越境ECの発送代行サービスとは?メリット・デメリットや選び方を解説

現在、EC市場は拡大傾向にあり、なかでも越境ECが注目されています。越境ECを活用することで、大幅な利益向上を狙えます。

しかし、注意点が複数存在するため、海外発送に詳しい業者へ外注すると良いでしょう。

そこで本記事では発送代行サービスを利用するメリット・デメリット、選び方について紹介します。

越境ECや発送代行の基礎知識や、おすすめ発送業者についても記載しているため、興味のある人はぜひ最後までご覧ください。

越境ECとは

越境ECとは、インターネットを通じ国境を越えて商品の取引を行う手法です。海外ではクロスボーダーショッピングとも呼ばれています。

例えば、

  • 海外のECサイトで商品を購入して日本に取り寄せる方法
  • 日本のECサイトで海外向けに商品を販売する方法

の方法が挙げられます。

海外に向けた販売方法は4つの選択肢があります。

  • 自社で越境ECサイトを構築・運用する
  • 現地のECモールに出店し、商品を販売する
  • 保税区の倉庫に商品を保管し、購入されたら発送する
  • 海外の代行販売を行う業者に商品を買い取ってもらう

販売方法によって強み・弱みがあるため、自社に合った方法を選ぶと良いでしょう。また、以下4つの理由からEC市場規模は拡大傾向にあります。

  • スマートフォンやPCといったデバイスの普及
  • インターネット人口が増えた
  • 決済方法が多様化
  • オンラインショッピングを支えるインフラ設備が整ってきた

越境ECを活用し、市場規模の拡大を狙いましょう。

関連記事:越境ECとは?メリット・デメリットや必要な準備について解説

発送代行とは

発送代行とは、ECサイトなどの事業主が商品発送業務を外部業者に委託することです。発送に必要な仕事は多岐に渡ります。

  • 在庫保管
  • 梱包
  • 宛名入力
  • 保管場所から商品を運び出す
  • 包装資材の準備
  • 発送

発送代行を利用することで、上記の作業を外部業者に対応してもらえます。依頼する際は、梱包までは自社、発送作業のみ外注するといったカスタマイズも可能です。

越境ECにおいて発送代行を利用するメリット

発送代行業者を活用し越境ECを展開するメリットは次のとおりです。

  • 業務に集中できる
  • ミスを削減できる
  • 出店・配送・物流コストを削減できる
  • 売り上げ増加を狙える

それぞれのメリットについて解説します。

業務に集中できる

商品の売上が増加すると、比例して発送作業も増えます。発送業務は商品を購入者に届けるための作業であり、手を抜けない重要な業務です。

発送業務を外部に代行することで、発送作業の負担が軽減されます。軽減した作業時間を利用し、店舗の運営やマーケティングといった、売上を増加させるための作業に時間を割けるようになります。

負担の強い作業を外注し重要な業務に集中することで、さらなる事業展開を図れます。

ミスの削減

商品の間違いや破損、到着の遅延など、ミスも多いです。

しかし、限られた時間内で発送作業を行う必要がある場合、間に合わせるため急いで作業をする必要があります。一方、発送代行サービス業者であれば、発送に関する仕組みが整備されています。

発送を代行してもらうことでミスを最小限に抑えられるため、顧客満足度の向上につながります。結果、業績の評判も上昇し、事業の発展につながることでしょう。

出店・配送・物流コストの削減

商品を大量に販売するためには、在庫を保管するスペースが必要です。

代行業者の中には在庫の管理も請け負うため、在庫保管スペースが不要になります。倉庫を借りている場合は、在庫の保管に関する維持費を節約できます。

また、発送代行サービスの利用料金には倉庫日や人件費といった固定費が含まれています。自社で発送作業を行うよりも経費を削減できるでしょう。

大量消費国に商品を売ることで売上増加を狙える

越境ECを活用することで、アメリカや中国のような人口が多く発展している国に商品を販売できます。海外での販売に成功すれば、国内だけで展開するよりも大幅な売上増加が期待できるでしょう。

ただし、海外で商品を販売する際は、航空輸送に関する留意点があるため、容易に販売をできない場合があります。海外販売に強い発送代行業者を利用することで、海外展開時の留意点を網羅しつつ、適切な展開が可能になります。

