業務用エアコンの定期点検義務とは?
公開日:2021.02.19 最終更新日:2024.07.11
2020年4月のフロン排出抑制法の改正により、業務用エアコンの定期的な点検が義務付けられるようになりました。
そこで本記事では、業務用エアコンの定期点検義務の概要と必要な理由について解説していきます。
定期点検義務についてご不安な点のある事業者様はぜひご一読ください。
業務用エアコンの定期点検義務とは
業務用エアコンの定期点検義務とは、業務用エアコンに異常がないか定期的に点検と記録を実施することです。
エアコンの規模に応じて使用者自身が実施できる簡易点検と、有資格者が行なわなければいけない定期点検があります。
簡易点検は3ヶ月に1回以上使用者自身が実施します。
ビルに設置されているマルチエアコンや店舗で使われるパッケージエアコンであれば、点検内容は室外機に異常がないか・室内機の熱交換器の霜付きはないかを確認する程度の簡単なものです。
また、一定規模以上の業務用エアコンは専門家による定期点検が必要です。
7.5kW以上で50kW未満の機器では3年に1回以上、50kW以上の機器では1年に1回以上の定期点検が義務付けられています。
業務用エアコンを使用していて特に問題がなければ点検など必要ないと考えるかもしれませんが、フロン排出抑制法の改正に伴い、2020年4月から簡易点検・定期点検が義務化されました。
点検を怠り、トラブルにつながると罰金が課せられる可能性もあるため、きちんと点検を行いましょう。
また、業者の中にはきちんとフロンの排出処理ができない業者もあります。
きちんと手順を踏んで業務用エアコンの設置を行ってくれる業者を、こちらの業務用エアコンの業者選びのポイントを確認して選びましょう。
参照元:フロン排出抑制法ポータルサイト
なぜ業務用エアコンに定期点検が必要?
業務用エアコンに定期点検の実施が義務付けられているのは、フロンガスの漏えいの有無を確認するためです。
フロンガスは、大気中に漏えいすることでオゾン層を破壊し、温室効果により環境に大きな影響を与える存在として知られています。
業務用エアコンは、このフロンガスを冷却媒体として使用しており、経年劣化で密閉性が低下したり、内部部品の腐食で一部に穴が開いてしまったりすることで、ガスが漏れてしまう恐れがあるため、厳しい管理が必要とされているのです。
特に業務用エアコンは、大型で長期にわたり使用されるため劣化や故障の可能性が高く、漏えいするフロンガスの量も多いことが以前から懸念されていました。
それを受けて、2020年4月1日には法改正により「フロン排出抑制法」が施行され、点検と廃棄時のフロンガス回収が確実に行われるようになっています。
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フロン排出抑制法とは
フロンガス排出抑制法とは、2001年に施行された「フロン回収破壊法」を改正し、2015年4月に施行された法律です。
当初は名称の通り、機器の廃棄時にフロンガスを回収・破壊することが目的でしたが、2015年にはフロンガスの製造、使用、廃棄までのサイクルを包括的に管理することを目的に「フロン類の仕様の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)」に改正され、管理側に定期的な点検や漏えい時の報告などが義務付けられました。
2020年4月には「改正フロン抑制法」が施行され、それまでの義務に加え「機器廃棄時のフロン類の適正な引渡し等」という項目が追加されています。
フロン排出抑制法の管理者とは
フロン排出抑制法では、管理者とは「フロン類使用製品の所有者その他フロン類製品の使用等を管理する責任を有するもの」とされています。
原則として、フロンを使用する製品を自分で所有している、あるいは管理している方が管理者となるため、業務用エアコンをリースやレンタル契約している場合であっても、日常的に管理しているユーザーが管理者と考えて問題ないでしょう。
ただし、オフィスビルやレンタルオフィスなどにテナントとして入居している場合は、ビルオーナーが管理者となっているケースが多くあります。
何らかのトラブルが起きた際に困ってしまわないよう、あらかじめ管理者の所在を明確にしておくことが大切です。
管理者に課せられる義務
フロン排出抑制法では、「第一種特定製品」と呼ばれる業務用エアコンや業務用冷蔵機器及び冷凍機器を管理する者に対し、以下の6つの義務が課せられています。
管理者に課せられる義務
- 機器の設置環境・使用環境の維持保全
- 機器の点検
- フロン類漏えい時の措置
- 点検・整備の記録作成・保存
- フロン類の漏えい量の報告
- 機器廃棄時のフロン回収の徹底
原則として、3ヶ月に一度以上簡易検査を実施し、漏えいが確認された場合は速やかに修理などの措置を行わなければなりません。
また、1年間に1,000トン(二酸化炭素換算量)以上の漏えいを確認した確認者は、翌年度7月末日までに国に報告することとされています。
なお不要になった機器は、県から委託されたフロン類充填回収業者に依頼し、正しく回収作業が行われたのちに廃棄が可能となりますが、依頼した際の回収依頼書(工程管理表)と回収業者から交付される引取証明書を合わせて3年間保管する必要があるため注意しましょう。
定期点検義務の対象
すべての業務用エアコンには、定期点検の義務があります。
業務用エアコンの管理者は、3ヶ月に一度以上は自身で簡易点検を行い、1年または3年ごとに有資格者による定期点検を受けなければなりません。
定期点検は、第一種特定製品の圧縮機に用いられる電動機の定格出力が7.5kW以上の場合は3年に1回以上、50kW以上の場合は1年に1回以上と定められており、原則として冷媒フロン類取扱技術者が行うことになっています。
点検には「簡易」と「定期」の2種類がある
先にご紹介した通り、業務用エアコンの定期点検には自分で行なう「簡易点検」と有資格者に依頼する「定期点検」があります。
簡易点検の内容
簡易点検は「目視による外観点検」が基本となっており、点検指標は以下の通りです。
簡易点検 点検指標
- 室内機点検:熱交換器の霜付き、異常振動・異常運転音の有無
- 室外機点検:油にじみの有無、異常振動・異常運転音の有無、部品の破損・腐食・脱落等
- 機器全体:冷え方・暖まり方の状態確認、エラー表示の有無等
なお、あくまでも点検者の安全が確保される状態で行なうことが基本であり、普段と違う点がないかどうかを確認する程度でいいとされています。
定期点検の内容
業務用エアコンの定期点検は「十分な知見を有する者」が行うこととされていますが、基本的には冷媒フロン類取扱技術者資格の保有者が実施し、反対に依頼者は充填回収業者(登録業者)である必要があります。
内容としては目視確認の他、計測器等の専門機器を使用したより細部の点検が行われます。
適切な点検を行わない場合、50万円以下の罰金が科せられる可能性があるため、簡易検査と合わせて必ず実施しましょう。
業務用エアコンは必ず3ヶ月に1回の簡易点検が必要
以上、業務用エアコンの定期点検義務について解説いたしました。
すべての業務用エアコンには、利用者自身が3ヶ月に一度行う簡易点検が義務付けられています。
また、7.5kW以上の機器であれば専門業者による定期点検も必要です。
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この記事を書いた人
編集部員 城下
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