
オフィス内装工事費用の全貌!相場から見積もりまで完全ガイド【保存版】
公開日:2025.06.12 最終更新日:2025.06.12
オフィスの移転や改装を考える際、多くの人が費用の問題に直面するのではないでしょうか。
「初めての内装工事で、費用がいくらかかるのか全く見当がつかない…」と不安に感じている方もいるでしょう。
また、「見積もりを取ってみたものの、この金額が本当に適正なのか判断できない…」という心配もあるかもしれません。
しかし、費用の相場や内訳を事前にしっかりと把握しておくことで、予算オーバーを防ぎ、納得のいくオフィス作りが実現可能です。
この記事では、これからオフィスの内装工事を計画している方や、費用の詳細を知りたいと考えている方に向け、
– オフィス内装工事にかかる費用の相場と詳しい内訳
– 賢く費用を抑えるための具体的なコツ
– 信頼できる業者選びと見積もりのチェックポイント
上記について、分かりやすく解説しています。
内装工事の費用は、決して安い買い物ではありません。
だからこそ、正しい知識を身につけて、後悔のない選択をすることが大切です。
この記事が、あなたの理想のオフィス作りを後押しする一助となれば幸いですので、ぜひ参考にしてください。


オフィス内装工事費用の全体像
オフィスの内装工事費用は、単に「坪単価いくら」という単純な計算では算出できないのが実情です。
なぜなら、工事の内容やオフィスの状態、導入する設備のグレードなど、非常に多くの要素が複雑に絡み合って総額が決まるからです。
まずは費用が何によって構成されているのか、その全体像を把握することが、適切な予算計画を立てるための第一歩となるでしょう。
費用が大きく変動する理由は、あなたの会社がどのようなオフィスを目指しているかによって、必要な工事の種類と規模が全く異なるためです。
例えば、デザイン性を追求したおしゃれな空間にするのか、あるいは従業員の生産性を最優先した機能的なレイアウトにするのかで、使用する建材や工事の難易度が変わってきます。
電気・空調・通信といったインフラ設備工事の有無や、デスク・チェアなどのオフィス家具をどこまで新調するのかも、総額を左右する重要なポイントなのです。
具体的には、基本的な内装のみを整える小規模オフィス(20坪程度)であれば200万円~400万円がひとつの目安になります。
しかし、デザインにこだわり、複数の会議室やリフレッシュスペースを造作する50坪程度のオフィスとなると、1,000万円を超えるケースも決して珍しくありません。
このように、物件の状態や理想のオフィス像によって費用は大きく変動することを覚えておきましょう。
内装工事の相場を知る
オフィス内装工事の費用は、物件の状態や工事内容によって大きく変動します。例えば、何もないスケルトン物件から内装を構築する場合、坪単価20万円から50万円程度が一つの目安です。デザインや素材にこだわると坪100万円を超えるケースも珍しくありません。一方で、以前の設備が残る居抜き物件なら、既存のものを活用できるため坪単価5万円から20万円ほどに費用を抑えることが可能でしょう。この坪単価には、壁や床、天井といった基本的な工事が含まれるものの、デザイン設計費は別途必要となる場合がほとんど。設計費は一般的に工事費全体の10%~15%が相場となります。50坪のオフィスを改装するなら、総額でいくらかかるのか、複数の内装業者から詳細な見積もりを取り、内容を精査することが重要です。
物件の状態が費用に与える影響
オフィス内装工事の総額は、借りる物件の状態で大きく変動します。建物の骨組みだけのスケルトン物件は、デザインの自由度が高いという魅力を持つ一方で、電気や空調、給排水といったインフラをゼロから整備しなければなりません。そのため、坪単価は20万円から50万円以上と高額になる傾向があるでしょう。対照的に、前のテナントの内装が残る居抜き物件では、既存の設備を流用することで初期費用を抑えることが可能です。ただし、希望のレイアウトと異なる場合、解体・撤去費用として坪あたり2万円から5万円程度の追加コストが発生する点には注意が必要。さらに、築年数の古いビルでは電気容量の不足や、床がOAフロアでないといったケースも少なくないのです。OAフロアの新設には1平方メートルあたり5,000円から15,000円ほどの費用がかかるため、契約前に物件の設備状況を詳細に確認することが賢明といえます。
オフィス内装工事の費用内訳を詳しく解説
