システム開発にかかる費用とは?業者を選ぶときは内訳を確認しよう
公開日:2020.11.02 最終更新日:2024.10.02
「システム開発にかかる費用はピンキリみたいだから、自社の場合はいくらぐらいで依頼できるのか判断できない」「システム開発の費用を安く抑える方法を知りたい」などと、困っている方や悩んでいる方もいるでしょう。
たしかにシステム開発は小規模のものから大規模のものまで多種多様ですので、自社の場合はどれくらいの費用がかかるか想像がつかないかもしれません。さらに、可能ならばシステム開発の費用を安くする方法も知っておきたいはず。
そこで本記事では、システム開発にかかる費用相場や内訳、システム開発の費用が変動する要因などについて解説します。
納得してシステム開発の依頼をするために、必要な情報ですので、ぜひご一読ください。
システム開発にかかる費用相場
まず、システム開発にかかる費用相場について解説します。
業務支援システム(顧客管理システム)の導入だけなら5万円以上、ツールを自社用にカスタマイズする場合は50万円以上、ゼロからシステムやアプリを開発する場合は400万円以上かかることも想定されます。
システムやアプリ開発の大部分は人件費ですので、どれだけのスキルを持ったエンジニアを何人アサインするかどうかが重要なポイントになります。
また、一般的にパッケージシステムを導入あるいは部分的にカスタマイズするだけなら、費用を抑えることができる傾向があります。
いくつかの種類に分けて、どのくらいが費用相場にあたるのかをまとめました。
Webシステム | ECサイト | 50万~500万円以上 |
自動予約システム | ||
マッチングシステム | ||
業務システム | 勤怠管理システム | 400万円以上 |
配送管理システム | ||
営業支援システム | ||
スマホアプリ | マッチングアプリ | 500万円以上 |
健康管理アプリ | ||
対話系アプリ | ||
基幹システム | 販売管理 | 10万~500万円以上 |
人事管理 | ||
財務会計 | ||
生産管理 | ||
業務支援システム | 顧客管理システム(CRM) | 5々~400万円以上 |
セキュリティ管理 | ||
マーケティングの自動化 |
BtoB向けの業務システムや基幹システムになると、400万円以上を超えることが多いです。
しかし、パッケージ型やクラウド型のシステムを利用すると、コストを抑えられます。
その代わり、導入後はサーバー代やシステム利用料など、運用コストが別途かかるため要注意です。
Webシステム
Webシステム開発は、50〜500万円以上が費用相場です。
Webシステムとは、ChromeやSafariなどのWebブラウザ上でさまざまなサービスをユーザーに提供するシステムのこと。具体的に言うと、ECサイトやマッチングシステム、予約システムなどが挙げられます。
とくに、インターネットショッピングは、私達の生活にすっかり浸透しているため、ECサイトをつくりたいという会社は増えてきています。
簡単なものであれば、1~2人のエンジニアを確保した場合、1ヵ月程度で開発できることもあるでしょう。しかし、Webデザインや操作性などにこだわると、開発期間と費用がかさみます。
とはいえ、ECサイトは、会社の印象を大きく変えるものですので、手を抜くことはできません。費用対効果をしっかり考えて、ベストな選択をする必要があります。
業務システム
業務システムの費用相場は、400万円以上で、自社の業務内容に合わせてゼロからシステムを開発するなら3,000万円を超えてくることもめずらしくありません。
業務システムの具体例をあげると、以下のとおりです。
- 販売管理システム:在庫情報や売上、顧客情報を一元管理できる
- プロジェクト管理システム:プロジェクトの進行状況を一元管理できるシ
- 会計管理システム:収支計算や財務データを管理できる
かなり複雑な業務内容であれば、経験豊富で優秀なエンジニアが必要になっているため、その分費用が膨らんでいきます。
そのため、パッケージされた基幹システムや業務支援システムで対応できないか検討してみてもよいでしょう。基幹システムや業務支援システムのほうがずいぶん費用を抑えることができます。
スマホアプリ
スマホアプリ開発は、500万円以上かかることも見込んでおくとよいでしょう。
たとえば、下記の条件の場合、開発期間は約4ヵ月で、費用は670万円程度です。
- マッチングアプリ
- 機能は、会員登録や検索機能、チャット機能など、一般的なもの
- 対応OSは、iOSとAndroid
スマホアプリでも、どのような機能をつけるかが重要なポイントで、開発費用を大きく左右します。
