システムの6つの種類、web系・オープン系・汎用系ほか
公開日:2021.01.19 最終更新日:2023.11.14
システム開発は私たちの生活やビジネスに深く関与しています。さまざまな種類のシステムがあり、それぞれが異なる目的で開発されています。この記事では、システムの種類とそれぞれの特徴を理解することで、どのようなシステムが私たちの生活やビジネスに適しているのか、判断できるようになるでしょう。
システム開発とは
システム開発とは、特定の要件や目的を達成するための情報システムを設計、構築、導入する過程のことを指します。この過程は、技術的要件だけでなく、ビジネスニーズやユーザーエクスペリエンスに関連した要件も含まれます。
また、現代のシステム開発は高度に進化しており、クラウドコンピューティングやデータ分析といった先進技術を取り入れるケースも増えてきました。
システム開発の流れ
システム開発の一般的な流れは、要件定義、設計、実装、テスト、リリース、保守・運用といった流れです。
要件定義
この段階では、システムの目的や求められる機能、性能などの詳細な要件を明確にします。ステークホルダーとのミーティングやワークショップを通じて、必要な情報を収集し、ドキュメントとしてまとめ上げる工程です。
設計
要件定義で明らかになった情報を元に、システムのアーキテクチャやデータモデル、インターフェースなどを詳細に設計します。この段階での設計品質が、後の実装やテストの効率を大きく左右するので重要な工程です。
実装
設計された内容を元に、プログラムのコーディングを行う工程です。開発言語やフレームワークの選択、データベースの設計など、多くの技術的判断が伴います。
テスト
実装されたシステムが要件を満たしているか、不具合やバグがないかを確認するための段階です。単体テスト、結合テスト、システムテストなど、段階的にテストを行い、問題点を修正します。
リリース
テストで問題がないことを確認したシステムを、実際の運用環境にデプロイします。この段階でのユーザーのフィードバックやリアル環境での性能確認も重要です。
保守・運用
リリース後も、新しい要件の追加や不具合の修正など、継続的な保守・運用が行われます。システムは常に変化するビジネスニーズに対応しなければならないため、適切なメンテナンスとアップデートが求められる工程です。
システム開発の種類と特徴
ここからは「オープン系」「Web系」「汎用系」「制御系」「組み込み系」「モバイル系」という6つのシステムの種類に焦点を当て、それぞれの特色を見ていきましょう。
各種類の違いを把握することは、どの開発者に仕事を依頼するかを考える上でのヒントとなるでしょう。
種類①オープン系システム
オープン系システムは、一般的なハードウェアやさまざまなオペレーティングシステム上で動作するシステムを指します。このタイプのシステムが「オープン」と呼ばれる理由は、多様なベンダーから提供される製品やソフトウェアとの連携や組み合わせが可能であるためです。そのため、ユーザーは独自の要件に合わせてカスタマイズや拡張ができるのが大きな特徴となっています。
この高い拡張性や柔軟性は、ビジネス環境や技術の変化に迅速に対応することを可能にします。たとえば、新しい技術の導入やビジネスプロセスの変更が必要になった場合、オープン系システムはその変更や追加を容易に受け入れることが可能です。
また、オープン系システムはコスト効果が高いとも言われます。既存のハードウェアやソフトウェアとの互換性が高いため、新しいシステムの導入や拡張を行う際の投資コストを抑えることが可能です。
多くの企業では、このオープン系システムを中心にビジネスシステムを構築しています。これは、その柔軟性やコスト効果、また独自性を持たせやすい特性から、企業のビジネス戦略や競争力を向上させるための重要なツールとして利用されているからです。
種類②Web系システム
Web系システムは、インターネットや内部ネットワーク上で動作するシステムのことを指します。一般的に、この種のシステムはサーバー上にデータやアプリケーションが存在し、ユーザーはブラウザを通じて、それらにアクセスする構造を持っているのが特徴です。
ユーザーはブラウザを利用してアクセスし、情報の参照、入力、編集などの操作を行います。これは、特定のソフトウェアを各ユーザーのデバイスにインストールする必要がなく、ブラウザさえあれば、どのデバイスからでもアクセスできる点がメリットです。このため、アップデートや修正もサーバー側で行えば、すぐに全ユーザーに適用されるという効率性も持ち合わせています。