オフィス内装工事の費用は、大きく分けて「仮設工事費」「内装工事費」「設備工事費」「その他諸経費」の4つの項目で構成されています。
一見すると複雑に感じるかもしれませんが、それぞれの項目がどの工事を指すのかを把握することで、見積書の内容を正しく理解し、納得のいく費用計画を立てられるようになるでしょう。
なぜなら、各費用の内訳を知らないまま総額だけで判断してしまうと、後から「必要な工事が含まれていなかった」「想定外の追加費用が発生した」といったトラブルにつながりかねません。
内訳を理解することは、業者との認識のズレを防ぎ、不要なコストを見抜いて、主体的にオフィスづくりを進めるために非常に重要です。
具体的には、「内装工事費」は壁紙や床材などの仕上げに関わる費用を指します。
例えば、50坪のオフィスの壁紙を一般的な量産品からデザイン性の高い輸入品に変更するだけで、数十万円単位で費用が変動することも珍しくありません。
また、「設備工事費」には電気や空調、防災設備などが含まれ、コンセントの増設1箇所あたり5,000円〜15,000円が相場となるなど、細かな項目の積み重ねが最終的な総額を形成しているのです。
仮設工事の費用
オフィス内装工事における仮設工事は、本工事を安全かつ円滑に進めるための準備作業全般を指します。この費用は、工事全体の総額に対しておおよそ3%から5%が一般的な目安となるでしょう。例えば、総工費が800万円のプロジェクトであれば、24万円から40万円程度が仮設工事に充てられる計算になります。
主な作業内容としては、床や壁、共用部であるエレベーターなどを傷つけないための養生作業が挙げられます。また、設計図通りに壁や間仕切りを設置するための基準線を引く「墨出し」や、資材の搬入経路確保、廃材置き場の設置なども仮設工事に含まれるのです。工事の規模や建物の規約、夜間作業の有無によって費用は変動するため、見積もり時には内訳をしっかり確認することが重要といえます。特に、ビル側の指定業者による養生が必要なケースもあり、その場合は費用が割高になる可能性も考慮しておきましょう。
軽鉄工事の費用
オフィスの壁や天井の下地を形成する軽鉄工事の費用は、施工面積(m²)で算出されるのが一般的です。市場におけるm²単価の相場観として、材料費と施工費込みで4,500円から7,500円の範囲で変動します。例えば、一般的な天井高2,700mmのオフィスで50m²の壁を新設する場合、単純計算で225,000円から375,000円程度が一つの目安になるでしょう。ただし、この金額はあくまで基準であり、会議室などで遮音性を高めるために石膏ボードを二重に貼ったり、防火性能を求めたりする仕様変更があれば、その分単価は上昇するものです。また、曲線の壁を造作するなどデザイン性が高い工事は、手間がかかるため追加費用が発生することも考慮しておく必要があります。最終的な金額は、依頼する内装業者や地域によっても変わるため、複数社から相見積もりを取ることをお勧めします。
ボード工事の費用
オフィスの壁や天井を造作するボード工事の費用は、主に軽鉄下地(LGS)と石膏ボード張りの2つの工程で構成されています。まず、壁の骨組みとなる軽鉄下地の設置費用は、1㎡あたり2,000円から3,500円が目安となるでしょう。その下地に石膏ボードを張る施工費用は、1㎡につき1,000円から2,500円程度かかります。したがって、下地からボード張りまでを合わせた費用は、1㎡あたり約3,000円~6,000円が相場と考えられます。ただし、これは標準的な厚さ12.5mmの石膏ボードを使用した場合の価格帯です。防音性の高い吸音ボードや耐久性に優れた強化石膏ボードなど、機能性の高い材料を選択すると材料費が上がり、全体の費用も上昇します。なお、この工事費用にはクロス貼りや塗装といった仕上げ工事は含まれていないため、最終的な総額を確認する際には注意してください。
内装仕上げ工事の費用
内装仕上げ工事は、床・壁・天井といった空間の大部分を占める箇所を仕上げる、オフィスの印象を決定づける最終工程です。費用は選ぶ素材のグレードや施工面積によって大きく変動するもの。床工事で主流のタイルカーペットは、1㎡あたり3,000円から8,000円程度が相場となり、デザイン性の高い製品ほど高価になる傾向にあります。壁の仕上げで一般的なクロス張りは、量産品であれば1㎡あたり1,000円から1,500円、デザイン性に富んだ1000番台クロスを選ぶと1,500円から2,500円ほどを見込む必要があります。天井は塗装で仕上げるケースが多く、こちらは1㎡あたり1,500円から3,000円が目安。これらの単価を基に、オフィスの規模に応じた概算費用を算出するとよいでしょう。
