物流倉庫にかかる費用相場!内訳や料金を抑えるポイントも解説

アパレル業者や小売業、ECショップを営む企業にとって、物流倉庫の費用を抑えることは大切です。物流費用が利益を圧迫することのないよう、適切な費用に抑える必要があるためです。

しかし、物流倉庫の費用相場がいくらなのか、よく分からない人も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、物流倉庫の費用相場、費用を抑えるコツを詳しく紹介します。季節ごとの変動費や必要なサービスの選定など、具体的なポイントも解説していますので、ぜひ参考にしてください。

物流倉庫の固定費の相場

物流倉庫の費用は、月額制の固定費としてかかります。おもな固定費と相場費用は下表のとおりです。

項目費用相場
倉庫保管料1坪あたり3,000~7,000円/月
システム手数料20,000円~50,000円/月
業務管理料10,000円~50,000円/月

それぞれ詳しく解説します。

倉庫保管料

物流倉庫の倉庫保管料は、商材を保管するスペースを維持するための費用です。

料金は、スペースの広さだけでなく、ラック単位やパレット単位で計算される場合もあります。物流倉庫の保管料は、預ける商品の数量やサイズによって変動します。

大きな商品や大量の商品を保管する場合は、スペースを広く占有するため倉庫保管料が高くなることがあります。

また、物流倉庫の立地によっても費用は異なります。一般的に、都市部よりも郊外のほうが安い傾向にあります。

システム手数料

物流倉庫のシステム手数料は、商品の入庫から出荷までの工程を一元管理するシステムにかかる費用です。

システム利用料にはハンディーターミナルや送付状のプリンターといった機器の保守費用も含まれます。倉庫によっては、初期費用が発生する場合もあります。

業務管理料

物流倉庫の業務管理料は、荷物の管理にかかる費用です。

倉庫の温度や湿度の管理、防カビ・防虫・セキュリティなどの対応を含みます。システム利用料とは別に請求されることが多く、取り扱い量に応じて割引が適用される場合もあります。

物流倉庫の変動費の相場

物流倉庫は、倉庫を利用する頻度に応じて変わる費用です。おもな項目と費用相場は、下表のとおりです。

項目費用相場
入庫料1個あたり10円~100円
デバンニング料20,000円~35,000円
ピッキング・入荷料1個あたり10円~30円
検品料1個あたり10円〜30円
梱包料1個あたり150円〜300円
配送料1個あたり400円〜1,000円以上

それぞれ詳しく解説します。

入庫料

入庫料は、仕入れ先から届いた荷物を、指定の棚に収納するときにかかる料金です。フォークリフトなど倉庫内の機器の使用や維持管理、操作者の人件費が含まれます。

料金は、商品の大きさや取り扱いの難易度に応じて変動し、大きな商品や取り扱いが難しい商品になると、100円程度の入庫料がかかることもあります。高価格帯の商品は、慎重に取り扱う必要があるため、費用が高く設定されるのが一般的です。

デバンニング料

デバンニング料は、コンテナから荷物を降ろす際に発生する手数料です。デバンニングとは、コンテナに積載された貨物を取り出す作業のことです。コンテナ内の荷物を安全かつ効率的に降ろし、検品や倉庫へ収納するまでの作業を指します。

デバンニングには、フォークリフトなど専用の機器や技術を要する場合が多く、その分の費用がかかります。商材の大きさや取り扱いの難易度によっても費用は変動するため、商材の量が多い場合は、よく確認しておきましょう。

ピッキング・入荷料

ピッキング・入荷料は、商品を保管場所から出荷エリアまで運ぶ際の手数料です。

ピッキング作業には、商品の仕分けや流通加工の工程も含まれます。最近では、AIやロボティクスを活用した自動ピッキングシステムを導入している物流倉庫もあります。

場合によっては梱包料に含まれることもあるため、契約時に確認しておきましょう。

検品料

検品料は、入庫時に商品の数量や破損の有無を確認する作業にかかる費用です。

電化製品やPC関連製品など、動作確認が必要な商品の場合は高くなる傾向にあり、1個あたり80円〜100円になることもあります。欠陥や不良品の流通を防止するためにも必要な作業です。

関連記事:物流の検品とは?行うタイミングや効率的な方法も紹介

梱包料

梱包料は、商品の出荷準備にかかる費用です。段ボールや緩衝材などの梱包資材費、作業手数料、納品書や送り状の発行手数料などが含まれます。

商品のサイズや形状によって梱包資材が異なるため、費用も変動します。特別なギフトラッピングなどの追加サービスが必要な場合は、別料金が発生するのが一般的です。

配送料

配送料は、物流倉庫から商品を届けるために運送会社に支払う費用です。一般的な段ボールサイズの配送料は送り先によって費用が変動します。送付先ごとの相場は以下のとおりです。

送付先費用相場
首都圏400円〜500円
北海道や沖縄700円〜1,000円
離島1,200円以上
海外数千円以上

ネット通販の拡大や運送業界のコスト増加により、配送料は上昇傾向にあります。物流会社の多くは大手運送会社と割引契約を結んでいるため、大抵の場合、自社から直接発送するよりも安価な配送が可能です。

物流会社によっては、自社のトラックとドライバーを使って、配送まで一括で対応する会社もあります。

物流倉庫の費用を抑えるコツ

物流倉庫の費用を抑えるポイントは、以下の5つです。

  • 在庫管理を徹底する
  • 配送先リストは入念に確認する
  • 業種ごとの繁忙期を避ける
  • 立地を比較する
  • 依頼内容を絞る

それぞれ詳しく解説します。

在庫管理を徹底する

在庫数を正確に把握し、適切なスペースを確保することで、コストを削減できます。反対に、在庫管理を正確に行わないと、帳票上の在庫数と実際の在庫数に差が生じ、不要なスペースに費用がかかってしまいます。

