インナーブランディングとは?メリットや具体的な手法を解説
公開日:2024.05.01 最終更新日:2024.08.07
インナーブランディングは、従業員が自社の理念やビジョンに理解を深められるメリットがあります。
しかし、具体的に何から始めるべきか分からない人もいるでしょう。
この記事では、インナーブランディングの概要やメリット、具体的な手法を詳しく解説します。
実施する際のポイントも解説していくので、自社のブランディングを考えている人はぜひ参考にしてみてください。
インナーブランディングとは?
インナーブランディングは、社内向けにブランディングをする活動のことです。
会社と従業員の方向性を合わせられる、従業員同士の信頼関係を築けるなど、さまざまなメリットをもたらします。
以下では、インナーブランディングの定義やアウターブランディングとの違いを解説していきます。
インナーブランディングの定義
インナーブランディングとは自社のブランドや理念などを提示し、従業員に対して共感と行動変容を促す行動のこと。
社員のモチベーション向上や自社のブランド力を強化させることが目的です。
従業員は企業の顔でもあるため、言動や態度がブランドイメージに影響を及ぼしかねません。
インナーブランディングで従業員が企業に愛着を持つことで、顧客が受け取る商品やサービスの品質向上にも繋がります。
具体的な施策は次のとおりです。
- 社内外への広報活動
- 従業員研修
- 社内イベント
- 社内SNSの活動
社外向けのアウターブランディングに力を入れている企業は多いですが、インナーブランディングも合わせて行うとより企業の成長に繋がります。
アウターブランディングとの違い
インナーブランディングとアウターブランディングの大きな違いは、対象者です。
インナーブランディングは、社内の従業員に向けてブランディングを行います。
一方で、アウターブランディングは消費者や顧客など社外に向けて、自社ブランドの認知拡大を目的として活動しています。
両者を実施すると相乗効果を発揮するため、企業のブランドイメージを向上できる可能性が期待できるでしょう。
インナーブランディングのメリット
インナーブランディングのメリットは、次のとおりです。
- 会社と従業員の方向性を合わせられる
- 従業員同士で信頼関係を築ける
- 従業員の定着率が上がる
- 自社に合った人材を見つけられる
- 他社との差別化を図れる
それぞれ詳しく解説していきます。
会社と従業員の方向性を合わせられる
インナーブランディングで企業理念やビジョンなどの共感を得ることで、会社と従業員の方向性を合わせられます。
実施していない場合は、従業員は自社の製品やサービスに対する独自のプロセスを社外に伝える可能性があります。
また、企業が思い描いている価値観と従業員の考え方にズレが生じていたら、目標を達成するのは難しくなるでしょう。
しかし、インナーブランディングを実施すれば、誤解や不満なども解消されて仕事のストレスも減らせます。
さらに会社への理解が深まることで、仕事のモチベーションアップにも繋がるでしょう。
従業員同士で信頼関係を築ける
インナーブランディングで企業への理解が深まると、同じ組織で働く仲間と意識できるため、従業員同士の信頼関係も築けます。
また目標達成を目指して従業員が一丸となれば、信頼を築きながら業務を行えるでしょう。
組織としてパフォーマンスの向上も期待できるため、良い方向に企業を成長させられます。
従業員の定着率が上がる
インナーブランディングを実施すれば働くことにやりがいを感じ、従業員が離職しにくくなります。
愛着を持つことで、会社に貢献したい気持ちが高まるためです。
また人材が定着すれば、新しい従業員に質の高い指導を行える可能性があります。
教育体制の強化にも繋がるため、組織全体で成長できる機会になるでしょう。
自社に合った人材を見つけられる
企業に愛着心を持つ従業員が増えることで、自社に合った人材を採用できます。
優秀な従業員が定着すれば、新人を採用する際も企業の方向性や価値観を正しく伝えられます。
また、初めから企業の理念やビジョンに共感して入社した人材は、仕事へのモチベーションが高く早期退職のリスクも減らせるでしょう。