パーティション工事の費用
オフィスのパーティション工事は、空間を柔軟に仕切るための代表的な内装工事で、費用は選ぶパネルの種類で大きく変動します。最も一般的なアルミパーティションの場合、1平米あたり8,000円から15,000円が費用相場となるでしょう。例えば、高さ2.4mで幅5mの壁なら約96,000円から180,000円かかる計算です。一方、遮音性や不燃性が求められる役員室にはスチールパーティションが選ばれ、費用は1平米あたり12,000円から25,000円と高くなる傾向にあります。大手メーカーのコマニーやコクヨなどが多様な製品を提供しています。これらパネル本体価格に加え、施工費や運搬費が別途発生する点も忘れてはいけません。さらに、ドアを1枚設置すれば5万円から10万円程度、ガラス窓は仕様により3万円以上が追加で必要だと考えておきましょう。
建具工事の費用
オフィスの機能性と印象を左右する建具工事の費用は、選ぶ製品のグレードによって大きく変動します。例えば、LIXILなどが提供する一般的な木製片開きドアを設置する場合、工事費込みで1枚あたり約8万円から25万円がひとつの目安でしょう。これが防火性能を持つスチール製ドアであれば15万円以上、開放感のあるガラスドアでは30万円を超えるケースも珍しくありません。また、会議室を分割する際に便利なスライディングウォールは、オフィス内装工事費用の中でも高額になりがちです。コマニーといった専門メーカーの製品は遮音性にも優れますが、その価格は1平方メートルあたり5万円から15万円程度と考えられます。このように、設置するドアや間仕切りの種類と数を事前に確定させることが、全体の予算を把握する上で重要なポイントとなるのです。
電気設備工事の費用
オフィス機能の基盤となる電気設備工事の費用は、坪単価で2万円から5万円程度が目安になります。ただし、工事内容によって金額は大きく変動するため、内訳を把握しておくことが重要でしょう。例えば、コンセントの増設は1箇所あたり5,000円から15,000円、LANや電話の配線工事は1本につき15,000円からが相場となっています。OAフロアが未設置の場合は、床下の配線工事で追加費用が発生する点も考慮に入れなければなりません。また、照明器具を省エネ性能の高いLEDへ交換する工事も人気ですが、器具代とは別に設置費用がかかるのです。特に注意すべきは、既存の電気容量が不足するケースであり、分電盤の交換や幹線工事で数十万円の追加費用が生じる可能性も。事前に業者と詳細な打ち合わせを行うことが求められます。
通信機器設備工事の費用
オフィスの通信機器設備工事には、LAN配線や電話機の設置、Wi-Fi環境の構築といった作業が含まれます。費用の目安として、LAN配線工事は1か所につき15,000円から30,000円程度が相場になるでしょう。また、快適な無線環境を整えるWi-Fiアクセスポイントの設置は、1台あたり30,000円から50,000円ほどかかります。ビジネスフォンの設置に伴う電話配線工事であれば、1台5,000円から15,000円程度を見ておくとよいかもしれません。ただし、これらはあくまで基本的な工事の費用であり、オフィスの広さや配線ルートの複雑さ、使用するLANケーブルの規格(例:Cat6A)によって総額は大きく変わってきます。例えば、10名規模のオフィスで一式を依頼した場合、10万円から30万円程度が考えられるでしょう。正確な費用を把握するためには、複数の専門業者から相見積もりを取ることが重要です。
空調設備工事の費用
オフィスの空調設備工事にかかる費用は、エアコンの能力や種類によって大きく変動する要素です。例えば、30坪程度のオフィスに設置されることが多い5馬力の天井カセット形エアコンの場合、機器本体だけで40万円から70万円ほどが相場となるでしょう。これに加えて、標準的な設置工事費が1台につき7万円から15万円程度かかります。さらに、冷媒配管の延長や、室外機を屋上へクレーンで搬入するような特殊作業が発生すると、追加で10万円以上の費用がかかることもあります。古い設備の撤去・処分にも3万円から5万円ほどの費用を見込む必要があるため、30坪のオフィスで1台入れ替えるだけでも総額は60万円から100万円を超えるケースも決して珍しくありません。複数の専門業者から詳細な見積もりを取り、工事内容を比較検討することが肝要です。
給排水設備工事の費用
