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フリーアドレスとは?メリット・デメリットや事例を紹介!

公開日:2025.06.12 最終更新日:2025.08.15

フリーアドレスメリットを最大限に活かすためには、まず「フリーアドレス」とは何かを理解することが重要です。フリーアドレスとは、固定席を設けず、社員がその日の業務内容や気分に合わせて自由に席を選んで働くワークスタイルのことです。

自分の席を決めず、業務内容や気分に合わせて空いている席で自由に仕事ができるフリーアドレスは、1980年代後半に一度ブームとなりました。当時は柔軟な働き方やコミュニケーション活性化といったフリーアドレスメリットが期待されましたが、現実には運用が定着せず、席が固定化してしまったり、生産性向上が見られなかったりといった失敗事例が多発。結果として、従来の固定席に戻る企業が相次ぎ、「フリーアドレスは難しい」というイメージが広がり沈静化しました。

しかし近年、過去の失敗要因を克服し、フリーアドレスのメリットを最大限に引き出した成功事例が次々に登場しています。こうした新しい形態は「フリーアドレス2.0」とも呼ばれ、かつての導入形態とは大きく異なります

近年、社会情勢の変化や企業の急速なデジタル化により、働き方やオフィスの在り方が大きく変化しました。特に在宅勤務の普及によって、従来の固定席が十分に活用されないケースが増えたことから、多くの企業がフリーアドレスの導入を検討しています。ハイブリットワークなどの多様な働き方に対応するため、オフィスの座席運用を固定席からフリーアドレスに変更する会社が増えています。

本記事では、フリーアドレスの基礎知識から、導入によって得られる主なメリットと注意すべきデメリット、さらに失敗を防ぐ導入のポイントや成功事例までをわかりやすく解説します。

フリーアドレスを導入すれば、社内の風通しが良くなると聞くけれど、「逆に仕事に集中できなくなって生産性が落ちるんじゃないかな…」。
また、席が自由になることで、「部署内の一体感が薄れて、かえって連携が取りにくくなるかもしれない…」といった不安を抱えている方もいるでしょう。

フリーアドレスの導入を成功させるには、期待できる効果だけでなく、注意すべき点を事前に把握しておくことが大切です。

この記事では、自社の働き方を見直したいと考えている方に向けて、
– フリーアドレスがもたらす企業と従業員双方のメリット
– 見過ごされがちなデメリットとその具体的な対策
– 導入を成功に導くための実践的なステップ
上記について、詳しく解説しています。

漠然としたイメージだけで導入を進めてしまうと、思わぬ失敗につながる可能性も。
この記事を読めば、あなたの会社にフリーアドレスが本当に合うのか、具体的なイメージが湧くはずです。
ぜひ最後までご覧になり、後悔のないオフィス改革の参考にしてください。

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フリーアドレスとは何か?

フリーアドレスとは、オフィス内で従業員の固定席を設けず、日々の業務内容や気分に合わせて働く場所を自由に選べるワークスタイルのことです。ノートパソコンやスマートフォンさえあれば、好きな席で仕事を進められるため、現代の働き方にマッチした制度と言えるでしょう。書類や文房具は共有キャビネットに保管し、ノートPCやスマートフォン、無線LANなどを活用しながら仕事をします。

この制度が多くの企業で注目を集めている背景には、単なる場所の自由化以上の価値があるからです。固定された席で毎日同じメンバーと顔を合わせるのではなく、部署やチームの垣根を越えた偶発的なコミュニケーションが生まれやすくなります。こうした交流が、新たなアイデアやイノベーションの創出につながる可能性を秘めているのです。

例えば、集中して企画書を作成したい日は静かな窓際のカウンター席、チームでのブレインストーミングには広々としたファミレス席のようなソファスペースを利用するといった使い分けができます。

実際に、株式会社イトーキやコクヨ株式会社といったオフィス家具メーカー自身も積極的に導入しており、その効果を実証している点は非常に興味深いでしょう。

また、テレワークとの相性も良いため、柔軟な働き方を支援する仕組みとして導入が進んでいます。

「フリーアドレス」というと、IT企業やベンチャー企業など、自由度の高い新しい働き方を取り入れている会社のイメージを持つ方も多いでしょう。確かに、柔軟な席の使い方やコミュニケーション活性化といったフリーアドレスメリットは、クリエイティブ職やスタートアップ企業との親和性が高いと考えられてきました。

しかし近年では、その導入は民間企業にとどまらず、中央省庁をはじめとする公的機関や幅広い業種に広がっています。実際、フリーアドレスの採用率はこの10年でおよそ2倍に増加しており、そのメリットを活かした働き方改革の一環として注目度が高まっています。

フリーアドレス 2.0

フリーアドレス 1.0と2.0の主な違いは、ICT(情報通信技術)の進化がもたらしたフリーアドレスメリットの最大化です。1980年代から1990年代のフリーアドレスでは、固定電話や持ち運べないコンピュータ端末、大量の紙文書、ワゴンに詰め込まれた雑多なアイテムなどが物理的な障壁となり、柔軟な働き方が制約されていました。しかし、内線電話のモバイル化、ノートパソコンやスマートデバイスの普及、ドキュメントのデジタル化といったテクノロジーの進化により、これらの障壁は劇的に低減されました。

この変化により、フリーアドレスメリットが格段に向上しました。物理的な制約が減少したことにより、社員は自由に席を選び、場所に囚われることなく柔軟に働くことが可能になり、コミュニケーションや情報共有が加速します。フリーアドレス 2.0は、テクノロジーの力を活用して、より効率的で協力的な働き方を実現し、オフィス環境におけるフリーアドレスメリットを最大限に引き出しています。

フリーアドレスの導入目的の変化

フリーアドレス 1.0の主な目的は、デスクの共有化や空席の回転率を高めることで、スペースコストを削減することでした。もちろん、コスト削減は大きなフリーアドレスメリットですが、単に席を減らすというアプローチでは、社員にとって共感しにくい点がありました。特に、社員が自分の席を失うことに抵抗感を感じるのは当然です。

しかし最近では、コスト削減以上に働き方の変革を重視する企業が増えています。フリーアドレスを導入する目的が、生産性向上や活力ある組織風土作りという経営視点にシフトし、社員の自由な働き方をサポートすることにフォーカスされるようになりました。この変化により、社員のニーズが経営視点と一致し、自分のスタイルで仕事をしたいという要望と、業務効率化を図る組織側の目標が合致し、フリーアドレス導入に対する抵抗感が減少しています。フリーアドレスメリットを最大化するためには、こうした目的の変化が重要です。

フリーアドレスが注目される背景

日本におけるフリーアドレスの歴史は、1980年代までさかのぼります。1987年、清水建設技術研究所で実験的に導入された事例が、日本初のフリーアドレス導入例とされています。当時は先進的な取り組みとして注目されましたが、ICT(情報通信技術)の発展とともに、無線LANやWi-Fiの整備、クラウド管理によるペーパーレス化などが進み、遠隔からでもスムーズに業務が行える環境が整いました。これにより、一般的なオフィスでもフリーアドレスメリットを活かせる土台が築かれたのです。

さらに2010年代後半からの働き方改革により、テレワークやフレックスタイム制といった多様な勤務形態が普及。これらの流れがフリーアドレスの導入を後押しし、今では業種を問わず多くの企業が採用する働き方となっています。

近年、ヤフー株式会社や株式会社日立製作所といった大手企業をはじめ、多くの組織でフリーアドレス制の導入が進んでいます。この流れの背景には、社会やテクノロジー、働き手の価値観といった複数の変化が絡み合っているのです。

直接的な契機となったのは、2020年以降のパンデミックによるテレワークの急速な普及でしょう。オフィスへの出社率が50%を下回る企業も珍しくなくなり、固定席を維持するコストや必要性が見直されるようになりました。フリーアドレスを採用する企業が増加している背景として、新型コロナウイルスの感染拡大でワークスタイルが大きく変化した点が挙げられます。

また、クラウドサービスの充実やWi-Fi6のような高速通信インフラの整備やICT(情報通信技術)の進化といったテクノロジーの進化も、フリーアドレスを支える重要な基盤です。無線LANが整備され、モバイルツールが普及し、紙の書類はデジタル化しクラウドで管理するなど、テクノロジーの進化により、物理的な阻害要因が無くなったことから、フリーアドレスという働き方がより現実的な選択肢の一つとなってきています。

これにより、社員は場所を選ばずに円滑な業務を遂行できる環境を手に入れました。さらに、組織の縦割りを解消し、偶発的なコミュニケーションから新たなイノベーションを生み出したいという経営戦略上の狙いも、導入を後押しする強い動機になっています。

働く環境と働き方の変化

政府主導で進められている「働き方改革」では、そのテーマのひとつとしてテレワークの推進が掲げられています。テレワークの普及によって、オフィス以外の場所で働くスタイルが広まり、オフィスの在り方も大きく見直されるようになりました。働く場所の選択肢が増える中で、「社員の人数分の座席を用意する」という従来型オフィスから、人数や出社頻度の変化に柔軟に対応できるフリーアドレスが注目を集めています。

近年では、週2〜3日の出社といったハイブリッドワークや、時間や場所を柔軟に選べるABW(Activity-Based Working)など、新しいワークスタイルを採用する企業も増加。その結果、オフィスは単なる「仕事をする場所」から、コミュニケーションやコラボレーションを促進する「価値を生み出す空間」へと変化しています。

フリーアドレスの導入メリットは、単に座席を固定しないことだけではありません。オフィス家具大手のコクヨやイトーキが提唱するABWの考え方では、集中作業はブース席、軽い打ち合わせはソファ席といったように、業務内容に応じて最適な場所を選ぶことが可能です。これにより、生産性の向上やペーパーレス化の推進、オフィスのクリーン化が期待できます。さらに、部署を越えた偶発的な交流が生まれやすくなり、組織全体の活性化にもつながります。

また、ナレッジワーカー(知識労働者)にとっても、オープンかつインタラクティブな環境は不可欠です。変化のスピードが速い現代社会では、人間だけが生み出せる知的価値の創造が求められており、偶発的な出会いや多様な刺激を得られるフリーアドレスは、そのための有効な選択肢といえるでしょう。

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フリーアドレスの目的

フリーアドレスの導入には、大きく分けて2つの目的があります。これは単なる座席の自由化ではなく、組織や働き方全体にプラスの変化をもたらすための戦略的な施策です。

①オフィススペースの有効活用
固定席を廃止することで、社員全員分の席を常時確保する必要がなくなります。その結果、出社率や業務内容に応じて最適な座席数に調整でき、余剰スペースを会議室やリフレッシュスペースなど生産性を高める用途に転換できます。これにより、限られたオフィス面積を最大限活用するというフリーアドレスメリットが得られます。

