データベースとファイルシステムそれぞれの特徴や違い
公開日:2021.01.06 最終更新日:2023.11.14
世の中には、データやファイルを適切に保管・整理できる専用システムがあり、“データベース”と“ファイルシステム”は一見役割が近いように感じられます。
自社で導入すべきなのはどちらなのか、両者にどのような違いがあるのかわからないという事業者様もいらっしゃるのではないでしょうか?
本記事では、データベースとファイルシステムはそれぞれどのようなものなのかを解説します。
データの保管や整理をできるシステムについて情報収集をされている事業者様はぜひご一読ください。
データベースとは
データベースとは、構造化された情報やデータの整理された集合体で、通常はコンピュータシステムで電子的に保存されています。
データベースは、コンピューターによる迅速な検索と取得のために特別に整理されたデータや、情報の任意の集合体として定義されるのです。
データベース管理システム(DBMS)というコンピュータシステムを使用して、データを行と列で整理して、処理や取得を容易にします。
データベースソフトとは
データベースとは、コンピューター上で集積・整理された情報群のことを指します。
一定の形式で整理されたデータの集まりで、特定の構造や形式にしたがって同種のデータ群を蓄積したものとして知られています。
このデータの集合体を構築・運用するための専用のシステム、すなわち「データベース管理システム(DBMS)」が存在するのです。
データベースソフトとは、このデータベース管理システムのことを指します。
DBMSは、データの追加、更新、削除、検索などの操作を効率的に行うためのソフトウェアです。
たとえば、リレーショナルデータベース(RDB)は、データをテーブル形式で保存し、テーブル間の関連性を持たせられるDBMSの一種です。
データベースとデータベースソフトは、情報化社会において欠かせない存在となっています。
データベースの役割
データベースは情報の収集、編集、共有の基盤として欠かせないツールです。
その役割を理解することで、情報の取り扱いが効率的になります。
- データを集める
- データの編集や共有を可能にする
このセクションでは、データベースの重要な役割に焦点を当てて詳しく解説します。
データを集める
データベースの役割として、データの収集が非常に重要な要素となっています。
データベースは情報の集約や、整理、迅速な検索や取得を可能にするためのシステムで、ビジネスから学術研究までさまざまな分野での情報管理において欠かせないものです。
データベースは単なる情報の保存場所ではなく、情報の整理、フィルタリング、検索、分析を助けるために設計されています。
具体的な例として、オンラインショッピングサイトは、顧客の購入履歴や商品の在庫情報をデータベースに保存します。
これにより、顧客に適切な商品を推薦したり、在庫が少なくなった際に迅速に発注したりすることができます。
データの編集や共有を可能にする
データベースを使用することで、企業や組織は情報を効率的に管理して、必要な時に迅速にアクセスできます。
データは文脈のない小さな事実や情報で構成されており、このデータに文脈を与えると、それが情報となります。
そしてこの情報を消費して、意思決定のために使用することで知識が得られるのです。
また、データベースの役割はデータのセキュアな共有にもあります。
たとえば、複数のデータベースからのオブジェクトを参照するセキュアなビューが共有できます。
このように、データベースはデータの編集や共有を容易にし、情報を効果的に管理するための強力なツールとしての役割を果たしているのです。
データベースの種類
データベースは情報の宝庫とも言えるツールで、その形式や構造は多岐にわたります。
データベースの種類を理解することは、データの効率的な管理や活用に欠かせないスキルとなります。
- 階層型データベース
- ネットワーク型データベース
- リレーショナルデータベース(RDB)
データベースの世界を深く探求して、最適な選択をしてビジネスやプロジェクトをさらに進化させましょう。
階層型データベース
階層型データベースは、その名の通りデータを階層的な構造で保存するものです。
具体的には、データ項目が親子関係を持つ1つ以上の項目と関連付けられており、この関連性は「ツリー構造」や「親子関係」として表現されます。