オフィスの給排水設備工事は、給湯室やトイレの新設・移設が主な内容となり、費用は工事規模で大きく変動します。例えば、ミニキッチンを新設する際の費用は30万円~80万円程度が目安でしょう。この金額には、キッチン本体の価格に加えて、給排水管を目的の場所まで引く配管工事費などが含まれるのです。一方、トイレを増設する工事はさらに高額で、便器のグレードや個室の造作も必要なため、50万円~150万円ほどの予算を見込む必要があります。特に床スラブを貫通して排水管を通す工事は、建物の構造に大きく左右され、費用を押し上げる要因となり得ます。既存設備の移設であっても、配管経路の確保などで20万円以上かかるケースも珍しくありません。正確な費用を把握するには、専門業者へ現場調査を依頼するのが最も確実な方法と言えるでしょう。
消防設備工事の費用
オフィス内装工事では、消防法に基づいた消防設備の設置が義務付けられており、その費用も考慮しなければなりません。一般的なオフィスの場合、消防設備工事の費用相場は坪単価で1万円~3万円程度を見ておくとよいでしょう。例えば、会議室を新設するために天井まで届くパーテーションを設置すると、区画された空間ごとに火災報知器の増設が求められます。この感知器の増設費用は1箇所あたり2万円~5万円ほどかかり、避難経路を示す誘導灯の移設や増設にも1台3万円~5万円程度のコストが発生します。さらに、スプリンクラー設備の設置が必要なビルでは、内装レイアウトの変更に伴うヘッドの移設工事で費用はより高額になる傾向です。消火器の追加設置も1本5,000円から1万円程度必要となるため、正確な費用は専門業者に見積もりを依頼してください。
サイン工事の費用
オフィスの顔となるサイン工事は、企業のブランドイメージを左右する重要な投資です。費用は素材やサイズ、加工方法によって大きく変わるため、予算に応じた選択が求められます。例えば、エントランスに設置する幅1mほどの社名ロゴの場合、軽量なカルプ文字であれば5万円~15万円が一般的な相場でしょう。これがアクリル切り文字になると8万円~20万円、重厚感のあるステンレス製なら15万円~30万円程度まで費用が上がります。さらに、LEDを内蔵した内照式サインを選ぶと、電気工事費を含め30万円を超えることも珍しくありません。また、ガラスパーテーションに貼るすりガラス調のフォグラスシートやデザインフィルムは、1平方メートルあたり8,000円~15,000円程度が目安となります。これらに加えて、オリジナルデザインを依頼する場合は別途デザイン作成費が必要になる点も覚えておきましょう。
造作家具工事の費用
造作家具工事とは、空間に合わせて家具をオーダーメイドで製作する工事です。費用は設計費や材料費、製作・設置費の合計で決まり、仕様によって大きく変動します。例えば、企業の顔となる受付カウンターの場合、シンプルなデザインでも30万円から、複雑な形状や高級素材を用いると100万円を超えるケースも出てくるでしょう。壁一面の収納棚であれば50万円から150万円程度が目安となり、素材選びが価格を大きく左右するのです。比較的安価なメラミン化粧板に対し、天然木を薄くスライスした突板や無垢材を使用すると費用は高騰します。他にも、造作ベンチは1メートルあたり7万円から15万円ほどが相場です。既製品に比べて高額にはなりますが、オフィス全体のデザインに統一感を持たせ、機能性も追求できるのが最大の利点と言えます。
オフィス内装工事の費用を抑える方法
オフィス内装工事の費用は、いくつかのポイントを押さえることで賢く削減できます。
高額な出費だと諦めてしまう前に、コストカットできる部分がないか検討してみることが大切です。
予算内で理想のオフィス空間を実現するために、まずは費用を抑える具体的な方法を知りましょう。
なぜなら、工事費用にはデザイン費や材料費、施工費など様々な要素が含まれており、それぞれに見直しの余地があるからです。
例えば、すべての要望を完璧に満たそうとすると費用は高騰しがちですが、こだわりたい部分と妥協できる部分に優先順位をつけるだけで、予算を大きく圧縮できる可能性があります。
賢くコストを管理することで、満足度の高いオフィス移転が実現するでしょう。
具体的には、「相見積もり」で業者を比較検討したり、中古オフィス家具を活用したり、工事範囲を限定したりする方法が挙げられます。
これらの方法は、それぞれにメリットや注意点が存在するため、あなたの会社の状況に合わせて最適な選択をすることが重要です。
以下で、それぞれのコスト削減方法について詳しく解説していきます。