他社との差別化を図れる
インナーブランディングでは企業の理念やビジョンが明確化されます。
その過程で自社と他社の違いが明らかになり、他社との差別化を図れます。
従業員が自社でしかできないことを理解すれば、企業に愛着を持つことにも繋がるでしょう。
反対に、他社でもできることばかりだと思われてしまうと、離職率が上がる原因になります。
インナーブランディングの具体的な手法
インナーブランディングの具体的な手法は、次のとおりです。
- 社内イベント
- 社内報
- 社内アンケート
- 社内専用のSNS
- ワークショップ
- インナーブランディングの成功事例
それぞれ詳しく解説していきます。
社内イベント
社内イベントは、従業員や経営陣が多く集まる機会です。
企業理念や従業員に対する気持ちを伝えることで、従業員の企業への理解も深まるでしょう。
社内イベントの例は、次のとおりです。
- サークル活動
- 表彰式
- 周年イベント
- 懇親会
日常の業務とは違う形でコミュニケーションを取れるため、イベントのテーマに企業が伝えたいものを盛り込むと良いでしょう。
また従業員が楽しめることを企画すれば、従業員同士の繋がりも強くなり、企業理念や方向性が自然に伝わります。
ただし参加を強制してしまうと、モチベーションが下がる可能性があるので注意が必要です。
社内報
社内報に次の内容を記載することで、インナーブランディングの向上に繋がります。
- 企業理念
- 顧客から感謝の声
- 経営陣からの声
ただし、社内報に目を通していない従業員がいる場合もあります。
従業員のメッセージやインタビューなどを掲載すると、多くの人が目を通すようになるでしょう。
また、リアルタイムで従業員の意見が書き込める社内報の電子化もおすすめです。
社内アンケート
社内アンケートで従業員の意見を聞くことも、インナーブランディングの向上に繋がります。
アンケートでは、5~10個の質問を2~3分で答えられる簡単な内容が望ましいです。
質問相手に伝わりやすい回答を選定することで回答率が上がります。
また回答欄を1~5から選ぶ形式にすればアンケート結果を数値化でき、効果も把握しやすくなるでしょう。
社内専用のSNS
社内専用SNSを導入すると、経営陣や従業員などの立場をこえてコミュニケーションを取れるきっかけになるでしょう。
経営陣が企業理念や魅力を従業員に伝えても、一方的だとうまく伝わらない可能性があります。
部署が違うとコミュニケーションを取る機会はありませんが、社内専用SNSを使えば縦と横の繋がりを強化できます。
ワークショップ
ワークショップは、企業のブランド価値を社内に浸透させるのに役立ちます。
従業員を中心に意見交換を行えば、自ら考えて行動できる機会になるでしょう。
また企業の方向性をチームで共有でき、自分ごととして企業ブランドを捉えるようになります。
従業員のモチベーション向上にも役立つため、長期的に企業を育てていくうえでも効果的です。
インナーブランディングの成功事例
インナーブランディングの成功事例として、スターバックスコーヒーを紹介します。
スターバックスの行動指針では「お互いに尊敬と威厳を持って接し、働きやすい環境をつくる」と掲げています。
スタッフの働きやすさを重視しているのが魅力です。
また、コミュニケーションのことを「スタースキル」と呼んでおり、次の内容を意識して業務に取り組んでいます。
- 自信を保ちさらに高める
- 相手の話を真剣に聞き、理解する努力を怠らない
- 困ったときには助けを求める
スキル自体は抽象的になっており、スタッフ個人がどう受け止めて行動するかを重要視しているのがポイントです。
居心地がいいだけではなく、顧客に対して自ら貢献したいと感じられる環境が重要だと考えています。
そのために必要なのが「スタースキル」で、スタッフ同士のコミュニケーションによって達成可能にしています。
インナーブランディングを実施するポイント
インナーブランディングを実施する際は、次のポイントを押さえておきましょう。
- ブランドコンセプトを明確化する
- ブランドコンセプトを作成する