たとえば、会社の組織図を考えてみましょう。
社長の下にはいくつかの部署があり、それぞれの部署の下にはさらに複数の課やチームが存在するといった構造です。
このようなデータの関係性を視覚的に表現して、効率的にデータを操作するために階層型データベースが利用されます。
階層型データベースの最大の特徴は、データの探索手順が1通りしか存在しない点です。
これは、親データと子データが1対多の関係でしか存在しないため、データの取得や更新が非常に効率的に行えるというメリットがあります。
ネットワーク型データベース
ネットワーク型データベースは、データを互いに結びついた網(ネットワーク)状の構造に整理して格納します。
具体的には、一連の属性からなるデータのまとまり(レコード)を格納単位として、レコード同士は親子関係を持っています。
しかし、各レコードは親レコードも子レコードも複数持つことができるため、必要に応じて関連する他の種類のレコードを参照できます。
1970年代に考案されたこの方式は、それ以前に主流だった「階層型データベース」がレコード間を親子関係(親は必ず1つ)で結びつける木構造によって管理していたのに対して、ネットワーク型は親レコードを複数持てるという特徴があります。
この特徴により、現実世界のデータの関係に即した柔軟なモデリングが可能になりました。
ネットワーク型データベースは、データ間の多対多の関連性を扱えて、その結果データの複雑な相互関係をより適切に表現できるようになりました。
リレーショナルデータベース(RDB)
リレーショナルデータベース(RDB)は、データベースの中で最も一般的に使用されるタイプのデータベースです。
RDBは、表形式のデータを関連付けて扱えるのが特徴です。
具体的には、複数の表(テーブル)の形式でデータを保存し、それらのテーブル間の関係性を示すことができます。
RDBの大きな特徴として、表同士の関係性を示せることや、データの操作にSQLを用いること、正規化が重要とされること、そしてトランザクションの実行に重要な「ACID特性」を有することなどが挙げられます。
これにより、データの整合性を保ちつつ、効率的なデータ操作が可能となるのです。
また、最近ではオープンソースの高速な国産リレーショナルデータベース「Tsurugi」など、新しいRDBも登場しており、独自の拡張が可能となっています。
データベースのメリット
データベースの世界は、私たちの日常生活やビジネスに革命をもたらしています。
データの管理、整理、そして共有がこれほど簡単になったのは、データベースの存在のおかげです。
- 自動でデータの関連付けが可能
- ブロックやバックアップが可能
- 複数人での同時アクセスが可能
データベースを使用することで、どのように効率的なデータ管理が可能になるのか、その答えを探していきましょう。
自動でデータの関連付けが可能
データの関連付けが自動で可能であることにより、情報の整理や分析がスピーディーに行えます。
たとえば、顧客情報を「氏名」や「電話番号」の項目ごとに整理したり、複数の商品情報を「商品コード」別に分類できます。
また、データベースを導入することで、同時にアクセスしてもデータを壊さず共有が可能となり、不正なデータのブロックやバックアップ機能を兼ね備えることで、リスク回避の観点からも多大なメリットがあるのです。
ブロックやバックアップが可能
データベースのメリットとして、ブロックやバックアップの機能が挙げられます。
これらの機能は、データの安全性や効率的な管理を実現するための重要な要素となっています。
データベースのバックアップ機能は、データの喪失や破損を防ぐための重要な手段です。
DBA(データベース管理者)は、データの継続的な可用性を確保するための方法の一つとしてバックアップを取る必要があります。
一方、ブロック機能は、データベースのパフォーマンスやセキュリティを向上させます。
データベースのブロック・ストレージは、冗長ボリュームをスピーディーに、効率的に、柔軟にサポートします。また、システムの規模の大小にかかわらず幅広く適用させることができます。
これにより、大量の問い合わせを処理し、レイテンシー(遅延時間)を最小化する必要があるデータベースへの対応が可能となります。
複数人での同時アクセスが可能
従来、人の手で情報を管理するのは非常に困難でしたが、データベースの導入により、情報をスピーディーかつ自動で整理・分析することが可能となりました。