開発するシステムによって異なりますが、そのほかには以下の例があります。
【スマホアプリの例】
- 健康管理アプリ
- フードデリバリーアプリ
- SNS
- オンラインバンキングアプリ
スマホアプリは、内容や機能、セキュリティによっても費用が変動します。
依頼する前に、社内でどのようなアプリが必要なのかまとめることが大切です。
基幹システム
基幹システムの費用相場は、10〜500万円以上です。
基幹システムとしては、販売管理や生産管理、人事管理、財務会計などがあり、日々の社内業務をおこなうために利用するシステムのことです。
具体例は、以下のとおり。
【基幹システムの具体例】
- SAP REP:大企業向け基幹システムで財務や人事、サプライチェーン管理を統合して効率化できる
- Oracle ERP Cloud:クラウドベースで提供されるERPシステム
- Microsoft Dynamics 365:中小企業から大企業まで幅広く対応できるERPシステムでCRM機能も統合されているため、営業活動の効率化が可能
- Infor CloudSuite:製造業や流通業向けに特化したERPシステム
基幹システムの場合、パッケージシステムもいくつかの種類があって充実しており、それらを選べば費用を安く抑えることができるでしょう。
なお、パッケージ開発とは、すでにあるソフトウェアをベースにして自社の業務内容に適用したかたちにカスタマイズしていく開発方法です。
しかし、業務内容があまりにも特殊なら、パッケージ開発ではなくスクラッチ開発でないと対応できないかもしれません。
スクラッチ開発とは、ゼロから自社のシステムを開発する手法のことです。何かをベースにするわけではなく、ゼロから開発を始めるため、費用はぐっと高くなり、3,000万円を超えることも少なくありません。
業務支援システム(顧客管理システム)
業務支援システム(顧客管理システム)の開発費用は、5〜400万円以上と幅広くなっています。
業務支援システムとは、マーケティングオートメーションや、営業支援、顧客管理、セキュリティ管理など。
この業務支援システムも、パッケージシステムが豊富にあるのですが、それらを導入して利用するだけなら5〜15万円ほどで対応できることもあります。
一方で、自社の業務にカスタマイズしたシステムを開発する場合、開発期間が長くなり、費用も数百万円単位に膨らむ傾向です。
また、導入後の運用保守費用も考慮しなければいけません。
とくに大規模な企業では、顧客情報のセキュリティやデータの正確性が重要視されます。
そのため、外部システムとの連携や拡張性を重視した開発が必要です。
さらに、システムの安定稼働を維持するために、サーバーやネットワークのインフラも含めた総合的な設計が求められます。
システム開発の費用の内訳
システム開発と一口に言っても、かかる費用はさまざまであることをお伝えしましたが、その内訳が気になる方もいるかもしれません。
システム開発の8割は、システムエンジニアやプログラマーの人件費です。残りの2割が諸経費ですが、このあたりを詳しく解説しましょう。
人件費
人件費とは、その名の通り、システムエンジニアやプログラマーの人員・工数による費用のことで、「人月単価」によって算出します。
人月単価とは、1人が1ヶ月作業したときの人件費のこと。これを使って、「人月 ×人月単価 ×開発期間」という計算式で人件費を導き出します。
たとえば、3人のエンジニア(人月単価は全員60万円)が、開発期間3ヶ月のシステムを開発する場合は「3人×60万円/月×3ヶ月」となり、必要な人件費は540万円です。
この人月単価は、エンジニアの経験やスキル、役職などによって左右されます。あくまでも目安ですが、一例を挙げましょう。
エンジニアの経験やスキル | 人月単価 |
プロジェクトマネージャー | 70〜200万円 |
上級システムエンジニア | 120〜200万円 |
中級システムエンジニア | 100〜120万円 |
初級システムエンジニア | 80〜100万円 |
上級プログラマー | 60〜100万円 |
初級プログラマー | 40〜80万円 |
「それだったら、初級のシステムエンジニアやプログラマーだけでシステム開発をおこなったらよいのでは?」と思うかもしれませんが、そう簡単なものではありません。
基本的に、システム開発の目的に基づき機能やデザインなどを考える、要件定義という工程は、熟練した経験やスキルが必要なため、プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーなどが中心となって進めていきます。