②部門を越えたコミュニケーションの活性化
毎日同じメンバーの隣で仕事をする固定席制とは異なり、日ごとに座る場所が変わることで、自然と他部署や異なるチームの社員と接する機会が増えます。これにより、情報共有のスピードが向上し、新たなアイデアやコラボレーションが生まれやすい環境が整います。こうした偶発的な交流は、組織全体の活性化にもつながります。

フリーアドレスのメリットを知る

フリーアドレスの導入は、コスト削減や生産性向上といった、企業の成長に直結する多くの利点をもたらします。
オフィスの働き方を根本から見直したいとお考えの方にとって、固定席という物理的な制約から解放されることは、組織に大きな変革を生むきっかけになるでしょう。

その理由は、社員の出社状況に合わせて座席数を最適化できるため、オフィスの省スペース化が実現し、賃料や光熱費などの固定費を削減できる点にあります。
また、部署や役職の垣根を越えた偶発的なコミュニケーションが活発になり、新たなアイデアやイノベーションが生まれやすい土壌が育まれるからです。

例えば、株式会社イトーキの調査では、フリーアドレス導入企業の約7割が「コミュニケーションの活性化」を実感しています。
具体的には、プロジェクトごとに最適なメンバーが自然と集まって議論を始めたり、普段接点のない社員との何気ない会話から業務改善のヒントが生まれたりするケースも少なくありません。
こうした日々の小さな交流の積み重ねが、最終的に組織全体の生産性を高め、企業の競争力を強化することに繋がるのです。

フリーアドレスのメリット①:オフィス空間の有効活用

フリーアドレスの導入は、オフィス空間を最大限に有効活用できる点が大きなメリットです。従来の固定席制度では、営業担当者の外出や社員の休暇、在宅勤務などで常に一定数の空席が生まれてしまい、そのスペースは活用されずにいました。

例えば、社員の平均的なオフィス在籍率が70%であれば、座席数を3割程度削減しても業務運営は可能でしょう。これにより生まれた余剰スペースは、Web会議用の個室ブースや社員同士が交流できるカフェテリア、あるいは集中作業のためのゾーンなど、新たな価値を生む空間へと転用できるのです。

実際に、フリーアドレス化によってオフィス面積を約20%縮小し、年間数千万円の賃料削減を実現した企業事例も存在します。単なる省スペース化に留まらず、より創造的で機能的なオフィス環境を構築できる点は、非常に魅力的なポイントと言えるでしょう。

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フリーアドレスのメリット②:コミュニケーションの活性化

フリーアドレスの導入は、部署や役職の垣根を越えたコミュニケーションを活発化させる大きな利点を持ちます。固定席では関わる機会のなかった社員同士が隣り合うことで、偶発的な会話、いわゆるセレンディピティが生まれやすくなるでしょう。

実際に、スナック菓子で有名なカルビー株式会社では、フリーアドレス化によって他部署との会話量が導入前の約2.6倍に増加したという調査結果もあるのです。こうした普段接点のないメンバーとの何気ない雑談の中から、新しい企画のアイデアや業務改善のヒントが見つかるケースは少なくありません。

また、経営層や管理職と若手社員が気軽に話せるフラットな環境は、組織全体の風通しを良くし、意思決定の迅速化にも貢献します。このように、フリーアドレスは組織の連携を強化し、新たな価値を創造する土壌を育むのです。業務上の悩みを解決するきっかけになります。課題解決やビジネス創出などの社内交流が増えることで、「行きたくなるオフィス」が実現します。

フリーアドレスのメリット③:柔軟な組織対応と自律的な働き方

フリーアドレスは、組織の変更へ迅速に対応できる体制を築く上で大きな利点を持ちます。プロジェクト単位でチームが頻繁に変わる現代のビジネス環境において、固定席はかえって非効率を生む場合もあるでしょう。

例えば、人員の増減や組織改編が生じた際も、大掛かりなレイアウト変更をせずとも柔軟に対応可能なのです。これにより、部門の垣根を越えた偶発的なコミュニケーションが活性化し、新たなイノベーションのきっかけが生まれることも期待されます。

また、従業員が自らの業務内容に応じて働く場所を選ぶことは、自律的な働き方を促すことにも繋がるでしょう。集中したい時はソロワークスペース、協業が必要な際はオープンスペースといった主体的な選択が、自己管理能力を育みます。結果として成果を重視する企業文化が醸成され、個々のパフォーマンス向上に貢献するのです。

1人で業務に集中したいときは人が少ない座席を選び、コミュニケーションを取りたいときは共同スペースに移るなど、工夫ができます。それぞれの業務内容に合った働く場所を用意することで、満足度や意欲が高まり生産性向上をもたらすでしょう。

さらに、フリーアドレスの導入をはじめとする柔軟な働き方の実現や、効率的に業務を進められる環境づくりは、優秀な人材を確保するうえでも重要な要素です。国土交通省の「令和4年度テレワーク人口実態調査」によれば、企業などに雇用されてリモートワークを行っている人のうち、実に86.9%が「リモートワークを継続したい」と回答しています。

このデータからも分かるように、働く場所や時間を柔軟に選べる環境は、求職者にとって大きな魅力となっています。もしリモートワークやフリーアドレスメリットを活かした柔軟な勤務環境を提供できなければ、現在リモートワークで働く人材の採用は今後ますます困難になるでしょう。

フリーアドレスのメリット④:コスト削減につながる

フリーアドレスの導入は、オフィス運営にかかるさまざまなコスト削減につながるという大きなメリットがあります。例えば、出社人数に応じて座席数を最適化できるため、これまで2フロアで運営していたオフィスを1フロアに集約でき、家賃や共益費といった固定費を大幅に削減可能です。

また、座席数を減らすことで管理すべきデスクやチェアの台数も減り、オフィス家具の購入・メンテナンス費用を抑えられます。さらに、PCや文房具などの備品を共有化できるため、個別配備によるムダなコストを削減できます。オフィスを集約することで冷暖房や照明にかかる電気代も軽減され、長期的なランニングコスト削減効果が期待できます。

こうしたフリーアドレスメリットは、単なる経費節約にとどまらず、浮いた資金を新たな設備投資や福利厚生に回すことで、企業全体の競争力向上にもつながります。

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フリーアドレスのメリット⑤:ABWを意識した働き方

ABW(Activity-Based Working)は、業務内容(アクティビティ)に合わせて「時間」と「場所」を自律的に選ぶ働き方です。自宅・コワーキング・カフェなど社外も選択肢に入る点が、オフィス内で席だけを自由に選ぶフリーアドレスと異なります。

とはいえ、いきなり場所や時間まで全面自由にするのは、制度設計やマインドセットの面でハードルが高いのも事実。まずはオフィス内でABWを意識する段階を踏むことで、フリーアドレスメリット(生産性・創造性・コミュニケーション活性化)を着実に引き出せます。

オフィス内でABWを段階的に実装するポイント

1. ゾーニングの設計
集中ブース/フォーカスルーム、カジュアルに議論できるカフェスペース、短時間用のスタンディングテーブル、オンライン用フォンブース、プロジェクト用テーブルなど、目的別エリアを用意。
2. 席の自由×ルールの明確化
フリーアドレスを前提に、「集中はブース」「発散はカフェ」「会議はプロジェクトテーブル」など行動指針を簡潔に定義。
3. ツール連携
座席予約・所在可視化・チャット/会議ツールを標準化し、場所を変えても“探さず繋がる”状態を維持。
4. トライアル運用→改善
小さく始め、利用ログ(滞在時間・混雑度)とサーベイで改善を継続。
5. KPI設計
会議室稼働率、集中時間の確保率、部門横断の接点数などを定点で可視化。

ABWはオランダ発のワークスタイルで、従来はグローバル企業の採用が中心でしたが、コロナ以降はテレワーク普及とともに日本でも急速に浸透しています。まずはオフィス内でABWを体感できる環境(個人ブースやカフェスペースなど)を整え、フリーアドレスと組み合わせることで、段階的にABW型の働き方を定着させましょう。

なお、レイアウト更新や専用家具の導入が伴うため、オフィス移転・リニューアル計画と同時進行で進めるとスムーズです。

フリーアドレスのメリット⑥:清潔なオフィス環境を維持できる

フリーアドレス化により、オフィス環境のクリーン化が進みます。従来のオフィスでは、各従業員に専用のデスクが与えられているため、個々のデスク周りの整理整頓はその人に任されていました。しかし、フリーアドレスでは、デスクは社員全員の共有物となるため、清潔な環境を維持するためのルール作りが重要です。

たとえば、社員に対して「離席時や退社時にはデスクを綺麗にしてから席を離れる」という社内ルールを設けることで、全員が協力して清潔なオフィス環境を保つことができます。これにより、オフィス内が整理整頓され、常に快適で清潔な作業環境が維持されます。

フリーアドレスのメリット⑦:情報漏えいに対するリスク低減

フリーアドレス化により、情報漏えいのリスクを大幅に低減できます。従業員が自分のデスクを持たず、書類や資料を専用のキャビネットに保管し、データ化して適切に整理整頓することで、物理的なインシデントによる情報漏えいリスクを最小限に抑えることができます。さらに、デスクに私物を置きっぱなしにすることがなくなり、資料の紛失や盗難を防止できます。

専用のキャビネットで書類を保管することで、個人の荷物や機密情報の管理が強化され、セキュリティが向上します。これにより、職場全体のセキュリティが向上し、従業員はより安心して業務に集中できる環境が整います。

フリーアドレスと固定席の比較

オフィス環境の整備は、会社の生産性や従業員の満足度に直接影響する重要な要素です。座席運用について、固定席とフリーアドレスのどちらを選ぶべきか悩む企業も多いでしょう。

固定席は、部署内でのコミュニケーションを活性化させやすく、個々のスペースを確保できる点で優れていますが、スペース効率が悪くなりがちで、社員数が増えるとオフィスが手狭になる可能性があります。

一方、フリーアドレスは、柔軟な働き方やスペースの有効活用が可能となり、オフィス全体の効率性を向上させることができます。しかし、チームの一体感が不足し、部署間での連携が難しくなる場合があります。

さらに、グループアドレスという選択肢もあります。これは、部署ごとに座席配置を行い、フリーアドレスの柔軟性と固定席の一体感をハイブリッドした働き方を可能にする方法です。

