会計システムとは?開発費用や導入メリットなどを解説
公開日:2024.10.01 最終更新日:2024.10.01
企業の成長を支えるうえで、会計システムは欠かせない存在です。しかし、会計システムと聞いても、具体的にどのようなものか、導入するメリットは何なのかと疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、会計システムの基礎知識から開発費用や導入するメリット・デメリット、さらにシステム開発会社の選び方まで解説します。会計システム導入を検討している方にとって有益な情報を盛り込みましたので、ぜひ参考にしてください。
会計システムとは?
会計システムは、企業の財務データを効率的に管理・処理するためのソフトウェアです。日々の取引記録から財務諸表の作成・税務申告のサポートまで、幅広い会計業務を自動化・効率化できます。ここでは、以下の項目について解説します。
- 基幹システムにおける会計システムの位置づけ
- 会計システム開発の目的と重要性
それぞれ解説します。
基幹システムにおける会計システムの位置づけ
会計システムは、企業の基幹システムの中でも重要な位置を占めています。おもな役割は以下のとおりです。
- 財務情報の一元管理
- 経営判断のための情報提供
- 業務効率化とコスト削減
- コンプライアンス対応
会計システムは企業全体の財務データを集約し、正確かつタイムリーな情報を提供します。これにより、経営者は迅速な意思決定を行えるでしょう。
さらに、法令に準拠した会計処理や財務報告の作成を支援し、企業のコンプライアンス体制を強化します。このように、会計システムは企業の財務管理の中核を担い、経営戦略の立案や実行を支える重要な役割を果たしています。
会計システム開発の目的と重要性
会計システムは、企業の基幹システムにおいて中核的な役割を果たしています。基幹システムは販売管理や在庫管理などのサブシステムで構成されており、その中で会計システムは企業の財務状況を管理・把握する重要な存在です。
おもな機能には、以下のようなものがあります。
- 仕訳入力と元帳管理
- 財務諸表の作成
- 予算管理と実績比較
- 資金繰り管理
- 税務申告資料の作成
これらの機能を通じて、会計システムは企業の財務状況を正確に把握し、経営判断に必要な情報を提供します。また、ほかのサブシステムとデータを連携することで、より効率的な業務プロセスを実現します。
会計システム開発のメリット
会計システムを開発・導入することで、企業はさまざまなメリットを享受できます。以下に主要なメリットを説明します。
- 経理・会計業務の業務効率化
- ヒューマンエラーの削減
- 財務状況把握がしやすくなる
- 法令遵守と内部統制の強化
- 社内でのデータ共有がしやすくなる
これらにより、会計システムの導入は単に会計業務の効率化だけでなく、企業全体の業務改善と経営力強化につながります。
経理・会計業務の業務効率化
会計システムの導入によって、経理・会計業務の効率化を図れます。おもな効率化のポイントは以下のとおりです。
項目 | 内容 |
データ入力の自動化 |
|
仕訳の自動化 |
|
レポート作成の効率化 |
|
これらの機能により、従来の手作業による入力や計算、書類作成にかかる時間を削減でき、人為的なミスも減少します。結果として、経理担当者の業務負担を軽減し、より付加価値の高い業務に時間を割けるようになります。
ヒューマンエラーの削減
手作業での会計処理には常にミスのリスクがありますが、会計システムは以下の機能でヒューマンエラーを防ぎます。
機能 | 効果 |
自動計算機能 | 複雑な計算も正確に処理 |
データ入力時のチェック機能 | 誤入力を防止 |
データの整合性チェック | 異常値や矛盾を検出 |
履歴管理機能 | 変更履歴を記録し追跡可能 |
ワークフロー機能 | 承認プロセスを自動化 |
これらの機能により、財務データの正確性向上や会計処理の品質安定化、監査対応の効率化・経営判断の精度向上といったメリットが得られます。ヒューマンエラーの削減は、企業の財務管理全体の品質向上につながる重要な要素といえるでしょう。
財務状況把握がしやすくなる
会計システムの導入により、企業の財務状況を迅速かつ正確に把握できます。
メリット | 詳細 |
リアルタイムでの情報更新 | 取引データが即座に反映され、最新の財務状況を確認可能 |
多角的な分析機能 | 部門別・製品別などさまざまな切り口での分析が可能 |
予実管理の効率化 | 予算と実績の比較が自動化され、差異分析が容易に |
また、重要な財務指標(流動比率や自己資本比率・ROEなど)を即座に確認できます。これにより企業の強みや弱み、改善点を明確に認識し、迅速かつ的確な意思決定が可能になります。
法令遵守と内部統制の強化
法令遵守の面では、財務報告の正確性向上や取引記録の透明性確保などの効果が期待できます。企業は法令違反のリスクを低減し、ステークホルダーからの信頼を高められるでしょう。