- 効果を定期的にチェックする
- 従業員に共有する方法を決める
それぞれ詳しく解説していきます。
ブランドコンセプトを明確化する
従業員に伝えることが曖昧だと、共通した価値観やビジョンを抱いてもらうのは難しいです。
企業の価値観やビジョンを浸透できなければ、愛着心を持ってもらえません。
なお、ブランドコンセプトを考える場合は現時点で掲げているものではなく、会社の現状や過去の実績などを踏まえて再検討しましょう。
また競合他社の分析も行い、自社しか実現できない未来像を明確にすることも大切です。
ブランドコンセプトを作成する
企業のビジョンが明確化したら、ブランドコンセプトを作成します。
アウターブランディングでも大切な要素なので、顧客からの共感も考慮する必要があります。
ブランドコンセプトが、製品やサービスの内容とかみ合っていないと良い印象は抱かれません。
最適なブランドコンセプトが思いつかない場合は、ビジョンの明確化に時間をかけて考えましょう。
効果を定期的にチェックする
インナーブランディングを実施する際は、定期的に従業員への浸透度を確認しましょう。
浸透度を可視化するためには、アンケート調査がおすすめです。
従業員目線でフィードバックを得られるため、ブランドコンセプトの浸透度が分かります。
なお、年度末や繁忙期は従業員の負担も大きく、ネガティブな回答がくる可能性があるので、アンケートを行うタイミングは見極めましょう。
従業員に共有する方法を決める
従業員への浸透度を確認できたら、必要な施策を社内制度に反映させます。
主な手法は以下のとおりです。
- 社内イベント
- 社内報
- 社内アンケート
- 社内専用のSNS
- ワークショップ
ただしテレワーク化を進めている場合は、従業員同士のオフライン交流が減ります。
それに合わせてインナーブランディングの手法も見直さなければいけません。
インナーブランディングの注意点
インナーブランディングを実施する前に、次の注意点を把握しておきましょう。
- コストが発生する
- 効果が出るまでに時間がかかる
- 従業員に価値観を強要しない
それぞれ解説していくので、ぜひ参考にしてください。
コストが発生する
インナーブランディングはコストがかかるため、予算を確保することが重要です。
かかる費用の例は、次のとおりです。
- 会議や打ち合わせにかかる人的な費用
- ブランディングに必要な制作物・ツールを導入する費用
- ウェブサイトやメルマガなどの運用費用
予算が十分にないと、インナーブランディングの効果が分からずに実行できなくなってしまいます。
自社にとって効果的な手法を事前に把握したうえで、予算を確保しておきましょう。
効果が出るまでに時間がかかる
インナーブランディングは、企業の理念やビジョンを従業員に浸透させていくのが目的です。
実際に従業員が心から企業の理念や方向性を理解するまでは、時間がかかります。
すぐに効果が出ると思っていると、想定と違った事態に苦しむ可能性があります。
そのため効果が表れるまで時間がかかることを念頭に置いて活動しましょう。
従業員に価値観を強要しない
インナーブランディングを成功させるためには、企業のビジョンに共感してもらうことが大切です。
一方的に従業員に価値観を押し付けずに、分かりやすい施策で伝えていく必要があります。
また改めて企業の価値観やビジョンを明確化することも大切です。
目指すゴールやブランドコンセプトを明確化し、言葉や数値など具体的に使って分かりやすく従業員に伝えましょう。
まとめ:自社に最適なインナーブランディングを取り入れて従業員とともに企業を成長させよう
インナーブランディングは、従業員に対して企業の理念やビジョンなどを共有し、自社に愛着心を持ってもらうことが目的です。
従業員が自社へ愛着を持つことは、従業員の定着率や企業への満足度向上にも繋がり、結果として企業ブランドのイメージの向上に役立ちます。
ぜひ本記事を参考に、インナーブランディングを通じて従業員とともに企業を成長させましょう。
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この記事を書いた人
hata