以下では、これらの運用方法の違いと、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。自社に最適な運用方法を判断するための参考にしてください。

フリーアドレスと固定席のメリット・デメリット

オフィスの座席運用を見直す際、固定席とフリーアドレスのどちらが自社に適しているかを慎重に検討することが重要です。このセクションでは、両者のメリット・デメリットを比較し、最適な運用方法を選ぶためのポイントを解説します。

固定席の特徴

固定席では、各従業員が専用の作業スペースを持つため、安定した作業環境を提供します。ただし、外出やリモートワークで不在の場合、デスクが空いている時間が増え、スペースの無駄遣いが生じることがあります。

固定席のメリット

チーム内のコミュニケーションが促進される
部署やチームごとに席をまとめることで、社員同士のコミュニケーションが増加します。
従業員からの理解が得やすい
自分の席を探す手間がなく、荷物を運ぶ必要もないため、従業員にとってはわかりやすく、安定感を感じやすいです。
社内コラボレーションが円滑になる
座席表で誰がどこにいるかが把握しやすく、他部署との連携がスムーズに行えます。

固定席のデメリット

デスクの上に書類がたまる
書類や荷物がデスク上に溜まりやすく、作業スペースが雑然とすることがあります。
組織変更や増員に伴うコストが増加する
組織変更や社員増加時にレイアウト変更が必要となり、その頻度が高くなるとコストが増加します。
他部署との偶発的な交流が生まれにくい
部署内でのコミュニケーションには強みがある反面、他部署との自然な交流が不足しがちです。

フリーアドレスの特徴

フリーアドレスは、従業員がオフィス内の空いている座席を自由に選んで業務を行う方式です。この柔軟な座席選択が、社員の働き方をより快適にしますが、座席の争奪戦が発生するなど、従業員の満足度が低下するリスクもあります。

フリーアドレスのメリット

部署を越えた交流が生まれやすい
異なる部署との偶発的な交流が増え、創造性や新しいアイデアが生まれやすくなります。
省スペース化とコスト削減
座席数を最小限に抑えることで、オフィススペースを効率的に使用し、コスト削減を実現します。
働きやすさが向上する
オフィス内の自由な場所で働けるため、仕事の内容や気分に合わせて最適な環境を選び、効率や精神的なリフレッシュが促進されます。

フリーアドレスのデメリット

チームの一体感や帰属意識が薄れる
毎日異なる席で働くことにより、チームメンバーとの接触が減少し、帰属意識や一体感が薄れる懸念があります。
座席確保の競争によりストレスが増加する
好きな席を巡る争いが発生し、ストレスが増加することがあります。
従業員から理解を得にくい
座席を共有するため、整理整頓やプライバシーの確保が難しく、満足度が低下する場合があります。

フリーアドレスでは、社員が自由に座席を選ぶことでリフレッシュ効果が期待できる一方で、資料の置き忘れや紛失などのリスクも生じるため、適切な運用ルールの策定が必要です。

フリーアドレスでの運用に向いている企業の特徴

フレキシブルな働き方を推進する企業

フリーアドレスは、フレキシブルな働き方を推進する企業に最適です。従業員が自分の席を自由に選べるため、オフィススペースを効率的に利用できます。また、リモートワークやオフィス出社を組み合わせたハイブリッド勤務が可能で、全員分の席を用意する必要がないため、省スペース化が実現します。

<企業例>
・IT企業(ソフトウェア開発、ITインフラ管理など)
・広告代理店(広告企画・制作、メディアプランニングなど)
・コンサルティングファーム(市場調査、業務改善コンサルティングなど)

部署を越えたコミュニケーションを重視したい企業

フリーアドレスの最大のメリットは、部署を越えたコミュニケーションの促進です。特定の席を持たないことで、異なる部署の従業員と自然に交流する機会が増え、新しいアイデアや協力関係が生まれやすくなります。これにより、組織全体の連携が強化されます。

<企業例>
・大手製造業(自動車メーカー、家電メーカーなど)
・総合商社(資源開発、エネルギー事業、消費財流通など)
・マーケティング企業(広告企画、デジタルマーケティング、マーケティングリサーチなど)

スペースの効率的な活用を重視する企業

フリーアドレスは、スペースの効率的な活用を重視する企業にも適しています。限られたオフィススペースを有効に使うことができ、コスト削減にもつながります。また、プロジェクトが多岐にわたり、頻繁にチームが変わる企業や、ジョブローテーションを行う企業にも、柔軟な座席配置が適応力を高めます。

<企業例>
・スタートアップ企業(新規事業開発、製品市場適合の調査・検証など)
・リサーチ会社(市場調査、消費者行動分析など)
・デザインエージェンシー(広告デザイン、ブランド戦略企画など)

上記では、固定席とフリーアドレスそれぞれの特徴、メリット・デメリットについて解説しました。固定席は、安定した作業環境を重視する企業に向いており、フリーアドレスは、柔軟な働き方や部署を越えたコミュニケーションを重視する企業に適しています。自社のワークスタイルや業務内容に応じて、最適な座席運用方法を選択することで、従業員の満足度や業務効率を最大化できます。

固定席での運用に向いている企業の特徴

固定席での運用には、特定の企業や業種に適したメリットが多くあります。以下に、固定席の導入が向いている企業の特徴を解説します。

機密性の高い情報を扱う企業

機密性の高い情報を取り扱う企業にとって、固定席の導入は非常に有効です。フリーアドレスの場合、様々な従業員が同じ場所で作業するため、情報が他の人の目に触れるリスクが増加します。一方、固定席では、各従業員に専用のデスクを提供することで、機密情報を安全に管理しやすくなります。

<企業例>
・金融機関(銀行、証券取引、投資管理など)
・法律事務所(企業法務、知的財産、訴訟対応など)
・ITセキュリティ企業(サイバーセキュリティ対策、データ保護、リスク管理など)

書類の取り扱いが多い企業

固定席では、書類の整理や管理が容易になり、業務効率が向上します。フリーアドレスでは、離席時や帰宅時に毎回書類を整理する必要があり、これは従業員にとってストレスの原因となりますが、固定席ならその負担を軽減できます。

<企業例>
・会計事務所(税務相談、財務監査、財務コンサルティングなど)
・不動産会社(不動産仲介、物件管理、投資コンサルティングなど)
・保険会社(生命保険販売、損害保険提供、リスク評価など)

チーム内での密なコミュニケーションを重視したい企業

固定席は、チーム内の密なコミュニケーションを重視する企業に適しています。部署やチームごとに座席をまとめることで、日常的なコミュニケーションが促進され、協力関係が強化されます。これにより、プロジェクトの進行や問題解決が円滑に進み、チーム全体のパフォーマンスが向上します。

<企業例>
・設計事務所(建築設計、室内装飾デザイン、空間デザインなど)
・ゲーム開発会社(ゲームデザイン、プログラミング、プロジェクト管理など)
・製造業(製品設計、開発、製造プロセス管理など)

フリーアドレス導入の注意点

フリーアドレスには多くのメリットが注目されていますが、導入計画を慎重に進めないと、かえって生産性を下げてしまうリスクもあります。「うちの会社もフリーアドレスにしよう」と安易に導入するのは、思わぬ落とし穴にはまる原因となるかもしれません。

その理由は、社員の業務特性や部署ごとの働き方を考慮せずに制度を設計してしまうと、逆に働きづらさが生じるためです。例えば、集中したい業務をしているときに周囲の会話が気になる、相談したい相手がすぐに見つからないといった状況は、社員にとって大きなストレスとなり、フリーアドレスメリットを損なう結果になりかねません。

具体的には、常にチームで密な連携を必要とする開発部門と、外出が多い営業部門とでは、オフィスに求める機能が大きく異なります。また、Wi-Fi環境が不十分だったり、個人の荷物を保管するロッカーの容量が足りなかったりすると、社員の不満を引き起こす重要なインフラ問題にもなります。このような課題を解決するためには、導入前に社員への十分なヒアリングと、綿密な環境整備が必要不可欠です。

さらに、フリーアドレス導入後には、「部署内のメンバーがばらばらの席に座ることで一体感が薄れた」「フリーアドレス化したのに、いつも同じ席に座ってしまう」「固定席という既得権がなくなり、社員のモチベーションが低下した」などのデメリットが生じる可能性もあります。

実際、2022年9月にサイオステクノロジー株式会社が実施した調査によると、オフィスのフリーアドレスの平均座席割合は約6割という結果でした。また、フリーアドレスを利用している会社員に改善点を尋ねたところ、「誰がどの席にいるのかが分かるようにしてほしい」といった改善要望が4割以上に上りました。これらの問題を解決するためには、社員の位置情報を把握できるツールやアプリを導入するなど、さらに対策を講じる必要があります。

フリーアドレスに関する改善点

b233aba1568fb00379b4e4236ef7c3b2 300x142 - フリーアドレスとは?メリット・デメリットや事例を紹介!出典:サイオステクノロジー、「フリーアドレス職場調査」結果を発表|PR TIMES

同調査からわかるように、フリーアドレスメリットを最大化するためには、適切な運用が不可欠です。例えば、毎回同じ席に座ってしまうことを防ぐために、次のような解決策が有効です。

◆解決策
運用ルールの徹底:
フリーアドレス導入の際には、座席選択に関するルールを明確にし、全社員が理解するようにします。
特徴のある機能別スペースの設置:
集中作業用、打ち合わせ用、リラックス用など、目的別のスペースを整備して社員が選びやすくします。
必然的に座席を変える工夫:
例えば、ルーレットで座席を決める、1週間ごとにエリアを変更するなど、毎日座る場所が変わるような仕組みを作り、座席固定化を防ぎます。

これらの対策を導入することで、フリーアドレスメリットを最大限に活用し、社員の満足度や生産性を高めることが可能です。

管理の複雑化とコストの課題

フリーアドレスは多くのメリットをもたらしますが、その一方で「管理の複雑化」や「新たなコスト発生」といった課題も無視できません。最大の問題は、社員の所在が把握しづらくなることです。緊急時の連絡や勤怠管理に支障が出る可能性があり、「誰がどこに座っているのか」が分からないため、総務部は出社率や在席状況の把握が困難になります。

上司にとっても、固定席で日々チームメンバーの様子を確認できなくなり、困っている社員に気づきにくくなるというデメリットがあります。結果として、報連相の遅延やチーム内コミュニケーション不足を招く恐れがあるのです。

特に新人教育の場面では影響が大きく、上司との距離感が生じやすくなることで相談しづらくなったり、生産性が低下したりするケースもあります。こうした課題を防ぐためには、社員の座席位置を共有できる仕組みが不可欠です。

