4987308 s - システム開発の手法別のメリット・デメリットを解説

システム開発の手法別のメリット・デメリットを解説

公開日:2021.05.25 最終更新日:2024.08.24

システムの開発には、大きく分けて6種類の手法があります。 システムを発注する場合は、常に、開発予算を抑え、期間は短く、利用者に喜ばれるように開発したいと考えています。開発依頼する内容によっては、開発手法が、メリットやデメリットの原因となる場合があります。

発注側は、開発手法を詳細に理解する必要はありません。ただ、特徴や違いを理解して、最適な開発手法を選ぶことが大切です。 そこで6種類の開発手法のメリット・デメリットを紹介します。

【手法別】システム開発のメリット・デメリット

一般的にシステム開発の手法には、次の6つがあります。

  • 手法①ウォーターフォール型開発
  • 手法②アジャイル型開発
  • 手法③プロトタイプ型開発
  • 手法④スパイラル型開発
  • 手法⑤MVCモデル
  • 手法⑥DevOps

順番にメリット・デメリットについて、解説していきます。

手法①ウォーターフォール型開発

ウォーターフォールの語源は、英語の「waterfall(滝・瀑布・落水)」です。 この開発は、「要件定義」・「設計」・「開発」・「テスト」・「導入」の順番に開発が進む手法です。滝つぼに落ちる水のように、上(要件定義)から下(導入)へ開発が順番に進んでいきます。

特徴として各工程が100%完成しないと、次の工程に進むことができないという特徴があります。 この開発手法は、古くから最も多くのプロジェクトで利用されてきました。 特にこの手法に向いているのは、大規模なシステム開発が多いです。 たとえば「銀行の入出金処理」、「電力会社の配電処理」など要件定義後に機能追加などがほとんど発生しない開発となります。

ウォーターフォール開発のメリット

プロジェクトが計画通りに進めやすいことです。 進捗状況や情報把握がしやすい特徴があります。 1つの工程が完了したら次の工程に進む手法です。

あと戻り作業が発生しないため、工程スケジュールを詳細に作ることができ、計画通りに進めることができます。 また、工数や参加人員の想定が簡単に試算できます。

ウォーターフォール開発のデメリット

変更が発生した場合や作業ミスが発生した場合は、前工程に戻って修正作業を行います。作業工数および時間がかかってしまいます。 たとえば、導入前に仕様漏れ等が判明した時は、要件定義まで戻って作業を行います。

よって、トラブルやミスの発生時には大幅な工数および時間がかかってしまいます。

手法②アジャイル型開発

アジャイルの語源は、英語の「agile(機敏な・俊敏な)」です。 アジャイル型開発は、最初に「おおまかな要件定義」を作成します。そこから2〜3週間で利用開始できる単位に分割します。 重要な機能から「設計」・「開発」・「テスト」・「利用開始」を1つのサイクルとしてイテレーション(反復・サイクル)を繰り返しシステムの完成を目指す手法です。

開発規模を小さくまとめるため、利用開始までの期間が短くできるのが特徴です。 つまり、機能追加等があることを前提にした開発手法です。 特にこの手法に向いているのは、機能追加等が多いWebサービス・モバイルアプリやゲームなどのプロジェクトが多いです。 要件が、固まっていないプロジェクトなどもこの手法が用いられます。

アジャイル開発のメリット

利用開始までの期間を短縮できることです。 機能変更に臨機応変に対応しやすいという特徴があります。 アジャイル開発は、利用者側が積極的に参加する手法です 。要な機能追加や使い勝手など、利用者側のニーズを吸収しながら短いスパンで開発とレビューを繰り返します。

重要な機能から開発できるため、短納期でユーザーに自社サービスを届けられます。

アジャイル開発のデメリット

変更が頻繁に加えられることにより、スケジュール管理・工程管理が困難になり、その結果利用開始が遅れる場合があります。 当初の要件からかけ離れたものが、出来上がる可能性も懸念されます。