越境ECにおいて発送代行を利用するデメリット

越境ECを展開する際に、発送代行を利用することにはデメリットがあります。

  • 発送手数料がかかる
  • 個人情報が流出する危険性がある
  • 物流を自社で行いづらくなる
  • 自社で必要な対応を柔軟に行えない場合がある

ここでは、デメリットについて順番に解説します。

発送手数料がかかる

発送料を外注業者に支払う必要があるため、商品販売時は通常価格に手数料を加算しなければいけません。

発送作業にかかるコストが低い場合、自社で行うよりも外注するほうが経費が余計にかかることもあります。

個人情報の流出の危険性

代行業者も個人情報の取り扱いには十分な注意を払っています。しかし、自社と代行業者の両方で個人情報の管理を行う必要が出るため、情報流出のリスクが高まることは避けられません。

仮に代行業者から個人情報が漏えいした場合でも、自社で責任を負う必要があります。発送代行サービスを利用する際には、個人情報を安全に扱える信頼ある業者かどうか見極める必要があります。

物流を自社で行いづらくなる

発送代行サービスに依存すると、サービスの利用を辞めた際に発送作業の効率が悪くなる可能性があります。

発送作業の正確さやスピード感は、売上を向上させるために重要な要素です。しかし、発送がスムーズにできない場合、売上が減少し、経営が悪化する恐れがあります。

将来的に自社での物流を検討している場合、一部の作業を発送代行サービスに依頼することで、依存しない仕組みを作ると良いでしょう。

自社で必要な対応を柔軟に行ってくれない場合がある

お客様から「追加注文したものを同梱してほしい」「発送を一時停止してほしい」といった発送に関する要望が上がる場合があります。

発送代行サービスを利用していると、要望に対して柔軟に対応することが難しい場合があります。なぜなら、発送代行業者側の発送方法に合わせる必要があるからです。

また、ライン化しにくい特殊な配送サービスを自社で行っているような場合、代行業者への依頼が難しい場合もあります。仮に特殊なサービスを請け負ってもらえたとしても、むしろコストが上がる可能性が高いです。

越境ECにおける発送代行サービス選びのポイント

越境ECに置ける発送代行サービスを選ぶポイントは次の5つです。

  • サービス内容が充実しているか
  • 越境EC発送代行の実績があるか
  • 自社ニーズと一致しているか
  • 海外配送に対応しているか
  • 問い合わせ対応が充実しているか

順番に解説します。

サービス内容の充実度

基本的な業務フローはほとんどの発送代行業者で対応しています。しかし、一部の業者は商品以外の同梱やまとめ発送、現地語でのカスタマーサービスの提供といった業務に対応していません。

さらに、国の理由によって販売できない商品や、販売方法に制限がある商品を扱っていない業者も存在します。輸入禁止物品に関する相談や販売許可申請のサポートが必要な場合は、サービスを提供している発送代行業者を選ぶことが重要です。

越境EC発送代行の実績があるか

業者によって得意な商品ジャンルは異なります。越境EC発送代行業者を選ぶ際は、販売予定の製品カテゴリーの取り扱い実績が豊富か確認しましょう。

日本では、自由に発送する商品を選べますが、国によって輸出できる商品が異なります。例えば、タイに玄米を輸出できなかったり、化粧品を中国に輸出する場合は特殊化粧品登録証の取得が必要だったりします。

