システム開発を外注するメリット・デメリットを解説
公開日:2023.11.16 最終更新日:2023.11.16
「システム開発を外注するメリットやデメリットが知りたい」
「開発を外注したほうがいい企業の特徴ってあるの?」
「外注先はどうやって選んだらいいの?」
このような疑問を抱えている担当者は多いのではないでしょうか。
社内にシステム開発ができる社員がいないからといって、安易に開発を依頼すると思わぬ落とし穴にハマってしまう可能性があります。
そのため、開発を依頼するとしてもメリットだけでなくデメリットも把握してから依頼しましょう。
ここからは、システム開発を外注するメリットやデメリットについて紹介します。
外注する流れについても紹介しているため、これから開発業務を外注しようとしている人はぜひ参考にしてください。
システム開発を外注するメリット
はじめに、システム開発を外注するメリットから紹介します。
- コストを管理しやすい
- 採用・育成の手間がかからない
- 社内の業務負担を軽減できる
- 設備への追加投資が不要
- 契約不適合責任がある
それぞれ見ていきましょう。
メリット①コストを管理しやすい
1つ目のメリットは、コスト管理がしやすいことです。
システム開発を外注すれば、外注先に費用を支払います。
もし、社内で内製する場合、担当社員の日々の勤怠管理からコストを算出しなければいけません。
そのため、計算方法が煩雑で管理するのは困難でしょう。
しかし、外注であれば外注費用は、見積もり時にだいたいの金額が提示されます。
そのため、全体的にかかる費用の予想は容易です。
さらに、追加で費用が発生しても迅速に報告されるため、コスト管理はしやすいでしょう。
メリット②採用・育成の手間がかからない
2つ目のメリットは、担当社員の採用や育成に手間がかからないことです。
システム開発を内製で行うとなれば、開発知識がある社員を新しく採用するか育てるかの2択しかありません。
採用するにもエンジニア不足が問題視されている現在、即戦力になるような人材が見つかりにくい可能性があります。
育成するにも、セミナーに通わせたり実践を積ませたりするため、開発を行えるようになるまで手間や時間がかかるでしょう。
しかし、開発業務を外注すればこのような手間や時間をかけることなく、完成度の高いシステムを入手できます。
メリット③社内の業務負担を軽減できる
3つ目のメリットは、社内の業務負担を軽減できるところです。
システム開発ができるような会社であっても、日頃の業務に追われて社内システムの構築まで手が回らない可能性があります。
さらに、専門外のシステム開発は、抜け漏れが発生する確率も増えるため、普段の開発より時間がかかってしまうでしょう。
そのため、開発業務を外注すれば日頃の業務に専念でき、社員の負担を軽減できます。
メリット④設備への追加投資が不要
4つ目のメリットは、設備をそろえるための追加投資がかからないところです。
システム開発には様々な設備やソフトウェアを利用します。
社内でシステムを内製しようとすると、これらの設備をそろえなければなりません。
なかには数百万円の設備が必要な場合もあります。
しかし、開発業務を外注すれば、これらの費用は不要です。
メリット⑤契約不適合責任がある
5つ目のメリットは、契約不適合責任を利用できるところです。
契約不適合責任を利用することで、もしシステムを受け渡してもらった後に不具合を発見した場合、システムの修正を依頼できます。
これは、民法562条で定められており、システムの引き渡しから10年後まで有効です。
内製の場合、不具合を発見しても自分たちで修正する必要があります。
しかし、外注してこの契約不適合責任を利用すれば、修正してもらえる可能性があるのです。
システム開発を外注するデメリット
次に、システム開発を外注するデメリットを3つ紹介します。
- 社内にノウハウが蓄積されない
- 内製と比べてコストがかかる
- セキュリティのリスクが発生する
それぞれ紹介していきます。
デメリット①社内にノウハウが蓄積されない
1つ目のデメリットは、社内にシステム開発のノウハウが蓄積されないことです。
開発業務を外注してしまうと、経験を積む機会を逃してしまうため、ノウハウやスキルアップにつながりません。
納品されたシステムを元に、ほかのシステムを構築しようとしても、システム内部がブラックボックス化され、詳細が確認できない可能性があります。
経済産業省は、このブラックボックス化されたシステムが経済停滞につながる可能性があると懸念していますが、ブラックボックス化されたシステムがなくなることはないでしょう。
そのため、システム開発を外注してしまうと、ノウハウは蓄積されません。
デメリット②内製と比べてコストがかかる
2つ目のデメリットは、内製と比べてコストがかかることです。
外注すればその分の費用が発生します。