諸経費
そのほか、諸経費とは、サーバー維持費用やソフトウェアのライセンス料金などが当てはまります。
こちらは、必須の費用で、イメージとしては固定費用だと捉えるとよいかもしれません。
システム開発の諸経費は、システム運用をするうえでかかる費用です。
具体例は、以下のとおりです。
- インフラ費用:サーバーやデータベースの運用費
- ライセンス費用:ソフトやプラットフォームの費用
- 運用・保守費用:メンテナンスやバグの修正費用
開発後は、システムを運用します。
その多くは長期的な運用で、固定費としてかかるコストになります。
これらの諸経費を適切に見積もり、プロジェクト全体の予算を管理することがシステム開発の成功に不可欠です。
要件定義費
要件定義費は、システムが何を実現するべきかを明確にするために必要なコストです。
システムを開発する際、クライアントと開発者が以下のことを確認します。
- システムの機能
- 性能
- 使用方法
- 業務フロー
この過程で、現行システムの調査や要望のヒアリング、仕様書の作成などが行われます。
要件定義費は、その際に発生する費用です。
要件定義が不十分だと、後の開発段階で機能の追加や修正が発生し、結果的にコストが膨らむリスクがあります。
そのため、要件定義に十分な時間と費用をかけることが、システム開発の成功に大きく影響します。
システム開発の見積書の読み方
システム開発を依頼するうえで、見積書の読み方はきちんと知っておかないといけません。
ほとんどの見積書には、システム開発の大まかな工程ごとにかかる期間、および、その工程に携わる人数とそれぞれの単価が書かれています。イメージとしては、以下のようなものです。
期間 | PM | SE | PG | |
要件定義 | 1ヵ月 | 400,000円 | 300,000円 | ‐ |
設計 | 3ヵ月 | 1,600,000円 | 900,000円 | 500,000円 |
テスト | 2ヵ月 | 1,000,000円 | 700,000円 | 550,000円 |
保守・運用 | 1ヵ月 | 100,000円 | 80,000円 | ‐ |
各合計 | 3,100,000円 | 2,700,000円 | 1,500,000円 | |
総合計 | 7,300,000円 |
ただし、実際のところ、見積書の内容は、システム開発会社によってバラバラです。保守・運用費も含めて、合計でいくらかかるのか明確にし、疑問点があれば問い合わせるとよいでしょう。
システム開発の費用が変動する要因
システム開発費用は、以下の3つが要因となって変動します。
- システム開発の手法
- システムに実装する機能
- システムの規模
それぞれについて詳しく解説しましょう。
項目①システム開発の手法
まず、「パッケージ」か「フルスクラッチ」のいずれを選択するかが大きなポイントです。
システムには、開発を効率的におこなうための汎用的なパッケージがあります。そのパッケージに一部カスタマイズを加えるのみの開発の場合、必要な人件費を大きく抑えることができます。
開発する部分が少ないため、少ない人数で対応でき、その内容も簡単であれば経験やスキルが浅いエンジニアでも開発できるでしょう。経験やスキルが浅いエンジニアは、人月単価が低いため、合計システム開発費用が少なくなります。
一方、フルスクラッチは、ゼロからシステムを開発するため、多くの人数や期間がかかります。また、自社とシステム開発会社とのあいだにシステム内容の認識のずれがあり、機能を追加することになったら、当初の予定よりも費用が膨らんでいくことも考えられます。
追加機能の影響を受けて、結局かかった費用全体が、見積書よりも多いこともあるでしょう。
項目②システムに実装する機能
また、システムに実装する機能によって、システム開発の費用が変動します。
そもそも一般的な機能であればすでにパッケージで対応されていることがほとんどでしょう。しかし、高度な機能を追加したいなら、その数が多ければ多いほど費用が上がっていきます。
たとえば、通常のECサイトなら150万円程度で開発可能でも、さまざまな決済方法やSNS連携などの機能を付けたいなら、300万円程度かかるということもあるわけです。
項目③システムの規模
ほかには、システムの規模も開発費用に影響を与えます。
数人しか扱わないシステムと、数万人が同時に使うこともあるシステムとでは、対応することが異なり、後者のほうがシステム作りが困難なため、費用がかさみます。
数万人が同時に使うこともあるということは、アクセスが集中しても問題なく動いて、正常に処理できる体制を整えないといけません。
