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空調設備(エアコン)の耐用年数は?減価償却時の注意点も解説

公開日:2023.11.30 最終更新日:2023.11.30

空調設備(エアコン)には法定耐用年数が定められています。また、固定資産として減価償却も可能です。

ただしエアコンは業務用と家庭用で耐用年数が異なるため、減価償却として経費精算する場合は両者の違いを理解しておかなければなりません。

そこで今回はエアコンの耐用年数や、減価償却する際の注意点などを解説します。エアコンを減価償却の対象として経費精算したい方は、ぜひ最後までご覧ください。

空調設備の耐用年数とは?

エアコンなどの固定資産には、国税庁による法定耐用年数が定められています。ただし、法定耐用年数は製品の寿命のことではありません。

通常の用法用途を守った際に本来予定される使用期間が、法定耐用年数です。同一資産で耐用年数に違いが出ないよう、納税者の公平を期すために定められています。

空調設備(エアコン)の耐用年数は、以下のように用途別で期間が設けられています。

  • 業務用エアコン(建物附属設備)
  • 家庭用エアコン(器具および備品)

業務用エアコンは固定資産上「建物付属設備」に分類され、家庭用エアコンは「器具および備品」に分類されます。

では、両者の違いを詳しく解説します。

業務用エアコン(建物附属設備)

業務用エアコンの法定耐用年数は、13年または15年です。年数の違いはエアコンの出力が関係しており、出力22kw(キロワット)を超えるものは15年に分類されます。

また建物附属設備とは、エアコン本体が天井に埋め込まれているといった建物に固着している製品のことです。「明確に建物の構造の一部として扱われているかどうか」が判断する際の基準となっており、業務用エアコンの場合はおもにダクトの有無で判断されています。

家庭用エアコン(器具および備品)

家庭用エアコンの法定耐用年数は、6年です。固定資産上は「器具および備品」の冷暖房または冷暖房機器に分類されます。

家庭用エアコンは業務用エアコンのような高い冷暖房能力がないため、その分法定耐用年数も短めです。「器具及び備品に属する家具、電気機器、ガス機器及び家庭用品」が基準となり、一般的には建物建築後に容易に取り付けられるタイプのものが該当します。

空調設備(エアコン)の減価償却とは?

