電話営業は、限られた時間で相手の心をつかみ、商談につなげるのが目的です。しかし、電話営業に対して苦手意識を持つ方は少なくありません。冷たい対応や断られた経験がある方もいるのではないでしょうか。
この記事では、電話営業のかけ方や成功させるコツを紹介します。成約率を高めたい方や電話営業への苦手をなくしたい方は、ぜひ参考にしてください。
電話営業が難しい理由
電話営業は次のような理由から、難しさやハードルの高さが感じられやすい業務です。
- 警戒心や不信感を持たれやすい
- とにかく数をこなす必要がある
- 相手の興味を惹くトークスキルが求められる
これらの理由について掘り下げていきます。
警戒心や不信感を持たれやすい
電話営業では、顧客は自らのペースで情報を取捨選択できません。とくに営業電話では一方的なコミュニケーションになりやすく、押し売りのような印象を与えがちです。
顔が見えず声だけのやり取りであるため、意図が正確に伝わりにくく、誤解を生む可能性もあります。そのため、相手の表情や反応を直接確認できる対面営業よりも、ハードルが高いといえるでしょう。
また、相手が過去に不快な電話営業を経験していて、ネガティブな先入観から警戒心を持っている場合も少なくありません。そのため、丁寧な言葉遣いや誠実な態度で接したとしても、すぐに心を開いてもらえないことがあります。
とにかく数をこなす必要がある
電話営業の現場では「100件電話して1件アポイントが獲得できればよいほうだ」といわれることがあります。あくまで目安ですが、一定の成果を出すためには量が必要です。
質の高いアプローチを心がけることはもちろんですが、まずは母数を増やすことが成約への近道といえます。しかし、1件1件の電話で好意的な反応が得られるとは限りません。
冷たくあしらわれたり、電話をガチャ切りされたりすることもあり、精神的な負担を感じやすいでしょう。しかし、効率性ばかりを重視すると、質の低いアプローチになってしまいます。そのため、大量の架電をこなすことに困難を感じるかもしれません。
相手の興味を惹くトークスキルが求められる
電話営業では、顔が見えない状態で相手の関心を惹きつけ、話を聞いてもらわなければなりません。最初の数秒で相手の興味をつかむ導入から、メリットを分かりやすく伝える説明力、疑問に的確に答える対応力など、高度なトークスキルが不可欠です。
さらに、一方的な情報伝達ではなく、相手の反応を見ながら提案内容を調節する、質の高いコミュニケーションが求められます。
電話営業のかけ方の手順
電話営業をかける際は、以下の手順で行いましょう。
- 簡単な自己紹介と要件を伝える
- 担当者につないでもらう
- 本題に入る
- クロージング
それぞれの手順を解説します。
1.簡単な自己紹介と要件を伝える
相手に好印象を与えるためには、電話の第一声が重要です。明るくはっきりとした声で、会社名と自分の名前を伝えましょう。
「お世話になっております。株式会社〇〇の△△と申します。この度、弊社サービスをご案内したくお電話いたしました」と先に簡単な要件を伝えることで、スムーズに相手の理解を促せます。
相手のストレスを軽減するためにも、先に趣旨を伝えることは重要です。冒頭にセールスポイントを入れたい場合も、手短に済ませましょう。「お忙しいところおそれ入ります。」といったクッション言葉を入れることで、相手への配慮を示すのも有効です。
2.担当者につないでもらう
自己紹介と要件を伝えたら、本題に入るため担当者に取り次いでもらうよう依頼します。
事前に担当者の情報が分かっている場合は、「〇〇部の□□様はいらっしゃいますでしょうか?」と具体的に指名しましょう。もし担当者が不明な場合は、「〇〇についての担当者様はいらっしゃいますでしょうか?」と尋ねることで、取り次ぎをお願いできます。
もし不在の場合は、「かしこまりました。それでは改めてご連絡させていただきたいのですが、□□様はいつごろお戻りになりますでしょうか?」と確認を取り、改めて連絡する機会を取り付けましょう。
3.本題に入る
担当者につながったら、電話営業の本題に入ります。手順と具体例は、次のとおりです。
- 改めて自己紹介と電話の目的を伝える:「お世話になります。株式会社〇〇の△△と申します。この度、弊社サービスをご案内したくお電話いたしました。」
- 相手のニーズや課題を探る:「□□様は、■■でお困りではありませんか?」
- 自社の商品・サービスのメリットを伝える:「弊社では、■■を解決するサービスを提供しております。」
- サンプルやトライアル、今後の商談について提案する:「よろしければ、弊社のサービスをお試ししていただきたいのですが、いかがでしょうか?」
事前に準備したトークスクリプトに沿って、分かりやすく説明することを心がけましょう。相手から質問や反応がある場合は、臨機応変に対応することも大切です。その際、すぐに返答できない場合は「確認して折り返しさせていただいてもよろしいでしょうか?」と伝えましょう。
しかし、相手も時間がない中で話を聞いているため、疑問はできる限りその場で解消することが望ましいといえます。相手の疑問に対してスムーズな返答をするためにも、事前準備を行うことが大切です。
4.クロージング