こういった対策がとられたシステムづくりは難易度が高く、開発期間が伸びて、人月単価が高い上級エンジニアが何人か携わらないといけない可能性が高いでしょう。
システム開発にかかる費用を抑えるポイント
システム開発にかかる費用を抑えるポイントとしては、以下の4つが挙げられます。
- 搭載する機能を明確にする
- システム開発の補助金を利用する
- オフショア開発やニアショア開発を検討する
- 複数のシステム開発会社を比較する
ポイント①搭載する機能を明確にする
まず、搭載する機能を明確にして、分かりやすくシステム開発会社に伝えられると、無駄な工数が発生せずに済み、開発費用を抑えることができます。
たとえば、機能を利用できるユーザーの条件をあらかじめ決めておく、あるいは、ページに表示させる項目を決めておく、ということなどが挙げられます。
いずれ、システム開発会社から聞かれたり提案されたりするものを、事前に準備しておくと、システム開発会社とのコミュニケーションをスムーズにとれ、認識のずれも起こりにくいでしょう。
ポイント②システム開発の補助金を利用する
システム開発に関する補助金や助成金を利用することも検討してみてください。具体的には、以下のような補助金や助成金があります。
- ものづくり補助金
- IT導入補助金
- 事業再構築補助金
- 小規模事業者持続化補助金
ただし、基本的に1つのプロジェクトにつき、適用できる補助金や助成金は、1つのみとなっているため、適用条件やもらえる金額などを比較して、最適なものを選びましょう。
このあたりも相談に乗ってくれるシステム開発会社もあるかもしれません。
ポイント③オフショア開発やニアショア開発を検討する
システム開発にかかる費用を抑えたいなら、オフショア開発やニアショア開発も検討してみるとよいでしょう。
オフショア開発とは、費用抑制や生産性向上などのため、国内より賃金が安い海外の開発企業、子会社、あるいは、現地法人などに委託する開発手法です。
主な委託先としては、フィリピンやベトナム、インドなどがあります。
また、ニアショア開発とは、東京や大阪といった都市部の企業が、システム開発業務を九州や東北などの国内の離れた地域に委託する開発手法のことです。
海外ではなく国内のため、コミュニケーションをとりやすく、どうしても対面する必要があるときにも対応しやすいでしょう。
リスクや費用対効果などを天秤にかけて選択してください。
ポイント④複数のシステム開発会社を比較する
複数のシステム会社に見積依頼して、より費用が低いシステム開発を選ぶ方法もあります。
同じ条件で見積依頼しても、100万円以上の差が出ることも考えられます。費用の安さのみでシステム開発を選ぶことはおすすめしませんが、費用はひとつの重要な判断材料だと言えるでしょう。
提示された見積書を見つつ、気になるポイントを明確にして、何にどれだけの費用がかかるのか、どうしてこの金額なのか、などに納得感があるかどうか確認してください。
システム開発の費用相場を調べる手順
システム開発を選ぶ際は、以下の2ステップを踏むとよいでしょう。
- システムの種類を決める
- システムの開発方法を決める
それぞれで確認したことや実践したいことなどを解説します。
ステップ①システムの種類を決める
まず、どのようなシステムが必要か具体的に考えましょう。システムの種類としては以下などがあります。
- Webシステム:ECサイトや予約システム、マッチングシステムなど
- 業務システム:仕事をおこなう際に使うシステム
- スマホアプリ:スマートフォンやタブレットなどで使うアプリケーション
- 基幹システム:会計・人事・生産・販売など経営の基盤となるシステム
- 業務支援システム(顧客管理システム):営業活動支援システムや顧客管理システムなど
ステップ②システムの開発方法を決める
システムの種類を決めたあとは、システムの開発方法について考えましょう。
必要な機能を列挙していき、「パッケージ」か「フルスクラッチ」のどちらを選ぶかイメージしてみましょう。
費用のことを考えるなら、なるべくパッケージで対応したいところです。ただし、必要な機能を妥協すると後悔することになるかもしれません。慎重に検討しましょう。
ステップ③費用相場を把握する
種類や開発方法を決めたら、具体的な費用相場を把握しましょう。
業界や地域によって費用は異なりますが、平均的な相場を把握しておくと、予算を設定しやすくなります。
見積もりを取る際は、以下の点を考慮します。
- 開発規模
- 機能要件
- デザインの複雑さ
- 保守費用
また、追加の費用が発生する場合もあるため、余裕を持った予算計画を立てることが重要です。
