テレビCMはWeb広告に押され気味ではありますが、未だに大きな影響力を持っています。そのため、多くの企業がお金をかけてテレビCMを制作しています。
しかし、テレビCMは高額なイメージがある方も多いのではないでしょうか。テレビCMは、工夫次第で100万円程度からでも出稿可能です。
この記事では、CM別の動画制作の費用相場や、地域別の放映費を解説していきます。費用の内訳や安く制作するコツも解説しているため、ぜひ参考にしてください。
CM制作とは?目的と期待できる効果
CM(コマーシャル)制作は、商品・サービスを短時間で印象付けるブランディング手法です。テレビ・Web・交通広告などの媒体で放映することで、①認知度の向上 ②購買意欲の喚起 ③企業イメージの強化 を図れます。特に40代以上のテレビ視聴層には信頼感を、若年層のスマホ視聴者には短尺Web CMで話題性を獲得できるため、ターゲットと媒体を組み合わせた施策がROIを押し上げます。
CMの主な種類と特徴
CMは大きく①テレビCM(タイム/スポット/SAS) ②Web CM(YouTube、SNSインフィード) ③交通・屋外CM(トレインチャンネル等) ④インフォマーシャルに分類されます。それぞれ尺・制作コスト・到達ユーザーが異なるため、目標KPIに合わせて選定することが重要です。たとえばWeb CMは6秒バンパーなど短尺で量産でき、A/Bテストで最適化しやすい特徴があります。
実写+アニメーションCMで印象と理解を両立させる
実写映像のリアリティとアニメーションの説明力を掛け合わせた“ハイブリッドCM”は、ブランドの世界観を壊さずに商品の機能やベネフィットを視覚化できる点が魅力です。近年は制作コストも下がり、30 秒尺でも前半に実写、後半にインフォグラフィックを挟む構成が主流になっています。ターゲットが幅広い場合や無形サービスを扱う場合に効果的です。
CM制作の費用相場【料金表あり】
CMに使う動画の制作費は、種類によって異なります。CM制作の費用相場を表にまとめました。
CMの種類 | 費用相場 |
テレビ以外のCM制作 | 50,000円〜300万円 |
通常品質のテレビCM制作 | 100万円〜500万円 |
高品質なテレビCM制作 | 500万円以上 |
アニメーションCM制作 | 100,000円〜200万円 |
一般的に動画の品質や放映範囲、広告効果などに比例して費用が高くなります。それぞれの概要や相場の理由を詳しく解説していきます。
テレビ以外のCM制作
費用相場 | 50,000円〜300万円 |
テレビ以外の代表的なCMは、下記の2つです。
- トレインチャンネルに流すCM
- YouTubeの広告枠に流すCM
トレインチャンネルは、電車内のディスプレイのことで、おもに車内のドア上部に設置されています。100,000円〜500,000円程度で制作できます。トレインチャンネルのCMが低価格な理由は、基本的に下記仕様の動画になるためです。
- 短尺
- 音声無し
- 写真やイラストのスライドショー
限られた枠の中で、字幕と映像のみで内容を伝える必要があるため、制作には緻密な構成の作成と確かな編集力が必要です。中には音声付きの実写CMもありますが、相場以上の金額になることも。
YouTubeの広告枠で放映するCMは、尺によって相場が変わります。
6秒 | 50,000円〜300,000円 |
15秒〜30秒 | 300,000円〜100万円 |
1分 | 500,000円〜200万円 |
1分〜3分 | 100万〜300万円 |
リーチできる範囲が広く、キャストを使った実写映像なども多いため、トレインチャネルに比べて費用が高めになっています。また配信には別途、広告費が必要になる点も注意しましょう。
通常品質のテレビCM制作
費用相場 | 100万円〜500万円 |
依頼者からの持ち込みや、制作会社が保有している素材を使う場合、100万円程度で制作できます。一方で撮影をしたり、効果音やBGMなどをオリジナルで制作したりする場合は、500万円に近い金額になります。
大規模なロケなどを行うことはなく、近場やレンタルスタジオでの撮影が基本です。そのため、限られた予算の中でテレビCMを打ちたい方に向いています。
高品質なテレビCM制作
費用相場 | 500万円以上 |
高品質なテレビCMは、大半が実写になります。そのため費用は、演者のギャラによって大きく上下します。人気芸能人を起用すると、出演料だけで1,000万円以上になることも珍しくありません。