支払う費用には、開発にかかった費用のほか、企業側の利益も含まれます。
当然、内製で開発すれば人件費や設備費用だけかかるため、利益分のコスト削減が可能です。
また、システム開発を外注すると、開発会社の選定やプロジェクトのスケジュール管理など、時間的なコストもかかります。
さらに、完成品のイメージをすり合わせるためのコミュニケーションコストもかかるでしょう。
デメリット③セキュリティのリスクが発生する
3つ目のデメリットは、個人情報などの漏洩リスクが発生することです。
たとえば、勤怠システムの開発を依頼したとき、社員の個人情報を開発会社に提示する可能性があります。
その場合、何らかの影響で情報が漏洩してしまうリスクもゼロではありません。
秘密保持契約を締結しておけば安心かもしれませんが、リスクがあることを念頭に置いておきましょう。
システム開発を外注したほうがよい企業
ここからは、システム開発を外注したほうがいい企業の特徴について紹介します。
- リソースが不足している
- 専門知識や技術がない
- 大規模なシステム開発を計画している
自社の特徴と照らし合わせて確認してみてください。
リソースが不足している
社内のリソースが不足している企業は、外注がおすすめです。
リソースが少ない中システム開発まで行ってしまうとさらにリソースが少なくなってしまい、業務にまで支障をきたす恐れがあります。
システム開発は片手間で行えるほど容易ではありません。
日頃の業務で精一杯で、これからしばらくリソースに空きがなさそうな企業は内製ではなく、外注しましょう。
専門知識や技術がない
社内に専門知識や技術がない場合も外注がおすすめです。
システム開発の技術は一朝一夕で取得できるものではありません。
そのため、一般社員をシステムエンジニアに育成するには、多大な時間とコストがかかります。
また、経験が浅いエンジニアに依頼すると、抜け漏れが多いシステムが完成する可能性もあるでしょう。
そのため、システム開発のプロに外注したほうが無難です。
大規模なシステム開発を計画している
大規模なシステム開発を計画している場合も外注がおすすめです。
大規模なシステム開発では、多大な人員と月日がかかります。
日常の業務をこなしながらシステム開発を行うのは困難でしょう。
また、規模が大きくなるにつれて高度なマネージメント能力が求められます。
そのため、システム開発のプロである開発会社へ外注した方が安心です。
システム開発の外注先の選び方
システム開発を成功させるためには、外注先の選び方が重要です。
ここからは、外注先の選び方のポイントを4つ紹介します。
- 過去の実績で選ぶ
- エンジニアの開発能力で選ぶ
- 運用保守の能力で選ぶ
- 複数の業者から見積もりを取る
4つのポイントを押さえることで優良な外注先を選べるでしょう。
過去の実績で選ぶ
1つ目のポイントは、過去の実績で選ぶことです。
実績が多い会社を選ぶだけでなく、実績の種類も視野に入れて選びましょう。
開発会社にはそれぞれ得意不得意な分野があります。
たとえば、社内システムの業務改善が得意な会社、アプリ開発が得意な会社、Webサービスの作成が得意な会社など、その種類は様々です。
業務改善を依頼したいのにアプリ開発が得意な会社に依頼しても、実績が少ないため満足のいくシステムが納品されない可能性があります。
そのため、自社が依頼したいと思っている内容と近い実績が多い会社に依頼するようにしましょう。
エンジニアの開発能力で選ぶ
2つ目のポイントは、エンジニアの開発能力で選ぶことです。
システムエンジニアの開発能力によってシステムの完成度が決まります。
いくら会社の実績や規模が大きくても実際にシステムを作成するのはシステムエンジニアです。
確認項目は技術や知識のほか、コミュニケーションスキルや信頼できる人材かまで確認します。
そのため、契約を結ぶ前に実際に担当してくれるシステムエンジニアと面会して能力を見極めましょう。
また、実際に開発を行う現場を見せてもらう方法もおすすめです。
運用保守の能力で選ぶ
3つ目のポイントは、運用保守の能力で選ぶことです。
運用保守とは、システムの運用や、不具合が起きたときの保守対応を指します。
システム開発は納品して終わりではなく、納品後の運用や保守も大切な仕事の一部です。
具体的には、ユーザーからの問い合わせやシステムの監視、ネットワークやサーバー環境のメンテナンス、障害対応などがあげられます。
これらの対応にこたえるだけでも多大な時間と労力を費やしてしまうでしょう。
そのため、運用保守をどのように行うか、任せた場合信頼できるのか、対応能力は高いか確認が必要です。
複数の業者から見積もりを取る
4つ目のポイントは、相見積もりを取ってから選ぶことです。
相見積もりは、最低でも3社とるようにしましょう。
まずは、広く浅くリサーチを行い情報を集め、そこから得意分野や実績、予算などから3〜5社に絞り込みます。
