社員へのスマホ支給を検討しているものの、活用方法や導入方法がわからずお悩みではないですか?導入シーンがイメージできないと、導入に踏み切れませんよね。
社員の個人スマホで間に合ってるから、法人スマホは不要と考える人もいます。しかし個人スマホは社員の所有物なので、機能制限・監視・設定変更が難しいです。
対して法人スマホは会社の所有物なので自由にカスタマイズでき、効果的なセキュリティ強化・業務効率化を実現できるでしょう。
ここでは法人スマホを導入するメリットやキャリアの選び方、具体的な導入手順をご紹介します。
この記事を読むと、利用イメージが明確になるだけでなく、効率的に法人スマホを導入できるでしょう。
社員向けに法人スマホ・携帯を導入するメリット
社員へのスマートフォン支給には4つメリットがあります。
- 業務効率化
- 法人専用の割引・特典
- 経理処理の簡素化
- 高いセキュリティの維持
これらのメリットを理解することで、効果的な導入が可能になるでしょう。それぞれ具体的に解説します。
プリやツールで業務効率化できる
ビジネス向けのアプリやツールで業務を効率化できます。たとえば、以下のようなサービスは業種を問わず活用できるでしょう。
- チャットツールやWeb会議ツール・・・離れた場所でもコミュニケーションが取れる
- オンラインストレージ・・・場所を選ばず業務データが利用できる
- オンライン申請システム・・・社外にいても、申請書の作成・承認ができる
これらの業務ツールは移動時間や待ち時間を削減し、業務効率が大幅に向上します。
法人携帯専用の割引・特典が利用できる
スマートフォンのキャリアは、法人専用のプランを用意しています。キャリアごとに内容は異なりますが、利用料割引・かけ放題オプション・社員間通話無料オプションなどが一般的です。
その他にも、デバイスを一定数購入すると、ボリュームディスカウントを受けられることもあります。
これらの特典で、利用コストを大幅に削減できるでしょう。
経理処理を簡素化できる
法人スマホ導入で、経理処理が楽になります。
個人スマホを業務で利用すると、業務と私的利用の線引きが難しいため、経費の算出が手間です。その手、法人スマホは費用をすべて経費に計上できるため、処理がシンプルです。
業務負担の軽減は業務効率化・人件費削減につながるでしょう。
高いセキュリティを維持できる
セキュリティ面を重視するなら、法人スマホをおすすめします。
個人スマホの利用制限や状況監視は、プライバシーの観点から実施が難しいです。そのため、セキュリティ事故の危険性や、紛失・盗難時に十分な対応がとれないなどのデメリットがあります。
法人スマホであれば利用目的が業務に限定され、セキュリティ事故の危険性を最小限にできるでしょう。
また所有権も会社になるため、対策を自由にカスタマイズできます。たとえば、MDM(Mobile Device Management)を導入すれば、アプリのインストール制限、現在位置や利用状況の監視、遠隔操作が可能になります。
社員向けに法人スマホ・携帯を導入するデメリット
法人スマホの導入には、以下のデメリットがあります。
- スマホ2台持ちになる
- 利用料金が会社負担になる
些細なことに見えるかもしれませんが、これらのデメリットを考慮して導入に臨まなければ、後々トラブルになるおそれがあります。それぞれについて解説します。
仕事用と私用の2台持ちになり面倒
スマホを2台持つことにより、管理が面倒になります。
最初はスマホの2台持ちに慣れず、置き忘れてしまうことも。研修や社報などを通して紛失の危険性を周知し、移動時のチェックを徹底してもらいましょう。
利用料金が会社負担になる
法人スマホは企業が利用料を全額負担します。管理や運用の手間も増えるので、人的リソースも必要です。
その代わり法人スマホには経理処理を簡素化できる、法人割引が適用されるなどの利点もあります。業務効率化により人件費も削減できるため、費用対効果は大きいでしょう。
法人スマホにおすすめのOSはiPhoneとAndroidのどちら?