また高品質なテレビCMは、撮影も大規模です。企画次第では、大勢のエキストラを用意したり、遠征を伴うロケを行ったりします。スケジュール調整が複雑になるため、制作期間も3ヶ月はかかると思っておきましょう。
アニメーションCM制作
費用相場 | 100,000円〜200万円 |
アニメーションCMは、キャストの起用や撮影が不要なため、比較的安価に制作できます。有り物の素材だけで制作する場合、100万円以下に抑えることも可能です。
1からアニメーションを制作したり、既存人気キャラクターのライセンスを取得して使用する際は、100万円以上になります。また、複雑なCGやオリジナルキャラクターを使用すると、相場を超えることも。
しかし近年では技術の発達により、安価に高品質なアニメーションCMを制作してくれる業者も増えています。業者の実績を確認し、気にいった作品があれば、アニメーションを検討してもよいでしょう。
CM制作の標準フローと期間の目安
一般的なフローは①企画・構成 ②絵コンテ ③撮影/アニメ制作 ④編集 ⑤MA ⑥考査・放送枠決定 ⑦納品・放映の7工程です。2D アニメ CM は4〜6 週間、実写 CM は2〜3 か月が目安となります。各工程で承認プロセスを明確にすると、リテイク回数を30 %以上削減できます。
放映後の効果測定と改善サイクル
CMは放映して終わりではありません。
1.視聴率・GRPの取得:放送局から週次で受領し、想定リーチとの乖離を確認します。
2.ウェブ流入・指名検索の増減:放映日〜72時間の変化を解析すると、CM想起の強さが数値化できます。
3.次回クリエイティブ改善:ヒートマップやSNS反応を基に、キーメッセージ位置や尺配分を調整します。
効果測定をPDCAで回すことで、同予算でもCPAを平均15〜20%改善できる事例が増えています。
3 か月で完成させるスピードプランの注意点
通常3〜6 か月といわれる制作期間でも、企画を絞り込み・ロケを屋内に限定することで3 か月前後に短縮できます。ただし
・社内承認プロセスを1.5 ~ 2週間以内に設定
・撮影はスタジオワンセットで完結
・編集初稿チェックはオンライン即日対応
など、関係者全員の決裁スピードが求められます。急ぎ案件では放映枠の確保と考査スケジュールを同時進行させることが成否を分けます。
各工程で準備すべき資料リスト
企画書・KPI設定/ペルソナシート/参考動画URL/ロケハン資料/キャストリスト/放映媒体の入稿規定――以上を事前にそろえておくと、見積精度とスケジュール確度が向上します。
テレビCMには放映費用もかかる
テレビCMは、各テレビ局に放映料金を支払なければ放送できません。放映料金は、下記の要素で変動します。
- 地域
- CMの内容
- 放映する時間帯
- 放映枠の番組の視聴率
地域ごとの放映料の相場を表にまとめました。
地域 | 放送局 | 放映費用(15秒1本あたり) |
全国(CS) | CS各チャンネル | 18,000円~35,000円 |
全国(BS) | BS各局 | 50,000円~100,000円 |
関東(地上波) | 日本テレビ・TBSテレビ・フジテレビジョン・テレビ朝日・テレビ東京 | 300,000円~100万円 |
関東(独立局) | 東京MXテレビ・テレビ神奈川・千葉テレビ・テレビ埼玉・とちぎテレビ・群馬テレビ | 25,000円~40,000円 |
東海(地上波) | 中京テレビ・中部日本放送・東海テレビ・名古屋テレビ・テレビ愛知 | 40,000円~125,000円 |
東海(独立局) | 岐阜放送・三重テレビ | 15,000円~25,000円 |
関西(地上波) | 読売テレビ・毎日放送・関西テレビ・朝日放送・テレビ大阪 | 40,000円 ~ 250,000円 |
関西(独立局) | サンテレビ・KBS京都・びわ湖放送・奈良テレビ・テレビ和歌山 | 15,000円 ~ 45,000円 |
参考:広告代理店|メディア価格がわかる『広告ダイレクト』| テレビCM
また広告枠には下記3つの違いがあり、それぞれ費用形態も異なります。
- タイムCM
- スポットCM
- SAS(Smart Ad Sales)
それぞれの違いを詳しく解説していきます。
タイムCM
タイムCMは、特定の番組のスポンサーとして放映するCMです。番組の隙間の広告枠でCMを放映できるうえに、番組の前後でスポンサー企業として紹介されます。
長期間放映することで企業の認知度が向上する、番組のスポンサーになれば信頼性が得られるなどのメリットがあります。タイムCMには下記の2種類があり、番組の視聴率や放映範囲によって料金が変わるため、違いを理解しておきましょう。
