IoTとは?仕組み・費用の相場やおすすめの開発会社を5社紹介
公開日:2024.08.29 最終更新日:2024.10.01
IoT(Internet of Things)は、モノのインターネットと呼ばれている技術のこと。さまざまなデバイスがインターネットを通じて接続され、データの収集・共有・制御を可能にする技術です。
業務の効率化や新たなサービスの創出が期待され、ビジネスの革新が進んでいます。しかし、IoTに関する知識や相場を十分に理解せずに、開発会社に依頼するのはおすすめできません。
本記事では、IoTの役割と仕組み、導入にかかる費用の相場を解説します。また、システム開発会社を選ぶコツやおすすめの開発会社5社も紹介します。IoTの導入を検討している方は、参考にしてください。
IoTとは?
IoTとは「Internet of Things」の略で、日本語では「モノのインターネット」を意味します。
家電や車、機械など、さまざまなものがインターネットに接続され、データの送受信や制御ができる技術です。
具体例をあげると、以下のとおりです。
- スマートスピーカー
- 自動運転システム
- スマートホーム(例:間接照明、テレビ、エアコンなど)
ネットに接続することでものが相互に連携して、動作できるようになります。
IoTは、住宅や工場、農業など幅広い分野で使用されており、人の暮らしを支えて豊かにしています。
ここでは、IoTの役割と仕組みについて解説します。
IoTの役割・仕組み
IoTは、従来はインターネットに接続されていなかった下記のさまざまな「モノ」が、ネットワークを介して相互に情報交換を行う仕組みを指します。
- センサー機器
- 家電製品
- 住宅・建物
- 電子機器
モノと情報のやり取りを行うことで、モノのデータ化や自動化が進み、新たな付加価値を生み出すのが特徴です。IoT機器本体は、優先LANや無線LANなどを通じて、インターネットと接続可能です。
機器内部には、下記のセンサーが搭載されています。
- 動き
- 音
- 熱
- 量
- 振動
センサーが感知したデータは、インターネットを介してアプリケーションやクラウドサービスに蓄積されます。こうした技術を活用することで、遠隔操作やデータ連携など、新しいサービスの提供が可能です。
IoTを導入するメリット4選
IoTを導入するメリットは、下記のとおりです。
- コスト削減につながる
- 働き方改革に対応できる
- 新しいサービスを提供できる
- 故障トラブルが起きてもすぐに気づける
- データの収集頻度の向上
- 顧客体験の向上
- データの収集頻度の向上
- 顧客体験の向上
詳しく解説します。
コスト削減につながる
IoTの導入で業務効率が向上し、下記のようなコスト削減が期待できます。
- 稼働状況をリアルタイムでモニタリングし、無駄なエネルギー消費を削減
- 予防保全を行い、修理費用やダウンタイムを減少
- スマートホームでの電気・水道使用の最適化によるエネルギーコストの削減
- 倉庫内でIoTセンサーを活用して在庫状況を自動で把握し、必要な在庫を正確に管理する(スマート倉庫)
- 配送車両の走行ルートを最適化し無駄な移動や燃料消費を削減(車両管理システム)
また、自動化やデータ分析により、人的リソースを最適化できるため、人件費の削減にもつながります。IoTの導入は、全体的な運用コストを抑える効果的な手段です。
働き方改革に対応できる
リモートワークやフレックスタイム制を支援するために、IoTデバイスを活用することで、場所を問わず業務を効率的に進められます。たとえば、スマートデバイスを通じてオフィスの環境を管理したり、作業進捗をリアルタイムで把握したり、柔軟な働き方を実現可能です。
また、データの自動収集や分析により、従業員の負担を軽減して業務の効率化を促進することで、ワークライフバランスの向上も期待できます。
そのほか、無駄な作業や人的ミスの軽減にもつながります。
具体例をあげると、以下のとおりです。
- リモートでの機器管理や自動化されたデータ処理をする
→オフィスにいなくても業務を遂行できる環境が整う - 作業の自動化や業務進捗の可視化
→従業員が付加価値の高い業務に集中できるようになり業務全体の生産性が向上する
新しい働き方と生産性が向上する点を考えると、大きなメリットといえるでしょう。