また、利用者側が積極的に参加し機能変更に対応した結果、本来の必要なニーズから離れてしまう場合があります。その結果、開発コストが当初の想定より膨らんでしまうことも考えられるでしょう。 利用者側の参加がない場合は、完成したシステムが思ったものと違うことになり失敗する場合があります。

手法③プロトタイプ型開発

プロトタイプの語源は、英語の「prototype(試作品・原型)」です。 プロトタイプ型開発は、最初に試作機を作成します。 プロトタイピング型と記述する場合がありますが、意味は同じです。 利用者は、試作機を利用して自分が考えているシステムかどうか確認します。

試作機に変更や機能追加をおこない、システムを完成に近づけていく手法です。 アジャイル開発は、こまめに利用を繰り返す手法ですが、プロトタイプ型は、試作機に機能が追加され、すべて完成するまで利用開始されません。

特にこの手法に向いているのは、まったくの新規事業・新規サービスのように参考となるサービスがなくUI(ユーザーインターフェース)など、手探りで開発していかなくてはならないプロジェクトです。

プロトタイプ型開発のメリット

試作機のレビュー・修正を繰り返すため、開発者と利用者の認識のずれが起こりにくいことです。 また、機能不足や不具合を開発の初期段階で回避できる特徴があります。 イメージがぼやけた状態でも開発をスタートできます。

プロトタイプ型開発のデメリット

試作機への機能変更に簡単に対応できるため、頻繁に機能変更が発生し、スケジュール通りに進められない可能性があります。 試作機に多くの費用と時間が、かかってしまいます。 大規模なプロジェクトには向いていません。

手法④スパイラル型開発

スパイラルの語源は、英語の「spiral(渦巻・らせん)」です。 ハイブリッド型と同じ意味を持ちます。 スパイラル型の進め方は、大まかな仕様を決め、機能ごとに分けたものを、優先度の高い順にまとめておきます。 優先度の高いものから順番に、設計から開発まで本番に近い機能を実装し試作機を作ります。

利用者は、試作機を確認し問題なければ次の試作機の作成へ進みます。 そのため、開発段階にて利用者と開発者側での認識の齟齬を回避することが可能となります。

スパイラル開発は、試作機で機能確認を随時行い開発していく手法です。 機能ごとに毎回テストを行い、利用者が確認作業を行います。その結果、評価やレビュー、改善をおこないシステムの品質を高めます。 アジャイル型との大きな違いは、システムが完成するまで利用開始されないことです。

特にこの手法に向いているのは、品質を重視する大規模プロジェクトです。また、仕様が変更する可能性があるプロジェクトとなります。 その都度、試作機を作成するため開発費が肥大化します。そのためあまり利用されていません。

スパイラル型開発のメリット

コンパクトな機能を実装した試作機を作成することです。 利用者は、試作機を使用して確認を行い、その結果、機能変更等を行うことができます。 機能変更に対しては、柔軟に対応できます。

試作機から認識のズレを修正できます。工程の戻り作業も減らせます。結果的に、クオリティーを高められる点がメリットです。

スパイラル型開発のデメリット

スパイラル型は、一見、クオリティーが高く柔軟性に富んだ開発の手法と思われます。 しかしプロジェクトの長期化やコストが膨らんでしまうリスクがあります。

特に大規模システムの場合、機能が多く試作機のレビュー回数が多くなります。プロジェクトが長期化し開発コストが膨らんでしまう点もリスクと言えるでしょう。

手法⑤MVCモデル

MVC は、Webフレームワークで一般的に取り入れられている、アプリケーション設定を整理するための概念の一つです。 MVCモデルのMVCとは、「Model(モデル)」、「View(ビュー)」、「Controller(コントローラー)」の頭文字から名付けられています。

プログラミングの中身をわかりやすく整理するために用いる手法です。 モデル(M)では、データベースにアクセスする要求が来ます。 その時、データベースから読みだしたデータに変換を行って、次の処理に渡すような役割を担っています。 ビュー(V)では、Webブラウザに表示するHTMLを動的に生成する部分です。 コントローラー(C)では、端末から来たリクエストURLに対して、事前に設定している処理を行います。