電話営業におけるクロージングとは、商談を契約に結びつける最終段階のフェーズです。顧客に好印象を残すためにも、ご案内した内容を確認したり、不明点がないか確認しましょう。資料の送付について承諾が取れた場合を想定したクロージングの例を、以下に示しました。
「本日はお忙しい中、弊社のサービスについて説明させていただき、誠にありがとうございました。□□様からお聞きした〇〇の課題解決に、弊社の△△を役立ていただけるかと存じます。資料をご確認いただいたあと、改めてお電話にてご意見を伺いたく存じますが、いかがでしょうか?来週の火曜日か水曜日の午前中など、ご都合のよい時間帯がございましたらおっしゃってください。また、ご不明点などがありましたら、いつでもお気軽にご連絡いただければと思います。」
クロージングでは、説明への時間を作ってもらったことへの配慮を示し、相手の状況を気遣う言葉を入れることがポイントです。次回につなげると同時に、いつでも連絡してほしいことを伝え、オープンな姿勢を見せましょう。
電話営業を成功させるコツ
電話営業で成果を出すためには、戦略的な準備と実行が不可欠です。以下のポイントを押さえ、電話営業を成功させましょう。
- トークスクリプトや資料を準備する
- 電話する日時や時間帯に配慮する
- 要点を分かりやすく伝える
- 声のトーンやスピードを工夫する
- 相手からの質問に備える
- モチベーション維持の方法を見つけておく
それぞれ詳しく解説します。
トークスクリプトや資料を準備する
電話営業では、限られた時間の中で相手に的確に情報を伝え、興味関心を引き出す必要があります。事前に話す内容を整理したトークスクリプトと、顧客に提示する資料を準備しておくことは、成功への第一歩といえるでしょう。
行き当たりばったりの会話では、伝えたいことがうまく伝わらず、重要な情報が抜け落ちる可能性があります。台本のように一言一句決める必要はありませんが、話の流れを整理して要点をもれなくカバーしておくことが大切です。
電話する日時や時間帯に配慮する
ビジネスパーソンにとって、時間は貴重なものです。電話営業を成功させるためには、相手の都合を考慮し、電話をかける日時や時間帯を慎重に選ぶ必要があります。
一般的には、業務が比較的落ち着いている午前中の10時〜12時、または午後の2時〜4時ごろが適切といわれています。始業直後や終業間際、昼休憩の時間帯は避けるのがマナーです。ただし業種や役職によっても異なるため、相手に合わせた時間帯に架電しましょう。
要点を分かりやすく伝える
営業電話では、限られた時間で相手に必要な情報を伝える必要があります。そのため、話す内容は簡潔で分かりやすくまとめることが大切です。まず大まかな内容を伝えて、そのあとで詳細な説明を行いましょう。
あらかじめ、伝えたい要点を箇条書きにしておくと話しやすくなります。また、専門用語の多用は避け、相手の立場に立った説明を心がけてください。
声のトーンやスピードを工夫する
電話営業の際は、適度な高さと落ち着いたトーンで話すことがポイントです。声は高すぎても低すぎても聞き取りにくく、相手がストレスを感じるおそれがあります。話すスピードも同様に、速すぎると忙しなさや落ち着きのなさを感じさせ、逆に遅すぎると冗長な印象を与えるでしょう。
自分の話し方が聞き取りやすいかどうか客観的に判断するためには、音声を録音して確認するのもおすすめです。通話中は気づきにくい細かな癖や改善点を洗い出すことで、電話応対スキルを高められます。
相手からの質問に備える
トークスクリプトを準備していても、相手からの予期せぬ質問は必ず発生します。そのようなときも慌てず冷静に対応するためには、事前準備が不可欠です。
自社の商品やサービスに関する深い知識はもちろんのこと、料金体系や導入事例など、顧客が疑問に思う可能性のある情報を幅広く収集し、整理しておきましょう。
準備があれば、どんな質問にも自信を持って対応でき、余裕のある心持ちで応対できます。トークスクリプトの作成は、担当者による回答のばらつきを防ぐうえでも有効です。顧客との信頼関係を築くためにも、質問に適切な対応ができるよう準備を徹底しましょう。
モチベーション維持の方法を見つけておく
電話営業は、成果が出ない時期が続くことも少なくありません。そのような状況でも諦めずに活動を続けるためには、モチベーションを高く維持する方法を見つけておくことが重要です。
チームで取り組む場合は目標を共有し、互いにサポートし合うことで、モチベーション維持につながるでしょう。成功事例やノウハウを共有したり、困っている仲間を助けたりすることで、チーム全体の士気が高まりやすくなります。
また、精神的な負担を感じやすい電話営業だからこそ、意識的にリフレッシュする時間を持つことを意識してください。休憩時間には体を動かしたり、休日は趣味に没頭したりと、安定した業務を行えるよう心身を整える工夫を取り入れることが大切です。
まとめ:電話営業を成功させましょう
電話営業では数をこなすだけでなく、質の高いアプローチの実践が求められます。しかし、断られることもけして少なくありません。
事前準備を徹底し、相手のニーズに合わせた提案を行うこと、そして継続的なモチベーション維持が成功のカギです。ぜひこの記事の内容を活かし、電話営業の苦手克服や目標達成につなげてください。