【システム開発】運用テストとは?運用テストの流れや注意点について解説!
公開日:2020.12.01 最終更新日:2023.11.14
「運用テストの流れが知りたい!」「どのように運用テストを進めていけばいいのかわからない」このように悩んでいませんか。本記事では、「運用テストの流れ」や「運用テストを行う際の注意点」を紹介していきます。本記事で得た情報を参考にすると、運用テストがスムーズに進められるようになります。
【システム開発用語集】運用テストとは
システム開発における運用テストとは、設計したシステムが正常に動作するかどうか検証する工程のことです。本番環境と条件の近い「疑似環境」で行われます。
システム開発のプロセスで行われる他のテストと同じようなテストだと思われがちですが、異なります。運用テストが他のテストと異なる点は、ユーザー側がシステムの不具合を確認することです。ユーザー側がシステムを確認することによって、ベンダー側が気づかなかった点を発見できるようになります。このことが、運用のテストが行われる理由の1つです。ユーザー側にシステムの使い方を教えることも、運用のテストが行われる意図として挙げられます。そのため、運用テストを円滑に進めるには、ベンダー側とユーザー側は協力しなければなりません。また、運用テストは、「システムのクオリティーは維持できているか」「システムを開発する初期段階で決めた要件は守れているか」などのチェック作業を行います。ただし、システム開発業者の体制や開発の要件によって、運用テストの範囲や確認項目や内容などはそれぞれ異なっていきます。
運用テストの流れ
運用テストの流れは、以下の通りです。
- テスト計画の作成
- テスト項目の作成
- テストの実施
- プログラム修正
- テスト結果報告
それぞれの工程について、詳しく解説していきます。
テスト計画の作成
運用テストの最初の工程は、「運用テストの計画」を作ることです。この工程では、運用テストの開始条件や終了条件の他に、運用テストの実施日や期間、運用テストをどこまで行うかなどについても決めます。運用テストをどこまで行うかについては、一般的には、開発した箇所を全てテストすることになっています。これは、運用テストが行われない箇所がないようにするためです。また、いっぺんに何人かのベンダーが行わなくてはならないテストでは、そのテストに関わる人のスケジュール管理が大切になります。そのため、テストの計画を作成する時点でスケジュールを決めておかなくてはなりません。
テスト項目の作成
運用テストの計画ができたら、運用テスト項目(テストケース)を作成しましょう。立てた計画を元に、実際に行う運用テストの項目を決めていきます。また、運用テストでは、開発した箇所を全てチェックしなければなりません。そのため、どの部分がどのように処理されるのか、開発した箇所を全てチェックできるような項目を作っていきます。開発した箇所を全てチェックする際は、「ブラックボックステスト」や「ホワイトボックステスト」が使われる機会が多いです。「ブラックボックステスト」では、主に入力データと出力データに矛盾がないかに着目してテストを行います。それに対して「ホワイトボックステスト」では、全てのプログラムが、指示した通りに動いているかどうかを確認してテストを行います。
テストの実施
運用テストの項目の作成ができたら、運用テストを実施する環境を整えます。環境が整ったら、作成した運用テスト項目に従って、実際に運用テストを開始してみましょう。運用テストをし終わったら、「エビデンス」を残します。「エビデンス」とは、運用テストにおいて、どのようにシステムが動いたかどうかを記録して証明するものです。運用テストの結果や運用テストを行った際の画面を写真に残しておくなどして、しっかりと記録しておきましょう。
プログラム修正
運用テストを実施した際に見つかった「バグ」を直しましょう。まずはプログラムを調べて、「バグ」が生じている箇所を突き止めます。突き止めたら、そのプログラムを修正して、再びテストを行います。「バグ」がきちんと修正されているかどうかチェックしましょう。
テスト結果報告