素材やグレードを工夫する
オフィス内装工事の費用を大きく左右するのが、壁や床に使用する内装材の選択です。例えば、壁紙に一般的なビニルクロスを用いる場合でも、シンプルな量産品クロスは1平方メートルあたり1,000円前後からありますが、デザインや機能性に優れた1000番台クロスは1,500円以上になるケースも少なくありません。そこで、来客が利用するエントランスは上質な素材を選び、執務スペースやバックヤードはコストパフォーマンスに優れた量産品を採用するなど、場所に応じた使い分けが賢明な判断となるでしょう。床材も同様で、安価なPタイルは約2,500円/平方メートルから、一方でデザイン性が高く部分交換も可能なタイルカーペットは3,500円/平方メートルからと価格帯が異なります。このように、全てのグレードを統一するのではなく、空間の用途に合わせてメリハリをつけることで、全体の質感を保ちながら費用を効果的に削減できます。
スケルトン物件の活用
スケルトン物件とは、床・壁・天井の内装が施されておらず、建物の構造躯体があらわな状態の物件を指します。オフィス内装工事費用を検討する上で、この物件は設計の自由度が最大の魅力といえるでしょう。企業の理念やブランドイメージを空間全体で表現できるため、オリジナリティを重視する企業に特に選ばれています。一方で、工事費用は高額になる傾向にあり、坪単価は30万円から100万円以上が目安となります。これは、電気配線や空調、給排水設備といったインフラを一から構築する必要があるためです。しかし、既存の内装がないため解体費用はかかりません。初期投資は居抜き物件に比べてかさみますが、ゼロから理想の労働環境を構築できるため、長期的な視点で見れば生産性向上や人材確保に繋がり、結果として高い価値を生み出す可能性があるのです。
複数業者への見積もり依頼
オフィス内装工事の費用を正確に把握し、最適化するためには、複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」が欠かせません。最低でも3社、可能であればデザイン会社や工務店などタイプの異なる5社程度に依頼すると、価格や提案内容を客観的に比較検討できるでしょう。その際、各社へ提示する要望やレイアウト案、使用したい建材のグレードといった条件は、必ず統一してください。条件が異なると、見積もりの金額に差が出るのは当然であり、純粋な比較が困難になります。提出された見積書は総額だけでなく、「電気工事」「空調設備」「パーテーション設置」といった項目ごとの単価や仕様まで細かく確認することが重要です。単に安いだけでなく、提案の質や実績、担当者との相性も考慮し、信頼できるパートナーを選びましょう。
オフィス内装工事の流れと注意点
オフィス内装工事を成功させるには、計画から引き渡しまでの一連の流れと、各工程の注意点を理解することが不可欠です。
初めてのオフィス移転やリニューアルでは、何から手をつければ良いか戸惑う方も少なくないでしょう。
しかし、事前に全体像を把握しておけば、予期せぬトラブルや追加費用を効果的に防げます。
なぜなら、各工程で専門的な判断が求められ、施工業者との間で認識のズレやスケジュールの遅延が生じやすいためです。
例えばデザイン段階で建築基準法や消防法といった法規制の確認を怠ると、後から設計変更が必要になりかねません。
結果として、工期も予算も大幅に超過する事態に陥るリスクがあるのです。
具体的には、まず「企画・デザイン設計」でコンセプトを固め、複数の業者から見積もりを取ることから始めましょう。
その後、業者選定、詳細設計、各種申請手続きを経て、実際の工事に着手します。
工事完了後も消防検査や引き渡し、アフターフォローまで、各ステップで確認すべき重要事項が存在するため、一つひとつ着実に進めていくことが理想のオフィスを実現する鍵となります。
オフィスのコンセプトを決める
オフィス内装工事の費用を考える上で、最初にすべきはオフィスのコンセプトを明確にすることです。どのような働き方を実現したいのか、企業文化をどう表現したいのかを具体的にしなければ、工事の方向性が定まらず、後から追加費用が発生する原因にもなりかねません。例えば「社員間のコミュニケーション活性化」をコンセプトにするなら、カフェスペースや1台10万円程度の可動式デスクが必要になるでしょう。一方で、株式会社サイバーエージェントのように「クリエイティビティの追求」を掲げる場合、個々の集中力を高める半個室ブースや、独自のデザイン空間が求められます。このようにコンセプトによって必要な設備やレイアウトは大きく異なり、それが直接内装工事の費用へと反映されるのです。コンセプトを固めることで、約50万円から300万円以上にもなるデザイン設計費や、使用する建材のグレードが決まり、コストを最適化する第一歩となります。
