個人事業主が法人携帯を契約するメリットとは?手順や必要書類も解説

セキュリティ面が心配だから法人携帯を導入したいけど、法人ではなく個人事業主だからどうしたらいいかわからないとお悩みではありませんか?

そこで今回は、個人事業主が法人携帯を契約するメリットや方法、注意点などをご紹介します。

「法人携帯を検討している」「業者の選び方がわからない」という方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

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個人事業主は法人携帯を契約できる?

結論から言えば、個人事業主でも法人携帯を契約可能です。

法人携帯のメリットは多いですが、デメリットもあるので、それぞれ説明します。

個人事業主が法人携帯を契約するメリット4つ

個人事業主が法人携帯を導入すると、様々なメリットが得られます。

まずは法人携帯を導入するメリットについて整理しましょう。

  • 仕事の連絡とプライベートを切り離せる
  • 個人利用のプランより料金が安い
  • 経費扱いとなり経理作業を軽減できる
  • セキュリティ対策や業務効率化に繋がる

一つずつ解説していきます。

仕事の連絡とプライベートを切り離せる

個人携帯で仕事をしていると、公私のメリハリがつかなくなることが多いです。

法人携帯を契約して2台持ちにすることで、仕事とプライベートの線引きが明確になります。

また、法人携帯にはセキュリティ対策が施されているものが多く、情報漏えいのリスクも小さくできます。

個人利用のプランより料金が安い

下記の理由から、個人携帯より法人携帯の方が安くなる傾向です。

  1. 月々の料金が個人向けより安く設定されている
  2. 回線数や契約期間によって更に割引される
  3. 社内間の通話通話など、法人向けキャンペーンがある

回線数やデータ量などで料金が変わるため、まずは複数の事業者から見積もりを取って、比較してみましょう。

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経費扱いとなり経理作業を軽減できる

個人携帯の料金経費に計上する場合、仕事で使用した割合を計算しなければなりません。

法人携帯であれば全額経費として扱えるため、申告が簡単になります。

セキュリティ対策や業務効率化に繋がる

法人携帯は、多くの携帯事業者がMDM(モバイルデバイスマネジメント)という、業務端末を遠隔で管理するシステムや、ウイルス対策のセキュリティソフトを併せて提供しています。

万が一、携帯を紛失しても遠隔でロックをかけたり、データを抹消したりするなどの対処ができます。

また、顧客管理ツールを搭載させるなど、業務効率化も図れます。

法人携帯の経費計上の基礎

法人携帯の費用は「通信費」と「端末代」に大別されます。通話料・データ通信料は毎月「通信費」で処理し、10 万円未満の端末は消耗品費、10 万円以上は固定資産として4 年耐用で減価償却するのが原則です。請求書や領収書は月別に保管し、会計ソフトへ正確に入力してください。

通信費の仕訳と勘定科目

通話料・通信料は「通信費/普通預金(現金)」で月次計上します。通話とデータが一括請求でも分割仕訳は不要。通信費として計上できるのはインターネット回線費・Wi-Fi料金・FAX料金などです。

家事按分による法人携帯費用の按分方法

個人用と兼用する端末は、業務割合×請求額で経費化し、残りを事業主貸として処理します。例:業務70%なら月額1万円の請求を7,000円計上。領収書や利用明細に按分比率をメモしておくと税務調査で説明しやすくなります。​

端末代の仕訳と減価償却

端末を一括購入し10 万円未満なら「消耗品費」で即時費用化、10 万円以上なら「工具器具備品」で資産計上し、法定耐用年数に沿って減価償却します。分割払いの場合は購入時に未払金を立て、各期に按分します。

端末購入額別(10万円未満/10万円以上)の仕訳方法

端末代が10万円未満なら「消耗品費」で即時経費化、10万円以上は「工具器具備品」として耐用年数5年で定額法の減価償却を行います。中小企業の少額減価償却資産の特例を使えば30万円未満まで一括償却が可能です。

付随費用(保険・MDM)の扱い

端末保証料やMDMライセンスなどの月額課金は「通信費」または「支払手数料」で処理します。MDMを導入しておけば紛失時に遠隔ロック・ワイプが可能になり、情報漏えいリスクを大幅に低減できます

年度をまたぐ場合の通信費・端末費の処理

会計年度をまたいで請求・支払いがずれる場合は、

1.通信費 → 決算日に未払計上し、翌期に支払消込
2.端末代 → 分割払いなら「未払金」を立て、資産残高を翌期へ繰越
3.端末一括購入(10万円以上) → 減価償却費を月割りで按分

と処理すると税務リスクを避けられます。特に 3 月決算の法人が 2〜3 月に端末を大量購入するケースでは、期中利用期間に応じて月割り計上するか、一括償却資産(20 万円未満)を適用できるかを必ず検討しましょう。

周辺機器・修理費用の経費計上ポイント

充電器・ケースなど周辺機器は購入額10万円未満なら消耗品費、10万円以上なら工具器具備品へ。端末修理費は内容が原状回復であれば「修繕費」で即時計上し、性能向上を伴う場合は資本的支出として固定資産に振替えます。

