
業務用エアコンの馬力とは?業種別に最適な目安を紹介
公開日:2020.07.22 最終更新日:2023.03.07
業務用エアコンは、家庭用エアコンでは見慣れない「馬力」という数値で種類分けされています。
そこで本記事では業務用エアコンの馬力を決める目安についてご紹介いたします。
オフィスや施設に設置する業務用エアコンをお探しの事業者様やご担当者様は、ぜひチェックしてみてください。
業務用エアコンの馬力とは?
業務用エアコンにおける「馬力」とは、そのエアコンの出力の強さを表す単位です。
馬力という言葉は、馬車を引く馬の力を語源としており、もともと、1馬力は、“1頭の馬の仕事量”を表していました。
現在は、業務用エアコン以外だと、乗用車や船舶のパワーを表す際の単位として用いられます。
ちなみに、業務用エアコンの出力を表す際の単位として馬力が採用されているのに対して、家庭にあるエアコンの出力は「kw」で表されることが一般的です。
なお、馬力は、適切なエアコンを選ぶうえでの1つの目安にもなります。
業務用エアコンを選ぶ際は、床面積10平方メートルあたり、1馬力を基準に考えるとよいでしょう。
適切な馬力の業務用エアコンを選んだほうがよい3つの理由
続いては、適切なスペックを持つ業務用エアコンを選ぶことが大切である、3つの理由を紹介します。
理由➀電気代を最適化できるため
適切な馬力の業務用エアコンを選ぶことで、電気代の最適化を図れます。
床面積や、空間の構造などに対してエアコンの出力が不足していると、設定温度を保つために最大出力に近い状態で稼働しなければなりません。
こうなると、大量の電気を消費することとなり、電気代も跳ね上がってしまいます。
反対にオーバースペックのエアコンを使っても、電力を余分に消費するため、やはり電気代がかさむ原因となります。
適切なスペックのエアコンを選ぶことこそ、電気代を最適化できる秘訣なのです。
理由②空調を効率的に行えるため
空調を効率的に行えるという点も、適切なスペックの業務エアコンを選ぶべき理由の1つです。
部屋の床面積に対し、業務用エアコンの出力が不足していると、冷気や暖気が部屋の中に十分に行き渡りません。
また、冷却や加温能力を補うための送風により、場所によっては冷えすぎる、あるいは乾燥してしまうという問題も起りえます。
適した馬力の業務エアコンを選ぶことは、快適な室内環境を作り出すうえで、不可欠です。
理由③エアコン本体が長持ちするため
業務用エアコンのスペックが適切であれば、本体に余計な負荷がかからないので、長く使えます。
一方で、業務用エアコンの出力が不足していると、稼働中、本体に大きな負荷がかかり、故障の原因となります。
業務用エアコンの馬力を決める目安とは?

業務用エアコンの馬力は部屋の面積などで最適なものが異なります
業務用エアコンでいう馬力とは、冷房または暖房の風をムラなく部屋中に広めるためのパワーを数値化したものです。
数字が大きいほどパワーの強いエアコンであるといえます。
注意していただきたいのは、業務用エアコンはとにかく馬力が大きいタイプを選べばよいというわけではないということ。
必要以上に馬力が大きいタイプを設置すると電気代がかさんでしまいます。
とはいえ、必要な馬力には足りないタイプを設置すると、効きが悪くなってしまいます。
では何を基準に必要な馬力を選べばいいかというと、業務用エアコンを設置する「部屋の面積」と「用途」の2つに注目しましょう。
なぜなら、部屋が広くなればなるほど温度管理に必要なエネルギーは大きくなり、同じ広さの部屋でも部屋を使用する目的が違えば効きが悪くなったりするからです。
また、業務用エアコンは種類や馬力によって設置工事にかかる費用が異なります。
設置工事費用が気になる事業者様は、こちらの業務用エアコンの種類別・馬力別工事費の相場をご参照ください。
「用途×部屋の面積」から見る業務用エアコンの最適馬力算出法を紹介
業務用エアコンの最適馬力は、以下の計算式で算出できます。
「算出基準負荷」とは、空間の使用目的に応じたエアコン能力の目安です。
設置するエリアや建物の種類によっても算出基準負荷は異なりますが、今回は以下の数値を目安に解説していきます。
- 飲食店…190~370w/㎡
- 一般商店…160~180w/㎡
- 理美容院…230~290w/㎡
- オフィス…105~230w/㎡
【設置場所別】業務用エアコンの最適馬力の算出例

設置場所別に最適な業務用エアコンの馬力を算出しましょう
ここからは、設置場所別にどれくらいの馬力が最適なのか算出した例をいくつかご紹介します。
ぜひ設置場所に最適な馬力を出す際の参考にしてみてください。
なお、今回ご紹介する例は全て面積が40㎡の場合です。
実際に算出する際には設置場所の面積を当てはめて計算してください。
例①飲食店に設置する業務用エアコンの最適馬力
飲食店と一口にいっても、厨房のみでガスを使用する飲食店と、焼き肉店やお好み焼き店のようにお客さんがテーブルで調理を行うお店では、大きく異なります。
飲食店で冷房を使用したときの算出基準負荷は「190~370w/㎡」なので、厨房のみでガスを使用するお店なら190w/㎡、焼き肉やお好み焼きなど客席でも火を使う飲食店は最大値の370w/㎡で計算するとよいでしょう。
以下に40㎡の飲食店を例に最適馬力を計算しているので、参考にしてください。