業者選びのポイント
オフィス内装工事の業者選びは、費用と品質を左右する重要な工程です。まず、適正価格を把握するために、少なくとも3社から相見積もりを取得しましょう。単に総額の安さで決めるのではなく、見積書の内訳が詳細で明確かどうかが大切な判断基準になります。次に、業者のウェブサイトで過去の施工事例を確認してください。自社の規模や希望するデザインテイストに近い実績が豊富にあれば、安心して任せられる一つの指標となるでしょう。また、信頼性を見極めるために「建設業許可」の有無は必ず確認すべきです。特に請負金額が500万円を超える工事では、この許可が法的に必須となります。最後に、担当者のヒアリング力や提案力も軽視できません。こちらの要望を的確に汲み取り、より良い空間を共に創り上げてくれるパートナーを見つけることが、プロジェクト成功の鍵を握るのです。
工事前の打ち合わせ
オフィス内装工事の費用を確定させる上で、着工前の打ち合わせは非常に重要な段階です。この場で、見積書や設計図面だけでは分からない細かな仕様を、施工会社と施主が互いに確認し合います。例えば、壁紙はサンゲツのRE53313、床は東リのタイルカーペットGA-100シリーズといった具合に、使用する建材の品番レベルまで具体的に決定していくのが通常でしょう。また、コンセントの数を5箇所追加したり、LANの配線ルートを変更したりといった電気・通信工事の最終調整もこのタイミングで行わなければなりません。打ち合わせは平均して2〜3回実施され、ここで合意した内容が最終仕様となります。この段階を疎かにすると、工事が始まってから「イメージと違う」といった理由で変更が必要になり、数十万円単位の追加費用や工期の遅延が発生する原因になってしまうのです。疑問点は些細なことでも残さず質問し、双方が納得した上で工事に進むことが、予算超過を防ぐ鍵となります。
内装工事の実施
設計プランと見積金額に合意した後、ついに内装工事の実施フェーズへと入ります。着工前には、ビル管理会社へ正式な工事届を提出し、両隣や上下階のテナントへ挨拶を済ませておくことが、後のトラブルを避けるために不可欠でしょう。例えば50坪規模のオフィスの場合、工事期間は一般的に1ヶ月から1ヶ月半程度を見込む必要があります。現場では、解体作業に始まり、間仕切り壁の造作、電気・LAN配線工事、床や壁紙の仕上げといった工程が計画に沿って進められるのです。施工は業者に一任しますが、週に1回は現場で定例会を開くなど、施主側も図面通りに進んでいるか進捗を確認することをお勧めします。万が一、工事中に仕様変更や追加の要望が出た場合は、別途費用が発生する可能性も考慮しておきましょう。全ての工程が完了すれば、最終検査を経てオフィスの引き渡しとなります。
完成後の引き渡し
オフィス内装工事が完了すると、いよいよ完成後の引き渡しを迎えます。この段階では、まず施工業者と依頼主が一緒に立ち会い、竣工検査を実施するのが一般的な流れです。設計図面通りに仕上がっているか、壁紙や床に傷や汚れはないか、また電気設備や空調、ドアなどが正常に作動するかを隅々まで確認してください。事前にチェックリストを準備しておくと、確認漏れを防げるでしょう。万が一、不具合が見つかった場合は手直し工事を依頼し、その修正が完了して初めて正式な引き渡しとなります。引き渡し時には鍵や各種設備の保証書、取扱説明書など重要な書類を受け取ります。追加工事費を含めた最終的な工事費用の精算もこのタイミングで行われるため、請求書の内容をしっかりと確認することが大切です。
スペース別に見る内装工事のポイント
オフィスの内装工事を成功させるには、場所ごとの役割を理解し、それぞれに最適な工事を行うことが大切です。
エントランスは会社の顔、執務スペースは生産性の源泉、そして会議室は創造の場といったように、各エリアには明確な目的が存在します。
そのため、一律の工事ではなく、それぞれのスペースの特性に合わせた計画を立てることが、機能的で快適なオフィス環境作りへの第一歩となるでしょう。
その理由は、スペースごとに求められる機能性やデザイン、そして適切な費用のかけ方が全く異なるからです。
例えば、来客の第一印象を決めるエントランスには、企業のブランドイメージを表現するデザイン性が強く求められます。
