
業務用エアコンの耐用年数は何年?できるだけ長く使い続けるには?
公開日:2021.02.19 最終更新日:2024.07.11
業務用エアコンは高価な機器ですが寿命があるため、トラブルを防ぐためにも目安を把握した上で適切に運用していくことが大切です。
今回は、業務用エアコンのタイプ別の耐用年数と寿命が短くなる要因を紹介します。
業務用エアコンの入れ替えをご予定されている事業者様はご一読ください。
業務用エアコンの耐用年数の目安
業務用エアコンの耐用年数は、6~15年が目安です。
ただし、これは法定耐用年数をもとにして出した数字。
実際に、この期間で壊れるということではありません。
業務用エアコンには、さまざまなタイプがありますが、天井裏に埋め込むなどの建物付随設備であれば約15年と長め。
そして、家庭用エアコンのように壁に取り付けたり、床に置いたりするタイプのものは、短めで約6年です。
3種類の耐用年数とは
耐用年数とは、何らかの資産が使用に耐えうる年数のこと。
エアコンの耐用年数について、一般的な目安としては「法定耐用年数」という言葉が使われます。
しかし、他にも「物理的耐用年数」や「経済的耐用年数」などもあるため、一度それぞれの違いについて確認しておきましょう。
法定耐用年数
法定耐用年数とは、固定資産の会計手続きに使うために決められている期間のことです。
物品に応じて定められており、一般的に言う「機器の寿命」の指標として利用されています。
ただし、実際の寿命が法定耐用年数と同じかと聞かれれば、そうではありません。
業務用エアコンが使えなくなるまでの期間は、使用状況や環境が大きく影響するからです。
物理的耐用年数
物理的耐用年数は、エアコンの部品ごとに設定されている耐用年数です。
これはつまり、決められたメンテナンスを行うことで、本来のパフォーマンスを維持できる期間のこと。
たとえば、エアコン内部に使われているゴムは約10年、エアコンのフィルターは約5年といったように決められています。
物理的耐用年数がすぎると部品が摩耗して故障率が上がるため、部品ごとに耐用年数を把握しておき、次期がきたらメンテナンスをすることがおすすめです。
経済的耐用年数
経済的耐用年数とは、ランニングコストが増大したために、買い替えを検討するまでの年数のことです。
エアコンを使っている間に、故障が増えてメンテナンス代がかさめば、買い換えた方がお得になることもあるでしょう。
この時点で「経済的耐用年数が超過した」ということになります。
経済的耐用年数は、法定耐用年数や物理的耐用年数のようにあらかじめ期間が定められていません。
利用方法や環境によって、経済的耐用年数は長期化できます。
寿命と法定耐用年数の違い
前述したように、法定耐用年数は言わば税法上の寿命を指します。
確定申告で、減価償却費を決算書に計上するときに使われる「寿命」なのです。
そのため、多くの場合は、法定耐用年数がエアコンの寿命と一致しません。
実際の寿命は、稼働率・使用状況・メンテナンスの有無や回数などによって、大きな影響を受けます。
業務用エアコンが、その役目を終える時点が本来の意味の「寿命」です。
法定耐用年数よりも短い期間で使えなくなることもあれば、思った以上に長期間問題なく使えたということもあるでしょう。
一般的な業務用エアコンの寿命
業務用エアコンにも複数の種類がありますが、ビルトインやダクトエアコンなど建物の設備に属する機器は、約10~15年程度と考えられています。
そのため、設置から10年を超えていれば、不具合が多くなったり空調効率が悪くなったりする可能性が高いでしょう。
業務用エアコンの寿命が耐用年数よりも短くなる原因
上記にて解説いたしました耐用年数は、あくまで目安であり、使い方によって耐用年数よりも長く利用できる場合もあれば寿命が早く来てしまう場合もあります。
ここからは、業務用エアコンの寿命が短くなる3つの原因を解説します。
原因①長時間の稼働
業務用エアコンの寿命が短くなる原因としてまず挙げられるのは、長時間の運転を繰り返し行っているというものです。
耐用年数は、一日のおおよその稼働時間を想定したうえで計算されています。
そのため、毎日24時間休むことなく稼働させると耐用年数よりも寿命が短くなってしまうのです。
24時間営業のコンビニや工場など、業務用エアコンを休むことなく稼働させる必要がある場合は寿命が比較的早く来てしまうということは念頭に置きましょう。
原因②負担のかかりやすい環境での稼働
業務用エアコンに負担がかかりやすい環境下での使用も、耐用年数が短くなる理由の1つとして挙げられます。