1馬力=2.8kw
7.6kw÷2.8kw=2.7
40㎡厨房のみでガスを使用する飲食店に設置するなら、3馬力の業務用エアコンが最適といえます。
1馬力=2.8kw
14.8kw÷2.8kw=5.2
客席でも火を使う飲食店に設置するなら、5~6馬力の業務用エアコンが最適といえます。
例②一般商店に設置する業務用エアコンの最適馬力
雑貨店や服飾店など発熱機器がほとんどない一般商店の算出基準負荷は、「160~180w/㎡」です。
この数値をもとに40㎡の商店で最適馬力を計算してみると、以下のようになります。
1馬力=2.8kw
6.8kw÷2.8kw=2.4馬力
つまり、一般商店に設置するなら2~3馬力の業務用エアコンが適切といえます。
例③理美容院に設置する業務用エアコンの最適馬力
理美容院はパーマやドライヤーなどの機器から熱を発しますが、お客さんは長時間同じ場所から移動できないので、算出基準負荷は「230~290w/㎡」です。
この数値をもとに40㎡の理美容院で最適馬力を計算してみると、以下のようになります。
1馬力=2.8kw
10.4kw÷2.8kw=3.7馬力
つまり、理美容に設置するなら4馬力の業務用エアコンが最適といえるでしょう。
例④オフィスに設置する業務用エアコンの最適馬力
オフィスではガスを使わないものの、パソコンや複合機などの機器類が熱をもっています。
したがって室内に電子機器が多い場合は、算出基準負荷も最大値で計算したほうがよいでしょう。
オフィスの算出基準負荷は「105~230w/㎡」です。
ここでも40㎡の室内を例に計算をしてみると、以下のようになります。
1馬力=2.8kw
9.2kw÷2.8kw=3.2馬力
つまり、電子機器が多いオフィスに設置するなら3馬力の業務用エアコンが最適といえます。
業務用エアコンの工事費用の相場
業務用エアコンの工事費用の相場は、タイプや馬力によって3万~21万円程度と、ひらきがあります。
詳しくは、下記をご覧ください。
【タイプ別】業務用エアコンのタイプと工事費用の相場
- 壁掛け形:4万~13万円程度
- 床置き形:5万~18万円程度
- 天井吊形:7.3万~20万円程度
- 天井埋め込み形:7.7万~21万円程度
壁掛け形や床置き形は、搬入および設置が容易であり、工事費用を比較的安く抑えられます。
一方で、天井吊形や天井埋め込み形は室内機も大きく、設置に際して、ダクト工事や天井に穴を開ける作業が必要なので、工事費用は高額になります。
また同一のタイプであっても、馬力によって費用に差が生まれるため、設置を検討する際は、メーカーのWebサイトやカタログで詳細を確認しておきましょう。
なお、業務用エアコンの工事費用の相場は、こちらの記事でも詳しく解説しているため、ぜひ併せてお読みください。
業務用エアコンと家庭用エアコンの違いとは
業務用エアコンと家庭用エアコンには、下記のとおり形状や出力、耐久性などに違いがあります。
【業務用エアコンと家庭用エアコンの違い】
- 形状
- 設置工事の内容と期間
- 電源規格
- 出力
- 耐久性
業務用エアコンは、天井と一体化したタイプが多く製造されていますが、家庭用エアコンは壁掛けタイプが一般的です。
形状が異なるため、必要な工事の内容や期間も異なります。
業務用は、設置に際して大規模な工事を伴うため、数日の工事期間が必要です。
一方で家庭用は、当日中に工事が完了します。
電源規格も、業務用エアコンと家庭用エアコンで異なります。
業務用は、家庭用と違い、広大な空間の空調を行うため、より強力な電源が必要になるのです。
また、出力も大きく違います。
業務用エアコンの出力は最大10馬力程度である一方で、家庭用エアコンの出力は3馬力程度です。
この数値を、空調可能な広さで比較すると、業務用の場合は270平方メートル程度、家庭用の場合は70平方メートル程度となります。
さらに、業務用エアコンと家庭用エアコンとでは、耐久性においても違いがあります。
業務用は15年程度の耐用年数である一方で、家庭用は6年程度です。
両者を比較した場合、業務用は家庭用よりも耐久性が高く、故障しにくいという特徴があります。
業務用はオフィスや施設で使用されるため、たとえば24時間の連続稼働のような、過酷な使用にも耐えるよう設計されています。
業務用エアコンと家庭用エアコンの違いは、下記記事でも詳しく解説しているため、ぜひ併せてお読みください。
関連記事:業務用エアコンと家庭用エアコンは何が違う?異なる3点を徹底解説
業務用エアコンに必要な馬力は、部屋の広さと用途によって算出できる!
以上、業務用エアコンの馬力を決める目安についてくわしくご紹介してきました。
どのようにすれば設置場所に最適な馬力を算出することができるのかをご理解いただけたのではないでしょうか?
「設置場所が多いから全ての最適馬力を計算するのは大変だな」
「必要な馬力が分かったからさっそく発注しよう」
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この記事を書いた人
編集部員 河田
編集部員の河田です。編集プロダクションでの書籍編集の経験を経て、現在はEMEAO!のWebコンテンツ編集・執筆とお客様へのインタビューを担当させていただいています。日々、コツコツと皆さんのお役に立つ情報を発信していきます!よろしくお願いします。





