多くの企業がEC事業をスタートし、売上の拡大を目指しています。
一方で、商品の制作以外のノウハウがなく、一歩踏み出せない人もいるでしょう。
結論として、EC物流に関する業務は、難易度も始めるリスクも高いため、外注するのがおすすめです。
この記事では、EC事業における物流業務の内容や外注先の選び方、おすすめの外注サービスを解説します。
EC物流についてお困りの方はぜひ最後まで読んでください。
EC物流とは?商品を運ぶ以外の役割
物流=商品の配送と考える方が多いですが、EC物流にはさまざまな役割があります。
EC物流について、配送以外に知っておくべき業務は以下5つです。
- 商品ごとの入庫作業と検品
- 無駄のない棚入れ
- 商品の保管と適切な管理
- 適切なピッキングと数量管理
- 商品確認と丁寧な梱包
EC物流を外注するための最初のステップとして、それぞれの業務を理解しましょう。
商品ごとの入庫作業と検品
商品の入荷は、倉庫に商品が届くことではありません。
届いた段ボールを開梱し、検品作業をした上で入荷作業が完了します。検品業務は以下を中心に実施が必要です。
- 正しい商品が正しい数量で届いているか
- 商品に不備はないか
この時点で気づくことができれば、お客様から注文を受けた際に、迷惑をかける可能性が低くなります。
また、すべての工程で言えることですが、どこでミスがあったのかわかる仕組みにしておくことが大切です。
お客様の手元に届いた商品が壊れていた場合、検品作業をしていれば少なくとも出荷センター内、あるいは運送上のミスと特定できます。
無駄のない棚入れ
棚入れはただ商品を棚に入れるだけでなく、以下3つの無駄をなくすことが求められます。
なくすべき無駄 | 必要な要素 |
スペースの無駄 | 棚のスペースを埋めるように配置場所を決める 在庫数の上限や隣接する商品との売れる時期の差も考慮した配置 |
探す時間の無駄 | ピッキングする際に迷わせない配置場所を決める 同じ商品を近くに配置するのは一見効率的に見えて非効率になることも多い 同じ商品のサイズ違いを隣接させた場合、ピッキングの際の確認に時間を要する |
移動時間の無駄 | 移動の頻度や難易度に合わせて配置場所を決める 物の配置だけでなく、業務中の人の動きまで考慮が必要 |
物流コストを下げるためにはさまざまな工夫が必要です。
商品の保管と適切な管理
商品ごとに適した保管方法で扱うことが大切です。劣化を完全に止めることは難しいですが、スピードを落とすことはできます。
たとえば衣類の場合、湿度や気温の管理が重要です。高温多湿の場所ではカビや虫の発生を招くことがあります。生鮮食品など、衣服よりも繊細な商品の場合はより細かいコントロールが必要になるでしょう。
商品をベストな状態に保つために、適切な環境での管理が必須です。
適切なピッキングと数量管理
ピッキングは正しい商品をお客様に届けるために大切な工程です。
注文より少ない数量で出荷した場合や異なる商品を出荷した場合、顧客満足度の低下やクレームにつながる恐れがあります。
さらに、ピッキングでミスが起こると、データと実際の在庫数量に差異が生じます。実際には在庫のない商品を販売してしまうなど、他のお客様にも連鎖的に迷惑がかかるでしょう。
ヒューマンエラーをゼロにするのは難しいため、機械を使ったピッキング作業も視野に入れて取り組むべきです。
商品確認と丁寧な梱包
梱包のタイミングで商品の最終確認を行うことで、ミスを減らすこともができます。また、梱包は商品がお客様の手元に届く形を作る作業なので、単純ですが力を入れるべき工程です。
商品が届いた際、商品はよかったのに梱包が残念で嫌な気持ちになったこともあるのではないでしょうか。
商品の梱包は早さだけでなく、丁寧さや確実性が求められる作業です。
EC物流サービスを選ぶ際に考慮すべきポイント
サービス選定に迷った際には、以下の5つのポイントを中心に確認することで絞り込めます。
- 得意な業界や商品種別
- 対応可能なエリアと納期
- 対応可能なボリューム
- サービスに含まれる作業範囲
- 料金体系
ひとつずつ解説するので、自社の商品や販売戦略をイメージしながら確認してください。
得意な業界や商品種別
商品を安全に保管、配送するためには、自社の商品特性に合わせたサービスを選ぶことが大切です。
倉庫といっても、サービスによって特徴は異なります。完全空調で常に快適な場所もあれば、ただ保管ができればいいというレベルのものまでさまざまです。
