システム開発の見積書の前提条件|適切に見積もりしてもらう方法は?
公開日:2021.04.06 最終更新日:2023.11.14
システム開発にあたり、クライアントと費用項目を確認しながら見積もりを作成し、合意の上で契約する事が大切です。
このコラムでは、システム開発時の見積もりについて、見積もり時の費用項目と注意すべきポイントをそれぞれ解説します。
システム開発で発生する見積書とは
システム開発の見積書とは、システム開発会社とクライアントとの取引において、費用面について事前にクライアントに提示する文書です。見積書の内容には、作業項目、費用、工数、期間等が記載されます。クライアントは見積書を参考に、発注するかどうかを判断します。
クライアントがシステム開発会社に依頼する際は、複数社から見積もりを取って検討します。金額を比較検討するために複数社に相見積もりを依頼するのが一般的です。同じシステム開発の内容で相見積もりを取っても、開発会社ごとに金額が異なる場合が大半です。異なる理由は、人件費や作業工程がシステム開発会社によって変ってくるためです。
また、システム開発会社の見積書は内訳の見方が難しかったり、算出方法の違いについて理解不足だったりすると内容を判断しづらい面があります。したがって、見積書を正しく判断できるように、事前に基礎知識とチェックポイントを抑えておきましょう。
システム開発の見積もりを依頼する前に知っておくべきこと
システム開発の見積もりは、算出方法や導入するための条件によって金額がブレるケースが多くなります。クライアント側は、金額のブレによって発注して良いか判断が付きにくいこともあるでしょう。
では、見積書の見方で困惑しないように、具体的に見積依頼する際に知っておきたいポイントを確認しておきましょう。
開発会社ごとに見積額のブレ幅がある
システム開発の見積書は、開発会社によって金額のブレがあり、100万円単位で見積書に誤差が生じるケースもあります。
はじめてシステム開発を依頼する際は、実際にどれくらい費用がかかるか検討できない場合も多いでしょう。そこで、システム開発社によって見積もり金額にブレが生じること、また、その理由について理解しておくことが大切です。
「2段階見積もり」を提示される場合もある
システム開発会社の見積もりは「2段階見積もり」の場合が多くなります。「2段階見積もり」とは、見積書の提示方法で、概算と詳細の2回に分かれています。
1回目は、条件が揃っていない段階で、クライアントにヒアリングを行ったあとの概算の見積書です。2回目は、詳しい条件が揃ったところで再度提示される見積書です。システム開発の工数が多くなると、見積もりの算出が複雑で難易度が高くなり、実際の費用と見積もり金額の誤差が大きくなってしまいます。したがって、リスク回避のために、2回に分けて見積もり提示する方法として「2段階見積もり」を行う会社が増えています。
もし、システム開発会社から「2段階見積もり」を提示された場合は、金額の誤差がでることを知っておくと理解が深まります。
理由①条件が揃っていない時点では概算になるため
システム開発の条件や仕様が定まっていない時点での見積書は、ざっくりと概算で提示されるケースが多くなります。詳細が未定で見積書を作成するため、算出された金額と実際の金額のブレ幅は大きくなります。
理由②開発途中で仕様の追加・変更もありえるため
システム開発の初期段階から、システムの細かい内容まで決まっていることは稀です。そのため、仕様の追加や変更によって開発途中でも金額が変更になることがあります。
したがって、大まかな見積書を初期の段階で提示してもらい、開発途中で追加や変更の可能性があることを事前に把握しておきましょう。
理由③開発会社ごとに算出方法が異なるため
システム開発会社の見積もりは、会社によって算出方法が異なります。算出方法の種類には、「トップダウン、パラメトリック、ボトムアップ、プライスツーウィン法」等があり、早く算出する場合、正確に算出する場合、前例を参考に算出する場合などで方法が変わります。
システム開発見積りのチェックポイント
システム開発の見積もりを作成するにあたり、何を確認するべきか、何を注意すべきかを事前に知っておくことで、契約までがよりスムーズになり、契約後の認識違いも防ぐことができます。
ここでは、システム開発時の見積もりを作成する際の費用項目と、作成時の注意点などを解説します。
なお、業者を選ぶポイントとしては、こちらの優良なシステム開発業者の選び方をご参照ください。
見積もり時に注意すべきポイント
システム開発時の見積もりで、費用項目とともに確認しておきたいチェックポイントは以下の通りです。
- 作業範囲は明確であるか
- 作業中のリスクが含まれているか
- 理工数が計上されているか
- 調査、分析に必要な工数が含まれているか
- 数字が妥当であるか
- 前提条件が明確であるか
- 必要なハードウェアやソフトウェアの購入金額が含まれているか
- 責任範疇は明確であるか
- 検収方法、検収条件は明確であるか