個人事業主が法人携帯を契約するデメリット3つ

魅力的なメリットのある法人携帯ですが、導入するとデメリットも生じます。

どのようなデメリットがあるかを把握しておきましょう。

  • 導入・維持コストがかかる
  • 操作を一から覚える必要がある
  • 携帯電話を管理する手間が増える

導入・維持コストがかかる

全額経費にできるとはいえ、従業員全員に支給すると、相応のコストがかかります。

例えば、docomoで通話無制限付き5Gギガライトプラン(~1GB)+iPhone SE3(一括購入)を3台導入した場合、下記のイニシャル・ランニングコストが発生します。

イニシャルコスト機種代金73,370円×3+契約事務手数料3,000円=223,110円
ランニングコスト(基本料金3,465円+通話オプション1,870円)×3=16,605円/月

年間で約20万円の通信費がかかる計算です。

現状の業務効率やセキュリティ面などを考慮して、導入メリットがあるか検討しましょう。

操作を一から覚える必要がある

導入する機種によっては初めて触れることになります。

そのため、従業員から経営者やシステム管理者に対して操作方法などの質問が発生し、対応時間が生じる可能性も。

操作方法や注意点などのマニュアルを共有しておきましょう。

携帯電話を管理する手間が増える

個人携帯と法人携帯の2台持ちになるため、管理の手間が増えます。

どちらかを忘れたり、個人用の電話で取引先に連絡したりしないよう、細心の注意を払わなければいけません。

玄関に持ち物リストを掲示する、同じようなケースや待ち受けを使わないなどの対策が有効です。

法人携帯の導入コストを抑えるポイント

①料金プランを実利用量に合わせて最適化 

②複数回線割引やシェアプランで月額を圧縮 

③中古端末やレンタルで初期投資を抑制 

④格安SIM併用で通信費を20%以上削減—の4ステップで導入コストを最小化できます。

仕事用電話番号を分ける3つの方法

法人携帯以外に番号を分ける選択肢は

①固定電話の契約(信頼性◎、外出転送に追加費用)

②スマホを2台持ち(ハードを分け管理は簡単だがコスト増)

③050 IP電話アプリ(SUBLINE など)

を既存端末に導入し、月額数百円で番号追加。業務量・予算・携帯管理のしやすさを比較し、最適な方法を選びましょう。

法人携帯が契約できる携帯キャリアは?

法人携帯は様々な事業者が提供しています。

3大キャリアと格安SIMに分けて説明します。

大キャリア(ドコモ・au・ソフトバンクは全て契約可能

ドコモ、au、ソフトバンクは全て法人携帯のプランが提供されています。

店舗で手続きを進めれば直接サポートを受けられるので、安心して進められます。

格安SIMの法人携帯プランもある

UQモバイルやY!mobileなどキャリアのサブブランドはもちろん、mineoやBIGLOBEといった格安SIMも、法人携帯用のプランが設けられています。

楽天モバイルは現在、独自回線でのみ法人契約を受け付けています。

関連記事:格安SIMの法人契約おすすめ7社を比較!失敗しない選び方も紹介

法人携帯を代理店で契約するメリット・デメリット

法人携帯の契約窓口には「キャリア直営店」と「正規代理店」の2通りがあります。代理店経由で申し込むと、①料金プランの細かな交渉を代行してくれる、②回線数や契約年数に応じた独自割引・キャンペーンを受けられる、③書類のやり取りや開通手続きをワンストップで任せられる――といったメリットがあります。

特に複数端末を一括導入する場合は、担当者が訪問して設定までサポートしてくれるため、社内の IT 担当者が不在でも安心です。

一方で、代理店ごとに取り扱いキャリアや割引率が異なる点、サポート窓口が代理店経由になる点はデメリットになり得ます。契約前に「解約金の有無」「端末補償の範囲」「サポート時間帯」を必ず確認しましょう。

個人事業主の場合、法人携帯はどうやって契約できる?

個人事業主が法人携帯を契約する方法や流れについて把握しておきましょう。

青色申告で「みなし法人」として契約可能

みなし法人とは、個人事業主を法人とみなして扱うことです。

これにより、個人事業主でも法人携帯を契約できます。

なお、前年の確定申告を青色で提出していることが条件なので、注意してください。

個人事業主による法人携帯の契約の流れ

基本的には個人携帯と同じ流れで進みます。

  1. 契約する事業者を選定
  2. 料金プラン、端末(スマホorガラケー)の有無、契約回線数を決定
  3. 必要書類を提出し審査
  4. 審査を通過すれば契約完了

家族のスマホも法人携帯として契約できる

個人事業主の家族が従業員として一緒に仕事をしている場合、家族分の携帯も法人携帯として契約できます。

家族全員分の携帯電話料金を経費扱いにできるので、節税にもつながります。

ソフトバンクで法人契約する手順と必要書類

①ソフトバンク法人代理店へ問い合わせ→②本人確認書類と開業届控え(青色申告なら審査通過率向上)などを提出→③審査→④SIM/端末受取→⑤開通。審査日数は即日~3日が目安です。代理店経由だと料金プランの交渉や事務手続きの代行を受けられます。​