法人スマホを導入するなら、iPhoneとAndroidのどちらがよいのでしょうか。従業員や管理体制、何を重視するかで選択肢は異なります。
両者の特徴をまとめると、以下のようになります。
iPhone | Android | |
---|---|---|
使いやすさ | 使いやすい | やや難しい |
セキュリティ | 高い | 不安が残る |
価格 | 60,000円~150,000円 | 30,000円~200,000円 |
カスタマイズ性 | 低い | 高い |
運用・管理 | シンプル | 複雑化しやすい |
iPhoneはスマホ初心者に向いています。感覚的に操作できるよう設計されているため、学習に時間を要しません。また、Appleが審査したアプリのみを許可しているため、高いセキュリティを誇ります。
また、iPhoneはどの機種もデザイン設計が似ているため、管理が容易というメリットがあります。
Androidはスマホを使い慣れている人向けです。さまざまなカスタマイズが可能で、好みに応じて拡張できます。その反面、自由度の高さから機能が複雑化しやすく、セキュリティ面にも不安があります。
また、Androidは仕様が多様で、MDMで画一的に操作できないことも。
両者のメリット・デメリットを比較し、自社に合ったものを選びましょう。
通信事業者は大手キャリアと格安SIMのどちらがよい?
法人スマホを利用する上では、大手キャリアと格安SIMのどちらがよいでしょうか。正解はスマホの使い方によって異なります。
社外でインターネットを頻繁に利用するなら、大手キャリアがおすすめです。利用料を安くしたいなら、格安SIMがよいでしょう。
それぞれの特徴を具体的にご紹介します。
大手キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)は高品質!
大手キャリアの魅力は、高品質で安定したサービスを受けられること。
各キャリアは自社の回線を持っており、通信速度が安定しています。例えばLINEのようなデータ通信で通話をするアプリでは、高音質な音質で会話ができるでしょう。
また、法人向けにさまざまな種類の割引プランが用意されているのも特徴です。
定額プランも用意されているため、社外でインターネットや通話を多用する場合は、大手キャリアがおすすめです。
格安SIMは圧倒的に安い!
格安SIMの魅力は月額1,000円台から利用できるコストパフォーマンスです。ランニングコストを抑えたい会社にとっては、最良の選択肢になるでしょう。
その反面、通信が安定しない時間帯がある、サポートが十分とはいえないなどのデメリットがあります。特に、必要なときにデータ通信できないリスクは、業務の継続性の観点から無視できません。
データ通信をあまりしない場合や、社内など安全なWi-Fiを利用する場合は、格安SIMが適しているでしょう。
関連記事:格安SIMの法人契約おすすめ7社を比較!失敗しない選び方も紹介
法人スマホ・携帯に入れるべきアプリやシステムは?
