デジタルサイネージの屋内と屋外の違いは?メリットなど詳しく解説
公開日:2024.06.24 最終更新日:2024.08.23
屋外デジタルサイネージは、人通りの多い場所に設置することで、高い広告効果や情報発信力を発揮します。しかし、雨風や直射日光にさらされるため、過酷な環境に耐える性能が必要です。
この記事では屋外デジタルサイネージと屋内用の違いを、防水性や輝度・耐久性などの観点から詳しく解説します。屋外デジタルサイネージの導入を検討している方はこの記事を参考にして、最適な機種選びと効果的な運用を実現しましょう。
デジタルサイネージの屋内と屋外の違い
デジタルサイネージは、設置場所によって屋内用と屋外用に分けられます。それぞれの環境に合わせて設計されているため、機能や性能に違いがあります。
この項目で詳しく解説するのは、以下の5つの違いです。
- 防水・防塵性
- 画面の明るさ(輝度)
- 温度変化の耐久性(防熱)
- クラウド型
- 電源やネットワーク環境
それぞれ詳しく見ていきます。
防水・防塵性
屋外で使用するデジタルサイネージは、雨や埃から機器を保護するために、高い防水・防塵性が求められます。機器の防水・防塵性能は、国際規格であるIPコードに基づいて評価されます。
屋外用途では、少なくともIP65以上の防水・防塵性を備えた機器を選択しましょう。IP65は「防塵形(粉塵が内部に侵入しない)」と「防噴流形(あらゆる方向からの噴流水に対して保護されている)」を意味します。
ただし、設置環境によってはIP65以上の性能が必要になる場合もあります。たとえば、海岸近くなど塩害の影響が懸念される場所では、IP67(防浸形)やIP68(水中形)の機器を選ぶのがおすすめです。
機器選定の際は設置環境を十分に考慮し、適切な防水・防塵性を備えた製品を選ぶことが大切です。長期的に安定した動作を維持するためにも、防水・防塵性は重視すべき要素の一つといえます。
画面の明るさ(輝度)
直射日光が当たる場所では通常のディスプレイでは輝度が不足し、視認性が大きく低下します。屋内用の機器が通常500〜1,000nit程度の輝度を持つのに対し、屋外用は2,000〜5,000nit以上の高輝度ディスプレイを備えているのが一般的です。
ただし、高輝度ディスプレイは消費電力が大きくなる傾向があります。設置環境や用途に応じて、必要十分な輝度を備えた機器の選択が大切です。
画面の明るさは、屋外でのデジタルサイネージの視認性を左右する重要な要素です。設置場所の環境を考慮し、最適な輝度を備えた製品を選ぶようにしましょう。
温度変化の耐久性(防熱)
高温環境下では電子部品の動作が不安定になったり、寿命が短くなったりするリスクがあります。このため、屋外用のデジタルサイネージには、高温環境下でも安定して動作する防熱設計が施されています。
また、内部の熱を逃がすための空調ファンや放熱器などが装備されているのも特徴です。これらの部品は内部の温度を一定に保ち、機器の安定動作を維持するために欠かせません。
ただし、ファンの動作音が気になる場合もあります。屋外用のデジタルサイネージを選ぶ際は、動作保証温度範囲を確認し、設置環境に適した製品を選ぶことが大切です。
クラウド型
屋外に設置されたデジタルサイネージは、機器の管理やコンテンツ配信を遠隔で行うクラウド型の運用に適しています。専用のソフトウェアやブラウザを使って、離れた場所からデジタルサイネージの状態や、コンテンツの配信スケジュールを管理できます。
また、複数の拠点に設置されたデジタルサイネージを一括での管理も可能です。コンテンツの更新や配信状況の確認を、1つのプラットフォームで行えるため、運用の手間を大幅に削減できます。
ただし、クラウド型の運用では、安定したインターネット接続環境が必須です。屋外での設置を検討する際は、通信環境の整備状況を確認することが大切です。
電源やネットワーク環境
屋内用デジタルサイネージでは電源は一般的なコンセントから供給できます。ネットワーク環境も有線LANやWi-Fiなど、さまざまな選択が可能です。
しかし、屋外用設置の際は事前に設置場所の電源状況やネットワーク環境を調査し、適切な対策を講じる必要があります。設置場所によっては商用電源が利用できない場合があり、ソーラーパネルやバッテリーを利用した独立電源システムの構築が必要です。
ネットワーク環境については、Wi-FiやLTEなどの無線通信に対応している機種が一般的です。しかし、設置場所によっては電波状況が悪く、安定した通信が難しい場合もあります。そのような場合は有線LANでの接続を検討する必要がありますが、設置場所によっては配線工事が困難な場合もあります。
屋外デジタルサイネージのメリット
屋内だけでなく、屋外にもデジタルサイネージを活用することで、以下のメリットがあります。
- 集客につながる
- インパクトや視認性の高さ
- 情報更新が簡単にできる
- スケジュールや配信管理が簡単
それぞれ詳しく見ていきます。
集客につながる
人通りの多い場所への設置により、多くの人の目に触れて潜在顧客にアプローチできます。視覚的に訴求力のある映像や情報を発信し、通行人を店舗や施設へ誘導へとつなげます。
たとえば飲食店であれば、食欲をそそる料理の動画やお得なキャンペーン情報の表示により、新規顧客獲得を目指すことが可能です。商業施設であれば館内マップやイベント情報を表示し、回遊性を高めて購買意欲を刺激できます。