減価償却とは、時間の経過とともに固定資産価値の低下を反映させるために、購入費用を耐用年数に応じて費用として計上することです。

なお減価償却の対象は原則として、1品あたりの取得金額が20万円以上かつ使用期間が1年以上の固定資産に限られます。

エアコンを経費精算する際の勘定科目は、取得金額により異なります。さらに購入費と設置費は、通常区分けせずにまとめて仕訳可能です。

減価償却するメリット

エアコンを減価償却するメリットは、おもに以下の2つです。

  • 節税効果
  • 財務状況の維持

エアコンを減価償却した場合、耐用年数を上限に購入費用を分割で計上します。購入費を数年にわたり経費化できるため、期間中の利益を抑え節税につながります。

また減価償却することで、安定した財務状況を維持できるのもポイントです。エアコンの購入費用を一回で経費精算した場合、その分購入した年度の所得が下がります。

減価償却して経費を分散させることで、所得が下がらず安定した財務状況を見せられます。とくに中小企業や個人事業主の場合は、大きなメリットとなるでしょう。

空調設備(エアコン)を減価償却する方法

エアコンの減価償却は、以下2つの方法により経費精算できます。

  • 定率法による減価償却
  • 定額法による減価償却

定額法とは、毎年の減価償却費を同じ金額で計上していく計算方法のこと。定率法とは、耐用年数の期間内で毎年一定の割合で経費計上する方法です。

では、それぞれの計算方法での減価償却について詳しく解説します。

定率法で減価償却する

定率法による減価償却費は、以下の計算式で算出可能です。

減価償却費=未償却残高×定率法の償却率

未償却残高とは、減価償却資産を取得した金額から減価償却した金額を差し引いた残高のことです。未償却残高は償却が進むごとに、計上できる減価償却費が減少します。

なお計算で算出した数字が償却保証額以下になった際は、計算式が下記のように変わります。

減価償却費=改定取得価額×改定償却率

改定償却率は償却率と同様に耐用年数ごとに定められており、国税庁の下記ページで確認できます。

減価償却資産の償却率等表|国税庁

また改定取得価額は、「未償却残高×定率法の償却率」が最初に償却保証額を下回った年の期首未償却残高です。

たとえば取得金額が100万円で、法定耐用年数が15年の業務用エアコンの減価償却費は、以下のようになります。なお、耐用年数15年の定率法償却率は0.133です。

<減価償却費の計算方法>

1年目:100万円×0.133=13万3千円

2年目:(100万円−13万3千円)×0.133=11万5,311円

以下8年目まで同様の計算式で算出

※9年目以降は改定償却率である0.143を使用

なお、9年目以降は償却額が償却保証額である4万5,650円を下回るため、改定償却率である0.143を使い算出します。

計算すると改訂取得価額319,268円×改定償却率0.143=45,655円となり、最終年度の残額は45,337円です。

定額法で減価償却する

定額法の減価償却費は、下記の計算式で算出可能です。

減価償却費=取得価額×定額法の償却率

定額法の償却率は、耐用年数ごとに決められています。そのため定率法と比べると帳簿の数字が簡潔で、財務管理しやすいのがポイントです。

前述した定率法の例と同様に100万円の業務用エアコン(耐用年数15年)を減価償却すると、以下のようになります。

100万円×0.067=6万7,000円

つまり耐用年数である15年間にわたり、毎年度を6万7,000円(最終年度のみ6万2,000円)で経費計上する計算になります。

空調設備の貸借対照表への記載方法

空調設備(エアコン)を減価償却した場合、貸借対照表には直接控除法もしくは間接控除法のいずれかで記載します。

では、それぞれの記載方法を前述した定額法の数字をもとに解説します。

直接控除法で記載する

直接控除法での仕訳は、減価償却費を固定資産から直接差し引いて記載します。なお、法人が直接控除法で仕訳する際は、減価償却累計額の注記が必要です。

賃借対照表の記載は、以下のようになります。

借方貸方
減価償却費:67,000建物附属設備:67,000

間接控除法で記載する

間接控除法は、固定資産を減らさずに減価償却費の累計額を計上する方法です。なお減価償却する固定資産が複数ある際は、資産の種類別に仕訳を分けての記載もできます。

借方貸方
減価償却費:67,000減価償却累計額:67,000

間接控除法は直接控除法と比べると仕訳は複雑ですが、固定資産の簿価を取得原価にできるメリットがあります。

空調設備を減価償却する際の注意点

空調設備を減価償却する際の注意点は、以下の通りです。

  • 取得金額に注意する
  • 現金支出は減価償却分しか発生しない
  • プライベート兼務なら費用を按分する
  • 中小企業は特例を活用する

1つずつ詳しく解説します。

取得金額に注意する

エアコンを賃借対照表に記載する際は、取得金額(購入費用+設置費)に注意しましょう。下記のように、勘定科目が取得金額により異なるためです。

取得金額勘定科目の扱い
10万円未満消耗品費
10万円以上20万円未満(耐用年数1年以上)一括償却資産(備品)
20万円以上備品または建物附属設備のいずれか

また取得費用だけではなく、エアコンのクリーニング代も経費計上できます。その場合は修繕費・衛生管理費・雑費・外注費などの科目で仕訳可能です。

現金支出は減価償却分しか発生しない

エアコン購入時の現金支出は、会計処理では減価償却分しか発生しません。減価償却費の相当額が内部保留されるため、会計上は資金調達したのと同様の効果があります。

そのためキャッシュフローは、実際には現金が動いていないことを前提に作成する必要があります。現金支出は取得費用のみで、減価償却費については現金支出が発生しない点を把握しておきましょう。

プライベート兼務なら費用を按分する

プライベートと兼務でエアコンを使う場合は、費用は按分しなければなりません。仕事のためだけにエアコンを使う環境の場合のみ、全額経費として計上できます。

なお、按分計算において基準となる数量は決まっていません。一般的には使用面積や使用日数、使用時間を基準に算出します。プライベートと兼務する場合は減価償却費を按分し、業務に使用した分のみを経費として計上しましょう。

中小企業は特例を活用する

中小企業や個人事業主は「少額減価償却資産の特例」を活用しましょう。30万円未満の減価償却資産を購入した際に、取得価格の相当額を経費にできます。

取得費用の全額を同じ年度内の経費にできるため、課税所得を抑え節税効果につながります。

対象となるのは青色申告書を提出する法人または個人です。詳細な条件は下記国税庁のサイトに記載されています。

中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|国税庁

なお特例が適用される期間は、適用期間は2024年3月31日までです。

まとめ:空調設備は適切に減価償却しよう

空調設備(エアコン)の耐用年数は、業務用エアコンで13年または15年、家庭用エアコンで6年です。固定資産上はそれぞれ「建物付属設備」と「器具及び備品」に該当します。

減価償却する際は、定額法と定率法の2つの計算方法があります。また賃借対照表では直接控除法と間接控除法のいずれかで記載可能です。

なお減価償却の際には、現金支出が減価償却分しか発生しないことや、プライベート兼務の場合は費用の按分が必要な点などに注意しましょう。

 

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hata

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