内部統制の強化については、会計システムが業務プロセスの標準化や権限設定による不正防止に役立ちます。とくに職務分掌の実現には、システム上で各担当者の権限を適切に設定することが肝要です。
また、取引データの一元管理により、異常値の検出や不正の早期発見が可能です。さらに、すべての操作履歴が自動記録されるため、問題発生時の原因究明にも役立ちます。このように、会計システムは企業のガバナンス強化に大きく寄与し、企業価値を高める効果が期待できます。
社内でのデータ共有がしやすくなる
会計システムは、クラウド化やほかのシステムとの連携により、社内のさまざまな部門とのデータ共有を容易にします。会計システムの導入で、以下のようなメリットが期待できます。
メリット | 内容 |
部門間連携強化 | 財務データ共有で円滑なコミュニケーション |
ペーパーレス化 | 紙帳票削減で効率化とコスト削減 |
テレワーク対応 | 場所を問わず財務情報にアクセス可能 |
迅速な意思決定 | 必要時に財務情報を確認し即断即決 |
これにより、情報の更新漏れや二重入力といった問題も解消されるでしょう。また、必要に応じてアクセス制限を設けることで、機密性の高い情報を適切に管理することも可能です。
さらに、外部の会計事務所や税理士とのデータ共有も容易になり、スムーズな連携へとつながります。
会計システム開発のデメリット
会計システム開発は、企業の財務管理を効率化し、経営判断を支援するうえで大切です。しかし、導入にはメリットだけでなく、デメリットも存在します。以下に、会計システム開発におけるデメリットを3つ解説します。
- 保守・運用に費用がかかる
- システム移行時のリスク
- 障害発生時のリスク
デメリットを理解したうえで自社のニーズに合った会計システムを選択し、導入計画を立てることが大切です。
保守・運用に費用がかかる
会計システムを導入した後も、保守・運用費用が継続的に発生します。おもな費用はライセンス更新料やサポート費用、バージョンアップ費用・セキュリティ対策費用、データバックアップ費用などです。
これらの費用はシステムの規模や複雑さ、利用者数によって異なります。クラウド型のサービスを利用する際は、月額や年額の利用料金に保守・運用費用が含まれていることが多く、その場合は別途費用は発生しません。
保守・運用費用は、長期的にはシステムの安定稼働やセキュリティ確保、業務効率化によるコスト削減などのメリットをもたらします。そのため、単純にコストとして捉えるのではなく、事業継続性や生産性向上のための投資として考えることが大切です。
システム移行時のリスク
システム移行時には、以下のようなさまざまなリスクが存在します。
- データの移行漏れや不一致
- 機能の相違による混乱
- パフォーマンスの低下
- セキュリティリスク
- 予期せぬシステム障害
これらのリスクは、業務に大きな影響を与える可能性があります。リスクを軽減するためには、十分なテストと検証の実施、確実なバックアップの取得、緊急時対応手順の準備などの対策が有効です。
システム移行は慎重に進める必要がありますが、適切な準備と対策を行うことで、リスクを最小限に抑えられます。
障害発生時のリスク
システム障害発生時、以下の多様なリスクに直面します。
- サービス停止による機会損失
- 復旧作業にかかるコスト増大
- 企業信頼性の低下と風評被害
- 法的責任やペナルティの発生
- 業務効率の低下
これらは企業規模やサービス内容・障害の程度によって異なりますが、いずれも企業に甚大な経済的・社会的影響を及ぼす可能性があります。
具体的な損失額は個々の状況によって変動するため、一概に数値化することは困難です。そのため、システム障害の予防と迅速な対応が重要となります。
会計システム開発の費用相場
会計システムの開発費用は、導入形態や機能、規模によって大きく異なります。ここでは、一般的な費用相場と、それぞれの導入形態における費用について解説します。
導入方法 | 費用相場 | 特徴 |
パッケージソフトウェア | 20,000〜100,000円程度 |
|
クラウド型(SaaS) | 月額10,000〜50,000円程度 |
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自社開発 | 3,000,000〜数千万円 |
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これらの費用は、導入形態やシステムの規模によって大きく異なります。
パッケージソフトウェアでの導入
パッケージソフトウェアを利用した会計システムの導入は、多くの企業にとって費用対効果の高い選択肢です。導入費用はおもにソフトウェアライセンス料やカスタマイズ費用、導入支援・コンサルティング費用、トレーニング費用で構成されます。
一般的なパッケージソフトウェアの価格帯は、20,000円から100,000円程度が中心です。しかし、追加機能やカスタマイズなどのオプションサービスを利用する場合は別途費用が発生します。
