通勤は負担、でも職場のつながりは大切。60代が語る“働き方の本音”(法人携帯マッチングサイト”一括.jp”調べ)

近年、企業の間で働き方の見直しが進む中、テレワーク制度の導入や柔軟な勤務体制の設計が注目を集めています。しかし、制度が整ってもすべての世代が同じように受け入れられるとは限りません。では、キャリアの後半に差し掛かった60代の会社員は、テレワークをどのように捉えているのでしょうか?

そこで今回、厳選した業者を紹介する法人・会社携帯マッチングサイト「一括.jp(https://emeao.jp/ikkatsu-column/recommend_mobilephonecompany/ )」は60代会社員100名を対象に、「テレワークに対する意識」や「理想の働き方」に関するアンケート調査を実施しました。働き方改革の中で浮かび上がる60代のリアルな意見から、企業が見落としがちな視点や今後求められる対応を明らかにしています。

シニア層の働き方に関する理解を深めたい方はもちろん、既にテレワーク制度を導入している企業で、より年齢層に応じた柔軟な運用や現場ニーズへの対応を検討されている方にも、参考となる情報をお届けします。

調査結果1:あなたの希望に最も近い働き方は、次のうちどれですか?

  • 最も多かったのは、「完全にオフィス勤務を希望する」と回答した層で、全体の44.0%(44人)を占めました。60代においては、対面でのコミュニケーションや職場での一体感を重視する傾向が強く、働く場所としてオフィスを希望する人が多数を占めています。
  • 次いで多かったのは、「会社や業務内容に応じて柔軟に決めたい(特に自分のこだわりはない)」という回答で、20.0%(20人)となりました。柔軟な働き方に対する一定の許容度はあるものの、自発的にリモートワークを希望する層は比較的少数にとどまっています。
  • 「完全にテレワーク中心を希望する」とした人は7.0%(7人)にとどまり、テレワークへの積極的な志向は限定的な結果となっています。

調査結果2:あなたがテレワークを行う際に特に魅力を感じることはなんですか?(複数回答可:注1)

注1:本設問は複数選択式ですが選択肢は2つまでに制限しています。これにより、テレワークを行う際に特に魅力を感じることをより明確に把握できるようにしています。
  • 最も多かったのは、「通勤時間や移動の負担が軽減される」と回答した層で、52.0%(52人)にのぼりました。移動にかかる体力的・時間的な負担が大きく、通勤ストレスの軽減がテレワーク最大の魅力とされていることがうかがえます。
  • 次いで多かったのは、「テレワークに特に魅力は感じない(オフィス勤務がよい)」で、34.0%(34人)という結果でした。一定数はテレワークのメリットよりも、オフィス勤務の働きやすさや慣れを重視していることが読み取れます。
  • そのほか、「自分のペースで仕事ができる(時間の柔軟性)」が21.0%(21人)、「職場の人間関係に気を遣わなくてよい」が12.0%(12人)、「自宅で集中して作業ができる」が10.0%(10人)と続きました。また、「場所にとらわれず自由な環境で働ける」は7.0%(7人)、「家庭やプライベートとの両立がしやすくなる」は5.0%(5人)と、ライフスタイルの自由度や両立支援に関する項目は比較的少数派でした。

調査結果3:あなたがテレワークを行う際に特に不安やデメリットに感じることはなんですか?(複数回答可:注2)

注2:本設問は複数選択式ですが選択肢は2つまでに制限しています。これにより、テレワークでの不安やデメリットに感じることをより明確に把握できるようにしています。
  • 最も多かったのは、「上司や同僚とのコミュニケーションが取りにくくなる」で、46.0%(46人)に達しました。対面でのやりとりに慣れた世代にとって、報連相の難しさや情報共有の不足は大きな不安要因となっているようです。
  • 次いで多かったのは、「労働時間とプライベート時間の区切りが難しい」で27.0%(27人)でした。生活との境目が曖昧になることで、気持ちの切り替えが難しいと感じる人が一定数いることがわかります。
  • また、「自宅では集中できず、かえって業務効率が下がる」と答えたのは22.0%(22人)、「運動不足・健康面への悪影響が心配」とする声は15.0%(15人)でした。身体的・精神的な環境への影響も、テレワークに対する慎重な姿勢につながっているようです。
  • そのほか、「IT機器・ツール操作や接続トラブルが不安」は13.0%(13人)、「仕事の評価が正当にされるかが心配」は9.0%(9人)という結果となりました。

まとめ:「出社派」60代の本音と、テレワークの“ちょうどいい距離感”

(1)「働く場」=つながりと実感の場。60代にとっての“出社”の意味 

  • 60代にとって「働く場」は、単なる作業空間ではなく、人との関係性や組織とのつながりを実感できる場所であると考えられます。
  • 出社を基本とする意識が根強い背景には、キャリアの大半を対面の文化の中で築いてきたことに加え、部下や同僚との信頼構築、自らの役割発揮においてリアルなやりとりが不可欠だという価値観があると読み取れます。こうした“空間としての職場”へのこだわりは、若年層のリモート志向とは質的に異なる「働くこと」の定義に根ざしているといえるでしょう。

(2)実利は評価、でも“見えない働き方”への慎重姿勢 

  • 一方で、テレワークを一切否定しているわけではありません。通勤の負担を軽減できる点には高い合理性を見出しており、身体的・時間的効率を求める姿勢も顕著です。ただし、その評価軸はあくまで“実利”に根ざしており、自由度や多様性といった柔らかな概念とは距離があります。
  • また、家庭内での集中の難しさや時間の管理に対する不安、何より「見えない中でのコミュニケーション」への抵抗感は、心理的安全性を重視するこの世代特有の慎重さを反映していると考えられます。

(3)一律導入ではなく“選べる体制”へ。企業に求められる次の一手 

  • こうした傾向を踏まえると、60代の従業員にとってテレワークは“柔軟な選択肢”としては受け入れ可能であっても、“標準的な働き方”として一律に適用するには限界があると言えます。
  • 企業側に求められるのは、勤務場所の柔軟性を提供するだけでなく、信頼関係の維持や業務の見える化といった“目に見えない不安”を解消する仕組みの整備です。特に、キャリア後期の従業員が安心して成果を発揮できるよう、個別性に配慮した運用設計と、対面とリモートのハイブリッド環境で能力を発揮できる支援体制が、これからの組織設計において不可欠になるでしょう。

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