一方で、従業員が多くの時間を過ごす執務スペースでは、集中力やコミュニケーションの活性化につながる機能性や快適性が最優先事項になるのです。
具体的には、「エントランス・受付」「執務スペース」「会議室」「リフレッシュスペース」など、主要なエリアごとに押さえるべきポイントは大きく異なります。
以下で、それぞれのスペースにおける内装工事の具体的なポイントや注意点を詳しく解説していきます。
執務スペースの工夫
執務スペースの工夫は、生産性向上だけでなく工事費用にも大きく影響を与えます。例えばフリーアドレス制を導入すれば、実際の出社率に合わせて座席数を最適化できるでしょう。出社率が7割の企業なら、座席数を3割減らすことで省スペース化が図れ、結果的に内装工事の対象面積を縮小できるのです。また、将来的な組織変更を見越して、固定壁の代わりに可動式パーテーションを採用するのも賢明な選択肢といえます。壁の造作・撤去には1mあたり3万円以上の費用がかかる場合もあり、長期的に見れば大幅なコスト削減につながる可能性があります。さらに、収納を兼ねたベンチのような多機能家具を取り入れることで、購入する什器の数を減らし、空間を有効活用することも可能です。こうした工夫は初期投資だけでなく、将来的なコストパフォーマンスを高める上で非常に重要になります。
リフレッシュスペースの工夫
従業員の生産性向上に直結するリフレッシュスペースは、費用を意識した工夫が求められます。空間に変化をつける簡単な方法は、観葉植物の設置や床材の変更でしょう。例えば、タイルカーペットを一部だけデザイン性の高いものに変えるだけでも、1平方メートルあたり5,000円から15,000円程度の追加で空間を効果的に仕切ることが可能です。家具の選定も重要であり、株式会社イトーキのようなオフィス家具メーカーの製品だけでなく、コストを抑えるためにIKEAのソファなどを組み合わせる選択肢も有効な手段といえます。本格的なカフェカウンターを設置する場合、坪単価は20万円から50万円ほどが目安となりますが、費用対効果は非常に高い投資と考えられます。限られた予算内でも、ゾーニングや家具の工夫次第で従業員の満足度を高める快適な空間づくりが十分にできるのです。
ミーティングスペースの工夫
ミーティングスペースの設計は、オフィス内装工事の費用を大きく左右する重要な要素です。例えば、固定壁で会議室を新設する場合、LGS壁の設置だけでも1平方メートルあたり8,000円から15,000円程度の費用がかかるでしょう。このコストを抑える工夫として、可動式パーテーションや背の高い書庫などで空間を仕切る方法が挙げられます。これにより、壁の設置工事が不要になり、将来のレイアウト変更にも柔軟に対応できるのです。また、少人数の打ち合わせには、1ブース20万円前後から設置可能な「ファミレス席」を導入するのも賢い選択肢ではないでしょうか。個室を作るよりも圧迫感がなく、費用も大幅に削減することが可能です。あえてオープンスペースにソファセットを置くだけでも、立派な打ち合わせエリアとなり、間仕切りや追加の空調工事といったコストをゼロにできます。
社長室・役員スペースの工夫
企業の顔ともいえる社長室や役員スペースは、内装工事費用が高額になる傾向にあります。一般的な執務スペースの坪単価が10万円から30万円程度であるのに対し、役員室では坪単価50万円から100万円を超えるケースも珍しくありません。しかし、工夫次第でコストを最適化しつつ、品格ある空間を実現することは可能です。例えば、壁全面を高価な素材で覆うのではなく、一面だけにLIXILのエコカラットのような機能性建材や天然木のパネルをあしらうアクセントウォールは、費用を抑えながら重厚感を演出できる手法でしょう。高価な造作家具に頼らず、カッシーナのソファなどデザイン性の高い既製品を組み合わせるのも賢い選択です。ガラスパーテーションで開放感を保ち、遮音フィルムで機密性を確保するなど、重要な商談で使う応接機能も考慮した設計が求められます。
オフィス内装工事に関するよくある質問
オフィス内装工事を計画する中で、費用以外にもさまざまな疑問や不安が生まれるのは自然なことです。
ここでは、多くの方が抱く共通の質問とその回答をあらかじめ知っておくことで、あなたのプロジェクトがよりスムーズに進むようお手伝いをいたします。
事前の知識が、理想のオフィス空間を実現するための鍵となるでしょう。
なぜなら、内装工事には専門的な知識や法律が関わることが多く、初めて経験する方にとっては分かりにくい点が多いためです。