問題のあるプログラムの修正ができたら、運用テストの結果を報告しましょう。運用テストのテスト結果を報告する際は、信頼度成長曲線などを使ってテスト結果を分析して報告します。信頼度成長曲線とは、運用テストを行った際に、どの時間にどのようなバグが起こったかを表したグラフのことです。グラフの縦軸に起こったバグの数を、グラフの横軸には時間を書き表しています。
また、テストが終わりに近づいているにも関わらずバグの数が多いという場合は、テストを続けて行うことをおすすめします。テストを始めた初期段階では、多くのバグが見られるでしょう。しかし、テストが完了する頃にかけてバグの数は比較的減っていきます。そのため、もしもテストの最終段階になってもバグが減っていないという場合は、プログラムにバグが存在している可能性が高いのです。
運用テストで注意すべきポイント
運用テストで注意するべきポイントを、5つ紹介します。
- ギリギリの日程でスケジュールを組まない
- ユーザーの目線に立つ
- 不具合・バグなどは迅速に報告する
- 別のテスト名で呼ばれることもある
- 本番環境を運用テストで使う場合は要注意
それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。
ギリギリの日程でスケジュールを組まない
運用テストに関するスケジュールを、ギリギリの日程で組まないようにしましょう。システム開発の終わり頃に運用テストが行われます。そのためスケジュールが遅れてしまうと、納期が遅れたり、ユーザーにシステムの使い方を教える日程が変動したりするかもしれません。システムにトラブルが起こった時のことや、システムを修正する時間なども考えて、スケジュールを組むようにしましょう。また、スケジュールを、きちんとベンダーとユーザー間で共有しておくことが大切です。
ユーザーの目線に立つ
ベンダー側は、ユーザー側の目線に立って、システム開発を進めていくようにしましょう。ベンダー側は、長い間ユーザー側とシステム開発を進めていくうちに、ユーザー側の考えや目線が完全にわかった気になってしまうことがあります。しかし、そのようなことはあり得ません。そのため、運用テストを行う際は、必ずユーザー側を軸としてテストするようにしましょう。
不具合・バグなどは迅速に報告する
システムの不具合やバグなどは、迅速に報告するようにしましょう。修正にかかる時間が長い不具合やバグが見つかった場合、報告が遅くなると、納期も遅くなってしまう可能性があります。運用テスト中に発見された不具合やバグなどは、会社のミーティングなどでまとめて報告してもらうのではなく、見つかった時点でできるだけ早く報告してもらうようにユーザー側に呼びかけましょう。
別のテスト名で呼ばれることもある
運用テストは、別のテスト名で呼ばれることがあります。IT業界においては、開発の工程やテストの呼び方は決まっておらず、企業によってさまざまです。例えば、運用テストは、「システムテスト」「受け入れテスト」などと呼ばれることもあります。別のテスト名で呼ばれた時にその意味がわからなかった場合は、必ず周りに確認するようにしましょう。
本番環境を運用テストで使う場合は要注意
運用テストでユーザーの本番環境を使用する際は、十分に注意してください。ユーザーの本番環境とは、ユーザーが実際の作業で使っている環境のことを指します。もしユーザーの本番環境で作業している際にシステムに不具合やバグなどが発生してしまうと、ユーザーの個人情報が漏れたり、ユーザーが使用している機材に不具合が生じてしまう恐れがあるのです。そのため、ユーザーの本番環境と同じような環境を、別の場所で準備すると良いでしょう。
運用テストはシステム開発成功の肝
本記事では、「運用テストの流れや注意点」について詳しく解説してきました。運用テストは、システム開発の最終段階における非常に重要な工程です。また、運用テストは、ベンダー側とユーザー側との連携が肝心になってきます。ぜひ本記事を参考に、運用テストを円滑に進めて、システム開発を成功させましょう。
運用テストに悩んだ際にはEMEAO!へのご相談を一度ご検討ください。
この記事を書いた人
編集部員 城下
EMEAO!編集部員の城下です。雑誌編集者と人材コーディネーターの勤務経験を生かし、現在はWebコンテンツの作成を担当しています。業者選定ガイドでは真っ白でクリーンな情報を届け、皆様にとって有益な知識の溢れるお城となるようなメディアを目指します。よろしくお願いします!