解決策

・柱やエリアに番号を付与して「オフィスの住所化」を行う
・在籍・所在管理システムを導入してリアルタイムで位置情報を共有する

さらに、フリーアドレス化には従来のオフィスでは発生しなかったコストも伴います。例えば以下のような費用が考えられます。
運用コスト
クラウドシステム導入費用、デスクや椅子、社用PCやスマートフォンの追加購入
時間コスト
オフィスレイアウトの設計変更や新ルール策定にかかる時間
備品・設備コスト
パーソナルロッカー、書類電子化用スキャナー、クラウドストレージ契約費用など

近年では、ACALLのような月額数百円で利用できる座席管理システムを導入する企業も増えていますが、ITインフラやオフィス家具の刷新には1人あたり20万〜50万円規模の初期投資が必要になるケースもあります。

導入時にはこれらの費用を事前に正確に試算し、フリーアドレスメリットを長期的に享受できる運用体制を整えることが成功の鍵です。短期的には投資が必要でも、ペーパーレス化やスペース効率化によって長期的なコスト削減につながる可能性が高いため、計画的な実行が求められます。

固定席が適する職種の存在

フリーアドレスが広がる中でも、業務の性質によっては、固定席の方が生産性を高める職種が存在します。例えば、経理や法務部門では、契約書や機密書類など、個人情報保護法が関わる書類を大量に扱うため、施錠できるキャビネットがある専用スペースが不可欠です。また、デザイナーやエンジニアは、27インチの大型モニターを2台以上使用したり、高性能なデスクトップPCを駆使することが多いため、毎日機材を移動・設営するのは非現実的です。さらに、役員秘書や研究開発職など、特定の機器や高度なセキュリティが求められる業務においては、固定席の方が業務効率や情報管理の観点から合理的と言えます。

そのため、フリーアドレスメリットを最大化するためには、全社一律でフリーアドレスを導入するのではなく、部署ごとに最適な環境を判断することが求められます。

解決策

集中できるスペースの確保
固定席が必要な職種のために、仕事に集中できる静かなスペースを提供します。
電話や私語禁止エリアの設置
特に機密性の高い業務を行う部門において、電話や私語が漏れないような静かなエリアを設けることが重要です。

電話の取次に手間がかかる

フリーアドレスは多くのメリットをもたらしますが、固定席がないことで電話の取次に手間がかかるという課題があります。従来の固定席制では、外線が入れば座席表をもとに内線でスムーズに取次できます。しかし、出社のたびに座席が変わるフリーアドレスでは、社員の居場所がすぐに分からず、取次作業がストレスや時間のロスにつながることも少なくありません。

こうした課題を放置すると業務効率が低下し、フリーアドレスメリットを十分に活かせなくなります。そのため、あらかじめ電話の取次方法を明確にルール化しておくことが重要です。

電話取次ぎの課題を解消する主な方法

●デジタルコードレスフォンの活用:
社員が個人用の子機を持ち歩き、固定電話から内線で直接転送できる仕組み。フリーアドレス環境でも即座に応答が可能になります。
●社用スマートフォンの活用:
社員にスマートフォンを貸与し、内線連携やビジネスチャットで連絡できるようにする方法。ただし端末費用や通信費、セキュリティ対策が必要です。
●座席管理ツールの活用:
社員の座席位置をリアルタイムで把握できるシステムを導入し、近くの固定電話へ内線をつなぐ方法。位置確認と連絡を一元化できます。

それぞれの方法には導入コストや運用面での特性があるため、自社の業務フローやセキュリティ要件に合った仕組みを選ぶことが大切です。適切な対策を講じれば、電話対応のストレスを減らし、フリーアドレスメリットを損なうことなく業務を円滑に進められます。

既得権益の喪失

固定席からフリーアドレスへ移行すると、「これまでの権利が奪われた」と感じる社員が一定数生じる可能性があります。放置すると「自分の居場所がない」という不安が高まり、制度定着の妨げになりかねません。フリーアドレスメリットを最大化するには、心理的安全性と帰属意識を設計に織り込むことが重要です。

解決策(実務ポイント)

アイデンティティの可視化
モバイルロッカーに写真付きネームプレートを掲出し、個の“拠り所”を用意します。デジタル社員ボードやチーム掲示(目標・成果)も有効です。
ネイバーフッド方式の採用
部署・プロジェクトごとに“ホーム”となるエリアを定め、曜日ローテーションやコアタイムだけ近接着席を推奨します。相互作用を保ちつつ固定席化は避けます。
座席ポリシーの明文化
予約上限・同一席の連続利用制限・個人ブースの時間枠などをルール化し、運用を公平にします(例:同じ席は連続2日まで、ピーク時は90分制)。
マネージャーの関与強化
意識的な声かけ、短時間の朝会、定期1on1、フロアウォークで情報発信を継続します。変化の背景と期待効果を繰り返し伝え、納得感を醸成します。
合理的配慮の明示
健康・業務特性などの事情に応じて、例外的な“準固定席”を認める基準を公開し、公平性への不安を解消します。
トライアル&フィードバック
30〜60日の試行期間を設け、サーベイ・利用ログで課題を可視化→改善します。導入プロセスへの参加実感がモチベーション向上につながります。

これらを組み合わせることで、帰属意識を損なわずに運用の公平性と一体感を維持でき、結果としてフリーアドレスメリット(コミュニケーション活性化・生産性向上・スペース最適化)の享受につながります。

従業員の負担増

フリーアドレスでは、デスクや机が社員の共有物となるため、従業員に新たな負担がかかることがあります。例えば、会議や外出で席を離れる際、自分の荷物をすべて持ち運ばなければならない、または帰宅時にはデスク上に何も残さないようにする必要があり、これらのルールが従来の固定席とは異なる負担を生じさせます。このような負担が積み重なると、社員のストレスが増大し、フリーアドレスメリットが十分に活かされない場合があります。

この課題を解決するためには、いくつかの実務的な対策が有効です。

解決策

文房具や消耗品の一括管理
仕事に使う文房具や事務用品、工具などを一元管理し、フリーアドレススペース内で共用できるようにすることで、各社員が個別に管理する負担を減らせます。会社側で一括管理することにより、私物を減らし、スムーズな運用が可能になります。また、個別に購入する必要がなくなり、結果的に購買コストの削減にもつながります。
専用収納の導入
個人の私物や必要な備品を一時的に保管できるモバイルロッカーや、デジタル鍵を使った個人収納スペースを設けると、荷物を持ち運ぶ負担を軽減できます。
定期的なオフィス管理とチェック
備品の管理がスムーズに行われているか、利用状況を定期的に確認し、改善を行うことが重要です。また、共有部分の清掃・整頓を定期的に行うことで、社員が快適に作業できる環境を維持できます。

このような工夫を行うことで、フリーアドレスメリットを活かしつつ、社員の負担を軽減し、働きやすい環境を作ることが可能です。

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フリーアドレスを成功に導くポイント

フリーアドレスを成功させるには、単に制度を導入するだけでなく、明確な目的設定と周到な準備が不可欠です。
「席が自由になる」という表面的な変化で終わらせず、なぜ導入するのかという本質を全社員で共有することが、成功への第一歩となるでしょう。

目的が曖昧なまま導入を進めてしまうと、「いつも同じ人が同じ席に座る」「部署内で固まってしまいコミュニケーションが活性化しない」といった形骸化を招きやすいからです。
せっかくコストをかけて導入しても、期待したメリットが得られなければ意味がありません。
社員一人ひとりが制度の意図を理解し、主体的に活用する意識を持つことが重要になります。

具体的には、「部門間の連携強化」を目的とするなら、くじ引きやITツールで定期的に席替えを促すルールを設けるのが効果的です。
また、「集中できる環境作り」が目的ならば、私語厳禁のサイレントスペースや、Web会議専用のフォンブースを十分に確保するといった物理的な環境整備が成功のカギを握ります。

このように、目的に合わせた具体的な運用ルールと環境整備をセットで考えることが大切なのです。フリーアドレスのデメリットや課題が解消されなければ、フリーアドレスは廃止されてしまいます。

導入目的の明確化と浸透

フリーアドレスを成功させるための最大のポイントは、その「導入目的」を明確にすることです。例えば「部門間コミュニケーションの活性化」や「オフィススペースの最適化による賃料20%削減」といったように、定量的かつ具体的なゴールを設定しましょう。目的が曖昧なままでは、社員にとってはフリーアドレスメリットが見えず、「席が決まらない不便な制度」と受け止められてしまう可能性があります。

導入前には、社内アンケートやサーベイを実施して社員の課題意識や改善要望を把握し、反映することが大切です。改善案を取り入れたうえで、フリーアドレス導入後のオフィスイメージを共有すれば、社員が改革の当事者として関わる意識が高まり、スムーズな導入につながります。

重要なのは、「フリーアドレス」は目的ではなくあくまで“手段”であることを全員が理解することです。そのためにはディスカッションや説明会を通じて、導入の背景や意義を丁寧に説明しましょう。経営層自らが導入意図を語り、社内報やミーティングで繰り返し発信することで、目的の浸透度は大きく高まります。

また、トライアル期間を設けて実際の運用を試し、現場の声をフィードバックする仕組みも有効です。全員の意見を反映できなくとも、「納得感のあるプロセス」を経ることが、社員のモチベーション向上とフリーアドレスメリットの最大化につながります。

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運用ルールの策定と徹底

フリーアドレスのメリットを最大限に享受するためには、明確な運用ルールの策定とその徹底が不可欠です。ルールが曖昧だと、結局いつも同じ人が同じ席に座る「席の固定化」が進んでしまい、フリーアドレスの本来の目的であるコミュニケーション活性化や生産性向上といった効果が得られません。

重要な運用ルール例

クリアデスクポリシーの導入
終業時にデスク上を空にし、私物化を防ぐためのポリシーを設けましょう。個人の荷物は鍵付きのロッカーに収納することを徹底することで、公平性を保つことができます。
グループアドレス運用
「チーム内のコミュニケーションが希薄になるのでは?」という不安を解消するために、特定のエリアに座ることを決める「グループアドレス運用」を行うのも一つの方法です。こうすることで、部署間でのコミュニケーションも確保しやすくなります。
固定席とフリーアドレスの使い分け
新入社員や若手社員が多い部署では、フリーアドレスではなく「席を固定」することを選択するのも有効です。フリーアドレスを導入する際は、現場の状況を反映した運用ルールを決定し、柔軟に対応しましょう。