契約に必要な書類

法人携帯の契約は、下記の書類が必要です。

  1. 過去1年以内の確定申告書類(青色申告書)または開業届
    開業から一度も確定申告の時期が来ていない場合は、開業届で代用可能
  2. 代表者の本人確認書類
    運転免許証、パスポート、マイナンバーカードのいずれか1点
    健康保険証+補助書類(住民票、公共料金の領収証など)
  3. 支払用のクレジットカードまたはキャッシュカード
  4. 口座引き落としまたはクレジットカード払いを選択

個人事業主が経費処理する際の具体例

業務利用70%・私用30%のスマホなら通信費の70%のみ経費に計上し、残り30%は「事業主貸」で按分します。青色申告でみなし法人扱いの場合は全額経費化が可能。家族従業員に支給した端末は給与支給品として全額損金算入できます。

個人事業主は審査に通りにくい?法人携帯を契約する際の注意点

法人携帯を導入するは、個人携帯よりも厳しい審査を通過しなければなりません。

どのような審査が行われるのか把握しておきましょう。

法人携帯の審査内容

下記3つの審査が同時に行われます。

契約審査契約者本人に支払い能力があるかどうかを見定める審査です。帯電話料金の滞納や強制解約の有無などが確認されます。

分割審査

端末を分割払いで購入する際に行われる審査です。

信用情報機関に照会され、携帯電話だけでなく、ローン、クレジットカード、キャッシングの履歴など、様々なサービスの利用状況が確認されます。

与信審査

事業者としての支払い能力があるかを見定める審査です。過去に自己破産などがなく、滞りなく返済できるかを判断されます。

審査を通過するための3つの事前チェック

審査落ちを防ぐには、下記 3 点を事前に確認してから申し込みましょう。

① 支払い実績の確認
過去 5 年の携帯料金・各種ローンの滞納がないか、信用情報機関の開示請求で自己チェックすると安心です。

② 必要書類の整合
開業届または青色申告決算書、現住所一致の本人確認書類、引落口座情報を提出します。住所・氏名の表記揺れは NG です。

③ 端末代の支払方法
分割審査に不安がある場合は、端末代を一括購入に切り替えると審査通過率が上がります。

法人携帯の審査に通らない個人事業主の特徴

過去に何らかのトラブルを起こしている人は審査に通らない可能性が高くなります。

具体的には、

  • 携帯電話料金を滞納し、強制的に解約された
  • クレジットカードやキャッシングを長期間滞納した
  • 自己破産したことがある

などに該当する場合、法人携帯の契約は難しいかもしれません。

法人携帯を契約する時によくある質問

法人携帯の導入にあたって気になるポイントをまとめました。

なるべく疑問点を解消しておきましょう。

Q.手持ちのスマホを業務用に使いたいけど、SIMカードだけ契約はできる?

SIMカードのみ契約可能な携帯事業者もあります。詳しくは店舗の担当者に確認しましょう。

ただし、端末の管理や遠隔操作などのサポートが受けられないケースもあるので、注意してください。

Q.旧住所の運転免許証は本人確認書類に利用できる?

事業者によっては、現住所が記載された補助書類(公共料金の明細書など)があれば受理してくれます。

新住所に変更してから契約すべきですが、急ぎの場合は、事業者に問い合わせてみましょう。

Q.法人携帯の事業者を選ぶ基準は?

毎月どれくらい通話するか、何ギガのデータ通信量が必要かなど利用方法から最適なプランを選びましょう。

サポート重視か、料金優先かも重要な指標です。

まずは、複数の事業者から相見積もりを取って比較してみるとよいでしょう。

法人携帯の運用ルールとセキュリティ管理

MDMで端末を一元管理し、紛失時は遠隔ロックとデータ抹消を即時実行。就業規則に端末紛失時の報告フローを明記し、年1回のセキュリティ教育で従業員リテラシーを維持しましょう。

MDM を活用した一括端末管理とリモート制御

MDM(Mobile Device Management) を導入すると、管理者は Web ダッシュボードから全端末の利用状況を可視化できます。

・紛失・盗難時には 遠隔ロック/ワイプ を即時実行
・業務に不要なアプリをインストール制限
・GPS で現在地を把握し、配送ルートの最適化や勤怠管理に応用

こうした機能を使えば、情報漏えいリスクを抑えつつ、端末管理コストも削減できます。導入時は「管理対象 OS」「ライセンス費用(1台あたり月数百円)」「操作ログの保存期間」をチェックしてください。

まとめ:個人事業主の方はよく検討してから法人携帯を契約しよう

ここまで、法人携帯を導入する上で重要なポイントを解説してきました。

コストはかかりますが、セキュリティや業務効率化などの観点からも、法人携帯を導入し、従業員に支給するのが望ましいです。

まずは事業者選びから。複数の事業者から同時に見積もりを取ることをおすすめします。