リクエストURLと処理を関連付け、次の処理に渡すような役割を担っています。 MVCはWebフレームワークにおける設計思想のようなものです。 PHP のフレームワークには、「Ruby on Rails」や「CakePHP」があります。

また、Windowsのフレームワークには、「ASP.NET MVC 5」など、MVCの考え方に基づいて設計されたフレームワークが数多くあります。 MVCモデルは機能ごとに開発を分ける特徴を持っているため、小規模な開発には不向きとなります。

MVCモデルのメリット

分業で開発を進めやすいことです。 また、開発者が変わっても開発を引き継ぎやすい点もメリットの一つでしょう。 MVCモデルは、コードがモデル・ビュー・コントローラーに分かれているため、理解しやすいのが特徴です。開発者が変更になってもすぐに開発に着手できます。

その結果、効率の良い開発ができるため、スケジュール停滞が起こりにくい手法であると言えます。 ビューに問題が起きた場合は、ビューのみ確認することで他のモデルやコントローラーには影響しません。

MVCモデルのデメリット

全体を理解しモデル・ビュー・コントローラーに分けて、コードを作成します。そのため時間やコストがかかる場合があります。 Controllerを介してModelは、データベースへのアクセスやそのデータを変換する処理を行います。処理負担が大きくなることによりボトルネックとなり、処理速度が遅くなってしまう可能性が生じます。

また、Controller から Model へのリクエストが多すぎると、Model と Controller間のアクセスが多くなり、MVCモデルの機能ごとの独立性が保てなくなる恐れがあります。

手法⑥DevOps

DevOpsは「デブオプス」と読みます。 「Dev」は、Development(開発、作成)、「Ops」は、Operations(運用、作業)を表します。2つの文字を組み合わせた造語です。 アプリケーションの開発者と運用者が協力しあうことにより、柔軟なサービス提供を迅速に行うための考え方や仕組みをDevOpsと呼びます。

開発者は、アプリケーションの機能アップを進めたいと考えています。運用者は、機能はそのままでも安定運用を目指したいと考えている場合があります。意見の相違が生じてしまうことが多いです。

これらの問題を解決するために、DevOpsの考え方が生まれました。 DevOpsの手法は、開発者と運用者の連携を重要視します。開発では、アジャイル開発を導入することが多く、利用開始後まで拡大して、ライフサイクルを回していきます。

DevOpsのメリット

システム開発にとどまらず開発後も運用(保守運用)、モニター(ユーザーからの評価、要望などを確認)を行い、利便性と安定性を両立しやすいことです。

開発者と運用者が連携し合うことにより、「開発スピードの向上」、「生産性の向上」、「信頼性の向上」、「拡張性の向上」、「セキュリティの向上」が実現できるようになります。

DevOpsのデメリット

開発者と運用者が協力し合うことにより、メリットが得られますが、どちらか一方に問題が生じると、全体が進まなくなる危険をはらんでいます。

その結果スケジュールが遅れることによる経費の増大、利用開始の遅れなど影響がでてしまうことがあります。

システムを自社で開発するメリット・デメリット

システム開発にあたって、自社で内製化したいと考える担当者の方もいるでしょう。システムを自社で開発するメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリットデメリット
自社ニーズを満たすシステムを開発しやすい
外部への情報漏洩リスクを減らせる
社員のスキルアップやノウハウの蓄積につながる

開発期間が長期化しやすい初期投資が高額になる
開発に失敗したときのリスクは自社が負わなければならない

自社開発の場合は社内でプロジェクトを管理するため、軌道修正しやすく柔軟に対応できる特徴があります。外部にノウハウを漏らさずに自社で完結できるため、社員のスキルアップにも寄与するでしょう。