ルールの定期的な見直し

フリーアドレスを導入しても、管理ルールが形骸化してしまう危険性があります。場合によっては、個人の使い勝手を重視して自分勝手に運用する社員が出てくる可能性もあるため、トラブルに発展する恐れがあります。

そのため、運用ルールを設定し、社員に周知徹底することが重要です。具体的には、私物の持ち込みや管理方法、退席時の清掃方法など、細かいルールを決めておき、定期的に社員に確認・更新することが求められます。

また、社員の所在確認をスムーズにするために、所在可視化・行動分析ツールの導入を検討する企業も増えています。株式会社日立ソリューションズが提供する「所在可視化・行動分析サービス」などの在席管理ツールを活用することで、社員がどこにいるのかを簡単に把握でき、業務の効率化や円滑なコミュニケーションが実現します。

運用ルールの策定と徹底を行うことで、フリーアドレスは形骸化せず、生産性向上という真の価値を発揮します。適切なルールとツールを組み合わせて、スムーズで効果的な運用を実現しましょう。

デジタル化とツールの活用

フリーアドレスを成功させる鍵のひとつが、デジタル化の推進です。固定席がない環境では、紙の書類を個人で保管しにくくなるため、自然とペーパーレス化が進みます。具体的には、契約書や請求書などの書類をGoogle DriveやOneDriveなどのクラウドストレージで一元管理することで、場所を問わず必要な情報に迅速にアクセスできるようになります。

また、SlackやMicrosoft Teamsなどのコミュニケーションツールを導入すれば、離れた場所にいる同僚とも円滑に連携でき、フリーアドレスメリットを活かしやすくなります。さらに、座席予約システム「Colorkrew Biz」などを活用すれば、誰がどこにいるのかを可視化でき、チームでの対面作業を効率的に進めることができます。これらのツールを活用することで、情報共有のスピードが向上し、業務プロセス全体の生産性がアップします。また、年間数十万円以上の印刷コストや保管スペースの削減にもつながります。

フリーアドレスの効果を最大化するためには、ペーパーレス化を促進することが不可欠です。フリーアドレスを導入したにもかかわらず、紙の書類を使用したワークフローが残っていると、フリーアドレスメリットを十分に発揮できません。さらに、承認が必要な担当者の座席がわからない場合、余計なストレスが生まれることもあります。

そのため、電子契約や電子請求書を導入してペーパーレス化を推進することで、フリーアドレスメリットをさらに高めることができます。ペーパーレス化をスムーズに進めるためには、事前に社内で文書のデータ化方針を決め、保存方法や分類方法を明確にしておくことが重要です。新規で作成される文書のペーパーレス化から始め、既存の書類についても段階的に進めていきましょう。

なお、ペーパーレス化できる文書とそうでない文書があるため、適切に見極めたうえで、社員に共有することが必要です。以下にペーパーレス化の対象となる文書とそうでない文書を示します。

<ペーパーレス化できる主な文書や資料>

・社内資料(会議資料・マニュアル・教育や研修資料・労務・人事関係の資料など)
・契約書
・領収書
・注文書 など

<ペーパーレス化できない文書>

・手書きで作成した国税関係帳簿(仕訳帳・総勘定元帳など)
・公正証書
・事業用借地権設定契約書
・農地の賃貸借契約書
・任意後見契約 など

ペーパーレス化を進める際には、注意点を押さえ、余裕を持ったスケジュールで進めることが重要です。また、フリーアドレスを導入する際、社員の居場所をリアルタイムで把握できる座席管理ツールの導入が必要です。座席を自由に選べることはフリーアドレスメリットのひとつですが、誰がどこに座っているのか分からないと、社員を探す手間や時間がかかる問題が生じます。

座席管理ツールを導入することで、社員の居場所が簡単に把握でき、来客や電話対応時にもスムーズに対応できます。また、出社してから空席を探す手間も省けるため、業務の効率化が進みます。座席管理ツールには以下のような機能があります。

<座席管理ツールの代表的な機能>

・座席予約
・社員検索
・利用時間の把握

座席の利用時間を可視化できるため、無駄のないレイアウト設計の参考にもなります。

デスクレイアウトの工夫と共創スペースの設置

フリーアドレスを導入する際、レイアウトの工夫が成功の鍵となります。コミュニケーションやコラボレーションが生まれやすい快適な共創スペースを作ることで、社員同士のつながりを強化し、より効率的で創造的な環境が生まれます。目指すべきは、社員が積極的に交流したくなる「行きたくなるオフィス」の実現です。

例えば、NTTドコモビジネスの本社オフィスが入る大手町プレイス28Fには、「ガレージ・アリーナ」というユニークなスペースが設けられています。「ガレージ」は最大700名収容可能な交流ラウンジで、キックオフやセミナー、プレゼンテーションなどのイベントに利用されています。一方、「アリーナ」は、目的に応じてレイアウトをダイナミックに変更できるステージエリアで、情報交流を促進し、共創の場として活用されています。

このような共創スペースの設置は、フリーアドレスメリットを最大限に活かすために重要です。社員が自由に席を選べるだけでなく、コミュニケーションの場としても機能することで、仕事の効率や創造性が飛躍的に向上します。

クラウドPBXを導入し固定電話をモバイル化

フリーアドレスの導入に伴い、電話の取次に関する課題が浮き彫りになることがありますが、クラウドPBXを活用することでこの問題を解決できます。クラウドPBXとは、インターネットを通じて接続されるクラウド上のPBX(電話交換機)を利用するサービスです。

クラウドPBXを導入し、スマートフォンを内線化することで、社員はオフィスにいなくても、どこにいても固定電話からの内線に対応できるようになります。これにより、社員の席が不定期であっても、常に円滑にコミュニケーションを取ることが可能になり、フリーアドレスメリットを最大化することができます。

オフィスデザイン専門の業者に依頼する

フリーアドレスを導入し、運用をスムーズに進めるためには、専門的なノウハウを持つ業者に依頼することが有効です。業者は過去の経験をもとに、導入から運用に至るまでのプロセスをサポートしてくれます。これにより、失敗を防ぎ、導入後の高い成果を期待できるだけでなく、備品やオフィス家具の手配にかかる社内の負担も最小限に抑えることができます。

フリーアドレス化を進めるためには、まずオフィスの現状を正確に把握し、課題を明確に設定することが重要です。その後、社員のニーズを考慮したレイアウト設計を行い、必要な備品を手配する必要があります。これらのプロセスには、専門的な知識と経験が不可欠です。信頼できる業者のサポートを得ることで、効率的かつ効果的にフリーアドレスの導入が進むでしょう。

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支援環境を整備する

フリーアドレスを効果的に運用するためには、ICT環境の整備が不可欠です。特に、フレキシブルなコミュニケーション環境を提供するために、インフラの整備やグループウェア、クラウドの活用は必要不可欠です。これにより、社員は場所を問わず、円滑に業務を進めることができます。

さらに、オフィス内でのコミュニケーションを効率化するためには、以下のような支援ツールが有効です。
デスクトップ共有
簡単に自分のデスクトップを投影できる仕組みを導入することで、情報共有がスムーズになります。会議や打ち合わせ時に、共有したい内容を即座に表示できるため、意思疎通が効率的に行えます。
サイネージ
旬な情報や重要な通知を表示するためのデジタルサイネージを設置することで、社員に必要な情報をタイムリーに提供できます。
チャットツールやスケジューラー
仲間の状況を簡単に把握できるチャットツールや、スケジュール調整を効率化するツールを活用することで、フリーアドレス環境でも情報の共有と調整が迅速に行えます。

フリーアドレスメリットを最大化するためには、これらのICTツールを整備し、社員がフレキシブルに、かつ効率的に仕事を進められる環境を作ることが重要です。

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魅力的な執務空間の整備

フリーアドレスでは、従来の固定席に縛られない多様な選択肢を持つ執務スペースを実現することができます。この特長を活かして、オフィスをおしゃれで楽しい空間に変える方法が有効です。例えば、ある時は家族が集まるリビングのソファのような、リラックスした空間で作業したり、また別の時にはカフェの片隅のような落ち着いた場所で仕事をしたりと、全く新しい概念の働く場を提供することが可能になります。

このような魅力的な執務空間は、単に自分の席がないことや収納スペースが縮小されたトレードオフを超える価値を持っています。それは、新しい働き方を体験することで新しい行動様式や多様な価値観を育む場ともなり、社員の創造性や柔軟な思考を促進する効果が期待できます。

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セキュリティ管理の強化

フリーアドレス環境では、部署の規模が大きい場合、毎日座席が変わるため、社員の顔ぶれも変わります。そのため、外部の人がオフィス内にいることに気付かない可能性が生じます。このリスクを軽減するためには、防犯カメラやセキュリティシステムを導入するなど、物理的なセキュリティ対策を強化することが重要です。

また、オフィス内のアクセス管理を徹底し、誰がどの席に座っているかを把握できる仕組みを導入することで、不審者の侵入防止や機密情報の漏洩防止に繋がります。こうしたセキュリティ強化策を講じることで、フリーアドレス環境でも安全で安心して業務を行える環境が整います。

フリーアドレスにおすすめのツール

フリーアドレスを導入する際、業務の効率化やコミュニケーションの活性化を支援するために、適切なツールの活用が重要です。座席管理やコミュニケーションの円滑化、業務の可視化を実現するツールを導入することで、フリーアドレスメリットを最大化し、快適なオフィス環境を作り上げることができます。今回は、フリーアドレスにおすすめのツールを紹介します。

パーソナルロッカーの設置

フリーアドレスの導入に伴い、個人の私物や業務用品の管理が課題となります。そこで、パーソナルロッカーを設置することで、貴重品や私物を安全に保管することができます。特に、ロック付きのタイプであればセキュリティ面での対策も施せます。さらに、ダイヤル式のキーレスタイプや入館証で解錠できるタイプは、鍵の紛失リスクを減らすことができ、利便性が向上します。

フリーアドレスでは固定席に個人用のワゴンがないため、個人の仕事道具や書類を管理するためにはパーソナルロッカーが必須です。ロッカーには、PCの充電ができるコンセント付きのものや、郵便物受け渡し用の“メール穴”が付いたタイプもあり、利便性を高めるために目的に合ったロッカーの選定が重要です。

荷物の持ち運びにモバイルバッグの支給

フリーアドレス環境では、仕事道具や書類を手軽に持ち運べるツールが必要不可欠です。モバイルバッグは、PCやノート、その他業務に必要なアイテムを一式収納でき、席を移動する際に非常に便利です。これにより、デスクを自由に選べるフリーアドレスメリットを最大化し、業務の効率化を図ることができます。

