物流倉庫の現場では、日々さまざまなトラブルが発生しています。商品破損や納期遅延、オペレーションミスから管理体制の不備まで、業界全体で見ても決して他人事ではありません。トラブルの影響は納品先や顧客との信頼関係、業務全体の生産性にも波及し、場合によっては大きな損失やイメージダウンを招くこともあります。
そこで今回、物流倉庫を厳選して紹介するBtoBマッチングメディア『一括.jp(https://emeao.jp/ikkatsu-column/logistics-warehouse-market-price/ )』は、実際に物流倉庫の運営や管理に携わっている担当者150名を対象にアンケート調査を実施し、倉庫現場で発生したトラブルや、その要因、対応の課題点、今後強化したい取り組みなどを多角的に調査・分析しました。
これから倉庫現場の改善やトラブル削減に取り組もうと考えている担当者の方や、すでに現場運営に携わりながら更なる品質向上を目指している方は、ぜひ本調査結果を参考にして現場力強化・リスク低減にお役立てください。
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調査結果1:これまでに物流倉庫で経験もしくは目撃したトラブルの中で、最も多かったものはなんですか?

- 最も多かったのは「商品の破損・汚損」で、全体の33.3%(50人)を占めています。物流現場では荷物の取り扱いミスや不適切な保管・搬送などによる破損・汚損が発生しており、最も大きな課題のひとつとなっていることが分かります。
- 次いで多かったのは「入出庫の遅延(作業遅れ・納期遅れ)」で23.3%(35人)、続いて「荷物の紛失・誤配送」(14.7%、22人)、「在庫数のミス・誤差」(12.7%、19人)と、オペレーションの遅れや正確性の問題も現場で発生しているトラブルとして挙げられています。
- その他、「システム障害による業務停止」(6.7%、10人)、「誤った商品ピッキング・出荷ミス」(6.0%、9人)も一定数見られましたが、割合としては比較的少数でした。
調査結果2:Q1で発生したトラブルの主な原因として最も当てはまるものはどれですか?

- 最も多かったのは「倉庫内の管理体制・チェック体制の甘さ」で、30.7%(46人)が選択しています。管理・チェック体制の不備がトラブルの根本的な原因となっているケースが多く、現場のルールや監督体制の強化が重要課題となっていることがうかがえます。
- 次いで「作業スタッフの確認ミス・教育不足」が27.3%(41人)と続いており、現場の作業員に対する教育やオペレーションの徹底が求められている状況です。
- また、「マニュアルや指示書の不備」(13.3%、20人)や「システムエラー・機器トラブル」(11.3%、17人)も一定数挙げられており、現場の作業環境やシステムの整備もトラブル防止に欠かせない要素となっています。
- そのほか、「人員不足や作業負荷増大」(8.0%、12人)、「コミュニケーション不足(社内・協力会社間)」(5.4%、8人)も少なからず原因として挙げられており、現場の人員配置や連携体制の見直しもトラブル削減のポイントとなりそうです。
調査結果3:トラブル発生時に「対応が遅い」と感じるケースが多いのはどの対応ですか?※複数選択可(注1)

- 最も多かったのは「原因調査や状況把握」で35.3%(53人)が選択しています。トラブル発生時、状況や原因を正確に把握するまでに時間がかかることが多く、迅速な調査体制や情報共有の重要性が現場で強く感じられていることがうかがえます。
- 次いで「倉庫担当者からの報告や連絡」(30.7%、46人)が挙げられており、現場から管理者や顧客への情報伝達のスピードにも課題が残っていることが分かります。
- 「代替品や再手配の手続き」(24.0%、36人)、「クレーム・謝罪対応」(20.0%、30人)についても、対応が後手に回る傾向が見られ、現場対応力やカスタマー対応のスピードアップが求められている状況です。
- また、「対策・再発防止の実施」(14.0%、21人)もやや遅れがちと感じられており、トラブルの根本解決や再発防止に向けた取り組みのスピードにも今後の改善余地があることが示されています。
- 一方で、「特に遅いと感じたことはない」と回答した方も10.0%(15人)いましたが、多くの現場ではトラブル発生時の初動やその後の対応スピードにまだ課題を感じている実態が浮き彫りになっています。
調査結果4:倉庫トラブルを減らすために、今後強化したいまたは必要だと感じる取り組みの中で、最も重要だと思うものはなんですか?

- 最も多かったのは「マニュアルや業務フローの見直し」で25.3%(38人)が選択しており、現場オペレーションの標準化や手順の再確認がトラブル削減のカギと認識されていることがうかがえます。
- 続いて「スタッフ教育・研修の充実」(24.7%、37人)が僅差で続いており、現場スタッフの知識・スキル向上や、教育体制の強化も高い優先順位で挙げられています。
- さらに「システムや設備の導入・更新」(18.7%、28人)や「定期的な棚卸・在庫チェックの徹底」(11.3%、17人)も一定の支持を集めており、IT活用や在庫管理の精度向上への関心もうかがえます。
- その他、「チーム内外のコミュニケーション改善」(7.3%、11人)、「作業人数や体制の強化」(6.7%、10人)、「外部監査・第三者チェックの導入」(6.0%、9人)といった回答もありましたが、現場の“仕組み”や“教育”に関わる取り組みが優先される傾向が強いことが明らかになりました。
まとめ:流倉庫のトラブル削減に向けた戦略的改革
(1)トラブルの根本的な原因と現場改革の必要性
- 調査結果で最も浮き彫りとなった問題は「管理体制の不備」と「作業スタッフの教育不足」です。管理体制が甘いと、商品の取り扱いや在庫管理にミスが生じやすくなります。特に、現場の状況を管理職が適切に把握していない場合、問題が発生しても迅速な対応が難しく、トラブルが拡大します。
- また、スタッフが業務手順を守らないことが多いと、全体のオペレーションが乱れ、ミスが続発する恐れがあります。このため、まずは管理体制とスタッフ教育の徹底が急務です。
(2)トラブル発生時の対応力と迅速な情報共有の重要性
- トラブル発生時には、「原因調査」と「情報共有の遅れ」が問題を長引かせる原因となっています。特に、現場から管理者への報告が遅れると問題解決に時間がかかり顧客への影響も大きくなります。
- これを改善するためには、リアルタイムでの情報共有と迅速な原因調査が必要です。情報の迅速な伝達と対応フローの見直しにより、トラブルが広がる前に早期に解決することが可能になります。
(3)今後の強化ポイント:仕組みの再構築と人材育成
- トラブル削減に向けて最も重要なのは、「業務フローの見直し」と「スタッフ教育の強化」です。マニュアルや業務フローを現場の実情に合わせて見直し、オペレーションの標準化を進めることで、ミスを減らすことができます。
- また、スタッフ教育を充実させ、業務手順の理解と実行を徹底することで、現場の対応力を高めることができます。加えて、システムや設備の更新も重要です。IT化により、在庫管理や作業指示の精度が向上し、人的ミスを減少させることができます。
(4)持続可能な現場運営のための長期的視野
- トラブルを未然に防ぐためには、「持続可能な運営体制」の構築が必要です。短期的なトラブル対応だけでなく、長期的に安定した業務運営を実現するために、現場の見直しと定期的な改善策の実施が求められます。
- また、作業環境の整備や作業負荷の適正化も、現場の安定運営に欠かせません。これらを実現することで、業務の安定性が向上し、リスク低減に繋がります。
今後、より高度な物流運営を目指すためには、これらの取り組みを段階的に実行し、その効果を継続的に検証していくことが不可欠です。
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