OAフロアとは?設置するメリットと注意点を解説
公開日:2024.04.26 最終更新日:2024.08.08
OAフロアを適切に配置することで、オフィス内の安全性を保てるようになります。安全な環境で勤務できるようになると、生産性が向上します。
また、より質の高い商品やサービスが作れるようになるため、売上も向上するでしょう。
本記事ではOAフロアの基本や選ぶ際のポイントについて紹介します。OAフロアを設置するメリットも解説しているため、ぜひ最後までご覧ください。
OAフロアとは?
OAフロアとは、電子機器に用いられるケーブルやコンセントを床下に収納するための二重床のシステムです。
「Office Automation Floor」の略称であり、「フリーアクセスフロア」とも呼ばれています。通常の床の上にフロアパネルを設置し、床とパネルの間に空洞部分を作ります。
二重構造の床の間に、配線類を収納可能です。
インターネットの普及に伴い、オフィスでは大量の配線が必要とされるようになりました。配線を機器につなげた結果、床には露出配線や保護材でカバーされたモール配線が増えました。結果、フロア内でつまづきやすくなり危険性が増し、断線やレイアウト変更時の手間を引き起こしました。
問題を解消するため、配線を床に収納できるOAフロアが普及し、配線が隠れることで床の安全性が向上しました。オフィスのレイアウト変更が容易になったことで現在でも便利なシステムとして利用されています。
OAフロアの種類
OAフロアには「置敷タイプ」「支柱タイプ」の2種類があり、オフィスや各フロアの配線の状況に応じて使い分けることが重要です。
置敷タイプは、施工が容易で、コストも抑えられるため、一般的な企業の多くで使われています。
一方、支柱タイプは配線を多く収納可能なことや、床からの高さを調整可能です。大規模なオフィスや配線類が多い環境で使われることが多いです。
ここでは、それぞれのOAフロアのタイプについて解説します。
置敷タイプ
置敷タイプとは、支柱とフロアパネルが一体化している物を指します。
床の上に直接パネルを敷き詰めて二重床にする方式です。施工自体は敷き詰めるだけで完成するため、スピードとコスト重視の場合におすすめです。
置敷タイプは次の手順で床を作成します。
- クッションシートを敷き、床面を安定させる
- OAフロアを敷く
- スロープを設置する
- 仕上げ材を敷く(完成)
また、オフィスの用途や施工条件によって「置敷式簡易OAフロア」「置敷式溝配線OAフロア」に分けられます。
置敷式簡易OAフロアについて
置敷式簡易OAフロアとは、簡易的にパネルを置敷できるタイプで、置敷タイプの中でもコストを安く抑えたい場合におすすめです。
ただし、歩行時に違和感を覚える可能性があり、空洞音があるデメリットが挙げられます。また、配線をしっかりと設計・固定しておかないと、配線の混触やノイズが発生する可能性があります。
構造上、支柱が配線の上に乗る可能性があるため、あらかじめ配線を決めましょう。
置敷式溝配線OAフロアについて
置敷式溝配線OAフロアは溝に沿って配線するタイプで、次の場合におすすめです。
- 配線数が少ない
- レイアウト変更・増床の予定がある
ただし、置敷式溝配線OAフロアは樹脂製が多いため、重量物を載せる場合は破損の危険があるため注意が必要です。
置敷タイプを利用するメリット・デメリット
置敷タイプを利用する全体的なメリットは次の通りです。
- 施工期間が短い
- 費用が抑えられる
- 高さ調整が不要
- 建物を傷つけない
- レイアウトの変更が容易
メリットが多い一方デメリットもあるため、オフィスの状況に応じて選ぶことが重要です。
- 平らな床にしか設置できない
- 高さ調節ができない
- 耐荷重性能が低い
- 床に凹凸や傾きがある場合に設置が大変
支柱タイプ
支柱タイプは、高さ調節可能な支柱を固定し、上にパネルを乗せ二重床にする方式です。
高さ、幅ともに調節が可能なため、配線類が多い場合や、将来的にレイアウト変更や増設の可能性がある場合におすすめです。
支柱タイプは、次の手順で床を作成します。
- 支柱を使い高さを調整する
- 支柱の上にフロアパネルを置く
- 必要に応じてスロープなどを設置する
- 仕上げ材を敷く(完成)
支柱タイプは設置する物の重量に応じて支柱を増やしたり、ベニアなどで補強するといった対策が取れます。使い方によってさまざまな状況のオフィスで利用できるようになるため、利便性が高いです。
支柱タイプを利用するメリットは次の通りです。
- 多くの配線を収納できる
- 少ない配線でも柔軟に対応可能
- 床に凹凸や傾きがあっても設置可能