パーソナルロッカーに保管した荷物を持ち運ぶためには、モバイルバッグを支給するのが最適です。使いやすさと収納力を兼ね備えたバッグを選ぶことで、社員が快適に席を移動し、必要な道具をいつでも手元に保持できるようになります。

簡易ブースの設置

フリーアドレスの環境では、集中して作業したり、WEBミーティングを行いたい際に周囲の視線が気になることがあります。そんな時には、簡易ブースの設置がおすすめです。デスクに簡単に設置できるため、すぐに自分だけの集中空間を作り出すことができます。

簡易ブースを使用することで、音や視線から解放され、業務に集中できるだけでなく、WEBミーティングや電話会議も周囲に気を使うことなく行えます。このようなスペースの確保は、フリーアドレスメリットを最大限に引き出すために重要です。

フリーアドレス導入方法と流れ

フリーアドレスの導入には計画的な準備と実施が必要です。ここでは、フリーアドレスをスムーズに導入するための基本的な流れを紹介します。目的設定から運用開始までのステップを順を追って確認し、効果的な導入を目指しましょう。

フリーアドレス導入の目的を決める

フリーアドレス導入の第一歩は、その目的を明確にすることです。オフィスの効率化、社員同士のコミュニケーション活性化、またはコスト削減など、目的がはっきりしていないと、導入後に効果を実感できない可能性があります。目的を社内で共有し、全員がその意義を理解することで、導入後の運用がスムーズになります。

フリーアドレス対象者の選定

フリーアドレスを導入する際、全社員に一律に適用するのではなく、職種ごとの業務特性を考慮して導入対象を選定することが重要です。すべての部署に導入するケースは少なく、特定の部署に最適な形で採用されることが一般的です。

フリーアドレスに向いている職種

外出が多い営業部門や会議・ミーティングが多い企画部門
これらの部署は、在席率が低いため、フリーアドレスを導入することでスペースの効率化が図れます。
ノートパソコンやタブレットで業務を完結する職種
働く場所に物理的な制約が少ないため、フリーアドレス化が容易です。

固定席に向いている職種

総務、人事、経理などのコーポレート部門や営業アシスタント(事務職)
これらの職種は、社内の依頼や相談を受けることが多いため、顔が見える場所に座っている方が効率よく情報が流れます。
紙媒体の書類を多く扱う職種や現物・サンプルなどを手元に置く必要がある職種
これらの職種では、席を移動することで業務効率が低下したり、情報漏洩のリスクが高まる可能性があるため、固定席が適しています。

グループアドレス制の活用

「固定席に向いている職種」とされる部署でも、グループアドレス制などの運用方法を工夫することで、フリーアドレス化を実現できる場合があります。フリーアドレスを導入する際には、部署ごとの業務内容と連携を見極めて、最適なワークスタイルを選びましょう。

座席設定数を決める

フリーアドレス導入において、次に重要なのは「座席設定率」の決定です。座席設定率とは、フリーアドレス対象者の中で実際にオフィスに設置する座席数の割合を指します。この設定率によって、必要な座席数が算出され、デスクの数やレイアウトが決まります。事前にこの割合を検討しておくことが、効率的で快適なオフィス環境を作るための鍵となります。

座席設定率は、社員の出社頻度や部署ごとの業務特性を考慮して決める必要があります。例えば、外出が多い営業部門や会議が中心の部署は低めに設定し、日常的にオフィスにいることが多い部署は高めに設定するなど、柔軟な調整が求められます。

座席設定率を決めた後、デスクの配置やレイアウトを考えることができます。オフィス内での動線やスペースの最適化を進めるためにも、事前に十分に検討しておきましょう。

座席運用ルールを決める

フリーアドレスの座席運用には主に「完全フリーアドレス」と「グループアドレス」の2つの形式があります。それぞれの特徴を踏まえて、自社に最適な運用方法を検討しましょう。

完全フリーアドレス:エリアを限定せず、空いている席から自由に選ぶ

<ポイント>
社内コミュニケーションの活性化:
毎日異なる席に座ることで、普段接点のない部門のメンバーと隣り合うことになり、社内の交流や情報共有が促進されます。
業務連携の難しさ:
座る席によっては、同じ部門のメンバーが近くにいないこともあり、連携が取りづらくなる場合があります。特に密に連携を取る必要のある業務では、注意が必要です。

グループアドレス:グループごとにエリアを指定し、その範囲内で席を選ぶ

<ポイント>
グループ内のコミュニケーション活性化:
部門単位やプロジェクトチーム単位でグループを設定し、その範囲内で席を選ぶことで、特定のグループ内でのコミュニケーションがスムーズになります。
例)部署内での連携を重視する場合、同じ部門のメンバーが近くに座ることで効率的なコミュニケーションが可能になります。

どちらの形式にもメリット・デメリットがあるため、自社の業務スタイルやコミュニケーションの特徴を考慮して、最適な運用ルールを決定することが重要です。

デスク等のツールを検討する

フリーアドレス導入時には、デスクやその他のツールの選定が重要です。デスクの種類にはさまざまなタイプがあり、それぞれの利便性を理解したうえで、オフィスレイアウトや長期的な運用を見据えて選ぶことが求められます。

キャスター付きデスク
ワーカー自身でレイアウト変更が簡単にでき、柔軟なオフィス配置に対応できるタイプです。定期的なレイアウト変更や、チームの人数に応じた配置替えを考慮する場合に便利です。
ロングデスクタイプ
パーツを連結することで、人数の増減に対応できるタイプです。フリーアドレス導入後に、必要に応じてデスクを増設したり、レイアウトを変更したりできる柔軟性を持っています。
大型デスクタイプ
複数人が同時に使用することができる大型デスクは、グループでの作業が多い場合に適しています。コラボレーションスペースとして機能し、作業効率を向上させます。

また、デスク以外にも、パーソナルロッカーやモバイルバッグなど、フリーアドレス用のツールを検討することが重要です。これらのツールは、社員の私物管理や業務の持ち運びをスムーズにし、快適なワークスペースを提供します。

フリーアドレスを円滑に運用するためには、これらのツールを導入段階でしっかりと選定し、後々の運用に支障がないように準備することが大切です。

フリーアドレスの運用を社内に浸透させる

新しい働き方や運用ルールを決めても、社員に守ってもらえない場合が多くあります。フリーアドレスの運用を社内に浸透させるためには、いくつかの工夫が必要です。以下の方法で社員の理解と協力を得ることが重要です。

運用ルールを社内に浸透させるための工夫

オフィス運用マニュアルを作成し公開する
オフィスの使い方や運用方法を明記したマニュアルを作成し、全社員が必要な時にいつでもアクセスできる場所に置きましょう。マニュアルを公開することで、現在オフィスで働いている社員への周知が可能となり、中途入社の社員や転勤してきた社員にもスムーズに情報を提供できます。
クラウド上でマニュアルを保管すれば、社員がどこからでもアクセスでき、情報の更新や共有も容易に行えます。
社員説明会を実施する
マニュアル作成に加えて、社員に向けて新しい働き方に関する説明会を開催することも有効です。実際にフリーアドレス導入後の運用方法や目的について、全社員が理解し、実践するための意識を高めることができます。
社員参加型でルールづくりを行う
運用ルールの決定を総務担当者だけでなく、社員も参加させることで、オフィスや働き方に対する関心が高まり、ルールがよりスムーズに浸透します。社員自身が関わることで、自分ごととして感じやすくなり、ルールの遵守が促進されます。

フリーアドレスの運用ルールを社内に浸透させるには、単にマニュアルを作成するだけでなく、公開して社員への周知を徹底することが不可欠です。社員がいつでも確認できる環境を作り、運用に対する理解を深めてもらうことが成功のカギとなります。

継続的に効果測定を実施して運用を見直す

フリーアドレスを導入しただけでは、十分な効果を得ることはできません。導入後に効果を最大化するためには、継続的に効果測定を行い、運用を見直すことが不可欠です。

運用ルールを社員にしっかりと共有していても、実際に運用していく中で改善点が見えてくることがあります。そこで、社員からのフィードバックを集めるために、定期的にアンケートを実施し、フリーアドレス導入後に生じた変化や懸念点について意見を聞くことが重要です。

社員一人ひとりの意見を把握し、その意見をもとに生産性向上を目指して運用ルールを見直していく必要があります。効果測定は一度だけでなく、定期的に実施することで、改善を繰り返し、最適な運用方法を見つけることができるため、最終的にフリーアドレスメリットを最大化できます。

パイロットオフィスの検討

フリーアドレスはオフィス環境や働き方に大きな変化をもたらしますが、その変化に対して従業員から不安や反対の声が上がることも考えられます。全社一斉に導入を始める前に、パイロットオフィスで段階的に試すことが効果的です。まずは会社の一部の部署やエリアでフリーアドレスを実施し、その結果を評価します。その際、試験的に導入した社員の意見を集め、改善点を洗い出します。

これにより、社員の不安を軽減し、必要なルールやツールを整えることができます。その後、会社全体に導入するかどうかを慎重に決定します。段階的な進行を通じて、スムーズで効果的な導入が実現できるでしょう。

フリーアドレスの導入事例と活用法

フリーアドレスを導入して成功している企業は、自社の課題解決に合わせた独自の活用法を見つけているのが特徴です。
漠然と席を自由にするのではなく、「何のために導入するのか」という目的を明確にすることが、メリットを最大限に引き出す鍵となるでしょう。

なぜなら、フリーアドレスは単なる座席配置の変更ではなく、企業の文化や働き方を根本から変えるポテンシャルを秘めた施策だからです。
コミュニケーションの活性化や部署間の連携強化、あるいは省スペース化など、企業が抱える課題は千差万別。
それぞれの目的に応じて制度を設計することで、初めて大きな効果が期待できるのです。

具体的には、GMOインターネットグループ株式会社では、社員食堂やカフェを併設したコミュニケーションスペースを充実させ、偶発的な出会いやアイデア創出を促進しています。
また、コクヨ株式会社では、業務内容に応じて最適な場所を選んで働く「ABW(Activity Based Working)」の考え方を導入。
集中したい時のための個室ブースや、複数人で議論するためのコラボレーションエリアなど、多様な執務スペースを用意することで生産性向上を実現しました。