同時にアクセスしてもデータが壊れることなく、安全に共有できます。
さらに、データベースは不正なデータのブロックやバックアップ機能も兼ね備えており、リスク回避の観点からも多大なメリットがあります。
これにより、データを戦略的に活用して、ビジネスの効率化や成果向上を実現できるでしょう。
ファイルシステムとは
ファイルシステムとは、コンピュータ上で画像やテキストなどのデータを保存するためのソフトのことです。
ファイルの保存や名前の変更、フォルダを使った保存先の振り分けなどの機能が代表的ですが、ファイルを暗号化してセキュリティ性を向上させたり大きなサイズのファイルを圧縮するといった機能もあります。
パソコンやスマホにあらかじめインストールされている「ファイル」というアプリケーションが該当します。
また、クラウド上で扱えるファイルシステムとしてGoogleドライブやDropboxといったサービスもあります。
ITシステムにおいては、ファイルシステムの共有機能を活用してシステムに必要なデータを複数拠点でやり取りする場合があります。
ファイルシステムの機能
ファイルシステムは、私たちが日常的に使用するコンピューターやデバイスの背後に隠れている、非常に重要な機能の一つです。
デジタル時代において、これらの機能は私たちの情報を守り、アクセスしやすくするための鍵となります。
- ファイルの保存機能
- 暗号化機能
- 圧縮機能
実用的な知識を得るために、ぜひこのセクションを読み進めてください。
ファイルの保存機能
ファイルシステムは、コンピューター上でデータを整理して、保存するためのシステムです。
その中でも「ファイルの保存機能」は、ファイルシステムの中核をなす機能の一つです。
この機能により、ユーザーはデータを安全に保存して、後で簡単にアクセス可能です。
Microsoftの公式ドキュメントによれば、ファイル管理機能は、ファイルの読み取りや、書き込み、ロックなどの操作をサポートしています。
暗号化機能
ファイルシステムにおける暗号化とは、ファイルを特定の形式に変換して、操作権限のないユーザーがそのファイルを操作できないようにすることです。
ファイルシステムを暗号化するメリットとして、情報漏えいのリスクを大幅に軽減できる点が挙げられます。
たとえば、外部の攻撃者や権限のない内部のユーザーが暗号化されたファイルにアクセスしようとしても、内容を閲覧することはできません。
これにより、企業の重要な情報が第三者の手に渡ることを防げます。
圧縮機能
ファイルシステムの圧縮機能について、NTFSファイルシステムを例に説明します。
NTFSはWindowsで広く使用されているファイルシステムで、ファイルやフォルダーを圧縮して、データの容量を節約する機能を提供しています。
この圧縮機能を利用することで、ディスクスペースを有効活用して、ストレージの限られた環境でも効率的にデータを管理できるのです。
圧縮とは、ファイルやフォルダーを一つにまとめてサイズを小さくすることを指しており、解凍はその逆で、圧縮されたデータをもとのサイズに戻す作業を指します。
NTFSの圧縮機能を利用することで、ディスクスペースを節約しつつ、必要に応じて元のサイズに戻して利用できます。
この機能は特に、ストレージ容量が限られている環境や、大量のデータを扱う際に有効であり、データ管理の効率化に寄与するでしょう。
しかし、圧縮・解凍のプロセスにはCPUリソースを使用するため、システムのパフォーマンスに影響を与える可能性があります。
そのため、利用環境や目的に応じて適切に機能を活用することが重要です。
ファイルシステムの利用事例
ファイルシステムは、コンピューターのデータを整理して、保存するための基本的な機能です。
たとえば、スーパーコンピューター「富岳」では、ジョブごとに一時的なファイルシステムを生成して、ジョブの完了後にはそのファイルシステムを解放するという方法が採用されているのです。
これにより、高速なデータ処理と効率的なリソースの利用が可能となっています。
また、ファイルシステムの利用事例は多岐にわたりますが、その中でももっとも基本的なものは、データの保存と管理です。
これに加えて、暗号化や圧縮といった高度な機能を持つファイルシステムも存在しており、それぞれのニーズに合わせて選択できます。
データベース・ファイルシステムの発注時に注意したいポイント
データベースとファイルシステムの導入は、ビジネスの効率化やデータ管理の最適化に不可欠なステップです。