代表的なWeb系システムとしては、ECサイトやSNSが挙げられるでしょう。ECサイトは商品の購入・販売が行えるシステムで、商品の検索、カートへの追加、購入といった一連の流れをブラウザ上で実現しています。SNSは、ユーザー同士のコミュニケーションを促進するシステムで、友人の投稿の閲覧やコメント、シェアなどの機能を提供しています。
企業の公式サイトもWeb系システムの1つとして挙げられるでしょう。情報提供はもちろん、問い合わせフォームの実装や会員限定のコンテンツ提供など、多岐にわたる機能を持つことが多いです。また、最近ではブログやニュースリリースといったコンテンツマーケティングのツールとしての側面も強くなってきており、定期的な更新が求められることも増えています。
Web系システムは、そのアクセシビリティと効率性から、現代の多くのビジネスや日常生活において欠かせない存在です。
種類③汎用系システム
汎用系システムは、一般的に大型コンピュータ上で動作し、特に大量のデータ処理を高速に行う能力に特化して設計されています。これらのシステムは、膨大なデータ量を持つビジネスや産業での使用を前提としています。その性能と信頼性から、銀行、保険会社、政府機関、大手製造業など多岐にわたる分野で採用されているシステムです。
特に、金融業界では、顧客の口座情報や取引履歴、ローンやクレジットカードの情報など、日々更新される大量のデータを迅速に処理・管理する必要があります。このようなデータは、取引の正確性や迅速性が求められるため、高い処理能力と信頼性を持つ汎用系システムに頼ることが一般的です。
また、保険会社では、顧客の保険契約やクレーム処理、その他の関連情報を一元管理し、高速にアクセス・更新することが求められます。汎用系システムは、これらの情報の高速な検索や更新を可能にし、ビジネスの効率化に大きく貢献しています。
汎用系システムのもう1つの特徴は、長期間にわたる安定した運用が可能であることです。多くの大企業や公的機関は、システムのダウンタイムがビジネスに与える影響を極力避けるため、高い信頼性と持続的なサポートが提供される汎用系システムを選択しています。
種類④制御系システム
制御系システムは、特定の目的を達成するために機器や設備を自動で制御するシステムです。これらのシステムは、さまざまな産業や日常生活の中で広く活用されています。
具体的には、工場の生産ラインにおいて、生産効率を最大化するために、特定のタイミングで特定の動きをするロボットアームやベルトコンベアの動作を制御するために使用されます。このことにより、人の手を介さずに迅速で正確な生産が可能です。結果として生産コストの削減や生産量の増加が期待できます。
また、ビルの空調システムでは、外部の温度や湿度、ビル内のCO2濃度などの情報をセンサーで取得し、それに基づいて適切な温度や湿度を保つための制御を行います。これにより、常に快適な室内環境を提供することができるだけでなく、エネルギーの無駄を減らすことができ、環境にも配慮したシステムとなるでしょう。
これらの制御系システムは、ユーザーからの指示や外部環境の変化に即座に反応して、適切な制御を実行する必要があります。そのため、リアルタイムでの高速な処理が求められることが多いです。特に、工場の生産ラインなどでは、わずかなタイムラグや誤動作が大きな損失や事故を引き起こす可能性があるため、システムの信頼性や安定性も非常に重要です。
種類⑤組み込み系システム
組み込み系システムは、一般のPCやサーバーとは異なり、特定のタスクを効率的に実行するためのシステムのことを指します。これらは特定の機器や製品の内部に組み込まれて動作することから、この名前が付けられました。
具体的には、私たちの日常にも多くの組み込み系システムが存在しています。例としては、スマートフォンの中核をなすOSやアプリケーション、家電製品の制御回路、エアコンの温度調整システム、洗濯機の洗浄プログラム、そして最近では自動車の運転支援システムなどがこのシステムに該当します。
組み込み系システムの特徴として、その動作のための専用のハードウェア上で実行される点が挙げられるでしょう。これにより、一般的なPCやサーバーよりも効率的な動作が期待できるため、省電力や高効率が求められます。