例えば、アパレル業界に強いサービスでは、服やバックの正しい取り扱いを熟知しているでしょう。一方で金属の扱いが得意なサービスでは、繊細な商品の取り扱いが難しい場合があります。
基本的には各企業が狙いたい業界や商品に合わせたカスタマイズがされているため、どの業界や商品に強いかはチェックしましょう。
対応可能なエリアと納期
自社の求める配送エリアと、許容できる納期を考えた上で、サービスを選びましょう。
配送エリアや納期は、お客様の利便性に大きく影響します。対応可能なエリアと納期は、倉庫がある地域によって異なるため確認が必要です。
EC事業=全国進出だけではなく、限られた地域から開始する人も多いのではないでしょうか。その場合、地域は限られるが納期が早いなど、地域密着のサービスを利用すべきです。
他にも、海外進出を目指す場合、対応可能な企業から選ぶ必要があります。EC事業で目指す方向性を決めた上で、それが実現可能なサービスを選びましょう。
対応可能なボリューム
商品の売上個数や、商品の大きさに合わせたサービス選定が大切です。
EC物流サービスには、大手企業向けのサービスから、中小企業や個人事業向けのサービスまであります。そのため、自社の出荷個数や頻度に対応できる企業を選ぶべきです。
また、配送可能な大きさにも制限がかかることもあるため、自分の扱いたいサービスを扱えるのかも確認しましょう。大は小を兼ねることができますが、コスト面は割高になることが多いです。
自社に適したサービスを選ぶことで、無駄なく運営しましょう。
サービスに含まれる作業範囲
EC物流サービスに含まれる作業範囲はサービスごとに異なります。
たとえば、EC物流サービスはEC物流をサポートする最低限の機能から、取得したデータを元にコンサルティングまで行うサービスまでさまざまです。
コンサルティングを希望している場合に、それが含まれていないサービスを導入すると、別で会社を探すなど、手間と費用がかかります。
自分が欲しいと思っているサービスが足りているか、反対に過剰なサービスになっていないかは確認しましょう。
料金体系
サービスの価格だけでなく料金体系まで比較すべきです。以下のように料金体系にも違いがあります。
定額料金制 | 1ヶ月の料金が固定で決まっている |
従量課金性 | 1ヶ月で利用した量で料金が決まる |
たとえば、ある程度決まった量を毎月利用する場合は定額制の方が安くなる場合が多いです。一方で、繁閑の差が大きい業態では、従量課金制の方が安くなる場合もあります。
自社の利用予想をシミュレーションし、コストを抑えられる選択をしましょう。
関連記事:EC物流倉庫は委託するべき?メリットや注意点を解説
EC物流サービスのおすすめ10選
EC物流サービスを展開する企業は多くありますが、その中でも特におすすめの企業10社を紹介します。
下の表に、得意なジャンルと対応可能な地域はまとめているため詳細をご確認ください。
会社名 | 得意ジャンル | 顧客対応地域 |
ディーエスピー株式会社 | DM、携帯電話周辺機器、食品、化粧品、ギフト、販促物、雑貨 | 首都圏 |
ディーエムソリューションズ株式会社 | コスメ、健康食品、スポーツ用品、キャラクターグッズ、小物、日用品、飲料、ペットグッズ、家電 | 関東地方 |
鈴与株式会社 | 化粧品、健康食品、医療機器、食品、生活雑貨、輸入雑貨 | 全国 |
株式会社 トモダ企画 | 広告・POP等の販促媒体医薬部外品〔包装・表示・保管〕化粧品〔包装・表示・保管〕 | 関東 |
LogisiticsPlusJapan株式会社 | ITパーツ、輸入雑貨、化粧品、医薬品、精密機械、輸入工具、生活雑貨、アクセサリー、アパレル、玩具、ペット用品、スポーツ用品、航空機材、プロジェクト輸送等 | 関東圏中心海外対応可能 |
公共ロジスティックス株式会社 | 食品、冷凍食品、輸入シャンパン、コンタクトレンズ、雑貨、アパレル、住宅建材、輸入グラス | 全国 |
キチナングループ株式会社 | 雑貨、建材・原料、アパレル等 | 大阪府、愛知県、岡山県 |
株式会社ダイゴ | PC機器、オーディオ周辺機器、玩具、農業用具、建築資材、各種パンフレット等 | 東京都、一都三県 |
株式会社スクロール360 | 化粧品、サプリメント、食品、コンタクトレンズ、アパレル、雑貨、本、ワイン | 全国 |
株式会社イー・ロジット | 生活雑貨、会員グッズ、アパレル、化粧品、健康食品、食品等 | 全国 |
ディーエスピー株式会社
ディーエスピー株式会社はお客様の立場に立った提案に強みをもつEC物流サービス企業です。
会社規模は小さく、首都圏を中心とした対応になりますが、その分小回りがききます。