越境ECを効率よく拡大するためにも、自社で販売する製品を海外輸出した経験のある発送代行業者を選ぶことが重要です。

自社のニーズとの一致度

自社ニーズと一致しない例は次の通りです。

  • 自社と倉庫の距離が離れている
  • 休業日が合わない
  • 基本料金内にオプション内容が含まれていない

具体的な発送方法の確認や、実際の発送シミュレーションを契約前に行うことで、トラブルの発生を防ぎます。

海外配送に対応しているか

越境ECにおいて発送代行を依頼する場合は、海外配送に対応している業者かどうか確認することが重要です。

また、海外配送が可能であっても、海外発送のノウハウを持っているかも確認しましょう。ノウハウ不足により、発送のトラブルに繋がる恐れがあります。

問い合わせ対応の充実度

基本的に、電話・チャット・メールでの問い合わせに対応している業者が多いです。

しかし、業者によっては非対応な問い合わせ方法もあります。企業によって重視すべきポイントは異なりますが、いずれの企業でも確認すべき点は主に次の3つです。

  • 緊急度や重要度に合わせて問い合わせ方法が選べるか
  • 窓口の対応時間は自社の業務時間と一致しているか
  • トラブル発生時のサポート体制が整っているか

また、必然的に海外からの問い合わせが増えるため、連絡方法が輸出先国の言語に対応しているか確認するとよいでしょう。

越境ECにおけるおすすめ発送代行業者

越境ECにおけるおすすめ発送代行業者は、次の4つがおすすめです。

  • FedEx
  • DHL
  • オープンロジ
  • ロケーションズ

ここでは、各業者の強みについて紹介します。

FedEx

概要国際総合航空輸送会社
所在地〒135-0063東京都江東区有明3-5-7 TOC有明イーストタワー 6階
〒261-7110千葉県千葉市美浜区中瀬2-6-1ワールドビジネスガーデンマリブウエスト
拠点(ゲートウェイ)成田国際空港 (NRT)
関西国際空港 (KIX)
TEL0120-003-200

FedExは集荷から宅配までを一貫して輸送することで、スピード配達を得意とする国際宅配便です。

220以上の国と地域に対応しており、アジア・アメリカ・ヨーロッパ宛ての配送であれば、通常3〜4営業日での配送が可能です。

地域にもよりますが、貨物を前夜に発送し、翌朝配達することで、最短翌日配達も実現できます。また、時間指定ができない場合も、営業所での受け取り指定できるなど、柔軟に対応できる点が魅力です。

DHL

概要国際エクスプレスサービス、ロジスティクスソリューションの提供
所在地〒140-0002 東京都品川区東品川1丁目37番8号
拠点(ゲートウェイ)東京ゲートウェイ
中部国際空港ゲートウェイ
大阪ゲートウェイ
TEL0120-39-2580
DHL Express 電話番号

DHLでは、集荷から宅配まで一貫輸送を行なっています。基本2〜5日で配送可能ですが、海外宛てでも最短翌日の朝に到着する場合もあり、非常に素早い対応が魅力的です。

特に「DHL Express 12:00」のプランでは正午までの到着指定、「DHL Express 9:00」のプランでは朝9時まで(アメリカは10:30まで)の到着指定が可能です。また、配達状況もリアルタイムで確認可能で、220以上の国・地域に対応しています。

オープンロジ

概要物流フルフィルメントプラットフォーム
所在地〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目34-5 いちご東池袋ビル9F
拠点(ゲートウェイ)非公開
TEL03-4578-9908

オープンロジでは、倉庫保管から海外配送までの一括代行サービスを提供しています。EMS以外の配送キャリアにも対応し、Yahoo!ショッピングやeBay、BASEといった多くのネットショップとの連携も可能です。

発送先も世界120ヶ所と多く、海外展開支援の企業として注目されています。オープンロジの倉庫は全国に50か所あり、オンラインで入出庫管理や発送指示が可能です。

冷凍冷蔵保管と賞味期限管理対応倉庫も完備しているため、食品を取り扱う企業にとっては有益なサービスといえます。

ロケーションズ

概要越境EC物流事業(倉庫・包装梱包・輸出入手続き・各種国際配送etc)
国内EC物流事業
所在地〒170-6045東京都豊島区東池袋3-1-1 サンシャイン60 45F
〒277-0803 千葉県柏市小青田27‐1クールジャパン海外配送センター
拠点(ゲートウェイ)千葉県柏市
TEL03-5957-5130

ロケーションズは越境ECの発送代行を中心とした物流の支援事業を手がけています。海外発送先は120か国以上に及び、1個から発送可能です。

また、発送方法がEMSや国際小包・小形包装物など多様なことが特徴的です。指定の倉庫納品日翌日には海外へ出荷可能という、スピード感にも着目しましょう。

さらに、在庫の保管やピッキング依頼が可能なため、出荷指示を行うだけでピッキングから出荷まで自動で行われます。スピード感を持って海外発送業務を行いたい企業にとっては、発送業務を全て代行できるサービスは利用の価値が高いでしょう。

関連記事:Amazonの発送代行とは?サービス内容やメリット・デメリットを解説

まとめ:自社に合った越境EC発送代行サービスを選び、業務の効率化を図ろう

越境ECにおいて発送代行サービスを利用することで、ミスの軽減やマーケティングといった自社の業務に集中できるようになります。

ただし、発送手数料がかかることや、個人情報流出の恐れがあるなど、デメリットもあるため注意が必要です。社内の事情に合わせ、越境EC発送代行サービスを活用しましょう。

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