイル活用を支えてくれるパートナー的存在となるでしょう。

以上のメリットから、単なるキッティング作業代行に留まらない包括的な価値がマネージドモバイルサービスにはあることがお分かりいただけると思います。

「マネージドモバイルサービス」導入事例:アステラス製薬

最後に、実際にコネクシオのマネージドモバイルサービスを導入してキッティング業務の効率化と安全な運用を実現した企業の事例として、アステラス製薬株式会社のケースをご紹介します。

● 導入背景・課題:

製薬大手のアステラス製薬株式会社では、従来フィーチャーフォン(ガラケー)を社員に支給していましたが、業界動向を踏まえスマートフォンへの切替を決断しました。
しかし一度に全社導入するリスクを減らすため、まず各部署から100名を選抜してスマホのトライアル導入を実施しました。ところが、実際に運用を開始してみると想定外のトラブルが発生しました。同社ではセキュリティ対策として、一定回数パスワード入力を間違えると端末を初期化(ワイプ)する設定をしていたのですが、社員が自分で設定した端末パスワードを忘れてしまうケースが続出したのです。
その結果、毎月100台以上ものスマホが初期化され業務データが消えるという事態に陥りました。これはセキュリティ意識の高さゆえの副作用とはいえ、現場としては大きな課題でした。

● 対策とサービス導入の効果:

この問題に対し、同社はコネクシオにキッティングサービスを依頼し、解決を図りました。コネクシオ側では、初期配布時に設定していたものと同じ「自動設定ツール」を新たに作成し、パスワード誤入力で初期化が起きないよう工夫しました。
具体的には、端末配布後に各ユーザーがパスワードを再設定する際にも一定のルールを設けたり、リモートで初期化を解除できるような設定に変更したのです。
結果として、パスワード忘れによるデータ消失トラブルは解消に向かいました。

さらに本格導入(約5,000台展開)後は、毎月コネクシオから利用状況のログ報告を受け取り、各社員がどんなアプリをインストールしどう使っているかを把握できるようになりました。仮に異常なデータ通信量を使用している端末や、許可していないアプリを入れている社員がいれば、すぐに発見して対処できます。
コネクシオのヘルプデスクが問い合わせ対応も担っているため、導入直後の不明点対応やトラブルシューティングも円滑に行えました。「もし自社対応していたら電話問い合わせの殺到や運用ミスで大混乱だっただろうが、ヘルプデスクに委託しておいて本当によかった」と同社担当者も評価しています。

このように、キッティング前後の想定外の課題にも専門サービスのノウハウで素早く対処できたことが大きな成果と言えます。最終的に、スマホ導入によって営業現場のレスポンスが向上するなど業務効率化のメリットも得られ、同社はモバイル活用を軌道に乗せることができました。
コネクシオに対しても「様々な企業のサポートで蓄積されたノウハウのおかげでトラブルに迅速対応してもらえた。今後も新たな活用方法の提案を期待している」とのコメントが寄せられています。

この事例は、大量の法人スマホ配備においてキッティングから運用までトータルな支援を受けることで得られる安心感と効果をよく物語っています。キッティングのみならず、運用フェーズでの負担軽減やトラブル対応力強化など、マネージドモバイルサービス導入のメリットを実証する形となりました。

まとめ:スマホ導入は専門サービスで効率&安心!

企業でスマホやタブレットを導入する際には、実際に業務で使えるようにするための各種設定や準備作業(キッティング)が不可欠です。そして運用開始後も、端末の管理やトラブル対応など継続的な業務が発生します。自社内でこうした作業をすべて賄おうとすると、担当者への負荷が大きく、本来の業務に支障が出たりセキュリティ上のリスクが生じる可能性があります。特に台数が多い場合や専門人材が不足している場合、キッティング作業を軽視することはできません。

本記事で述べたように、MDMの活用やゼロタッチ自動化など社内工夫で効率化する方法もありますが、最も確実に負荷を削減し安全な運用を実現するには、キッティングサービスを含む専門のアウトソーシングを活用する方法が効果的です。調達から廃棄まで包括支援してくれるLCMサービスを利用すれば、端末ライフサイクル全体にわたり安心してモバイルを活用できます。

コネクシオの「マネージドモバイルサービス」は、業界の先駆けとして長年培ったノウハウと圧倒的な実績を持つ総合サービスです。年間24万台以上のキッティング実績と57万回線超の運用管理を支えてきた経験から、どんなニーズにも柔軟に対応できる体制が整っています。通信キャリアの一次代理店ならではの調達力と、自社内の専門センターによる高品質なキッティング・ヘルプデスクという強みを活かし、お客様企業の負担を劇的に減らす支援を行っています。

もし貴社でこれから法人スマホの導入を検討しているのであれば、ぜひコネクシオのマネージドモバイルサービスをご検討ください。プロに任せることで、スマホ導入・運用に伴う煩雑な作業から解放され、本来の業務に専念できる環境が手に入ります。効率的かつセキュアなモバイル活用を実現するために、信頼できるパートナーの力をぜひ活用してみてはいかがでしょうか。

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