工数管理はなぜ必要なのか？人月・人日の計算方法も解説します！

プロジェクトの管理業務において、人手などを計算する工数管理はとても肝心なことの1つです。しかし、どのように肝心なのか詳しいことまで理解できていない方は少なくありません。 今回は、人月・人日という言葉の意味や工数管理を徹底することで得られるメリット、効率の良い工数管理のポイントについて紹介します。
工数管理が徹底されることで「プロジェクトに必要となる人手や日数の高い精度の見積もり」「ミスの少ない業務進行の管理」ができます。この記事を見つけたタイミングを活かして工数についての基本的なことを理解しましょう。

工数とは

工数は、計画しているプロジェクトを完遂するために必要な人手や時間を表す言葉です。例として、システム開発の工数の場合は、下記のようになるので参考にしてください。

• 要件定義：80時間
• 設計：120時間
• 実装：180時間
• テスト：120時間

プロジェクトの管理業務では、このように所要時間を計算して、人員の配置計画を練ることで人件費を計画段階で導き出すことが肝心です。実際に業務を進行させた際に、人手不足になってしまうと、プロジェクトが計画通りに進行しなくなり、最終的に納期に完成させられないという問題が発生してしまいます。
だからといって、人手が十分すぎる計画を立ててしまうと人件費が大きくなってしまいます。納期に間に合い、無駄がない人手で進行できるプロジェクトを計画するには、工数をできるだけ細かく計算する必要があります。

工数管理はなぜ必要なの？

プロジェクトに必要な工数を管理することを「工数管理」と呼びます。プロジェクト管理業務を引き受ける際の必須スキルです。工数管理が徹底できているかどうかで、問題なくプロジェクトを進行できるかが左右されてしまうくらい肝心です。
どれだけ肝心なスキルなのか、例を出して説明します。
あなたが、お客様からの要望でプロジェクトを計画する際、多くの場合に見積もりを求められることがあるでしょう。その際に、費用や納期の提示が不可欠です。工数管理を徹底できるスキルがあれば、具体的な工数まで把握できるので、お客様にも詳しい内容を説明できるようになり、妥当な見積もりであることを証明できます。結果として、お客様に納得してもらえる可能性も高まるので、成約へと繋がるでしょう。

それだけでなく、工数管理を徹底することによって計画していた期待通りの利益を確保しやすくなります。お客様からの信頼獲得や適切な利益の獲得に影響するので、工数管理は肝心な部分であることは間違いないでしょう。

【システム開発用語集】人月・人日とは

「人月」と「人日」はシステム開発の業界でよく耳にする言葉で、1人の作業者が1月または1日でどれだけの作業を完了できるかの単位のことです。
一般的に、人月を算出する時は1カ月を20日、人日を算出する時は1日を8時間として計算します。
システム開発のプロジェクトでは、これらの単位を活用して作業の進行度や必要な時間を把握するのに役立ちます。
たとえば、1人が50日でタスクを完了する場合、それは50人日の工数として見積もることができ、3人で同じタスクを50日で終わらせる場合、それは150人日です。
また、システム開発のプロジェクトの人件費を予算化する際にも、人月や人日が非常に便利です。例えば、1カ月の人件費が50万円で、プロジェクトの工数が4人月だとすると、その人件費は合計200万円と表すことができます。

工数の計算方法

ここでは、工数の計算方法について説明していきます。
計算の条件の例として、プロジェクトの内容を納期までの期間が5ヶ月、工数は50人月かかると仮定した場合の人手と実際に必要とした工数の計算式を紹介します。
先ほどの内容から「50人月÷5カ月＝10人」という計算式が成り立ちます。このようにして、プロジェクトの進行に最低限必要な人手は10人であることを計算で導き出すことが可能です。
続いて、プロジェクトが完了した後で実際の工数を計算します。「実際に稼働した人手×稼働時間」という計算式で工数が求められます。これは単純な計算で、実際の現場ではさまざまな問題が発生し、進行の妨げになる可能性は少なくありません。
開始から2カ月は人手が集まらず8人で進行していたが、残りの3カ月は無事に10人で進行できるなどのズレが生じてしまうこともあります。この場合の計算式は以下の通りです。

• 開始から2カ月間：8人×2カ月＝16人月
• 残りの3ヶ月間：10人×3ヶ月＝30人月
• 全体の工数：16人月＋30人月＝46人月

上記の場合、50人月と計画していたプロジェクトが結果として46人月で納期に間に合い完了しています。当初の見積りで導き出した人月よりも少なく済んでおり、4人月の余裕が生まれたと結論付けられます。

工数管理を行うメリット

ここでは、工数管理を徹底することによって得られるメリットを紹介します。さまざまなメリットがある中で、代表的なメリットとして下記の3つについて注目していきましょう。