例えば、「原状回復義務はどこまで負うのか」「工事中の騒音対策はどうすれば良いのか」といった疑問は、多くの方が直面する共通の悩みと言えます。
これらの点を曖昧にしたまま進めると、後から予期せぬトラブルや追加費用につながる可能性があります。
具体的には、「工事期間の目安は?」「信頼できる業者の選び方のポイントは?」「オフィス家具はリースと購入のどちらがお得か?」といった質問がよく寄せられます。
また、居抜き物件とスケルトン物件のメリット・デメリットについても、判断に迷う方が少なくありません。
こうした頻出する質問への理解を深めることが、後悔しないオフィス作りのために不可欠です。
オフィスレイアウトの基本
オフィスのレイアウト設計は、働きやすさはもちろん、内装工事の総額に直結する重要な工程です。例えば、部署ごとに机を向かい合わせる「対向式レイアウト」は、省スペースで効率が良く、間仕切りも少ないため工事費用を抑制しやすい特徴があります。1人あたり2.5坪〜3坪程度の面積が目安となるでしょう。固定席を設けない「フリーアドレス」は、出社率に応じてデスク数を削減でき、賃料などの固定費を下げられる可能性があります。しかし、全席で電源やネットワーク環境を整備するため、電気工事費はかさむ傾向です。さらに、業務内容に合わせて働く場所を選ぶ「ABW(Activity Based Working)」は、集中ブースやコラボレーションエリアといった多様な空間が必要となり、造作工事が増える分、坪単価15万円以上の高額な工事になることも珍しくありません。自社の働き方に合ったレイアウトを選ぶことが、費用対効果の高いオフィス移転の鍵を握るのです。
リニューアル時の注意点
オフィスリニューアルの際には、想定外の費用につながる法的規制や契約内容の確認が不可欠です。特に2022年4月からは、床面積80㎡以上の改修工事でアスベスト(石綿)の事前調査と報告が義務化されました。万が一アスベストが検出されれば、その除去作業に数十万円以上の追加費用が発生する可能性を考慮しておくべきでしょう。また、レイアウト変更に伴い、消防法に準拠するためのスプリンクラー増設や避難経路の再設定が必要になるケースも少なくありません。賃貸オフィスの場合は、退去時の原状回復義務の範囲を契約書で改めて確認し、ビル管理会社と事前に協議を進めることがトラブル回避の鍵となります。これらの見落としは、工事費用の増大や工期の遅延を招くため、内装業者と綿密に打ち合わせることが重要です。
まとめ:オフィス内装工事費用を賢く抑え理想の空間を実現
今回は、理想のオフィスづくりを目指し、内装工事の費用について調べている方に向け、
– オフィス内装工事にかかる費用の相場や内訳
– 工事費用を賢く抑えるための具体的な方法
– 信頼できる業者選びと見積もりのチェックポイント
上記について、解説してきました。
オフィス内装工事を成功させるには、事前の情報収集と計画が何よりも重要です。
なぜなら、費用や工事内容は専門的な要素が多く、知識がないまま進めると予算オーバーや理想とかけ離れた仕上がりになる可能性があるからでした。
「何から手をつければ良いのか」「どの業者に頼めば安心か」など、多くの疑問や不安を抱えている方も少なくないでしょう。
まずはこの記事で得た知識を基に、自社がオフィスに求める「理想の姿」や「譲れない条件」を具体的に書き出してみましょう。
その作業が、今後の業者との打ち合わせをスムーズに進めるための大切な羅針盤となります。
より良い職場環境を目指して、こうして情報を集めていること自体が、プロジェクト成功への大きな一歩と言えます。
その熱意と行動は、必ず素晴らしいオフィス空間の実現に繋がる価値ある時間に違いありません。
適切な知識を持って計画的に進めれば、オフィス内装工事は決して難しいものではないのです。
従業員の満足度が高まり、生産性も向上するような、理想のオフィスは必ず実現できます。
この記事を「保存版」として活用し、信頼できるパートナーとなる内装工事業者を見つけてください。
あなたの会社にとって最高のオフィスが完成することを、筆者も心から応援しています。

この記事を書いた人
竹中 崇紘
EMEAO!編集部員の竹中です。EMEAO!前身サービスのBtoBお問い合わせメディアの営業責任者を経て、 現在はEMEAO!のWebコンテンツの作成を担当しています。 営業で培った経験を活かし、皆様にとって実のある情報を発信していきます!よろしくお願いします。