さらに、屋外デジタルサイネージはターゲット層に合わせた情報をピンポイントで発信できます。時間帯や曜日によってコンテンツを切り替えたり、通行人の属性に合わせて情報を表示することで、高い集客効果が期待できます。
インパクトや視認性の高さ
大型で高輝度なディスプレイを使用しているため、遠くからでも視認性が高く、通行人の目を引きます。高画質な映像や鮮やかな色彩で情報を発信し、従来の看板やポスターよりも高いインパクトを与え、通行人の記憶に残りやすい広告を展開できるでしょう。
また、動画やアニメーション・音声などを組み合わせることで、より表現力豊かなコンテンツを作成できます。視覚と聴覚に訴えかけることで、通行人の注意を引きつけ、メッセージを効果的に伝えられます。
さらに、屋外デジタルサイネージは夜間でも明るく鮮明な映像を表示できるため、24時間365日、効果的な情報発信が可能です。
情報更新が簡単にできる
クラウド型のシステムを採用している場合、インターネット経由でコンテンツを簡単に更新できます。タイムリーな情報発信が可能となり、顧客満足度向上や集客効果アップにつながります。
さらに、クラウド型システムでは、複数のデジタルサイネージを一括で管理できるため、各拠点の情報を効率的に更新可能です。時間や場所にとらわれずコンテンツを更新できるため、運用コストの削減にもつながります。
スケジュールや配信管理が簡単
クラウド型のシステムで、コンテンツのスケジュール配信や配信管理が可能です。たとえば、時間帯や曜日によって表示するコンテンツを切り替えたり、特定のイベントに合わせて特別なコンテンツを配信できます。
さらに、クラウド型システムでは、配信状況の確認や効果測定も簡単に行えます。コンテンツの再生回数や視聴時間などのデータを分析することで、より効果的なコンテンツ制作や配信計画に役立てられるでしょう。
これらの機能により、デジタルサイネージの運用管理にかかる手間や時間を大幅に削減し、効率的な情報発信を実現できます。
屋外デジタルサイネージの注意点
機器選択の際は以下の点に注意してください。
- 直射日光下での利用が可能か
- 強化ガラスを選択する
- 内部の空気循環機能を確認する
- サポート体制を確認する
詳しく解説します。
直射日光下での利用が可能か
屋外用として販売されているデジタルサイネージであっても、製品によっては直射日光下での使用が推奨されていない場合があります。ディスプレイの温度が上昇し、画面の表示不良や故障の原因となる可能性があるためです。
とくに液晶ディスプレイは熱に弱く、長時間、直射日光にさらされると、黒ずみ現象(画面が黒くなる)や焼き付き(残像が残る)が発生するリスクが高まります。
そのため、屋外デジタルサイネージを選ぶ際は、直射日光下でも使用できるか確認しましょう。製品によっては対策として、遮光フードや冷却ファンが付属している場合があります。
強化ガラスを選択する
強化ガラスは通常のガラスと比べ、衝撃に対する耐久性が高いのが特徴です。万が一ガラスが破損した場合でも、破片が飛び散りにくいため、安全性が高いとされています。
また透明度が高く、画面の視認性を損なうことがありません。ただし重量が増加するため、設置場所の強度や固定方法を検討する必要があります。また、コストも通常のガラスと比べ高くなる傾向にあります。
屋外でのデジタルサイネージ設置では、ディスプレイ面の保護が欠かせません。強化ガラスを選択し、耐久性と安全性を確保しましょう。併せて、アンチグレアコーティングを施すことで、視認性の向上も期待できます。
内部の空気循環機能を確認する
直射日光や高温環境下では機器内部の温度が上昇し、電子部品の故障や寿命の短縮につながるリスクがあります。そのため、内部の空気循環機能が備わっているかの確認が必要です。換気ファンや放熱板などの冷却機構により、機器内部の熱を効果的に逃がせます。
とくに、完全防水型の機器では内部の熱がこもりやすいため、空気循環機能が不可欠です。密閉された筐体内で熱がこもると、機器の故障や火災の原因にもなりかねません。
また、空気循環機能を備えている場合でも、ファンの動作音が気になることがあります。静かな環境で使用する場合は、ファンレス設計の機器を選ぶのも1つの方法です。
サポート体制を確認する
屋外での使用では気象条件や物理的な影響により、機器の故障リスクが高くなります。そのため、メーカーや販売店のサポート体制を確認し、トラブルに備えておくのがおすすめです。
保証期間や修理対応、問い合わせ窓口の有無など、アフターサービスの内容を把握しておく必要があります。とくに、遠隔地での使用や24時間稼働する場合は、迅速な対応が求められます。
故障した場合の代替機の提供やオンサイトでの修理対応など、スムーズなサポートが受けられるかを確認しましょう。
まとめ:屋外デジタルサイネージは慎重に選択しましょう
屋外デジタルサイネージはその高い視認性と情報発信力から、集客や広告効果において大きな可能性を秘めています。しかし、屋内用とは異なる環境に耐えうる性能や機能が必要不可欠です。
また、設置場所の環境や用途に合わせて、最適な機種を選ぶことも重要です。直射日光対策や内部の空気循環機能、サポート体制など、導入前に確認すべきポイントも多岐にわたります。
屋外デジタルサイネージはビジネスの成長に大きく貢献する強力なツールです。ぜひこの記事で紹介した情報を参考に、自社に最適な屋外デジタルサイネージを導入し、その効果を最大限に引き出しましょう。
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