信頼できる業者から複数の見積もりを取ることで、より適正な価格を把握できます。
見積もりを取って実際に相談をすることを想定し、自社で開発したいシステムの概要を具体的にまとめておきましょう。
概要に合わせた最適なシステムやプランを紹介されるので、導入を検討しやすくなります。
システム開発の業者を選ぶ際に重視するポイント
システム開発会社を選ぶときは、以下の3つのポイントを重視してください。
- 希望するシステムと開発会社の得意分野が一致している
- 見積もりが明瞭である
- 納品後もサポートしてくれる
ポイント①希望するシステムと開発会社の得意分野が一致している
まず、必要なシステムの種類や開発方法が決まったら、それを得意としているシステム開発会社を選ぶようにしましょう。
似たシステムの開発実績があって、得意としている分野なら、非常に心強いでしょう。システム開発会社と一口に言っても、強みや弱み、在籍しているエンジニアのタイプなどが異なります。自社にとって、最適なシステム開発会社を選ぶ必要があるのです。
ポイント②見積もりが明瞭である
また、出された見積もりが明瞭であるかどうかも重要なポイントです。
単純に合計金額だけを見て、安いところを選んだ結果、考慮できていないことが多く、追加費用が続々と出てきた、ということも起こりうるでしょう。
システム開発のことを理解しているエンジニアと営業の方に来てもらい、明瞭な見積もりだと納得できるシステム開発会社を選んでください。
保守・運用期間も考えると、長い付き合いになるため、信用できるかどうかも重要なポイントです。
ポイント③納品後もサポートしてくれる
納品後の保守・運用体制も整っているか確認しましょう。
システムは開発したら終わりというわけではありません。適宜、修正を加えたり、システムのことで疑問点が出てきたりすることも十分に考えられます。
そういったあたりをしっかり対応してくれるか、また、保守・運用費用はいくらくらいかかるのか、確認しておきましょう。
このあたりは、インターネットを利用して、システム開発会社の評判をチェックしてみてもよいかもしれません。
システム構築から納品までの流れ
ここで、システム構築から納品あるいはシステム保守・運用までの流れのイメージもお伝えしましょう。大まかに分けると、以下のとおり7つのステップとなります。
- 要件定義
- 設計
- プログラミング
- システムテスト
- 運用テスト
- 納品
- システム運用・保守
それぞれの工程について簡単に解説します。
ステップ①要件定義
システム開発の最初のステップは、要件定義で、この工程をしっかりおこなえるかどうかがプロジェクト全体にとっても非常に重要なポイントです。
システムの概要や機能などの要件を決めていきます。ここで、自社とシステム開発会社とのあいだで認識の相違がないかしっかり検討して話し合いつつ、書類にまとめていきます。
自社としては、必須の条件など明確に伝え、あとで大規模な手戻りが発生しないようにしましょう。大規模な手戻りは、システム開発会社を疲弊させるだけでなく、開発費用の大幅な増加につながることもあります。
ステップ②設計
要件定義が終わったら、どのようなシステムにするか、具体的に設計していきます。システムの基本的な構成をする「外部設計」と、さらに詳細な構成をする「内部設計」に分けて、設計書を作成していきます。
ステップ③プログラミング
設計のあとは、プログラミングをして、コードを書いていきます。
プロジェクトマネージャーやリーダーが管理しつつも、基本的にはプログラマーがプログラミングの中心となって進めていく工程です。
ステップ④システムテスト
プログラミングが終わったら、期待通りに動くか、テストをおこないます。
詳しく言うと、単体テストや結合テスト、システムテストなどがあります。テストする範囲を少しずつ広げていき、システム全体として正常に機能するかチェックします。
ステップ⑤運用テスト
運用テストとは、本番稼働前におこなう最終的なテストで、システム開発会社ではなく、ユーザー側でおこなう唯一のテストです。
運用テストとは、英語で「OT(Operations Test)」とも呼ばれ、多くのステップを経て進められてきたシステム開発の最終のテストとなります。
本番稼働後と同じ環境下でユーザーがテストをおこない、正常に機能するかチェックします。
ステップ⑥納品
無事テストをクリアしたら、納品してリリースとなります。
納品時には、システムを使うユーザーが困らないように、マニュアルを渡したり、研修をおこなって操作方法を教えたりすることもあります。
ステップ⑦システム運用・保守
納品したら、不具合が発生したときに対応するために、サポートします。不具合が起きていなくても、定期的にヒアリングをおこなうこともあります。