一方で十分なノウハウがないケースや、システムの要件定義や内部調整がスピーディに行われない場合では、開発期間が長期化しやすいデメリットがあります。またシステムを稼働させるためのハードウェアや開発ツールなどの準備に際して、初期投資が高額になりやすいです。

成功すれば大きなリターンが得られますが、万が一開発に失敗した場合は投資したコストを回収できず、負債を抱える可能性もあります。そのため社内に十分なリソースがない場合は、外部委託を検討すべきでしょう。

システム開発の内製化は、次のようなケースに適しています。

  • 自社の業務が複雑である
  • 既存のパッケージソフトウェアでは対応できない
  • 自社に開発ノウハウがある
  • システムの機密性が高く外部への委託を避けたい
  • カスタマイズを頻繁に行いたい

内製化はメリットとデメリットのどちらも大きいため、自社の状況に合わせて慎重に判断することが大切です。

システム開発を外部委託するメリット・デメリット

人材が不足している場合でも、外部の専門業者に任せることで素早くシステムを構築できます。外部委託のメリット・デメリットは次のとおりです。

メリットデメリット
エンジニアやプログラマーを雇用する必要がない
高品質なシステムをスピーディに開発できる
設備投資費用が要らない
社内でノウハウが蓄積されない
委託先とスムーズに連携を取るのが難しい
セキュリティリスクが高まる

外部の専門業者は、多様な開発経験と技術を持っています。そのため比較的短期間で、希望のシステムを実装することが可能です。また設備投資の費用がかからないため、事前に多額の資金を用意する必要もありません。

一方で、外部の人間に自社のシステムを任せることになるため、セキュリティリスクが高まりやすい点がデメリットです。また内製化と比べて、細かなニーズまで実現するのが難しい面があります。自社の希望や意図を正しく伝え、連携を取りながら進めていけるかがプロジェクトの成否を左右します。

外部委託が適しているのは、次のようなケースです。

  • 高品質なシステムを構築したい
  • リソースが足りない
  • 社内での開発経験が乏しい
  • 短期間でシステムを導入したい
  • 初期投資費用を節約したい

また内製化や外部委託だけでなく、一部のみを委託するハイブリッド型の選択肢もあります。自社の状況に合わせて、最適な開発方法を選択しましょう。

システム開発会社を選ぶ際のポイント

開発をスムーズに進めるには、適切な開発手法を選ぶだけでなく、業者選びも大切です。 以下は、重視すべき4つのポイントとなります。

  • ポイント①個人か法人どちらに依頼するかを決める
  • ポイント②自社開発の割合は高いか
  • ポイント③開発担当者と打ち合わせができるか
  • ポイント④企業自体の業績が安定しているか

システム開発業者は、目的や開発するシステムの規模にあわせて、個人か法人か、どちらに依頼するかを決めます。また、開発会社が、自社で開発業務を行っているかどうか、その割合も含めて確認が必要です。

開発フェーズでは、担当者が責任をもって開発ヒアリングから利用開始まで行ってくれるかどうかも重要となります。最後に依頼する開発業者の業績はどうかなど、重視する4つのポイントを意識して業者選定を行ってください。

「EMEAO!」をご活用いただくのも一つの手です。 コンシェルジュが希望条件や要件に即した複数の優良業者を選定して紹介してくれます。

委託先に類似システムの開発実績があるか確認する

システム開発を外部に依頼する際は、必ず委託先の開発実績を確認してください。類似するプロジェクトの実績が多数ある場合は、過去に培ったノウハウや技術をもとに、希望に沿った自社システムを構築できる可能性が高いです。

反対に類似システムの開発経験が少ない企業を選ぶと、要領を把握していないことで時間がかかったり、想定外のトラブルが発生したりなどのリスクが高くなります。次の方法で、過去の実績についての詳細な情報を集めておきましょう。

