オフィスの適正温度・湿度はどのくらい?設定のポイントを解説
公開日:2023.11.19 最終更新日:2024.07.12
業務効率を高めるには、オフィス環境の改善が欠かせません。
オフィス内の温度や湿度も改善項目の一つ。何となく管理していると、寒すぎて体調を崩したり、暑すぎて業務に集中できなくなったりなど支障をきたす恐れがあります。
適性温度を理解したうえで、各社員が快適に過ごせる環境を作る必要があるでしょう。
本記事では、オフィスの適正温度・湿度の目安を紹介します。最適化する必要性や対策方法も取り上げるので、ぜひ参考にしてください。
オフィスの最適な温度・湿度の基準
そもそもオフィスの温度と湿度は、どの程度に設定すべきなのでしょうか。ここでは、法律によって定められる基準と、生産性の観点で最適な基準の2つにわけて解説します。
結論、それぞれの最適な基準は以下のとおりです。
- 法律の基準は18℃~28℃
- 生産性を向上するなら22℃~24℃
以下で詳しく解説します。
法律の基準は18℃~28℃
オフィスの温度と湿度の適正基準は、労働安全衛生法に基づく「事務所衛生基準規則」によって以下のように定められています。
- 温度:18℃~28℃(空調設備がある場合)
- 湿度:40%~70%
以前は17℃が最低基準でしたが、2022年4月の法改正で18℃に変更されました。
なお、室温に関しては第4条に具体的な規定があります。室温が10℃以下の場合は、暖房を稼働させるなど、適当な措置を講じなければなりません。また、冷房をつける場合は、室温を外気温より大幅に低く設定してはいけない決まりになっています。
上記の規定に違反した場合、事業者に50万円以下の罰金もしくは6か月以下の懲役が科される恐れがあるため注意しましょう。
生産性を向上するなら22℃~24℃
オフィスの温度や湿度は、生産性にも影響を与えることがわかっています。
空気調和・衛生工学会大会が発表した調査によると、室温が25℃から26℃に上昇した際、作業効率が2.1%低下したと報告されています。
また、コーネル大学のアラン・ヘッジ氏が実施した調査では、室温を低くしたことで作業効率が10%低下したという結果も出ています。なお、室温を20℃から25℃に上げたらタイピングエラーが44%減り、入力文字数が150%も増加したそうです。
アアルト大学(旧ヘルシンキ工科大学)とローレンス・バークレー国立研究所の調査によると、生産性が最も高まる温度は22℃と報告されています。また、ロンドン大学の調査では22℃〜24℃が最適という結果も出ています。
このことから、生産性向上を考慮する場合は22℃〜24℃を目安に、自社のオフィスに最適な室温を見極める必要があるでしょう。
オフィスの適正温度・湿度を見極める必要があるのはなぜ?
オフィスの温度・湿度を管理する際は、適正数値を理解したうえで自社に最適な基準を見極める必要があります。理由は以下の4つです。
- 快適に感じる温度は人によって異なるから
- 業務内容によって体感温度が変わるから
- デスクの位置によって空調環境が異なるから
- 外気と温度差がありすぎると体調不良を引き起こすから
順番に見ていきましょう。
快適に感じる温度は人によって異なる
快適に感じる温度は、性別や年齢、体質によって異なります。
たとえば、筋肉量が豊富で代謝が活発な男性は暑がりなケースが多いです。一方で痩せ型の女性は冷えを感じやすいといわれています。
同じ環境下でも体格や体質によって快適だと感じる室温は変わるため、社員に合った適正温度を見極める必要があります。
業務内容によって体感温度が変わる
体感温度は個人の業務内容によっても変わります。
外回りで身体を頻繁に動かす営業職と、デスクからほとんど動かない事務職では、温度の感じ方が異なります。
デスクの位置によって空調環境が異なる
同じオフィス内でも、デスクの位置によって空調環境が変わる場合もあります。
たとえば窓に近い位置にデスクがあるケースでは、直射日光による暑さや、窓からの冷気を感じやすくなります。また、OA機器のそばに配置された席の場合は、熱源の影響を受けやすくなるため注意が必要です。
外気と温度差がありすぎると体調不良を引き起こす
真夏や真冬に空調を効かせすぎると、外気との温度差が大きくなり、体調不良を引き起こす原因になります。外の気温に応じて、オフィス内の温度を最適な状態に調節する必要があるでしょう。