また、ヒューマンエラーを回避するために、自動倉庫を利用している物流倉庫もあります。自動倉庫は、商品の保管や管理、出荷準備を自動化するシステムを導入した倉庫のことです。

自動倉庫は人的ミスを軽減しますが、導入コストは高い傾向にあるため、費用対効果を検討する必要があるでしょう。

配送先リストは入念に確認する

配送先リストに誤りがあると、再配達や追加の確認作業が発生し、余計なコストが発生してしまいます。再配達の主な原因は、顧客の部屋番号や階数の記載ミスです。

1件あたりにかかる再配達の時間のロスは少なくても、ミスが頻発すると効率の低下や損失につながることも少なくありません。

配送先リストのミスを防ぐためにも、ダブルチェックを行いましょう。事前確認を徹底することで、出荷効率の向上とコスト削減につながります。

業種ごとの繁忙期を避ける

物流・出荷代行の料金は、繁忙期に需要が集中すると高騰することも少なくありません。コストを抑えるためには、業種ごとの繁忙期を避けることが大切です。

たとえば、大手ネットショップのセール時期や、年末・新年度末は流通量が増加するため、割高になることがあります。スタッフやドライバー不足が原因で料金が上がるためです。

事前に物流会社とスケジュールを調整し、料金を確認しておきましょう。

立地を比較する

倉庫の立地選びは、配送料や保管料に大きく影響します。販売エリアに近い倉庫は配送料が抑えられる一方、都市部の倉庫は保管料が高くなる傾向があります。

郊外の倉庫は保管料が安くても、交通の便が良い場所を選んだほうが、物流全体の効率が上がることもあります。都市部と郊外で物流コストをシミュレーションし、自社に合った拠点を選びましょう。

依頼内容を絞る

物流倉庫の変動費には、梱包費用や流通加工料があります。これらの依頼内容を絞り、自社での作業と振り分けることでコスト削減が可能です。

流通加工料とは、タグ付けやラベリング、シュリンク包装のことで、自社で行えば費用を削減できます。

しかし、梱包作業を倉庫業者に任せるか自社で行うかは、コスト効率と顧客満足度の観点から検討する必要があります。

加工することで商品の価値が向上し、顧客満足度が高まる場合もあるため、費用面だけでなく顧客への影響も考慮しましょう。

物流倉庫の選び方

物流倉庫を選ぶときは、以下の5つのポイントを押さえましょう。

  • 立地・配送料
  • サービス内容
  • 対応時間
  • 作業員の様子
  • 実績

それぞれ詳しく解説します。

立地・配送料

物流倉庫は、立地と配送料のバランスを考慮して選びましょう。保管料が低いエリアを選ぶとコストを抑えられますが、配送料が高くならないよう注意が必要です。

配送先が首都圏に集中している場合は、首都圏に倉庫を置くのがおすすめです。一方、全国配送を行う場合は、中部圏に物流拠点を設ける方法もあります。

拠点を置く場所によってかかるコストを総合的に評価し、最適な立地を選びましょう。

サービス内容

単純に料金が安い物流倉庫を選ぶのではなく、自社のニーズに合ったサービスがあるか、柔軟な対応力があるかを確認しましょう。

返品交換はスムーズに行えるか、商材にあった保管環境を整えているかなど、細かいニーズに対応しているかを確認することも大切です。

また、急な需要に対応できないと、機会損失につながりかねません。年末やクリスマスシーズン、ゴールデンウィークといった繁忙期の対応力も事前に確認しておきましょう。

対応時間

ECサイトを経営している場合は、24時間365日対応できる体制を整えている物流倉庫がおすすめです。利用者は、外出する時間がないなどの理由で「いつでも利用できる」という利便性を重視しているためです。

注文から発送までの工程を可能な限り自動化し、スムーズに進める仕組みを整えることや、深夜でもキャンセルや送付先の変更に対応できる体制があると、顧客の信頼獲得につながります。

また、納品の遅れなど予期せぬ事態が発生した場合に、迅速な連絡やサポートが受けられるかも事前に確認しておきましょう。

作業員の様子

物流倉庫を選ぶ際、作業員の業務態度や効率性を見極めることも大切です。入庫から出庫までの作業には多くの工程があり、正確性と迅速性が求められます。

ミスが発生するとコストが増加するため、倉庫の選定時には作業員の動きを観察し、作業の精度や速度を確認しておきましょう。

併せて、自社の商材にあった保管環境であるかも確認しておくと安心です。。

実績

取り扱う商材に対する経験のある業者を選ぶと効率化が見込めます。自社の商品と類似する商品の取り扱い実績があるかどうかを確認しましょう。

たとえば、食品や飲料のように保管に注意が必要な商品や、特殊な流通加工が求められる商品の保管や配送は、経験のある業者を選ぶと安心です。

また、急な需要の変化に対応できる柔軟性も重要な要素です。過去の実績を確認し、信頼できる業者を選びましょう。

まとめ:物流倉庫は費用相場を知ったうえで依頼先を決めましょう

物流倉庫の費用には固定費と変動費があり、業者によって料金設定が異なります。

在庫管理を徹底し、配送先リストの確認をしておくことで費用を抑えられます。また、物流倉庫の立地を比較し、依頼内容を絞ることもコスト削減に効果的です。

物流倉庫を選ぶときには、立地・配送料・サービス内容・対応時間などを総合的に評価し、自社に合った業者を選びましょう。一括見積もりサイトで複数の業者からの見積もりを比較すれば、より自社のニーズに沿った業者を見つけられます。

一括見積もりサイトを活用し、効率的に最適な業者を選んでみてはいかがでしょうか。

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