タイムCMの種類 | 放映範囲 |
ネットタイム | 全国 |
ローカルタイム | 特定の地域 |
ネットタイムのほうが費用は高くなりますが、より多くの視聴者にリーチできます。ローカルタイムの放送範囲は限定的ですが、地域密着のビジネスを行っている場合には効果的です。
スポットCM
スポットCMは番組に依存せず、さまざまな時間帯や番組間で流れる形式の広告です。スポンサーとして紹介されることはありませんが、放送する時間帯や曜日をターゲットに合わせられます。
スポットCMは短期間から利用できるため、柔軟に広告戦略に組み込むことが可能です。好きなタイミングで狙った情報を届けられるため、イベントの告知や新製品のプロモーションに向いています。
SAS(Smart Ad Sales)
SASは、放送枠を15秒単位で購入できるシステムで、比較的新しいテレビCMの方式です。時間帯や曜日、CM本数などによって価格が設定されており、Web上で空き状況を確認しながら、必要な放送枠を購入できます。
SASは、15秒と放映枠が短く設定されているため、少ない予算でもCMが放映できます。必要な枠だけをピンポイントで購入できるため、戦略次第で抜群の費用対効果を得られるCMです。
SASは、新商品の発売日やイベントの告知など、特定のタイミングでCMを放送したいと考えている企業にとって、柔軟かつ効率的な広告手段になるでしょう。
CM制作費用の内訳ごとの費用相場
CM制作を適正価格で発注するには、内訳ごとの予算も把握しておく必要があります。おもな内訳と費用相場を表にまとめました。
内訳 | 費用相場 |
構成・企画費 | 100,000円〜350,000円 |
キャスティング費 | 100,000円 〜1,000万円以上 |
撮影費 | 100,000円〜800,000円 |
MA・動画編集費 | 150,000円〜400,000円 |
それぞれ詳しく解説していきます。
構成・企画費
費用相場 | 100,000円〜350,000円 |
構成や企画の費用は、CM制作のコンセプトやターゲット、構成や制作方法の策定などを行うための費用です。プロデューサーやディレクターの人件費とも言い換えられます。
プロデューサーは、制作全体の方向性を決定する重要な役割です。ディレクターは、撮影の指揮取りや制作全体の進行管理を担う現場監督のようなものです。
いずれも重要なポジションで、制作物の品質に大きな影響を与えます。
キャスティング費
費用相場 | 100,000円 〜1,000万円以上 |
キャスティング費は、実写映像を制作する場合の出演者に支払う報酬です。費用は演者ごとに差が激しく、人気のモデルや俳優の場合、キャスティング費だけで数千万円以上必要です。
また人気タレントは、契約期間の制約が設けられており、長期間の起用を前提に出演を依頼する場合も多く、料金も跳ね上がります。しかし、著名人を起用できれば、企業の信頼性や認知度が向上しやすくなるなど、多くのメリットも得られます。
キャスティング費は、無名の役者に出演してもらう、アニメーション動画にするなどの方法で削減することも可能です。ただし、有名タレントを起用した際のメリットは得られなくなるため、バランスを見ながら適切な料金を支払いましょう。
撮影費
費用相場 | 100,000円〜800,000円 |
撮影費には、撮影に必要なスタッフの人件費と、機材やスタジオなどの使用料が含まれます。撮影の規模が大きくなるほど、カメラマン、音響、照明など、必要なスタッフが増えるため、高額になります。
またスペックの高いカメラを必要としたり、大規模なロケを行ったりする場合も同様です。クオリティの高い映像が撮れますが、相場以上の料金になることもあるため注意しましょう。
実写映像を必要としないアニメーションCMを作成すれば、撮影費は削減できます。また屋内のスタジオで撮影し、背景は合成するなどの工夫でロケを不要にすることも可能です。
MA・動画編集費
費用相場 | 150,000円〜400,000円 |
MAは、編集した動画に効果音やBGM、ナレーションを付ける作業です。ナレーターに有名声優やアナウンサーなどを起用する場合は費用が高くなります。またBGMをオリジナルで制作したり、人気楽曲のライセンスを取得したりする際も同様です。
動画編集の費用は、基本的に動画の尺によって上下します。そのためMA・動画編集費は、フリー素材を使う、短尺の動画にするなどの工夫で、抑えられます。
見積もり依頼時に押さえる3つのポイント
1.仕様書を先に渡す – 予算・納期・目的を一枚にまとめると見積もり誤差を30%縮小できます。