• 予算や見積もりの根拠となる
• スケジュール作成が容易になる
• 人員調整に役立つ

メリット①予算や見積もりの根拠となる

工数管理を徹底して明確な工数を計算することで、お客様への予算や見積りの根拠の証明として提示できます。
プロジェクトが複雑な仕組みになるほど、工数も増えていき当然その分予算も値上がりしていきます。大雑把に計算した見積りを提示されるよりも、細かい部分まで工数管理されている見積りの方が、お客様との交渉材料としても有利に働きます。
さらには、お客様だけでなく社内の信頼も得やすくなるので、プロジェクトを管理する立場として工数管理を徹底しておきましょう。

メリット②スケジュール作成が容易になる

徹底した工数管理は、スケジュール管理という点においても重要な役割を担ってくれます。明確な工数を把握することで、ズレを限りなく少なくして確実性の高いスケジュールを作成することが可能です。
例えば、予算を抑えるために人件費を削減しようとすることで、人数が足りず作業が順調に進行しないという問題が起きてしまいます。しかし、工数管理を徹底して作業人数の計算が適切な場合には、予想外のトラブルが起きない限り、人手不足が原因で作業に遅れが生じることはないでしょう。

メリット③人員調整に役立つ

工数管理を徹底することで、プロジェクトの人員調整に役立つのでおすすめです。作業の進行状況を把握しやすくなるので、人数を要する作業に対してあらかじめ人員調整を施すことが可能です。さらに、作業の遅れが発生している場所の特定が容易になり、人数の追加などの対処が素早くできます。
当たり前のことですが、実際の作業が見積り段階のスケジュール通りに進行するばかりではありません。常に工数管理を徹底して、さまざまなトラブルに対応できるようにしておきましょう。

工数管理を行う際のポイント

ここでは、工数管理を行う際のポイントを紹介します。押さえておくことで実際に役立つ4つのポイントに注目して紹介するので、ぜひ参考にしてください。

• 労働者のスキルを考慮する
• 過去のプロジェクトの工数と照らし合わせる
• スケジュールにゆとりを持たせる
• プロジェクト発足後も見直す

ポイント①労働者のスキルを考慮する

工数管理の人日計算をする際には、労働者のスキルを考慮する必要があります。同じ作業を進行していても、メンバーそれぞれのスキルの差がある場合には、作業スピードに差が生じてしまいます。
実際にどのメンバーが作業を担当するのかを想定して工数を計算することで、より正確な工数管理が可能です。それだけでなく、普段からメンバーの作業に対する成果などを記録しておくことで、人日計算の精度を高めることができます。あくまでも人のスキルなので、十人十色であるという点を十分に理解しておくことが大切です。

ポイント②過去のプロジェクトの工数と照らし合わせる

プロジェクトの管理業務の際に工数を計算したら、過去の似ているプロジェクトの工数と照らし合わせておきましょう。どの業界でも過去のデータは実績そのものなので、とても有益な情報です。過去のプロジェクトで必要とした工数と、今回の計算した工数が大きくかけ離れているようであれば、見直す必要があるかもしれません。
工数の計算自体が間違っているなどのミスに気づけるきっかけになるので、答え合わせに近い感覚で見てみると良いでしょう。

ポイント③スケジュールにゆとりを持たせる

工数計算をして見積りをベースにスケジュールを作成する際には、ゆとりを持たせたスケジュールを組んでおきましょう。ゆとりを持たせることによって、プロジェクト進行中の予期せぬトラブルに巻き込まれても対応できる余裕を持つことが可能です。
しかし、工数の見積りの段階で、工数そのものにゆとりを持たせるのは避けてください。この時点で、ゆとりを持たせてしまうと、プロジェクトの工数を正確に掴みづらくなります。大切なのは、正確な工数を導き出した上で、スケジュールを作成する際にゆとりを持たせるのがポイントです。

ポイント④プロジェクト発足後も見直す

事前に見積りした工数の通りに、プロジェクトが問題なく進行する可能性は低いです。そのため、プロジェクト発足後も、必要に応じて工数の見直しを考えることが求められるでしょう。
スケジュール管理の際に、事前に設定した工数に縛られすぎてしまうと、作業内容に無理が生じてしまったり、作業に遅れが生じる事前の要素を見逃してしまうきっかけとなってしまいます。工数管理を行う本来の目的は、作業をスケジュール通りに完了させることです。プロジェクト発足後に必要に応じて見直しをすることで、実態に近づける必要があります。

工数管理はプロジェクトの管理する方にとっての必須スキル

工数とはプロジェクトの完了まで必要な人数や時間を表す言葉です。工数管理はプロジェクトの進行において不可欠であり、徹底することで見積りや交渉の根拠としても活用できます。
工数管理の精度を高めるために、メンバーの作業内容を記録して把握することが効果的ですが、管理しすぎるという点はあまりおすすめできません。

工数管理に悩んだ際には、自分の求めているニーズに合わせた外注先に任せてしまうのも1つの有効な手段です。外注先に依頼してしまえば、自分で工数管理を行う必要はなく、求めている製品のビジョンを伝えるだけで、形にしてくれます。

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