LED照明の寿命から考える交換のタイミング
公開日:2020.12.11 最終更新日:2024.02.26
「LED照明の寿命は長いと聞くけれど、具体的にはどれくらいの長さなんだろう?」
と疑問に思っているご担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで本記事では、LED照明の寿命と交換すべきタイミングについて解説します。
LED照明のコストパフォーマンスや取り換えのタイミングについて気になっているご担当者様は、ぜひチェックしてみてください。
LED照明の寿命の長さ
LED照明とシーリングライトの寿命は以下のとおりです。
LED照明 | 約10年(約40,000時間) |
LEDシーリングライト | 約8~10年 |
順番に見ていきましょう。
LED照明の寿命
一般的に市販されているLED照明の寿命は、約40,000時間とされています。
定格電流で1日あたり11時間点灯させると仮定すれば、約10年で寿命を迎える計算です。
では、寿命がくるとLED照明はどうなるのでしょうか?
一般社団法人日本照明器具工業会が2010年7月に公表しているLED照明の寿命の定義によると、定格電流で連続点灯した際に光束が初期値の70%に低下する時点を寿命としているそうです。
参照:一般社団法人日本照明器具工業会|ガイド108-2003誘導灯器具及び非常用照明器具の耐用年限
LED照明を使い続けると、ランプを構成する発光ダイオード素子は少しずつ劣化して明るさが低下していきます。
発光ダイオード素子は電球のように突然切れて使用できなくなるわけではなく、徐々に光量が低下していくのです。
ただし、LED素子は寿命がきても点灯しなくなる訳ではないので、初期値の70% というのはあくまで交換目安に過ぎません。
定格電流よりも低い電流で使用すれば劣化しにくくなり、寿命を延ばすことも可能です。
逆に定格を超えた電流を流すと、LED素子が発熱して劣化が進むので寿命を縮めてしまいます。
LEDシーリングライトの寿命
LEDシーリングライトを含む照明器具の寿命は、約8〜10年が一般的です。安全に使用するためにも、1年に1回は照明器具の状態を確認しましょう。
一般社団法人日本照明工業会では、照明器具向けの点検項目をまとめたチェックシートが公表されているので、ぜひ活用してみてください。
なお、使用中のLEDシーリングライトの寿命が知りたい場合は、照明器具本体に記載されている製造年を確認するとよいでしょう。
LED照明の寿命と、電球や蛍光管の寿命の長さを比較
上述したように、家電量販店などで一般的に販売されているLED照明の寿命は、およそ40,000時間とされています。
では白熱電球や蛍光管と比較してみるとどれくらいの違いがあるのかというと、LEDの寿命は従来の白熱電球の約40倍 、蛍光管と比べても2倍以上もあります。
具体的な数値は以下の表にまとめたのでご覧ください。
推測寿命 | |
白熱電球 | 1,000時間 |
蛍光管 | 6,000~12,000時間 |
LED | 40,000時間 |
東芝ライテックの白熱電球の寿命は1,000時間 ほどです。
たとえば、白熱電球をトイレの照明に使用した場合には、1日30分点灯させると仮定すれば約5年間です。
それをLEDランプに交換して同じように使用すると、理論上は約80年間 も使用できることになります。
蛍光管の場合は、各メーカーが公表している寿命の目安は約6,000~12,000時間 とされています。
長寿命タイプの蛍光管(パルック蛍光灯)だと、カタログ値は約20,000時間 です。
ただし、蛍光管は頻繁にON/OFFを繰り返すと劣化が進むので、実際の寿命はもっと短いでしょう。
LED照明の寿命がきたときのサイン
LED照明は電球のように突然切れるわけではなく、寿命が近づくにつれて何かしらの不調が増えてきます。ここからは、LED証明の寿命が近くなると見られる3つのサインを紹介します。
- 以前より光量が少なくなった
- チカチカと点滅し始めた
- スイッチをつけても点灯しない
交換時期の目安として、頭に入れておくとよいでしょう。順番に解説します。
以前より光量が少なくなった
LED照明を点灯した際、以前より光量が少なくなった、電気を付けても暗く感じる場合は、寿命が近づいている可能性が高いです。
LED照明は、チップの劣化に比例して光量が少なくなる性質を持っています。
電気を付けても暗いと感じたら、取り付けてから何年経っているかを確認してみてください。8〜10年ほど経過している場合は、買い替えをおすすめします。
チカチカと点滅し始めた
LED照明を長年使用すると、熱によってチップが変形し、チカチカと点滅することが多くなります。
ただし、点滅はチップの劣化だけが原因とは言い切れません。照明器具と証明制御装置の不適合や、整流器との接触不良などでも起こる場合があります。
照明器具の相性は問題ないか、整流器と正しく取り付けられているかを確認し、それでも治らなければ交換を検討しましょう。
スイッチをつけても点灯しない
スイッチをつけても点灯しない場合は、LED照明が故障している可能性が高いです。
LED照明は熱に弱いため、回路内や外部から熱が加わるとチップが破損しやすくなります。何度かスイッチをつけても点灯しない場合は、照明自体を買い替えるのがおすすめです。
なお、買い替え後は同じ症状が起こらないよう、特殊環境用LEDを使用したり、熱がこもりにくい照明器具を使うなどの対策を取りましょう。
寿命より前にLED照明が切れてしまうのはなぜ?