以上の事柄と同様に、見積もりを複数の会社に依頼することで検討材料を確保し、見積もりが妥当であるのかを判断するのがポイントです。
システム開発見積りの主な費用項目
システム開発時に見積もり対象となる費用項目は、以下の10項目です。
- 要件定義費用
- 設計費用
- UIデザイン費用
- 進行管理費用
- 開発費用
- 導入費用
- 導入支援費用
- 購入費用
- 旅費、交通費用
- 保守費用
要件定義費用とは、開発するシステムの仕様や調整の実現方針を決定する際に発生する費用です。
UIデザイン費用とは、ユーザーから見たシステム画面(UI)を誰でも見やすく使いやすいデザインにするための費用となります。
導入支援費用とは、システムを円滑に利用するために、開発会社が作成するマニュアルや、操作方法の説明会を開催する際に必要な費用です。
そして、完成したシステムに必要なメンテナンス及びバグの修正、機能の改修などを行う保守費用が必要になります。
また、以上の費用以外でも、システム会社から不要な費用や別途必要な費用がある場合がありますので、なにか不審な点がある際はその都度質問し、食い違いが発生しないよう注意しましょう。
発注者も知っておくべきシステム開発の見積算出方法4つ
システム開発の見積もりを算出する方法には、以下の4つがあります。システム開発会社の見積書を正しく判断するために、クライアント側の担当者は算出方法を知っておくとベターです。
算出方法 | メリット | デメリット |
トップダウン法 | 前例があると金額のズレ幅が少ない 早く算出できる | 初めてシステム開発する際は不向き |
パラメトリック法 | データがあれば正確に算出しやすい 機械的に計算できる | 前例がないと算出の精度が劣る |
ボトムアップ法 | 工数ごとに算出しやすい 精度の高い算出が可能 | 大規模案件には向いていない 算出に時間がかかる |
プライスツーウィン法 | 予算に過不足なく算出しやすい | 予算によっては品質低下する場合もある |
トップダウン法(類推見積もり)
トップダウン法は、今まで行った過去の類似のシステム開発の前例を参考にして金額を算出する方法です。過去のデータを基に算出できるので、スピーディーに行えるというメリットがあります。条件や判断材料がまだ揃っていない初期段階で用いられる方法として利用できます。工数や費用に大きなブレがなく正確性に優れた算出方法です。
パラメトリック法(係数モデル)
パラメトリック法は、過去のデータを基に算出する方法で、特定の数学的モデルを利用して作業を点数化して計算します。見積もりの精度の高さは、より正確なデータ数値によって決まります。機械的に計算を行うため、知識や経験がなくても正確に数値を入力すれば、比較的簡単に見積もりを行うことができます。
ボトムアップ法(工数積上げ)
ボトムアップ法は、作業ごとに工数を積み上げて、システム完成を想定して算出する方法です。作業工程の抜け漏れを防止できるというメリットがあります。工数積み上げ方式なので、工数の多い大規模なプロジェクトよりも、中・小規模なプロジェクトに向いている算出方法です。
プライスツーウィン法
プライスツーウィン法は、クライアントが提示している予算に対して金額を算出する方法です。システム開発にどれだけ金額がかかるかというよりも、予算内でできるシステム開発に対して見積もりを行う方法です。予算が決まっている前提で算出するため、実際の金額との差が大きくなりにくいというメリットがあります。
一方、予算内でできることが限られるため、クライアントの要望通りにならないケースもあります。要望に合わせて必要な機能を追加する際は、その分、コストも上乗せになります。
システム開発見積もり前の準備
システム開発を依頼しても、開発後に見積もりと金額が大きく変わってしまうことや、想定していた仕様と違いがあるといったトラブルが発生してしまう事があります。
そのようなトラブルを防ぐためにも、しっかり準備しておくことが重要です。
まず「前提条件」をしっかり確認しましょう。
前提条件とは、システム開発の仕様や期間のことです。
どのプログラミング言語を使用するのか、ハードウェアやソフトウェアは何を使うのかなどの仕様をしっかり確認することで、後のトラブルを防ぐことに繋がります。
また、プロジェクトの期間を見積もりに明記することで、見積もりをより正確にすることができます。
システム開発の見積りは費用項目を知った上でチェックしよう
以上、システム開発時の見積もりについてのチェックポイントを解説しました。
開発者によって見積もり方法や金額が変わるため、上記の事柄をしっかり確認することが大切です。
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この記事を書いた人
編集部員 濵岸
編集部員の濵岸と申します。コンテンツ作成と取材を主に担当しております。身長が低いため学生時代は「お豆」と呼ばれていました!豆らしく、皆様の役に立つ記事を「マメに豆知識を!」の意識で作成します!どうぞよろしくお願いいたします!