しかし、適切な選択をするためには、多くの要因を考慮する必要があります。
- ファイルシステムはOSに依存している
- データベースは技術的な種類と製品をきちんと選ぶ
- 専門の事業者と相談してファイルシステム、データベースを決める
データベースとファイルシステムの選択に迷っている方、最適な選択をしたい方は、ぜひこのセクションを参考にしてください。
ファイルシステムはOSに依存している
データベースやファイルシステムを発注する際、特に注意すべきポイントの一つが「ファイルシステムはOSに依存している」という事です。
ファイルシステムは、OSがストレージデバイス上のファイルやディレクトリを保存、整理、管理する方法を指します。
たとえば、AppleはHierarchical File System(HFS)、HFS+、そして最近ではApple File System(APFS)など、さまざまなファイルシステムを開発・使用してきました。
これは、macOS High Sierraの2017年のローンチ以来使用されているジャーナリングファイルシステムです。
このように、特定のOSに特有のファイルシステムが存在するため、データベースやファイルシステムを選択する際には、その互換性や特性を十分に理解しておく必要があります。
データベースは技術的な種類と製品をきちんと選ぶ
データベース・ファイルシステムの発注時には、特にデータベースの技術的な種類と製品の選び方に注意が必要です。
データベースはビジネスで扱われる多くのデータを整理しやすい形式で集めた集合体であり、データの蓄積・管理だけでなく、検索や抽出、統合も容易に実行できます。
データベースの種類は多岐にわたり、階層型、ネットワーク型、リレーショナルデータベース(RDB)などがあります。
階層型データベースには、データの親子関係を保持した状態でデータを蓄積して、検索スピードが速いというメリットがありますが、データ登録が重複するというデメリットもあります。
データベースの選び方には、自社のニーズや業務の効率化を考慮する必要があります。
また、データベース管理システムを導入することで、データの利活用が可能となります。
発注時には、データベースの技術的な種類と製品をきちんと選ぶことが重要です。
適切なデータベースを選択することで、企業の意思決定に役立つ情報を効率的に取得・活用できます。
専門の事業者と相談してファイルシステム、データベースを決める
データベースとファイルシステムの発注時には、専門の事業者との相談が不可欠です。
専門家の知識と経験は、適切な選択をサポートして、組織のニーズに合った最適なソリューションを提供します。
データベース管理の利点の一つに、組織がストレージニーズを効果的に取り扱える点が挙げられます。
ファイルシステムにおいては、ファイルへのアクセスがシンプルで軽量であることや、ファイルの保存やダウンロードがデータベースよりも簡単であることが特徴です。
また、データベースシステムは、データの正規化により重複データを削減して、ストレージの容量を整理することができます。
データベースはデータの管理に特化したシステムで、ファイルシステムは既存のファイル管理システム
以上、データベースと管理システムの違いを解説いたしました。
それぞれとても似ていますが、どのように異なるかご理解いただけたでしょうか?
データベースはシステムに必要なデータの保管場所で、同じ仕組みを活用しデータ管理に特化したデータベースソフトというものもあります。
ファイルシステムとは、パソコンやスマホにあらかじめ設定されているファイルの管理アプリです。
ファイルシステムを使ってExcelのデータを管理するという管理方法をとられることが多いですが、より効率的に、尚且つセキュリティ面も万全な管理を行うにはデータベースの利用がおすすめです。
自社専用のデータベースの開発をご検討の際はEMEAO!にご相談ください。
データベースソフトの開発に強みのある、優良なシステム開発会社を無料で紹介いたします。
この記事を書いた人
編集部員 城下
EMEAO!編集部員の城下です。雑誌編集者と人材コーディネーターの勤務経験を生かし、現在はWebコンテンツの作成を担当しています。業者選定ガイドでは真っ白でクリーンな情報を届け、皆様にとって有益な知識の溢れるお城となるようなメディアを目指します。よろしくお願いします!