システム構築の費用を安くする方法
最後に、改めてシステム構築の費用を安くするための方法を3つ紹介します。ポイントは以下のとおりです。
- 求める機能を明確にする
- 補助金を活用する
- 複数の業者を比較検討する
求める機能を明確にする
まず、使わない無駄な機能は搭載しないようにしましょう。
使わない無駄な機能は、システムを複雑化させ、開発費用を底上げするだけでなく、ユーザーに不便さを与える恐れもあります。
いろいろ機能がありすぎて、かえって使いづらいという状況です。必要な機能さえあれば、ユーザーは満足できるため、「必要」「不要」「あるとなおよし」などに区分して機能を整理しましょう。
補助金を活用する
また、前述したように、ものづくり補助金や、IT導入補助金などは積極的に活用しましょう。適用されるための条件があるため、事前によく確認しておくのが肝心です。
複数の業者を比較検討する
そして、複数の業者を比較検討しましょう。条件や予算に応じた複数の優良業者をすぐに選ぶ「EMEAO(エミーオ)」などのシステムを利用すると無駄がありません。
利用年数を考慮した開発をする
短期間での使用を前提とする場合と、長期的に運用する場合では、開発にかかるコストが大きく異なります。
短期的なプロジェクトであれば、必要最低限の機能に絞り、初期コストを抑えられます。
一方、長期運用の場合は、保守・運用コストが少なく済む設計を検討することで、トータルコストを省けます。
またシステムを開発をする際、既存のフレームワークやテンプレートを活用すると、初期開発コストが削減できます。
さらに、クラウドベースのシステムを導入し、初期投資を軽減し、必要な時期のみ課金される月額課金方式を利用することも有効な手段です。
利用年数に応じた柔軟な開発戦略が、費用削減のカギです。
パッケージ開発をする
既存のパッケージソフトを活用した開発は、システム構築費用を大幅に抑えられる方法です。
カスタム開発は時間とコストがかかりますが、パッケージは基本的な機能が備わっているため、短期間での導入が可能です。
業務に適したパッケージを選定することで、カスタマイズの手間を減らし、初期費用や開発コストを省けます。
また、導入後の保守やサポートもパッケージに含まれている場合が多く、運用コストも抑えられます。
適切なパッケージ選びが、コスト削減に大きく貢献します。
オフショア開発をする
人件費が安い国や地域に開発を委託することで、国内での開発よりも大幅にコストを抑えられます。
しかし、オフショア開発を行う場合、以下の点に注意が必要です。
- 言語や文化の違い
- コミュニケーションの課題
適切なパートナーを選ぶことで高品質なシステムを安価で手に入れられます。
大幅なコスト削減につながるので、検討する価値は十分あります。
実際、海外に支店を作り一部をオフショア開発している開発会社も少なくありません。
国内よりも高い技術力を持ち、さらにコストを省けることを考えるとメリットといえるでしょう。
内製化の検討
システム開発の一部を内製化することで、コスト削減につながります。
初期投資が大幅にかかる場合がありますが、長期的にはコストを抑えられる場合が多いです。
外部委託に比べ、開発の進捗管理や品質管理がしやすく、必要に応じて素早く対応できるメリットもあります。
また、社内にノウハウが蓄積されるため、将来的なシステムの改修やアップグレードにも柔軟に対応できる点も一つのメリット。
自社に開発力がある場合、内製化を検討することは、コスト削減の一環として有効です。
一から開発をすることが難しいなら、導入後の運用・保守など一部を内製化しましょう。
あるいは、パッケージ型やオンプレミス型のシステムを導入し、自社で運用することも一つの方法です。
複数社の見積書を見てシステム開発費用を比較しよう
本記事では、システム開発にかかる費用相場や内訳、システム開発の費用が変動する要因などについて解説しました。
いろいろやるべきことがあって悩むかもしれませんが、システムの種類や開発方法など概要を決めたうえでEMEAO!などのシステムを使って、自社に合うシステム会社を複数社選ぶのが正統方法です。
見積もり出して話をしてもらわないと想定できないこともあるため、まずは、自社に合った優良システム開発会社選びに取り組みましょう。
この記事を書いた人
編集部員 岡本
編集部の岡本です。以前はWEBディレクターとして中小企業のホームページ制作のディレクション等をしておりました。ユーザー様の声をきちんとコンテンツの内容や方向性に反映して、より良いメディアに出来るように日々精進してまいります。