難しいことも、お客様が満足できる代替案の提案が可能です。
首都圏かつ特別な対応が必要な商品を扱う方に向いているサービスです。
ディーエムソリューションズ株式会社
ディーエムソリューションズ株式会社は、専門の物流コンサルタントのサポートが受けられるEC物流サービス企業です。
EC事業に新しく参入するお客様と入念な打ち合わせを実施し、希望の実現を目指します。
独自の「ウルロジ」という仕組みを用意しており、お客様の希望を低価格で実現可能です。
EC事業に関するノウハウが少ない方でも安心して利用できます。
鈴与株式会社
鈴与株式会社は、国内だけでなく、国際物流までワンストップで行うEC物流サービス企業です。
全国に145ヶ所の自社倉庫をもつため、最適な倉庫立地の提案ができます。
また、自社開発の倉庫管理システムを利用しているため、お客様からの要望には柔軟な対応が可能です。
輸出中の通関業務など、グローバル展開を目指す企業にとって重要なサポートも受けられます。
株式会社 トモダ企画
株式会社 トモダ企画は梱包・発送・在庫管理・広告POP作成まで、総合的な支援が可能なEC物流サービス企業です。
広告やPOPの販促媒体の取り扱いもアピールしており、ユニークなサービスです。
その他にもキャンペーンサポートと呼ばれる、応募者限定サービスの発送もサポートできます。
売上向上の施策として、キャンペーンを積極的に行う方に向いています。
LogisiticsPlusJapan株式会社
LogisiticsPlusJapan株式会社は米国ペンシルバニア州に本社があるグローバルEC物流サービス企業です。
世界50カ国の拠点を結ぶネットワーク網を有しており、全世界のサプライチェーンを網羅しています。
世界的企業を相手に取引をする大手企業ですが、日本の対応拠点は多くはないため、海外を中心にビジネスを考える方におすすめです。
LogisiticsPlusJapan株式会社の詳細はこちら
公共ロジスティックス株式会社
公共ロジスティックス株式会社はお客様の商品や状況に合わせた柔軟な対応を強みにするEC物流サービス企業です。
都内でも希少な冷蔵、冷凍倉庫を保有しているため、適切な温度管理が必要な商品にも対応できます。
お中元やお歳暮、ふるさと納税返礼品など、特定の時期に大量に在庫を持つ必要がある商品も依頼可能です。
繁閑の差が激しい商品や、温度調整が必要な商品を扱う場合、必ず選択肢にいれましょう。
キチナングループ株式会社
キチナングループ株式会社は生産からアフターサービスまで全ての工程をサポートできるEC物流サービスです。
物流アウトソーシング事業の他にも、人材派遣や製造請負などのサービスも充実しており、EC事業を行う際の人手不足に対するサポートもできます。
物流以外のサービスもまとめて1社にお願いしたい場合に適しています。
株式会社ダイゴ
株式会社ダイゴは中小企業や個人事業主を対象とした、EC物流サービス企業です。
小規模向けのサービスですが、物流に必要なサービスは一通り揃っており、コンサルティングサービスや海外への発送も対応できます。
封入やDM発送なども行うため、小規模事業者向けに小回りがきくサービスと言えるでしょう。
小規模ビジネスのEC化を進めたい人にとって、価格とサービスのバランスのとれたコストパフォーマンスの高い選択肢です。
株式会社スクロール360
株式会社スクロール360はEC物流サポートだけでなく、マーケティングのサポートも行うEC物流サービス企業です。
EC物流に必要なサービス以外にも、ECショップの運営代行や、新規顧客獲得サポートなどマーケティングに関する依頼もできます。
EC事業を進める上で必要なことは全て依頼できるため、自社のコア業務にのみ注力できるでしょう。
株式会社イー・ロジット
株式会社イー・ロジットはBtoC(対一般消費者向け)向けの物流戦略に特化したEC物流サービス企業です。
EC事業の立ち上げから、既存の物流サービスからのリプレイスにも対応します。
BtoCに特化して、20年以上のノウハウと1,700社以上のお取引実績をもつ点が強みです。
BtoCとBtoB(対企業向け)では注意すべき内容が異なります。
BtoCのEC事業を立ち上げたい方はプロに相談すべきです。
自社に適したEC物流サービスを選ぶことが大切
EC物流サービスは、大手だから良いということはありません。それぞれのサービスが独自の強みを持っています。
この記事で紹介した選定のポイントをおさえて、企業を比較・検討することが大切です。まずは気になる企業への見積り依頼から始めましょう。