2.最低2社に同条件で相見積もり – クリエイティブ案だけでなく修正回数・権利範囲まで比較することが重要です。
3.質問表を活用 – 撮影方式やキャスト著作権の扱いなど、チェックリスト形式でヒアリングするとトラブルを防げます。
CM制作費を抑える追加テクニック5選
1) 撮影を1日で完結—ロケ地を1 か所に絞り移動コストを削減 2) 社内キャストを起用—出演料をゼロに 3) 屋内スタジオ+合成背景—ロケ費用を30 %カット 4) 尺を15 秒に統一—編集と音効工数を半減 5) アニメーションテンプレート活用—CG 制作費を最大50 %安くできます。
CM制作費用を安くする4つのポイント
下記4つのポイントを意識すれば、CM制作費用を抑えられます。
- アニメーションCMにする
- 著名人を起用しない
- 地方局で放映する
- 屋内撮影にする
ただし、無理に制作費を削ると動画のクオリティが低下し、成果が得られなくなる恐れがあります。そのため、安くなる理由を理解したうえで、必要な費用まで削減しないことが大切です。
それぞれ詳しく解説していきます。
アニメーションCMにする
アニメーションCMは、撮影やキャスティングが不要です。そのため、実写CMに比べて安価に制作できます。
しかし、実写のほうが適している場合もあるため、安易にアニメーションを選択するのはおすすめできません。たとえば、特定の商品のプロモーションを行いたい場合、演者が商品を実際に利用している映像が合ったほうが効果は高いでしょう。
CM制作の目的を明確にし、アニメーションでも十分な訴求力が生まれるか、検討を重ねることが大切です。
著名人を起用しない
CM制作の費用の中で、キャスティングが占める割合は大きいです。著名人の起用の有無で、制作費に数千万円単位の差が生まれます。
したがって、安価に起用できる演者に依頼する、社員や知人に出演してもらうなどの工夫を行えば、制作費を抑えられます。しかし企業のイメージアップや相乗効果によるファンの増加など、著名人を起用するメリットは大きいです。
書類上の金額だけでなく、費用対効果も確認し、最も採算が取れるキャストを選びましょう。
地方局で放映する
全国ネットや首都圏のテレビ局は、放映費用も高額です。そのため、地方に絞って放送すれば費用を抑えられます。
しかし放映範囲を絞れば、訴求力も弱くなります。そこでおすすめしたいのはネット広告との併用です。たとえば、YouTube広告に出稿すれば、全国的にCMを放映しているのと同じです。
テレビCMは、自社のビジネスと最も親和性が高い地域でだけ放送し、他の地域はネットを使って配信することで、すべてのターゲットにリーチできるでしょう。
屋内撮影にする
ロケを行うと、施設の利用料やスタッフ・キャストの交通費、宿泊代など、さまざまな費用がかかります。屋内撮影にすることで、上記の費用が浮くため安価に制作できます。
現代では、映像編集の技術が向上しているため、合成映像でも十分にリアリティを持たせることが可能です。事前に制作会社に確認し、合成でもクオリティが担保できる場合は、屋内撮影を選択しても良いでしょう。
内製と外注を判断するチェックリスト
内製が向くケース:月3本以上のWeb CMを継続運用する/撮影・編集スキルを持つメンバーが在籍/PDCAを短サイクルで回したい。
外注が向くケース:ハイクオリティなテレビCM/著名タレントや3DCG を使う/放映枠購入までワンストップで任せたい。表形式で○×評価すると判断ミスを防げます。
CM制作に関するよくある質問(FAQ)
Q1:制作期間は? → 企画確定後2〜3 か月が標準です。
Q2:追加費用が発生しやすいのは? → キャストの追加・ロケ延長・修正超過です。
Q3:著作権の扱いは? → 契約次第で譲渡可ですが、二次利用料が別途必要な場合があります。
Q4:効果測定は? → GRPや視聴率だけでなく、検索数やCV を合わせて分析しましょう。
まとめ:相場を理解して費用対効果の高いCMを制作しよう
CM制作の費用相場は、種類ごとに下記のとおりです。
CMの種類 | 費用相場 |
テレビ以外のCM制作 | 50,000円〜300万円 |
通常品質のテレビCM制作 | 100万円〜500万円 |
高品質なテレビCM制作 | 500万円以上 |
アニメーションCM制作 | 100,000円〜200万円 |
いずれも動画の品質や尺に応じて制作費用が上下します。テレビCMを打つ場合は、放映費をテレビ局に支払う必要があるため注意が必要です。
自社が作りたいCMのクオリティと予算を照らし合わせながら、納得のいく動画を作成しましょう。