成功事例から学ぶ導入のヒント

フリーアドレス導入を成功させた企業の事例には、自社で実践する際のヒントが数多く隠されています。

例えば、オフィス家具メーカーのコクヨ株式会社は、自社のライブオフィス「THE CAMPUS」において、業務内容に合わせて働く場所を選ぶABWを徹底しました。集中ブースやファミレス席など約20種類の多様な執務エリアを設けることで、社員の生産性を高めています。

また、カルビー株式会社の取り組みも参考になるでしょう。同社では在宅勤務と組み合わせ、オフィスの出社率を3割程度に想定した運用を2010年から実践しており、働き方改革の先駆けとなりました。

これらの事例から、導入目的を明確化し、多様なワークスペースを用意すること、そして座席予約システムや個人ロッカーといった運用ルールを整備することが成功の鍵だとわかります。

ABWを意識したオフィスデザイン

フリーアドレスの利点をさらに引き出す考え方に、ABW(Activity Based Working)があります。これは「アクティビティ・ベースド・ワーキング」の略で、業務内容に合わせて最適な場所を自律的に選択する働き方を指すものです。このABWを意識したオフィスでは、単にデスクを共有するだけでなく、多様なワークスペースが用意されます。

例えば、一人で深く集中したい時のための個室ブースや、チームで活発に議論するコラボレーションエリア、防音性の高いWeb会議専用スペースなどが設置されるのです。国内でもイトーキやコクヨといった大手メーカーが、こうした環境を構築するための多様なオフィス家具を展開しています。

このように多機能な空間を設計することで、従業員は自身の業務効率を最大限に高めることが可能となり、結果として企業全体の生産性向上につながっていくでしょう。

フリーアドレスの導入事例:ドコモ

固定席をなくすだけでは、フリーアドレスメリット(生産性向上・部門横断の交流活性化・スペース最適化)を十分に引き出せない場合があります。重要なのは、ワークプレイスそのものをデジタルで再設計する「ワークプレイスDX」です。

NTTドコモビジネスは、社員の位置情報の可視化や共創スペースのデザインを含むワークプレイスDXを、コンセプト提案から設計・構築・運用までトータルで支援します。専用アプリと社員のスマートフォンを連携して在席・所在を検知できるため、「誰がどこにいるか」が一目で分かり、対面での連携や来客・電話対応がスムーズになります。さらに、可変レイアウトの共創スペースを計画することで、偶発的なコミュニケーションとコラボレーションが生まれやすい環境を実現します。

ワークプレイスDXの主な施策例

・位置情報の可視化(専用アプリ × スマートフォン)
・座席予約・在席管理の仕組み化
・共創スペースのゾーニング/可変レイアウト設計
・利用ログの可視化によるレイアウト最適化
・認証基盤やSaaSとの連携設計

導入事例|製造業A社(NTTドコモビジネス支援)

●課題
・フリーアドレス化で「誰がどこに座っているか分からない」ため、連絡・打合せが滞留。
・席取り・席探しの非効率が発生。

●解決策
・居場所検知ソリューションを導入し、社員の位置情報をリアルタイム可視化。
・スマートフォン/PCからの座席予約を実装。
・Microsoft 365 と Active Directory を連携し、人事異動時の情報更新を自動化・平準化。

●効果(定性的)
・対面コミュニケーションの段取りが迅速化し、報連相がスムーズに。
・席探し・呼び出しのムダ時間を削減。
・エリア別の利用状況が見える化され、レイアウト改善に活用可能。

このように、デジタル基盤 × 空間設計を一体で整えることで、単なる“席の自由化”にとどまらないフリーアドレスメリットの最大化(生産性・交流・コスト最適化)につながります。

【出典】NTTドコモ公式ページ(フリーアドレスとは?目的や事例、メリットとデメリット、失敗を防ぐ方法を解説)

フリーアドレスの導入事例:モランボン株式会社

モランボン株式会社は、本社ビルの新築に合わせて、「企画・営業・開発部門の密なコミュニケーション」を軸にした新しい働き方に挑戦し、フリーアドレスを導入しました。この導入により、部門間での情報共有やコラボレーションがより円滑に行われ、業務効率の向上が実現されました。フリーアドレス化を進めることで、社員同士が自然に交流し、より柔軟な働き方が促進された成功事例となっています。

出典:コクヨマーケティング株式会社HP、フリーアドレスとは?デメリット・メリット【導入マニュアル付】

フリーアドレスの導入事例:株式会社オークファン

株式会社オークファンは、アフターコロナのオフィス規模適正化を目的に、移転に伴ってフリーアドレスを導入しました。同社は、出社とテレワークを両立させるハイブリッドワークの導入によって、社内コミュニケーションの活性化を目指していました。その課題を克服するために、オフィス面積の50%をフリーアドレスエリアとして活用し、デザインと機能性を工夫して社員の満足度を高めることを重視しました。

オフィスのコンセプトは「Re-Café terrace」で、朝の爽やかなカフェの雰囲気を意味します。自然の要素とカフェ空間が調和したレイアウトが特徴で、コーポレートカラーのグリーンを活かした開放的なデザインが社員にとって快適な環境を提供しています。

また、オフィスの中心にはオープンミーティングエリアとパントリーカウンターを設置し、窓際には集中作業スペースやWeb会議ブースも配置。これにより、社員が仕事の内容に合わせて柔軟に働ける空間が実現されています。フリーアドレス導入により、社内コミュニケーションが活性化され、より効率的で協力的な働き方が可能となりました。

出典:株式会社ヴィスHP、フリーアドレスとは?メリット・デメリットから失敗を防ぐ方法、事例まで紹介

フリーアドレスの導入事例:内田洋行

株式会社内田洋行は、クラウド導入支援やITインフラ構築、ECOソリューションなどのサービスを提供する企業で、フリーアドレスにおける座席選択だけでなく、働く時間や場所を仕事の内容に合わせて選べるABW(Activity Based Working)を導入しました。これにより、生産性の高いアクティブな組織づくりを目指しています。

ABW導入に際して、業務効率を妨げる要素を排除することに重点を置きました。具体的には、ペーパーレスシステムの導入、オフィス全館への無線LANの導入、スマートフォンやタブレットパソコンによるモバイル化、そしてコミュニケーションインフラの整備が行われました。これにより、フリーアドレス環境で必要な柔軟性が確保され、社員の生産性向上が実現しました。

また、フリーアドレスを定着させるために、5つの分科会を運用した結果、80%以上の社員がABWの導入によりコミュニケーションの増加を実感しました。このことから、フリーアドレスの効果を最大限に引き出すためには、環境整備と同時に、定着までのプロセス実践が重要であることが分かります。

注: 内田洋行では、柔軟性や多様性が求められる職場、働き方改革を加速しようとしているオフィスにおいて、アクティブ・コモンズというコンセプトで、多様性を生み出す仕掛けや仕組みを組み込んだオフィス作りを推進しています。

出典:株式会社内田洋行HP、フリーアドレス2.0 の実際

フリーアドレスの導入事例:ALSOK

フリーアドレスの導入には、メリットとデメリットが存在し、適切な環境で運用することが効果を最大化します。特に、顔ぶれが毎日変わることで、オープンスペースなど入室制限を設けていない場所では、内部と外部の人の見分けがつかなくなるリスクがあります。このため、防犯カメラやセキュリティシステムの導入が必要不可欠です。

ALSOKでは、フリーアドレスにも適した各種セキュリティサービスを提供しており、これによりオフィスのセキュリティ強化を実現しています。特に、不審な人物の入室があった場合に備えて、入退室時の映像録画を行い、証拠映像として活用できます。監視カメラや防犯カメラは、さまざまな環境に対応できる多彩な機種を揃えており、BCP(事業継続計画)の基本を支えています。

さらに、外部の人の入室制限だけでなく、勤怠管理システムとの連携も可能です。顔認証を利用した非接触型の出入管理により、なりすましの防止も実現できます。これにより、社員のセキュリティと効率的な管理が両立し、安心してフリーアドレス環境を導入することができます。

また、ALSOKの情報警備監視センターが24時間365日監視を行うため、システム管理者の負担を軽減し、オフィス全体のセキュリティを強化します。

出典:ALSOK株式会社HP、フリーアドレスとは?メリット・デメリットと導入の失敗を防ぐポイント

フリーアドレスの導入事例:株式会社マツキヨココカラ&カンパニー

株式会社マツキヨココカラ&カンパニーでは、4フロアを一つに集約し、フリーアドレスに対応した執務室を構築しました。新しい執務室には、社員が業務に集中できるように、仕切り付きデスクを採用しています。これにより、オープンでありながらも個々の作業スペースが確保され、集中力を高めることができます。

また、複数人での作業や打ち合わせにも対応できるよう、個別席とは別に4人掛けのデスクも設置されており、チームでのコラボレーションを円滑に行える環境が整っています。さらに、収納ラックを壁面に沿って配置することで、限られたスペースを効率的に活用し、オフィス全体の整理整頓が保たれています。このように、フリーアドレスに必要な柔軟性と、業務効率を高めるための工夫が施されたオフィス設計が特徴です。

出典:オフィスコム株式会社社HP、フリーアドレスオフィスとは?メリット・デメリットや事例を紹介

フリーアドレスの導入事例:株式会社大山建設

株式会社大山建設では、部署移転に伴い、執務室にフリーアドレスを導入しました。上長席のみを固定し、その他の席はフリーアドレスにすることで、メンバーが柔軟に働くことができる環境を提供しています。この配置により、メンバーは自分に最適な作業スペースを選択でき、上長は部門の社員の様子を把握しやすくなり、チームのマネジメントがしやすくなっています。

さらに、メンバーが上長に相談する際も、上長席が固定されていることで、上長を探す手間が省け、円滑にコミュニケーションを取ることが可能です。このような配置は、フリーアドレスの柔軟さと固定席の利便性を兼ね備え、働きやすさと効率的な業務運営を両立させる優れた事例となっています。

出典:オフィスコム株式会社社HP、フリーアドレスオフィスとは?メリット・デメリットや事例を紹介

フリーアドレスの導入事例:ブラザー販売株式会社

ブラザー販売株式会社は、プリンターや複合機、家庭用ミシンなどを製造する企業で、業務変革の一環としてフリーアドレスを導入しました。「B to Bへの転換」を目指す中で、部門を超えた社員同士の交流を促進するために、ラウンジエリアやクイックミーティングスペースを設けるなど、フリーアドレスに適した環境を整備しました。また、社員が自社製品を日常的に使用できる場も構築し、実践的な環境を提供しています。

約10年前にもフリーアドレスを導入したものの中止した経緯があり、今回の再導入に際しては、自由なワーキングスタイルを支える社内制度を整備しました。さらに、社員の不安を解消するためのシステム整備を行い、フリーアドレスの定着が進んでいます。