そこから実際に面談を行い、見積もり作成を依頼しましょう。
その後、見積内容や面談での印象を元に最適な1社を選択すると、自社にぴったりな開発会社を選べます。
たくさんの選択肢のなかから選ぶことで、自社に最適な開発会社を選べるでしょう。
システム開発を外注する流れ
最後に、システム開発を外注する大まかな流れについて紹介します。
- 開発するシステムの内容を決める
- RFP(提案依頼書)を作成する
- 外注先を決める
- 契約
それぞれ見ていきましょう。
流れ①開発するシステムの内容を決める
はじめに、開発するシステムの内容を決めます。
具体的に以下の項目を決めていきましょう。
- 問題や課題点
- なぜ解決したいのか
- 解決後の未来
- 誰が使うシステムなのか
- いつ使うのか
- いつまでに作成してほしいか
システム開発を依頼する場合、何かしらの問題や課題や問題を抱えていることがほとんどです。
まず、これらの問題を明確にし、ITを活用してどのように解決したいか考えます。
さらに、使うユーザーは誰か、使うタイミングはいつかまで想像できると明確に決められるでしょう。
この内容が不透明だと次のRFPの作成でつまずいてしまいます。
そのため、内容は明確なビジョンを思いうかべられるくらいしっかり決めましょう。
流れ②RFP(提案依頼書)を作成する
システム開発の内容が決まったら、RFPを作成します。
RFPとは、提案依頼書といい、開発会社に提出する依頼書です。
RFPには、上記で決めたような希望するシステムの内容や開発目的、納期などが記載されています。
こちらの希望が漏れなく伝わるように、なるべく細かく記載するようにしましょう。
RFPが作成出来たらどの開発会社に依頼するか、依頼先を探します。
流れ③外注先を決める
外注先は複数の開発会社から厳選して選びましょう。
そのためには複数の開発会社を探す必要があります。
主に、以下の方法で探すのが一般的です。
- ネット検索
- 知り合いからの紹介
- 他社の情報を参考にする
ネットで検索する人がほとんどでしょう。
しかし、ネットで検索すると選択肢が一気に増えるため、1社に厳選するのが困難になってしまいます。
そんなときは、以下の内容を確認して厳選しましょう。
- 過去の実績
- 得意な分野
- 業績
- 担当者との相性
最も大切なのが担当者との相性です。
これには、担当者のコミュニケーションスキルも含まれます。
どんなに実績や業績が充分だとしても、コミュニケーションがうまく取れない担当者だとこちらの要望を上手くくみ取ってもらえず、満足のいくシステムが完成しない可能性があります。
コミュニケーションスキルや相性を確認するために、実際に担当者に会ってから外注先を決める方法もおすすめです。
また、外注先を決めるときは相見積もりを取り、複数の外注先から選ぶようにしましょう。
流れ④契約
外注先が決まれば後は締結です。
契約時には「システム開発契約書」を作成します。
システム開発契約には2種類あり、システムの設計から納品までのすべてをひっくるめた「一括契約」と、工程ごとに契約を結ぶ「多段階契約」です。
一括契約は、都度契約を結ぶ必要がないため、作業効率がいいというメリットがあります。
対して多段階契約は、都度契約を結ぶため、納期や費用についてのトラブルを防げるでしょう。
システム開発はゼロからシステムを構築していくため、完成されたシステムが思っていたものと違っていたり工数や期間に変更があったりします。
また、開発者との間で認識のずれが生じやすいため、契約方法は慎重に選びましょう。
システム開発は外注がおすすめ
システム開発を外注するメリットやデメリットについて紹介しました。
システム開発を外注することで、開発業務を行う社員の採用や育成の手間が省けます。
そのため、業務の負担を軽減できるほか、設備への追加投資を行う必要もありません。
さらに、コストの管理がしやすいため、企業的にも外注するメリットは多いでしょう。
何かトラブルが起きても契約不適合責任があるため、安心して外注できます。
しかし、開発会社の選択を誤ってしまうと、品質の悪いシステムが納品される可能性があることを念頭に置いておきましょう。
開発会社の選択を誤らないためには、複数の会社から相見積もりを取り、過去の実績を確認する必要があります。
過去の実績と依頼内容が似ていれば、満足のいく物が納品されると考えていいでしょう。
優良な開発会社を選び、満足のいくシステム開発を行ってください。
システム開発に悩んだ際にはEMEAO!へのご相談を一度ご検討ください。
この記事を書いた人
編集部員 濵岸
編集部員の濵岸と申します。コンテンツ作成と取材を主に担当しております。身長が低いため学生時代は「お豆」と呼ばれていました!豆らしく、皆様の役に立つ記事を「マメに豆知識を!」の意識で作成します!どうぞよろしくお願いいたします!