オフィスを最適な温度・湿度に保つ方法
体感温度には個人差があるため、オフィスを適切な温度にしたとしても暑い、寒いと感じる社員がどうしても出てきます。
そのような際は、以下の方法でそれぞれの温度や湿度を整える工夫をしましょう。
- 熱源の影響を考慮する
- カーテンやブラインドを導入する
- 夏季は扇風機を設置する
- 冬季は加湿器で乾燥を防ぐ
- こまめに換気をする
- エアコンの風向きを工夫する
- 時間帯に合わせて空調を調節する
- フリーアドレス制を導入する
1つずつ解説します。
熱源の影響を考慮する
デスク周りに照明やパソコン本体、コピー機などの熱源があると、体感温度が高くなります。
パソコン本体は足元に設置する、熱を発しやすい白熱灯や蛍光灯からLEDに変更するなどして、熱源の影響を受けにくくしましょう。
カーテンやブラインドを導入する
窓の近くにデスクがある場合は、直射日光によっても体感温度が上がります。
日差しによって暑さを感じる際は、カーテンやブラインドを設置して気温の上昇を防ぎましょう。
夏季は扇風機を設置する
オフィス内で冷房の効き具合を均一にすることは難しく、離れた場所だと冷気が十分に行き渡りません。
そのような際は、扇風機やサーキュレーターを活用しましょう。冷気を循環させることで、オフィス内の温度を均一にできます。
冬季は加湿器で乾燥を防ぐ
冬場に暖房を使用すると、室内の湿度が下がって乾燥を感じやすくなります。
オフィス内の空気が乾燥するとウイルスが増えやすくなるため、加湿器を設置して最適な湿度に保ちましょう。
関連記事:冬場にオフィスで暖房を使用する際の2つの注意点と効率よく使うコツ
こまめに換気をする
冷暖房を長時間使用する際は、こまめに換気しましょう。
換気をしないまま放置すると汚れた空気がオフィス内に滞留し、さまざまな健康被害を引き起こす恐れがあります。定期的に窓を開けて新鮮な空気と入れ替えましょう。
なお、オフィスが高層階にあり窓を開けるのが難しい場合は、空気清浄機の設置を検討してください。
エアコンの風向きを工夫する
冷暖房の風が直接当たると、暑さや寒さを感じやすくなります。
エアコンの風が人に当たらないよう、壁や天井へ風向きを調節しましょう。
時間帯に合わせて空調を調節する
朝・昼・夜では、それぞれ外気温が異なります。
朝と夜は気温が低く、昼間は暖かいケースが多いため、オフィス内の温度も合わせて調節しましょう。
フリーアドレス制を導入する
フリーアドレス制とは、オフィス内で固定席を決めず、ノートパソコンを活用して自分の好きな場所で仕事をするスタイルです。
自分が快適と感じる場所で仕事ができ、空調問題を解決する手段の一つとして有効活用されています。
オフィスの温度・湿度を管理する際のポイント
オフィスの温度と湿度を管理する際は、以下2点を意識しましょう。
- 複数箇所に温度計と湿度計を設置する
- 空調の管理者を決める
それぞれ解説します。
複数箇所に温度計と湿度計を設置する
OA機器などの熱源や窓からの日差しによって、各所の温度や湿度は異なります。
そのため、一か所で温度を計測しても、オフィス全体がその温度を保てているとは限りません。複数個所に温度計と湿度計を設置することで、オフィス内の環境を効率よく管理できるでしょう。
空調の管理者を決める
すべての社員が空調の温度を自由に変更できる環境だと、オフィスの室温が安定しなくなる恐れがあります。
空調の管理者を決め、管理者以外が設定温度を操作できなくすることで、一定の環境を保ちやすくなるでしょう。
まとめ:オフィスに最適なエアコンの温度・湿度を見つけよう
労働安全衛生法に基づく「事務所衛生基準規則」では、オフィスの適正温度は18℃〜28℃、湿度は40%〜70%と定められています。
しかし、体質やデスクの場所、業務内容の違いによって体感温度が異なるため、自社のオフィスに最適な温度と湿度を見極める必要があります。
オフィスの温度に悩みを抱える担当者は、ぜひ本記事を参考に、社員が快適だと感じる温度を見つけてみてください。
業務用エアコンの優良おすすめ業者とメーカーを知りたい方はこちらをご覧ください。
業務用エアコンのおすすめ主要国内メーカー6社を比較!優良な販売・設置会社も紹介
地域別におすすめ業者を知りたい方はこちらをご覧ください。
この記事を書いた人
hata