- 耐荷重性能が高い
- 安定性が高い
- 歩行感が良い
支柱タイプを利用するデメリットもあります。
- 施工に時間がかかる
- コストが高い
種類ごとのメリット、デメリットを把握したうえで最適なOAフロアを選びましょう。
OAフロアを選ぶ際に着目すべきポイント
OAフロアを選ぶ際に着目すべきポイントは次の7点です。
- 施工期間
- 価格
- 高さ
- 配線方法
- 耐荷量
- 材質
- 施工条件
順番に解説します。
施工期間
施工期間に応じて、OAフロアの種類が変わります。
60.5畳のオフィスの場合、置敷タイプは1日程度、支柱タイプは3日程度の施工期間が必要です。
ただし、搬入条件やオフィスの面積によって施工時間が大きく変わります。
施工期間や予算に限りがある場合は置敷タイプ、施工期間に余裕がありレイアウト変更や増設の可能性がある場合には支柱タイプにすると良いでしょう。
OAフロアの価格
OAフロアの値段は種類によって異なります。一般的に置敷タイプは1㎡につき3,000~5,000円、支柱タイプは1㎡につき6,000~8,000円程度です。
また、OAフロア本体の価格だけではなく、施工費もかかります。次の4つの理由から、事前に予算を把握することが重要です。
- 予算内でOAフロアを設置するため
- 複数のOAフロア業者から見積もりを取り比較しやすくするため
- 予算内で収めるための条件交渉を行うため
- 予期せぬ遅れや追加費用の発生を防ぐため
事前に予算を把握し、想定外の事態が起きないようにあらかじめ準備しましょう。
OAフロアの高さ
一般的なオフィスの人数に対するOAフロアの推奨高さは次の通りです。
オフィス(人数や条件) OAフロアの高さ 一般20人程度のフロア 40mm 一般50人程度のフロア 50mm程度 一般50人以上のフロア 50mm以上 サーバールーム 高さ調節可能な支柱タイプ
ただし、配線数によって必要な高さは変わります。事前にOAフロア業者に相談することで、OAフロアの最適な高さが明確になります。
OAフロアの配線方法
事前にOAフロアの配線方法を決めておくメリットは次の通りです。
- 効率的かつ安全な配線を確保できる
- 配線の混触やノイズの発生を防げる
- 施工段階でのトラブルや修正作業を最小限に抑える
- 将来的な変更や追加の際にスムーズに対応できる
- 無駄な作業や材料の使用を避けられる
配線方法には次の2つがあります。
- パネル下配線:支柱や脚の間の空洞部分に収納する方法
- 溝配線:パネルの溝に沿って配線し、上からカバーをかぶせて配線を保護する方法
パネル下配線は配線容量が多く、自由度の高い配線設計が可能ですが、混触が発生する可能性があります。
一方溝配線は配線の変更や増設が容易ですが、配線の収納容量が少ないです。
通常はパネル下配線とし、配線数が少ない場合や、レイアウト変更・増床の予定がある場合には溝配線を選択するとよいでしょう。
OAフロアの耐荷量
OAフロアは、オフィスで使う家具や電子機器の重量に耐えられるか確認しなければいけません。
確認しないまま購入すると、OAフロアの破損だけではなく、ケガによる人的資本の損失につながる可能性があります。
OAフロアの耐荷量を判定する際、1㎡あたりに耐えられる重さを示す「N(ニュートン)」を利用することが多いです。
耐荷量が1,000Nの場合、1,000Nはおよそ100kgとなるため1㎡あたりに100kgまでなら耐えられます。耐荷重は一般的に置敷タイプより支柱タイプの方が高いとされており、また、OAフロアの材質によっても異なります。
耐荷重の目安は次の通りなので、参考にしてください。
ニュートン数 主なオフィスの使用用途 3,000N オフィス家具や書庫、複合機を使用する場合 4,000N 大きな書庫や本棚、サーバー機器といった重量物を設置する場合 5,000N コンピューター室やサーバールームといった大型の電子機器を設置する場合
OAフロアの材質
OAフロアは材質によって耐荷重や歩行時の音の鳴り方、価格、配線収納容量が変わります。予算や使用用途、オフィス家具の重さによって適切な材質を選びましょう。
ここでは、次の材質について解説します。
- コンクリート
- プラスチック
- スチール
- アルミ
- 樹脂
コンクリート製
吸音性が高く、歩行時の音を軽減させたい場合に特におすすめです。重量がやや重いものの、耐久性が高く、配線のしやすさに優れています。
また、配線がコンクリートの溝に格納されているため、混触を防止できます。さらに、通信不良や機械の誤作動を引き起こす原因であるノイズを防ぐ効果も高いです。