また、組み込み系システムは通常、限られたリソースの中で動作するシステムです。これは、限られたメモリやストレージ、CPU能力の中で、高速かつ安定して動作することが要求されることを意味します。そのため、組み込み系システムの開発には、ハードウェアとの連携を深く理解した上で、効率的なプログラミングが不可欠です。
このような背景から、組み込み系システムの開発者は、ハードウェアの知識だけでなく、リアルタイムOSや特定のプログラミング言語、ツールに関する専門的な知識が求められることが多いです。
種類⑥モバイル系システム
モバイル系システムは、スマートフォンやタブレットといったモバイルデバイス上で動作するシステムのことを指します。このカテゴリーには、iOSやAndroidなどのプラットフォーム向けに特化したアプリケーションの開発、モバイルブラウザに最適化されたウェブサイトの設計、そしてスマートウォッチやウェアラブルデバイス向けのアプリケーションも含まれます。
現代社会では、モバイルデバイスは日常生活に欠かせない存在です。そのため、モバイル系システムの需要は増大し、多様なニーズに応えるべく新しいアプリケーションやサービスが日々生まれています。たとえば、位置情報を活用したサービスやAR技術を取り入れたゲーム、健康やフィットネスに関連するアプリケーションなどがあります。
利便性やユーザビリティの重視は、モバイル系システム開発の最重要ポイントです。モバイルデバイスの画面サイズや操作性は、PCとは異なるため、ユーザーが直感的に操作できるUI/UXの設計が不可欠です。また、モバイルデバイスは移動中にも使用されることが多いため、低消費電力や高速な動作、オフラインでも一部の機能が使用できるなどの配慮も求められます。
さらに、モバイル系システムのセキュリティも非常に重要です。モバイルデバイスは外出先での使用が多いため、紛失や盗難のリスクが伴います。このようなリスクを考慮し、データの暗号化や二要素認証、リモートロックなどの機能を実装することで、ユーザーの安全を確保することが求められます。
webシステム開発とアプリ開発の違い
システム開発を検討する際、webシステム開発かアプリ開発かで迷う方は少なくないでしょう。webとアプリ、それぞれには独自の特色やメリットが存在します。
最も大きな差はインストールの過程の有無です。webシステムはインターネット上でアクセスできるので、特別なインストールは必要ありません。それに対して、アプリは所定の場所などからダウンロード・インストールするステップが求められます。そのため、アプリの導入の初期段階でのハードルは、webに比べやや高いと感じるかもしれません。
さらに、通信の速さにも差が生じます。webシステムの通信速度は、使用する端末や環境に影響を受け、毎回全ての情報を読み込むことが一般的です。アプリの場合、インストール後は一部のデータをデバイスに保存できるので、通常の場合はwebよりも迅速に動作します。
アプリには、情報をプッシュ通知や配信するといった機能が内蔵されている一方、webシステムではそのような機能は一般的には搭載されていません。企業や組織の要望や必要性をしっかりと整理し、どのシステムを開発するかを決定することが重要です。
システムは種類によって開発目的が異なる
以上、システムの6つの種類「オープン系」「Web系」「汎用系」「制御系」「組み込み系」「モバイル系」の特徴をそれぞれ詳しく解説しました。
オープン系システムは複数人でのシステム共有するために、Web系システムはサービスのために、汎用系システムはエラーが許されない重要なシステムに適した開発です。
制御系システムは機械の動作を制御するために、組み込み系システムは特定の機能を実現するために、モバイル系システムはモバイルデバイス上での動作に特化したサービスを開発することに適しています。
種類によって開発者に求められる知識・技術も異なるので、求める種類のシステム開発が得意な業者を選ぶようにしましょう。
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この記事を書いた人
編集部員 河田
編集部員の河田です。編集プロダクションでの書籍編集の経験を経て、現在はEMEAO!のWebコンテンツ編集・執筆とお客様へのインタビューを担当させていただいています。日々、コツコツと皆さんのお役に立つ情報を発信していきます!よろしくお願いします。