  • システム開発会社のホームページを確認しておく
  • 打ち合わせ時に過去の実績について確認する
  • 利用者の口コミをチェックする

企業のポートフォリオ全体を参考に、自社のプロジェクトに合った企業を選定してください。

打ち合わせ時に具体的な質問を用意しておく

自社のニーズに合ったシステム会社かどうかを判断するためには、打ち合わせ時に具体的な質問を用意しておくことが大切です。事前に確認しておきたいことをまとめておくことで疑問点を解消でき、プロジェクトの進め方や完成へのイメージを膨らませられます。

具体的には、下記のような質問リストを用意しておくとよいでしょう。

  • 開発期間はどのくらいか
  • 各フェーズのスケジュールはどのようになっているか
  • 開発チームの構成はどのようになっているか
  • 外部委託の範囲はどこまでか
  • どれくらいの頻度で進捗報告が受けられるか
  • どのような開発ツールを使うか
  • 開発手法はどのようなものを使用するか
  • テストはどの程度実施するか
  • 要件変更が生じた際はどのように対応するか
  • システムの保守やサポートはどのように行うか
  • トラブル発生時はどれくらいの時間で対応できるか
  • 費用対効果はどの程度見込めるか
  • システムのセキュリティ対策はどのように実施するか
  • 情報漏洩対策は実施しているか

これらの質問事項に対して、明快かつ信頼できる返答が得られれば、安心して任せられます。疑問点が浮上したらできるだけ早く解消することが、プロジェクトを成功させるポイントです。

担当者のヒアリング力やコミュニケーション力を確認する

システム開発の外部委託において、担当者のヒアリング力やコミュニケーション力は重要です。担当者がどれだけ自社のニーズや課題点について理解し、設計書に落とし込んでくれるかがプロジェクトの成否を分けます。

ヒアリング力やコミュニケーション力に優れた担当者の特徴は、次のとおりです。

  • 適切な質問を投げかけられる
  • 依頼者の話を丁寧に傾聴する
  • 相手の立場に立って考える力がある
  • 専門用語を使わず分かりやすく伝えられる
  • 臨機応変に対応できる
  • 要約力が高い

初回の打ち合わせ時は、これらの点を踏まえて担当者の力量をチェックしておくとよいでしょう。担当者とはできる限り早期からコミュニケーションを取り、意思疎通が問題なく行えるか確認しておくことが重要です。

アフターフォローの充実した企業を選ぶ

システムは導入後も長期にわたって使い続けるものです。トラブルが発生した場合でも安心して対応を任せられるかどうか、アフターフォローの有無について確認しておきましょう。おもに、次のようなサービスがアフターフォローに含まれます。

  • 不具合対応
  • 機能の追加や変更
  • 操作説明
  • 定期的なシステム点検
  • データのバックアップ

またシステム開発の費用だけでなく、アフターフォローの際に必要な費用についても事前に確認しておくと安心です。一般的に採用される料金体系は下記のとおりです。

定額制:月額または年額で一定の費用を支払う方式

従量制:利用状況に応じて費用が変動する方式

個別見積り:発生した不具合や追加機能の規模に応じて、都度見積りを行う方式

アフターフォローの費用は、契約内容によって大きく異なります。システム導入後も安定的に稼働させるために、双方の認識をすり合わせておきましょう。

複数の企業から相見積りを取る

相見積りを取ることで複数の提案を比較検討でき、自社のニーズに合った企業を選定しやすくなります。システム開発の適正な価格を知るうえでも、役立つ情報が手に入りやすくなるでしょう。

ただし、見積り金額だけで判断しないように注意してください。各企業が強みとしている開発手法や技術力、納期などを考慮して総合的に判断することが重要です。料金だけで契約してしまうと期待どおりのシステムが完成せず、十分に目的を果たせない恐れがあります。