そのため、サーバールームのような重要物の保管されているエリアにおすすめです。
プラスチック製
プラスチック製のOAフロアは、軽量なため建物への負担が少ないことが特徴です。
ただし歩行感が頼りなく、耐久性と耐燃焼性に欠けるため、非常事態が発生した際に二次被害が広がる可能性があります。
スチール製
レベル調整が可能で便利な一方、経年劣化が早いです。
配線の収納量が多いため、レイアウトの変更が多いオフィスにおすすめです。歩行感が良好なため、オフィス内の歩きやすさを重視する場合にもよいでしょう。
ただし、ポコポコとした空洞音がするため、歩行音を気にする場合には向きません。リサイクル性にも優れており、移転などにより、OAフロアが不要になった時にもエコに活用できます。
アルミ製
アルミ製のOAフロアは耐荷重性、耐久性、耐震性に優れています。
重量のある機器や家具を支える能力が高いため、ニュートン数が大きい環境に適しています。
また、アルミは非磁性体のため磁場に影響されません。磁場の影響が大きいコンピュータールームや機械室での利用が特におすすめです。
樹脂製
樹脂製OAフロアは、価格も比較的安価で、軽量で施工が容易なため建物への負担が小さく済みます。
再生ポリプロピレンなどの樹脂素材を使用しており、DIYにも適しています。
また、部屋の形状に合わせてカットできる柔軟性も持ち合わせており、レイアウト変更が多い場合や小規模オフィスに最適です。ただし、耐荷重にはやや難があるため、補強が必要になる頻度が高いです。足音が響きやすいため吸音対策も必要になるでしょう。
施工条件
ビルによっては工事のルールを定めている場合があるため、事前にビル管理会社に施工条件を確認しておくことが重要です。
例えば、施工条件には次の2点があります。
- OAフロアの材質や接着剤の使用に制約がある
- 大きな音が出る場合、曜日や時間の指定がある
また、オフィスの天井の高さも確認しましょう。通常は2.5m~3mですが、低い場合もあります。
OAフロアを高くすると、天井が低くなるため圧迫感を覚えることがあるでしょう。
OAフロアを設置するメリット
OAフロアを設置することで、次のメリットがあります。
- レイアウトの変更が容易
- オフィスのデザインや安全性が保てる
- 働く環境が整う
- 掃除が楽になる
順番に解説します。
レイアウトの変更が容易
OAフロアを設置すると床上に配線がなくなるため、デスクのようなオフィス家具の配置を自由に可能です。
また、オフィスの拡張に伴う配線の変更や追加を気軽に行えるようになります。さらに、床の上をスッキリさせることで、オフィス家具や複合機など大型電化製品のレイアウトを変えやすくなります。
関連記事:オフィスレイアウトを整える3つのコツとは?パターンの例や効果を解説
オフィスのデザインや安全性が保てる
OAフロアは配線を床下に隠せるため、オフィスの見た目がスッキリします。結果、デザインやインテリアを重視したオフィスを作れるため、社内の評判の上昇につながることもあるでしょう。
また、床下に電源ケーブルや電話線などの配線類を収納できるため、次のトラブルを防げます。
- 配線が抜けて作業中のデータが保存されず終了する
- ケーブルが断線し重要なデータを損失する
- 機器に異常が起こる
- 配線に足をつまずき転倒し、ケガをする
働く環境が整う
働きやすい環境を整えるためには、社員の動線や業務効率を重視する必要があります。しかし配線の位置が固定されていると、レイアウトの検討が困難な場合が多いです。
OAフロアを導入すると、スムーズな動線を重視したレイアウトを作成し、働きやすい環境を作れるようになります。
掃除が楽になる
床の上に配線があることで掃除できる範囲が限られ、ケーブルの束にホコリがたまることで床を清潔に保ちづらくなります。
OAフロアを設置することで、配線類を床下に収納可能です。配線を隠すことにより露出配線やモール配線による床面の凹凸がなくなるため、掃除が楽になります。
まとめ:OAフロアを理解して、快適なオフィス環境で業務にはげもう
OAフロアを効果的に利用することで、業務時だけではなくレイアウト変更時にも快適な移動ができるようになります。
また、安全性の維持や掃除の容易さにより社員の満足度が増加する可能性があるでしょう。ただしOAフロアは安くないため、全部署に同時に配置しようとすると費用がかさみます。
OAエリアを配置する部屋に優先順位を立てるとよいでしょう。重要な部屋からOAエリアを配置し、快適なオフィス環境で業務に取り組みましょう。
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この記事を書いた人
hata