パッケージソフトウェア導入のメリットには短期間での導入や初期コストの抑制などがありますが、細かいカスタマイズが難しいなどのデメリットもあります。業務の複雑さや将来の拡張性などを考慮し、最適なソフトウェアの選択が肝要です。
クラウド型(SaaS)導入の費用
クラウド型(SaaS)の会計システムは、初期費用を抑えられることが大きな特徴です。多くの場合、初期費用は無料で、月額利用料のみかかります。
一般的な月額利用料は、1ユーザーあたり10,000円〜50,000円程度です。料金は利用するユーザー数や機能によって変動します。基本的な会計機能のみを利用する場合は比較的安価ですが、予算管理や部門別管理、高度な分析機能などを追加すると料金が上がっていきます。
多くのSaaSでは年間契約で割引が適用されるため、長期利用を検討している場合はこの点も考慮に入れるとよいでしょう。
ただし、長期的に利用する場合はパッケージソフトの導入費用を上回る可能性があるため、自社の規模や利用期間を考慮した選択が重要です。
自社開発の会計システム
自社開発の会計システムは、企業の独自のニーズに合わせてカスタマイズできる大きな利点があります。おもな費用要素は、人件費やハードウェア費用、ソフトウェアライセンス費・外注費です。
一般的な費用相場は、企業規模や要求される機能の複雑さによって大きく変動しますが、おおよそ3,000,000円から数千万円の範囲となります。
費用対効果を最大化するためのポイントは以下のとおりです。
- 要件定義の段階で十分な時間をかける
- 段階的な開発・導入を行う
- 将来の拡張性を考慮したシステム設計を行う
- 開発後の保守・運用体制を事前に計画する
自社開発は初期投資が大きいものの、長期的には企業の成長に合わせて柔軟にシステムを進化させられるメリットがあります。
開発以外の運用・保守費用
会計システムの導入後も、定期メンテナンスやトラブル対応、バージョンアップといった継続的な運用・保守費用が発生します。
一般的に、年間の運用・保守費用は開発費用の10〜20%程度が目安です。たとえば、開発費用が10,000,000円のシステムの場合、年間1,000,000〜2,000,000円程度を見込む必要があります。
費用を抑えるには、クラウドサービスの活用や保守契約の見直しが効果的です。システム導入を検討する際は初期投資だけでなく、ランニングコストも考慮に入れて予算を立てることが重要です。
会計システム開発会社の選び方
開発会社選びを誤ると、システム導入後にさまざまな問題が発生する可能性があります。ここでは、会計システム開発会社を選ぶ際のポイントを4つ解説します。
- 会計システム開発の実績
- 見積もりの透明性
- 開発後のサポート体制
- 相見積もりで比較検討する
自社に最適な会計システム開発会社を選び、スムーズなシステム導入を実現しましょう。
会計システム開発の実績
実績豊富な会社の特徴は、多様な業種・規模での開発経験、最新基準への対応や高い顧客評価などがあげられます。実績確認のポイントは以下のとおりです。
- 類似案件の開発経験
- 開発規模と期間
- 導入後の成果
- 顧客満足度や継続的な取引
また、年間の開発案件数や主要クライアントリスト、業界シェア・受賞歴なども参考になります。これらの情報を比較検討し、自社のニーズに合った開発パートナーを選びましょう。
見積もりの透明性
透明性の高い見積もりは、プロジェクトの成功率を高め、ユーザー企業とベンダー間の信頼関係構築にも貢献します。見積もりの透明性を確保する効果的な方法は、おもに以下のとおりです。
- システムの機能量を数値化する方法の活用
- 作業を細かく分解して工数を見積もる方法の作成
- 社内で統一された見積もり手法の採用
透明性の高い見積もりは、説明責任の遂行や予算超過リスクの低減などのメリットがあります。
根拠の明確な見積もりプロセスの構築が、会計システム開発プロジェクトの成功に大きく寄与するでしょう。
開発後のサポート体制
優れたサポート体制は、会計システムの安定稼働と長期的な運用成功に不可欠です。評価のポイントには、複数のサポートチャネル(電話やチャット)提供、定期的なメンテナンスとアップデート、従業員指導の実施があります。
また、業務変化に対応したカスタマイズ、明確なサービスレベルアグリーメントの提示、データバックアップと復旧サポートも重要です。会計・税務の専門知識を持つスタッフの存在も見逃せません。
サポート体制を総合的に評価し、自社のニーズに合った開発会社の選択が、システムの安定運用と業務効率の向上につながります。
相見積もりで比較検討する
会計システム開発会社を選ぶ際、複数の業者から見積もりを取得し比較検討することが効果的です。相見積もりを取る際のポイントは以下のとおりです。
- 見積もり依頼の内容を統一する
- 3社以上から見積もりを取得する
- 見積もり内容を詳細に比較する
- 質問や疑問点を明確にする
- 実績や評判も考慮する