LED照明が寿命より前に切れてしまう理由は以下の2つです。
- 熱に弱いから
- 湿気に弱いから
順番に解説します。
理由①熱に弱いから
LED照明は光を生み出す発光部分と、電気を受け取って流す電源部分の2つで構成されています。
発光部分には熱は含まれませんが、電源部分は高温になりやすい性質があります。そのため、熱を逃がすためのヒートシンクがつけられています。
しかし、熱がこもりやすい照明器具を使用すると、ヒートシンクでの放熱が間に合わなくなり、電源部分の基盤が破損します。
結果、寿命が短くなったり、故障につながりやすくなったりします。
理由②湿気に弱いから
LED照明は白熱電球と違って密閉された作りではないため、内部に水や湿気が入りやすいです。
LEDの内部基盤は水に弱く、直接水が入らなかったとしても、湿気によって故障しやすくなります。
LED照明の寿命を延ばす4つのポイント
LED照明は白熱電球や蛍光灯より寿命が長いことで知られていますが、その反面で熱や湿気の影響を受けやすいです。そのため、適切に使用しなければ短寿命や故障のリスクが高まります。
ここからは、LED照明の寿命を延ばす4つのポイントを解説します。
- 使わない時間は照明を消す
- 器具に適したLED照明を選ぶ
- 高温多湿な場所には特殊環境用のLEDを使用する
- 定期的にメンテナンスする
一つずつ見ていきましょう。
使わない時間は照明を消す
オンとオフをこまめに切り替えることで、LEDチップや基盤が熱を持つ時間を短くできるため、劣化防止につながります。
蛍光灯の場合はこまめに消灯すると寿命が短くなりますが、LED照明はその限りではありません。短い時間でも消灯すれば、節電にもつながります。
器具に適したLED照明を選ぶ
スペックに見合わない用途や環境でLED照明を使用すると、劣化や故障のリスクが高まります。そのため、取り付ける照明器具に適したLEDを選ぶのが重要です。
調光ができる照明器具には調光器に対応した照明を、密閉型の照明器具には熱がこもりにくい密閉対応の照明を使用しましょう。
高温多湿な場所には特殊環境用のLEDを使用する
お風呂場やキッチンなどの高温多湿な場所にLED照明を取り付ける場合は、特殊環境用の製品を選びましょう。
LED照明は熱や湿気と相性が悪く、それらが多く発生する場所で使用すると劣化や故障につながりやすくなります。
特殊環境用のLED電球は専用の加工が施されているため、高温多湿な環境でも劣化が進みにくいです。熱や湿気による影響が少ないため、通常品より長く使い続けられます。
定期的にメンテナンスする
LED照明の寿命を延ばすには、定期的なメンテナンスが欠かせません。汚れが溜まると光量が少なくなるだけでなく、熱がこもる原因にもつながります。
メンテナンスの際は、部品ごとに適切な道具や洗剤を使用してください。間違ったものを使うと故障につながる恐れがあります。
部品の汚れを拭き取る際は、感電を防ぐために電源を切ったうえでコンセントも抜いておきましょう。また、水拭きや洗剤を使用する場合は、部品を傷めないよう水気を十分に切ってからおこなってください。
LED照明を交換するタイミングはいつ?
LED照明は電球や蛍光管とは違い、約10年という寿命を迎えてもすぐに切れて使えなくなるわけではありません。
寿命が近づくと新品よりも少し暗くなりますが、電子回路が故障していなければ使用が可能です。
しかし、たとえ問題なく点灯していても、利用開始から10年を過ぎたら交換を検討するようにしましょう。
メーカーが想定している設計寿命の10年間を過ぎて明るさが気になるものの継続して使っていると、制御回路が故障するおそれがあるからです。
企業が事業所の照明にLEDを使用する場合は、耐用年数を10年とみなして予算を組み、減価償却を行うことをおすすめします。
LED照明の寿命は約40,000時間、1日11時間点灯させるなら約10年間で交換が必要
以上、LED照明の寿命と交換すべきタイミングについて解説してきました。
LED照明の寿命は約40,000時間 、定格電流で1日あたり11時間点灯させる場合だと約10年で寿命 を迎えます。
利用開始から10年を過ぎたら、たとえ問題なく点灯していても交換をおすすめします。
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この記事を書いた人
編集部員 河田
編集部員の河田です。編集プロダクションでの書籍編集の経験を経て、現在はEMEAO!のWebコンテンツ編集・執筆とお客様へのインタビューを担当させていただいています。日々、コツコツと皆さんのお役に立つ情報を発信していきます!よろしくお願いします。