下記のような要因と結びつきやすい環境はエアコンにとって負担となりやすいでしょう。
- 高温・多湿
- 電源電圧による負荷
- 粉塵
- オイルミスト
- 潮風
- 硫化ガス
原因③定期的なメンテナンスを行っていない
業務用エアコンは精密機械ですので、定期的なメンテナンスが欠かせません。
メンテナンスを行なうことで不具合を早期に発見でき、故障を未然に防止できるためです。
逆に、メンテナンスを怠ってしまうと不具合になかなか気づくことができず、故障につながってしまいます。
業務用エアコンを長く使うために必要なこと
業務用エアコンは高価な機器のため、できるだけ長く使いたいと考えるのは当然のことです。
では、少しでも業務用エアコンを長く使うために、すべきことはなんでしょうか。
次の3つに気を付けるようにしてください。
業務用エアコンを使用する際の注意点
- 定期的なメンテナンス
- 定期健診を行う
- メンテナンスが楽な商品を選ぶ
定期的なメンテナンス
大切なのは、定期的なメンテナンスを行うことです。
季節ごとの掃除や部品の劣化チェックなど、店舗や家を掃除するように業務用エアコンのケアも、日ごろから行うようにしてください。
日常的にしっかりメンテナンスを行っている機器と、不調になってからケアする機器とでは、寿命が倍以上の差が出ると考えられています。
トラブル後に対処すると機能は回復しますが、それは一時的なこと。
その後の寿命が大きく伸びることはありません。
特に、工場や飲食店に代表される業務用エアコンにとって悪条件である環境下では、フィルターの掃除は必須項目です。
付着している埃を掃除機で吸い取り、中性洗剤や歯ブラシなどを使って油汚れを取りましょう。
カビが生えないように、最後に乾燥させることも忘れずに行ってください。
日常的に掃除しているかどうかで、業務用エアコンの寿命の長短が決まります。
定期点検を行う
専門の業者による定期点検も、必ずすべきことです。
一般的な掃除では、フィルターの汚れを取ったり、部品の劣化を確認したりといったことですが、内部のクリーニングまでは難しいもの。
専用の機械を使ったクリーニングを受けることで、冷暖房効率を下げずに済み、機器に負担もかけません。
業者によるメンテナンスは、2〜3年に1度です。
なお、異音がしたり空調効率が下がっていたりなど、異常を感じたら、早目に業者へ相談してください。
対応が遅くなると、業務用エアコンの寿命を短くしてしまうおそれがあります。
メンテナンスが楽な商品を選ぶ
最近は業務用エアコンも性能が上がり、個人で行うメンテナンスの手間が減りつつあります。
お掃除機能がついたものなど、メンテナンスが楽な商品を選ぶことも大切でしょう。
メンテナンスの楽さは、ケアのモチベーション維持に役立つはずです。
業務用エアコンの買い替えるタイミング
業務用エアコンも家庭用エアコンと同じように、買い替えがおすすめのサインがあります。
以下のようなサインがでたら、業務用エアコンを買い替えるタイミングであると考え、次のエアコンのリサーチを始めましょう。
業務用エアコンの買い替えのサイン
- 異音や異臭がする
- 空調機能が低下した
- 水漏れしている
- ブレーカーが落ちる
- R22冷媒が使用されている
異音や異臭がする
異音がするときは、まずフィルターの目詰まりが考えられます。
それに関しては、掃除をすれば簡単に解決できるため、問題ありません。
しかし、送風ファンやコンプレッサーが出す異音だとすると、故障していると考えられます。
放置して使い続けていれば、さらに大きな故障に発展する可能性があるため、買い替えを検討しましょう。
また、異臭がカビからくるものであれば、業者がするクリーニングでケアできます。
しかし、クリーニングをしても改善されない場合には、汚れた空気がまかれてしまうことに。
すぐに使用をやめ、修理に出すか買い替えするかにしてください。
また、業務用エアコンの故障時にかかる費用について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
関連記事:業務用エアコンの故障時は修理と交換どちらがお得?費用の目安とともに解説
空調機能が低下した
空調機能が低下する多くの原因は、フィルターの目詰まり、もしくは室外機の放熱フィンの目詰まりです。
これらを掃除し、それでもなかなか冷えない(温かくならない)ということであれば、寿命が来ていると判断できます。
水漏れしている
エアコンの本体や室外機から水漏れしていたら、これも要チェックです。