法人スマホに入れておきたいアプリ・システムは、大きく分けて2種類あります。
- 遠隔操作・機能制限をおこなう「スマホ管理ツール」
- 業務を効率化させる「SaaS系サービス」
法人スマホを活用するにはどちらも必須です。それぞれ具体的に解説します。
管理・監視アプリ
管理・監視アプリでセキュリティ強化と作業負担軽減を実現します。代表的なシステムがMDM(Mobile Device Management)です。MDMには以下の機能が搭載されています。
機能 | 内容 |
①監視 | 利用状況や位置情報を監視し、違反行為や不審な動きを検知。 |
②制限 | アプリのインストールや設定変更を制限し、安全性を保つ。 |
③遠隔操作 | アプリのインストールやOSアップデートを遠隔でおこない、作業負担を軽減。 デバイス紛失時のロック、データリセット。 |
業務効率化サービス
ビジネス向けのサービスは業務効率を劇的に向上させます。代表的なサービスをご紹介します。
種類 | サービス名 |
①コミュニケーション系 | チャットツール(Slack、Chatwork) Web会議(Zoom、Google Meet) |
②情報共有系 | スケジュール管理(Googleカレンダー) タスク管理(Asana) オンラインストレージ(Google Drive、Dropbox) |
③申請系 | 勤怠管理(ジョブカン勤怠管理) ワークフローシステム(承認TIME) |
業務用サービスのメリットは、時間や場所を選ばずに作業ができるという点です。移動時間や待ち時間を削減し、業務の質を向上できるでしょう。
また、企業の業務をサポートする総合システム「グループウェア」には、業務サービスがまとめて搭載されています。個々のサービスを契約するより安価で、効率的にアカウントが管理できるのでおすすめです。
法人スマホ・携帯を導入する6ステップ
法人スマホの導入は、ただ購入して配布すればいいというわけではありません。
管理体制の構築・ルール策定・環境整備・設定作業など、法人スマホを適切に運用するための準備が必要です。
ここでは、実際に企業がスマホを導入するまでのステップを6つに分けて解説します。
1.管理体制構築
はじめに、スマホを管理する体制を作りましょう。
スマホ導入・管理の主体となるチームが必要です。通常、社内の情報システム部門が担当します。
次に、各部門に情報管理担当者を置きます。情報管理担当者は、現場と情報システム部門の橋渡しになったり、部門内のスマホを管理したりする役割があります。
業務の実態に応じて、適切に社内スマホを運用できる体制を整えましょう。
2.運用ルールの策定
スマホ利用のルールを作ります。たとえば、以下のようなルールが考えられます。
- 業務目的以外の利用禁止
- アプリのインストール禁止
- 公衆Wi-Fiへの接続禁止
- スマホ紛失時に、マニュアルに則った対応を徹底する
ルールを作るときは定める根拠を明確にして、社員から理解を得られるようにしましょう。
また厳守が難しい・余計な手間がかかるルールは、形骸化するおそれがあります。業務実態を調査し、実現可能なルールにしましょう。
3.環境の準備
法人スマホを運用するための環境を準備します。このステップは、大きく3つに分けられます。
- MDM、SaaSなどの導入するシステムの選定
- システムの契約
- 従業員ごとのアカウント作成
特に、①のシステム選定は重要です。システム仕様を調査する、試用期間を利用して現場のフィードバックを得る、などの方法で失敗リスクを極力抑えましょう。
4.スマホ機種・プランの選定
法人スマホの機種とプランを決めて購入・契約をします。
スマホは導入するシステムの要件を満たすスペックが必要です。社員が扱えるか、業務上の不便がないかなどの要件をもとに検討しましょう。
利用プランは、業務を十分にこなせるかを基準に選びます。例えば社外でWeb会議・オンラインストレージなどのサービスを利用する場合は定額プラン、通話が多い場合はかけ放題オプションを選ぶとよいでしょう。
5.スマホのキッティング・配布
法人スマホに必要な設定をした上で、社員に配布します。
手作業では時間がかかるので、MDMでの設定変更・アプリインストールの自動化がおすすめです。所要時間は数分ほどで完了します。
6.講習会
法人スマホを効果的に活用できるよう、講習会を実施します。社員の負担にならないよう、重要なものに限定することが大切です。情報漏えいなどの事故を防ぐために、セキュリティ講習も実施しましょう。
また、社員がいつでも見返せるように、マニュアルデータを配布することも効果的です。
まとめ:法人スマホを導入して、業務ツールを効果的に活用しよう!
法人スマホは、個人スマホにはないメリットがあります。特に注目したいのが、スマートフォンの遠隔操作と、機能制限です。
遠隔操作は設定作業を効率的かつ確実にできるため、効率面でもセキュリティ面でも効果的です。機能制限は情報漏えいなどのリスクを最小限に抑えられます。
プライバシーや権利の関係で、個人スマホにこれら機能の導入は難しいでしょう。スマートフォンを最大限に活用するには、やはり企業側が所有・管理する必要があります。
新しい技術を効果的に利用するために、法人スマホの導入を検討しましょう。