リモートワークを導入する企業が急速に増加する中、端末の配布状況や通信環境の整備、さらにはセキュリティ対策の徹底など、運用現場ではさまざまな課題や疑問が生じています。
そこで、厳選した法人向けサービスを紹介するBtoBマッチングメディア「一括.jp(https://emeao.jp/ikkatsu-column/recommend_mobilephonecompany/ )」では、法人携帯の導入・運用経験がある企業担当者150名を対象に、リモートワークにおける環境整備の実態調査を実施しました。
本記事では、2025年6月20日に行ったこのアンケート結果をもとに、モバイル端末の利用実態、通信回線・ネットワーク環境、そして企業が実施しているセキュリティ対策について多角的に分析します。
リモートワーク環境の見直しや課題解決を考えている企業担当者の皆様は、本調査結果を参考に、自社の端末選定や通信環境、セキュリティ対策の強化にお役立ていただければ幸いです。
▼ 調査概要
調査1:リモートワークで利用しているモバイル端末は何ですか?
調査2:リモートワーク時に利用している通信回線・ネットワーク環境を教えてください。
調査3:リモートワークにおけるセキュリティ対策で実施していることは?
調査4:リモートワーク環境の整備において直面している大きな課題は?
調査結果1:リモートワークで利用しているモバイル端末は何ですか?※複数選択可

- リモートワークで最も多く利用されているモバイル端末は「ノートPC(法人契約)」が45.3%、「スマートフォン(法人契約)」が44.0%となり、法人契約のノートPCやスマートフォンが主流であることが分かりました。
- 「ノートPC(個人所有)」は14.7%、「スマートフォン(個人所有)」は13.3%と、個人所有端末の利用は比較的少数にとどまっています。
- また、「タブレット端末」は6.7%、「特に端末は提供していない(私物利用)」は1.3%という結果でした。さらに、「リモートワーク未実施」と回答した割合も30.0%と一定数存在しています。
- 法人による端末管理のもとでリモートワークが進められている一方、個人端末の活用やリモートワーク自体の未実施も一定程度見られ、企業ごとにリモートワーク環境の整備状況や方針に違いがあることがうかがえます。
調査結果2:リモートワーク時に利用している通信回線・ネットワーク環境を教えてください。※複数選択可

- リモートワーク時に利用している通信回線・ネットワーク環境として「個人の自宅回線(光回線・ADSL)」が64.8%と最も多く、半数以上の人が自宅のインターネット回線を活用していることが分かりました。
- 「社用モバイルWi-Fiルーター」は27.6%、「社用スマートフォンのテザリング」は17.1%と、会社が用意する通信手段を利用しているケースも一定数見られます。
- また、「個人のモバイル回線(格安SIMなど)」や「VPN(仮想プライベートネットワーク)」の利用はともに12.4%でした。さらに、「特に指定なし(従業員任せ)」とした回答も4.8%ありました。
- 全体として、個人の自宅回線を中心に、多様な通信環境が活用されており、企業による通信手段の支給やセキュリティ対策、運用ルールについては各社でばらつきがあることがうかがえます。
調査結果3:リモートワークにおけるセキュリティ対策で実施していることを教えてください※複数選択可

- リモートワークにおけるセキュリティ対策として最も多く実施されているのは「VPN利用の義務付け」で51.4%となりました。
- 次いで「定期的なセキュリティ研修の実施」が45.7%、「モバイルデバイス管理(MDM)ツールの導入」と「パスワード管理の徹底」がともに41.0%、「ウイルス対策ソフトの導入・運用」が35.2%という結果でした。
- 一方で「特に対策をしていない」と回答した割合も7.6%見られます。
- 全体として、VPNやMDMなどのシステム的な対策から、セキュリティ研修やパスワード管理といった人的対策まで、さまざまな手段が複合的に導入されている一方で、一部では十分な対策が取られていない実態も明らかになりました。
調査結果4:リモートワーク環境の整備において直面している大きな課題は何ですか?※複数選択可(注1)

- リモートワーク環境の整備において直面している大きな課題として「セキュリティリスクへの不安」が33.3%と最も多く挙げられました。
- 次いで「端末・設備コストの負担」が31.4%、「通信環境の安定性・品質の問題」が26.7%となっており、コスト面やネットワークの安定性も多くの企業で課題となっていることが分かります。
- 「従業員のITリテラシー不足」(15.2%)や「社内の運用ルール・ガイドラインの不徹底」(10.5%)を挙げる声も一定数見られました。
- 一方で「特に課題はない」とした回答も20.0%あり、すでに十分な体制を整えている企業も存在しています。
- 全体として、セキュリティやコスト、通信品質の3点がリモートワーク推進時の主要な課題となっている実態が明らかになりました。
まとめ:データから見えた、リモートワーク環境整備の本質的課題
- リモートワークの普及によって、企業は「端末管理」「通信環境」「セキュリティ対策」という三つの柱をいかに強化するかという新たな経営課題に直面しています。本調査を通じて明らかになったのは、法人端末や自宅回線の使い分けから、VPNやMDMツールの導入、定期的なセキュリティ研修の実施まで、各社が自社事情に合わせてさまざまな取り組みを進めているという事実です。
- 一方で、いまだ十分な体制を整えきれていない企業も多く、セキュリティリスクや設備コスト、通信品質への不安を抱えたままリモートワークを継続しているケースも少なくありません。
- また、従業員のITリテラシーや運用ルールの徹底といった“人”にまつわる課題も無視できない現実です。こうした多面的な課題を放置すれば、業務効率の低下や情報漏えいなど、企業活動全体に深刻な影響を与えかねません。
- 今、企業に求められているのは、単なる“ツールや端末の導入”にとどまらず、「従業員一人ひとりの意識向上」「柔軟な運用体制の確立」「最新の技術やルールへの継続的なアップデート」といった総合的な環境整備です。刻一刻と変化する働き方や社会情勢の中で、現場のリアルな声と最新データを根拠に自社の課題を正しく把握し、持続的な改善サイクルを回し続けることが、これからの時代を生き抜く“企業の競争力”につながるでしょう。
- リモートワークは単なる“場所”の自由ではなく、「安全・快適・効率的な働き方」を実現するための“経営戦略”そのものです。自社にとって最適な仕組みを模索し続けることこそが、組織の成長と信頼につながることを、今回の調査結果は強く示唆しています。
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