エアコン本体からの水漏れは、ドレンホースと呼ばれる排水管が汚れで詰まっていることが原因のため、掃除をすれば収まります。
しかし、もしも水漏れ箇所が室外機からであれば、ガス管からの冷媒ガスの漏れが原因かもしれません。
冷媒ガスが漏れている場合、室外機の周辺に大量の霜が付着。
それがエアコン停止時に外気によって溶け、水となって流れるのです。
ガス漏れはガス管の劣化、もしくは損傷や施工不良によって起こります。
修理は可能ですが、買い換えた方が安いケースもあるでしょう。
ブレーカーが落ちる
業務用エアコンをつけていてブレーカーが落ちるなら、電気系統のトラブルが原因です。
問題があるのは、エアコンを動かす配線、もしくはコンプレッサー、そして基盤でしょう。
そのため、電気系統のトラブル修理となります。
電気系統の修理は難しいうえに、時間がかかることも多いので、買い替えた方が早いかもしれません。
R22冷媒が使用されている
これは、正しくは故障や劣化のサインではありませんが、もしもR22冷媒が使用されているエアコンであれば、買い替えを検討した方がよいでしょう。
R22は、温室効果ガスが使用されている冷媒で、2000年以前の業務用エアコンでは一般的に使用されていました。
特徴は、少ない容積で高い冷凍能力を実現できることです。
しかしながら、このR22冷媒は温室効果ガスを出すため、環境へ悪影響を与えます。
SDGsへの取り組みが重要となっている現在は、生産量の削減が進んでおり、ほとんどのメーカーはすでに新しい冷媒を使用中です。
また、2019年に国内製造が全廃されていることから、部品が欠品して修理もできない可能性が高いでしょう。
そのため、R22冷媒を使っている業務用エアコンであれば、可能な限り早目の買い替えを検討してください。
もしも、どの冷媒を使っているかわからない場合には、室外機を確認しましょう。
型式と一緒に使用している冷媒名が記載されています。
また、R22フロンを使用した業務用エアコンについて知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください。
関連記事:R22型フロンを使用した業務用エアコンを入れ替えるべき理由
業務用エアコンは修理と交換どちらがいい?
業務用エアコンは高価なもののため、故障したからといって真っ先に買い替え判断をすることは少ないはずです。
多くの方ができることなら修理で済ませ、もう少しだけでも使いたいと考えるでしょう。
しかし結論から言うと、すでに10年以上使っているエアコンであれば、修理よりも買い替えをおすすめします。
判断基準が使用年数であるのは、どれだけ長く使っているかによって修理代が異なるからです。
メーカーの保証期間は、多くの場合で3〜5年で設定されています。
つまり10年超えのエアコンは、保証期間を過ぎているため、修理代が高額になりがち。
たとえば、コンプレッサーが故障していたり冷媒ガスが漏れていたりした場合、修理代だけで数十万円になることもあるでしょう。
修理でそれだけのお金を使うなら、性能も機能もアップした新品にするほうが、長期的にはお得ではないでしょうか。
ただし、稀に保証期間が長いメーカーもあるため、まずは修理に出せる年月かを確認してから決めることが大切です。
多くの業務用エアコンは、8年程度で調子が悪くなります。
もしメーカー保証が8年や9年、10年であれば、修理代にさほどお金をかけずに済むでしょう。
また、製造から10年以上経っているエアコンは、内部の部品がすでに製造中止となっている可能性もあります。
部品がなければ修理したくてもできないため、その場合は有無を言わさず買い替えとなります。
業務用エアコンの故障でお悩みの方は、こちらの記事をご覧ください。
関連記事:業務用エアコンの故障時は修理と交換どちらがお得?費用とともに解説
業務用エアコンの耐用年数は6年~が目安。負担をかけすぎず、定期的なメンテナンスを
以上、業務用エアコンの耐用年数の目安と寿命が短くなってしまう3つの要因を解説しました。
業務用エアコンの耐用年数は短いもので6年、長いもので15年程度までとされていますが、負担のかかる運用を続けると寿命が短くなってしまいます。
できるだけ長く利用するためにも、定期的なメンテナンスを行いましょう。
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この記事を書いた人
編集部員 城下
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