相見積りは、単なるコスト削減策ではありません。相見積りを通して自社のニーズを明確にし、よりよいシステム開発の実現につなげてください。

システム開発を内製化する際のポイント

社内でシステム開発に取り組む際は、次のポイントを押さえることが重要です。

  • 自社に適した開発手法を選ぶ
  • プロジェクトを円滑に進められる体制を整える
  • 必要に応じて外部を利用する

それぞれのポイントを確認しましょう。

自社に適した開発手法を選ぶ

プロジェクトの成功率を高めるためには、自社にとって最適な開発手法を選ぶことが不可欠です。それぞれの開発手法にマッチするケースをまとめました。

システム開発の手法適しているケース
ウォーターフォール開発

大規模な基幹システムの開発要件が明確で変更が少ない場合
品質を重視する場合

アジャイル型開発Webアプリケーションやモバイルアプリなどの開発顧客との連携を重視する場合要件が頻繁に変わることが想定される場合
プロトタイプ型開発新規サービスの開発やUI・UXデザインの実装アイデアを具現化したいときや技術的な実現可能性を検証したい場合
スパイラル型開発医療システムや航空機の制御システムなどの複雑なシステムの開発リスクが高いプロジェクトや開発が中長期にわたる場合
MVCモデルWebアプリケーションやモバイルアプリなどの開発他システムとの連携や応用に活かしたい場合
DevOps大規模なクラウドサービスやWebアプリケーションなどの開発継続的な監視と改善の実施でシステムの安定性を高めたい場合
複雑なシステムを迅速にリリースしたい場合

たとえば顧客の要求が頻繁に変わる場合や、市場の変化が激しいときはアジャイル型開発が適しています。システムの拡張性にこだわりたい場合は、開発を柔軟に進めやすいMVCモデルやDevOpsが向いているでしょう。

開発手法はシステムの規模や機能の複雑性など、さまざまな要素を考慮して決定する必要があります。それぞれの特徴を踏まえ、自社に適した手法を選んでください。

プロジェクトを円滑に進められる体制を整える

プロジェクトの成功には、円滑に進めるための体制をつくることが重要です。開発に必要なスキルを持った人員を確保することはもちろん、各メンバーの役割を明確にし、効率的に開発を進めなければなりません。具体的には、次のような施策を実施します。

施策内容
プロジェクト管理体制の構築プロジェクトマネージャーの配置
タスク管理ツールなどを活用し各メンバーの進捗状況を共有リスク管理や品質管理の実施
開発チームの編成プロジェクトに必要なスキルを持ったメンバーの配置
役割分担と責任範囲の明確化
開発環境の整備開発に必要なツールやインフラの整備
コミュニケーションの促進定期的なミーティングの実施
コミュニケーションツールの導入
品質管理体制の構築品質基準の明確化
テスト計画の作成

これらの取り組みを実施することで、プロジェクトの進捗状況や考慮すべきリスクが可視化され、関係者全員で効率的に開発を進められます。

必要に応じて外部を利用する

自社ですべての開発を行うことは、必ずしも効率的ではありません。自社開発のメリットは大きいですが、専門的な知識や技術が不足している場合は大きなリスクを伴います。

とくにAIやブロックチェーンなどの高度な技術が必要な開発は、専門分野に精通した企業に委託するのが望ましいでしょう。外部に頼ることで、高品質なシステムを効率的に実装できます。

また、一部の業務のみを外部委託するのも有効な方法です。自社で抱えきれない開発案件を外部に委託することで、自社のリソースをコア業務に集中させられます。自社の状況に合わせて、最適な開発体制を構築してください。

システム開発の手法に迷ったとき

システム開発の6つの手法とそれぞれのメリット・デメリットについて解説しました。 システム開発にはさまざま手法があり、目的・要件・規模・期間などにより最適な開発手法が異なります。 それぞれにメリット・デメリットがあるため、事前にシステム内容を確認したうえで開発手法を選択することが大切です。

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この記事を書いた人

編集部員 濵岸

編集部員の濵岸と申します。コンテンツ作成と取材を主に担当しております。身長が低いため学生時代は「お豆」と呼ばれていました!豆らしく、皆様の役に立つ記事を「マメに豆知識を!」の意識で作成します!どうぞよろしくお願いいたします!

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