フリーアドレスが社員に受け入れられた理由は、導入理由や目的をトップから社員へ明確に発信したことです。単に導入するだけでなく、定着に向けたプロセスをしっかりと整備したことが成功の鍵となっています。

出典:株式会社内田洋行HP、フリーアドレス2.0 の実際

フリーアドレスの導入事例:Vialtoパートナーズ税理士法人/Vialtoパートナーズ行政書士法人

Vialtoパートナーズ税理士法人およびVialtoパートナーズ行政書士法人は、働き方のアップデートと共に、“Vialtoらしさ”を感じられるオフィスの構築を目指してオフィス移転を行いました。交流と出会いを加速させることを目標に、ABW(Activity-Based Working)を導入し、社員が効率的に仕事をしながらも柔軟にコミュニケーションできる環境を整備しました。

オフィスは、「Community(活気あふれる人が集うエリア)」「Co-creation(部門を超えた連携を促進するエリア)」「Drive(個人の生産性を高めるエリア)」の3つのエリアに分け、各エリアをシームレスに接続しました。このレイアウトにより、個人とチームの両方で生産性を高めることができ、フリーアドレスのメリットを最大限に活かしたオフィス環境を提供しています。

さらに、オフィスのデザインには、グリーンやコーポレートカラーを随所に取り入れ、ブランドの一貫性を感じられる空間に仕上げました。特に、外資系企業でありながらも、ミーティングスペースには日本らしさを感じさせる松竹梅のクロスや和紙アートが施され、国際的な企業文化と日本の伝統が融合した独自のデザインが特徴です。

出典:株式会社ヴィスHP、フリーアドレスとは?メリット・デメリットから失敗を防ぐ方法、事例まで紹介

フリーアドレスの導入事例:インフォ・ラウンジ株式会社

インフォ・ラウンジ株式会社は、社員間のコミュニケーションのみならず、地元企業とのつながりを重視し、交流やイノベーションの起点となることを目指してオフィス移転を行いました。オフィスの中心には、コミュニケーションの促進を意図して設置されたキッチンがあり、社員同士が自然に集まり交流できる場を提供しています。

フリーアドレスを導入したワークスペースでは、広範囲にホワイトボードを設置し、イノベーションと創造を促進する環境を実現。また、採光を活かしたリフレッシュエリアやVRルームを設けることで、社員が仕事と休息をうまく切り替えられる空間を作り出しています。

さらに、オフィスのデザインには、横浜の海とコーポレートカラーのブルーからインスピレーションを受け、ギリシャのサントリーニ島を再現したデザインが特徴です。このユニークでリラックスできる空間が、社員の創造性と交流を最大限に引き出しています。

出典:株式会社ヴィスHP、フリーアドレスとは?メリット・デメリットから失敗を防ぐ方法、事例まで紹介

フリーアドレスの導入事例:オークラ輸送機株式会社

オークラ輸送機株式会社は、「境界を広げて、次の100年を見に行こう」というコンセプトを掲げ、社員の意見を大切にする文化を体現するために、フリーアドレス運用に切り替えました。これにより、役職に関わらず社員が自由に意見を交換し、より柔軟で創造的な働き方が実現されました。

このプロジェクトの実施にあたり、全社員への意識調査や経営層・役職者へのインタビュー、ワークショップを行い、現状の課題をデータ化しました。さらに、全社員がフリーアドレス化に納得できるようにチェンジマネジメント(意識改革プログラム)を導入し、ペーパーレス化にも取り組んで、58%の書類削減を達成しました。

デザインのコンセプトは「ONE(Okura Natural Enjoy)」で、同社の歴史や伝統を感じられるような落ち着いた印象の空間に仕上げています。このように、フリーアドレス導入とともに、企業文化の革新と環境整備が見事に融合した事例です。

出典:株式会社ヴィスHP、フリーアドレスとは?メリット・デメリットから失敗を防ぐ方法、事例まで紹介

フリーアドレスの導入事例:キャタピラージャパン合同会社

キャタピラージャパン合同会社は、社員が出社やコミュニケーションに価値を感じられる環境を実現するため、オフィスの改装を行いました。テレワークを併用している中で、出社時には社員が自由に働く場所を選べるよう、用途に応じて複数のエリアを設置しました。

オフィス内には、リフレッシュスペース、ワークスペース、集中スペースを設け、それぞれのエリアごとに異なる家具の色味を取り入れることで、メリハリのあるデザインを実現しています。エントランスの壁面や造作カウンターには、重機をイメージしたクールなデザインが施され、企業の強さと個性を表現しています。窓際にはリフレッシュスペースを配置し、イエローを基調にした明るく開放的な雰囲気を作り出し、社員が心地よく過ごせる空間を提供しています。

出典:株式会社ヴィスHP、フリーアドレスとは?メリット・デメリットから失敗を防ぐ方法、事例まで紹介

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フリーアドレスの導入事例:高円宮記念JFA夢フィールド

高円宮記念JFA夢フィールドは、オフィス移転を機に、**フリーアドレス(グループアドレス運用)**を導入し、コミュニケーションの促進を目指しました。グループアドレス運用により、部門ごとにエリアを決めて座席を選ぶ形式を採用し、チーム間の連携強化を図ることができました。この新しい働き方により、従業員間の交流が活発になり、よりスムーズな情報共有と業務の効率化が実現しました。

出典:コクヨマーケティング株式会社HP、フリーアドレスとは?デメリット・メリット【導入マニュアル付】

フリーアドレスに関するよくある質問

フリーアドレスの導入を検討する際、多くの方が同じような疑問や不安を抱えるものです。
特に、「私物はどこに置くの?」や「導入コストはどれくらい?」といった現実的な問題は、事前に解決しておきたい重要なポイントでしょう。

なぜなら、フリーアドレスは従来の固定席での働き方と大きく異なり、具体的な運用イメージが湧きにくいからです。
コミュニケーション活性化といったメリットに期待しつつも、日々の業務における細かなルールがわからないと、導入に踏み切れないのも当然と言えます。

例えば、「個人の荷物管理」という質問は非常によく寄せられます。
これには、コクヨの「モバコ」のようなモバイルバッグの活用や、個人ロッカーの設置が有効な解決策です。
また、「初期費用は?」という問いには、オフィスの規模によりますが、一般的に数十万〜数百万円が必要になるケースがあります。
具体的には、Wi-Fi環境の再構築、ABW(Activity Based Working)を意識した家具の購入、セキュリティ強化のためのシステム導入などが主な費用項目となるでしょう。

フリーアドレスとオフィス移転の関係

オフィス移転は、フリーアドレスを導入する絶好の機会となります。固定席を前提としたオフィスレイアウトから脱却し、移転を機に新しい働き方へとシフトする企業が増加しました。最大のメリットは、オフィススペースの最適化による大幅なコスト削減でしょう。例えば、在宅勤務の普及で実際の出社率が平均70%であれば、座席数も従業員数の7割に設定することが可能。これにより、移転先のオフィス面積を従来より20%〜30%縮小でき、年間で数百万円規模の賃料削減につながるケースも少なくありません。

また、物理的な環境が大きく変わる移転は、従業員の意識改革を促す良いきっかけになります。固定席の概念をなくし、業務内容に応じて集中ブースやコラボレーションエリアなどを使い分けるABW(Activity Based Working)といった先進的な働き方もスムーズに浸透させられるという側面があります。将来的な人員増減にもレイアウト変更なしで柔軟に対応できる点も魅力です。

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フリーアドレスオフィスの運用に関する疑問

フリーアドレス導入時には「個人の荷物はどこへ置くのか」「必要な時に同僚がどこにいるか分からない」といった運用面の疑問が必ず生じます。この課題に対し、多くの企業では個人用ロッカーや、書類・PCをまとめて運べる社内用バッグを支給する対策を取っています。これにより、私物を安全に保管できるだけでなく、ワークスペースを清潔に保つ効果も期待できるのです。また、メンバーの所在確認にはITツールが極めて有効でしょう。

例えば、在席管理システム「せきなび」などを導入すれば、誰がどのエリアで作業しているかをリアルタイムで把握可能。チャットツールとの連携で、すぐにコミュニケーションを取ることもできます。適切なルールとツールの活用が、フリーアドレスの成功を左右する鍵となるでしょう。

まとめ:フリーアドレスのメリットを最大限に活かし、理想の職場へ

今回は、フリーアドレスの導入を具体的に検討されている方に向け、
– フリーアドレスがもたらす数々のメリット
– 導入前に知っておきたいデメリットと対策
– 導入を成功に導くための具体的なステップ
上記について、解説してきました。
フリーアドレスは、従業員の自律性を高め、コミュニケーションを活発にする大きな可能性を秘めています。固定席という制約から解放されることで、部署を超えた新たな交流が生まれやすくなるからです。

とはいえ、本当に自社に合うのか、導入に失敗しないかといった不安を感じるのも無理はないでしょう。
この記事で紹介した成功のポイントを参考に、まずは自社の課題と照らし合わせながら、導入計画を具体的に練ってみてはいかがでしょうか。
より良い職場環境を目指して情報収集されているその姿勢は、会社の未来にとって大変価値のあるものです。

適切な準備と運用を行えば、フリーアドレスはきっとあなたの会社に新しい風を吹き込み、組織全体の活性化につながっていくに違いありません。

すぐに全社で導入するのではなく、まずは一部の部署で試してみるなど、小さな一歩から始めてみることをお勧めします。
この記事が、成功への確かな道しるべとなることを心から願っています。

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この記事の監修者

杉本貴之Takayuki Sugimoto

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営業部長兼アカウントプランナー

プロフィール

異業種で営業経験を積んだのち、Web業界に可能性を感じて株式会社ecloreに中途入社。
現在は、お客さま対応を担う。年間実績として、120社を超えるクライアントのSEOコンサルを担当。
より高いSEO成果をご提供するために最新のSEO情報とクライアントからの要望を元に日々サービスの品質改善に取り組んでいる。

【対応実績事例】

https://rank-quest.jp/column/episode/life-adj/
https://rank-quest.jp/column/episode/x-house/

資格

SEO検定1級

∟SEO協会認定試験とは:時代によって変化してきたSEO技術を体系的に理解していることを示す資格検定試験です。

Google アナリティクス認定資格

∟Google アナリティクス認定資格とは:SEO対策には欠かせないデータ解析ツール「Googleアナリティクス」の習熟度をGoogleが公式に認定する資格です。

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