注意点は、安さだけで判断せず見積もり内容の詳細を確認し、将来的なコストも考慮することです。相見積もりを活用することで、より適切な開発パートナーを見つけられる可能性が高まります。
会計システム開発でおすすめの業者5選
会計システム開発において実績のある5社について、それぞれの特徴や強みを紹介します。
会社名 | 特徴 |
株式会社エヌ・テー・シー |
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さくら情報システム株式会社 |
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株式会社ジーシーシー |
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和幸情報システム株式会社 |
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株式会社ネスコ |
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詳しく見ていきます。
株式会社エヌ・テー・シー
所在地 | 新潟県長岡市喜多町字鐙潟463-3 NTCビル |
対応業務 | 自社製品および個別ソリューションを展開 |
実績 | 新潟県厚生事業協同公社や建設工事業など累計導入800社以上の実績あり |
株式会社エヌ・テー・シーは、システムコンサルティングやシステム開発、パッケージ開発など多岐にわたるサービスを提供する企業です。とくに「SystemBox会計」などの財務・管理会計ソフトウェアの開発を得意とし、業務効率化を支援するソリューションを提供しています。
さくら情報システム株式会社
所在地 | 東京都港区白金1-17-3 NBFプラチナタワー |
対応業務 | 経営管理ソリューション/経理・財務ソリューション/人事・給与ソリューションなど |
実績 | パナソニックエイジフリーなど複数実績あり |
さくら情報システム株式会社は、創立50年の歴史を持つ総合ITソリューション企業です。会計や人事給与・金融などの分野でシステム開発と運用を手がけており、とくに金融機関向けの会計システムに強みを持っています。
同社は、長年蓄積してきたBPOサービスのナレッジを活かし、顧客企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)実現を支援しています。
株式会社ジーシーシー
所在地 | 群馬県前橋市上大島町96 |
対応業務 | アプリケーション提供サービス・IT基盤構築サービス・運用保守サービスなど |
実績 | 茨城県鹿嶋市へ人事給与システム導入など複数実績あり |
株式会社ジーシーシーは、自治体向けに特化したソリューションを提供する企業で、半世紀以上にわたり地方自治体の情報化を支援してきました。住民情報システムや財務会計システム、人事給与システムなど、業務効率化と業務改善をサポートしています。
自治体業務に精通した同社は、信頼性と安全性を重視し、自治体のソリューションパートナーとして持続可能な社会の実現に貢献しています。
和幸情報システム株式会社
所在地 | 島根県松江市伊勢宮町560番地 |
対応業務 | 受託ソフトウェア開発・パッケージ開発/システム運用・保守に関する各種サービスなど |
実績 | 社会福祉法人 松江市社会福祉協議会へオリジナルシステムの開発導入など、複数実績あり |
和幸情報システム株式会社は、システム開発やネットワーク設計・構築から保守・管理まで、幅広いITサービスを提供する企業です。「創る・繋ぐ・結ぶ」を企業理念に掲げ、クライアントの思いや夢を実現するために日々努力を重ねています。
とくに、システムの受託開発やニアショア開発を強みとし、地域密着型の柔軟な対応が特徴です。
株式会社ネスコ
所在地 | 東京都千代田区岩本町1-10-5 TMMビル7F |
対応業務 | IT基盤構築・受託開発・ソリューションなど |
実績 | 伝票申請入力システムのマイグレーションやERPパッケージソリューションなど複数実績あり |
株式会社ネスコは総合ITソリューション企業として、システムの受託開発やIT基盤の構築、運用保守まで幅広いサービスを提供しています。とくにクラウドソリューションや業務効率化を目的としたシステム開発に強みがあり、企業の経営戦略実現をサポートしています。
まとめ:会計システム開発は専門家への相談がおすすめ
会計システムの開発と導入は、企業の業務効率化と経営判断の質を大きく左右する重要な取り組みです。しかし、適切なシステムの選択や導入プロセスには専門的な知識が必要です。
専門家への相談により、自社に最適なシステムの選定や潜在的なリスクの回避、将来を見据えた設計が可能になります。また、法令遵守や最新技術の活用など、幅広い観点からのアドバイスを得られます。
会計システム開発は、専門家の知見を活用することで、より確実に企業価値の向上につながるでしょう。
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