50・60代の8割がEC・実店舗を使い分け:配送サービスの満足度に隠れた課題とは?(物流倉庫マッチングサイト『一括.jp』調べ)

スマートフォンやネット通販が浸透し、私たちの購買行動は大きく変化しました。特にミドル世代(50・60代)は安定した消費力を持ち、日常的な消費活動において重要な意思決定を担っています。ECの便利さと実店舗の安心感をうまく使い分けているこの世代は、どのような基準で買い物のチャネルを選び、現在の物流サービスについてどのように感じているのでしょうか?

本記事では、発送代行・物流倉庫業者のマッチングサイト『一括.jp(https://emeao.jp/ikkatsu-column/logistics-warehouse-market-price/ )』が50・60代の男女100名を対象に実施したアンケート調査の結果をもとに、多様化する購買チャネルの利用実態と、物流サービスに対するリアルな評価や改善への具体的な要望を明らかにします。

ECモール、実店舗、フリマアプリなどの購買チャネルの実際の利用状況から、配送サービスの満足度、さらには送料や受け取り方法などの具体的な改善点まで、ミドル世代の生の声を詳細にお伝えします。

生活の中心を支え、安定的かつ堅実な消費を続けるこの世代の視点を通して、今後の顧客満足向上や物流サービス改善のための具体的なヒントをお届けできれば幸いです。

調査結果1:過去3か月間で商品の購入に利用したチャネルを教えてください。※複数回答可

  • 最も多かったのは、「オンライン通販(Amazon、楽天などECモール)」で、80.0%(80人)が利用していると回答しました。ミドル世代においても、ECモールは広く浸透しており、検索性や価格比較、ポイント還元などが評価されていると考えられます。
  • 次いで多かったのは「実店舗(ショッピングモール・百貨店・スーパーなど)」で、74.0%(74人)と高水準を示しました。商品を手に取って選べる安心感や、生活動線上の利便性が継続的に支持されているようです。
  • そのほか、「公式オンラインショップ」が24.0%(24人)と一定の利用があり、メーカー直販に対する信頼も読み取れます。
  • 一方で、「フリマ・オークションアプリ(メルカリなど)」は14.0%(14人)にとどまり、個人間取引には慎重な姿勢がうかがえます。
  • 「宅配食品サービス」は9.0%(9人)、「テレビ・カタログ通販」は2.0%(2人)と低水準にとどまり利用は限定的です。

調査結果2:現在あなたが利用している物流・配送サービスについて、どの程度満足していますか?

  • 最も多かったのは「やや満足している」で、42.0%(42人)が現在の物流・配送サービスに一定の評価を示しました。
  • 次いで「普通」と回答した人が30.0%(30人)にのぼりました。不満はないものの、積極的な満足感も得られていないという中間的な評価が目立ちます。
  • 「非常に満足している」は18.0%(18人)で、高評価を与える層は一定数存在します。ただし2割にとどまっていることから、この年代では“非常に満足”と感じられるには、より明確な価値や安心感が必要なのかもしれません。
  • 「やや不満を感じている」は2.0%(2人)と少数で、目立った不満は見られません。「配送サービスを利用していない(店舗購入のみのため)」は8.0%(8人)で、対面での購買を続ける人が一定数いることも確認されました。

調査結果3:もし物流・配送サービスが今より改善されるとしたら、特に改善してほしいことは何ですか※複数回答可(注1)

(注1) 本設問は複数選択式ですが、選択肢は2つまでに制限しています。これにより、特に改善してほしいと感じていることをより明確に把握できるようにしています。
  • 最も多かったのは「送料を安く(または無料に)してほしい」で、46.0%(46人)が選択しました。物流サービスに対する基本的な満足度は一定水準にあるものの、コスト面への敏感さはミドル世代でも顕著であり、送料の高さが利用継続の妨げになっている可能性がうかがえます。
  • 一方で、「特に改善してほしいことはない」と回答した人も29.0%(29人)にのぼり、一定の利用満足度や現状での納得感がうかがえます。大きな不満は感じていないものの、改善への期待も限定的という安定志向が反映された結果といえるでしょう。
  • 「置き配や受け取り方法の選択肢を増やしてほしい」は28.0%(28人)と、利便性に対するニーズの高さも明らかになりました。時間帯や再配達の制約を減らし、柔軟な受け取りができる環境を求める傾向が、年齢を問わず広がっていると考えられます。
  • その他、「エコ配送(簡易包装やCO2削減)に力を入れてほしい」は11.0%(11人)、「配送スピードをもっと速くしてほしい」は8.0%(8人)、「誤配や配送ミスをなくしてほしい」は6.0%(6人)と、いずれも一部に関心があるものの、優先度としては限定的な傾向が見られました。

まとめ:ミドル世代の消費と物流 ~日常の「小さな違和感」を解消~

今回の調査から見えたのは、ミドル世代が買い物や物流に求めているのは大きな革新や劇的な改善ではなく、「ちょっとした不便さ」や「小さな違和感」を取り除く、細やかな配慮だということです。

(1)暮らしの延長線上にある「最適な買い方」の探求

  • ECモール80.0%、実店舗74.0%という高い利用率の背景には、状況や商品特性に応じた冷静で合理的な判断がありました。ミドル世代は利便性と安心感を天秤にかけるだけでなく、「生活リズムや予定に無理なくフィットするか」という視点を常に持っているのです。

(2)満足度の高さに隠れた小さなストレス

  • 配送サービスの評価は概ね良好でしたが、「非常に満足」は18.0%にとどまりました。これは劇的なサービス向上ではなく、配送時間のわずかなずれや送料負担といった「ちょっとしたストレス」の積み重ねが、ミドル世代の満足感を阻害していることを示唆しています。

(3)ミドル世代の本音は「手間のかからない生活」への願望

  • 調査結果で顕著に表れたのは、「送料負担の軽減(46.0%)」と「受け取り方法の柔軟化(28.0%)」といった具体的な改善要望でした。これらは単なる便利さへの要望というより、「買い物や荷物の受け取りで煩わされず、日常生活をもっとシンプルにしたい」というミドル世代特有のニーズを示しています。

ミドル世代が本当に望んでいるのは、「目立つ便利さ」ではなく「目立たない快適さ」なのかもしれません。物流・配送サービスが今後目指すべき方向性は、「不満を感じさせない」ことよりも、「不満を意識させない」ほど自然に暮らしに馴染む仕組み作りにあるでしょう。

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