新しいサービスを提供できる
IoTを活用することで、下記のように新しいサービスを提供可能です。
- スマート家電やウェアラブルデバイスを通じた個別化されたサービス
- リアルタイムでデータを活用したオンデマンドサービス
IoTが提供するデータと接続性を利用して、従来のビジネスモデルにない価値をお客様に提供できます。また、お客様のニーズを正確に把握することで、製品やサービスの改善・パーソナライズされた提案が可能になり、競争力の向上につながります。
収集したデータは、マーケティングにも活用可能です。
- 顧客の行動データや規則性
- 相関図
- クレーム総数
これらのデータを収集して活用すると、今後製品やサービスを作るうえでの課題が明確になったり、改善点が見つかったりします。
なお、IoTを導入する場合は、何かしらの作業を効率化したい時に行うことが大半です。
そのため、導入する前のシミュレーションだけでも、ビジネスの課題や新案が見つかるでしょう。
故障トラブルが起きてもすぐに気づける
IoTは、設備や機器の状態を常時監視することが可能です。故障やトラブルが発生した際に、即座に気づけます。センサーを使ってリアルタイムでデータを収集し、異常を検知した際にはアラートを発信することで、迅速な対応が可能です。
早期対応できれば、大規模な障害や生産停止を防ぎ、修理や交換にかかるコストを最小限に抑えられます。また、予知保全を実施すればトラブル発生前にメンテナンスを行えるため、信頼性の高い運用が実現します。
データの収集頻度の向上
ビジネスを成功・発展させるためには、データの収集と分析をしなければなりません。
その際、人力で集めようと思うと膨大な時間とコストが必要です。
しかし、IoTを活用することで人力で行っていたデータ収集をすべてデバイスに一任できます。
収集するデータは、IoTの設定によって自由に変更できるため、確実に人力よりも頻度が向上します。
製造業を例にあげると、各機械にセンサーを取り付けると、稼働状況や異常の兆候をリアルタイムでモニタリングが可能です。
すると、定期的な点検や予知保全が可能になり、メンテナンスの効率化が実現します。
顧客体験の向上
スマートホームを例にあげると、スマホや音声アシスタントから、照明や家電を操作可能です。
また、ユーザーの体調を管理するデバイスも少なくありません。
- 1日の歩数、階段を上った数
- 心拍数
- 血圧
このデータをもとに、個々の体調に合ったアドバイスを受けられ、ユーザーはより安心してサービスを利用できます。
顧客体験の向上は、自社製品やサービスの評判につながるだけではなく、リピート率の向上にもつながります。
IoTを利用することで、顧客一人ひとりに合った対応が可能になり、全体的な顧客満足度向上につながるため、大きなメリットといえるでしょう。
IoTシステムで実現できること
IoTシステムの導入で実現できることは、下記のとおりです。
- ネットワークを介して操作が可能になる
- 製品の状態や動作をリアルタイムでモニタリングできる
- 製品同士でデータ共有ができる
- 操作や処理を自動化できる
詳しく解説します。
ネットワークを介して操作が可能になる
下記のように、場所を問わずに機器やシステムの制御が可能です。
- 外出先から自宅の空調や照明を調整する
- セキュリティカメラの確認・起動ができる
- 工場の生産ラインを遠隔で監視・操作する
ネットワークを介した操作により、利便性と効率性が大幅に向上し、業務の柔軟性が高まります。
さらに、在宅時にもIoTシステムを活用することで、生活の利便性が向上します。
声で遠隔操作できるスマートスピーカーを使用すると、エアコンや照明の起動や調整が可能です。
セキュリティ面では、セキュリティカメラの起動や確認、玄関ドアの自動ロックなどができます。
製品の状態や動作をリアルタイムでモニタリングできる
IoTシステムでは、センサーやデバイスで常にデータを収集し、中央の管理システムに情報を送信します。これにより、異常やトラブルを即座に検知し、迅速な対応が可能です。
また、長期的なデータを分析することで、予防保全や効率的な運用に役立つインサイトを得られ、全体の運用効率が向上します。
製造業や工場では、IoTは機械の状態をリアルタイムで監視し、メンテナンスが必要な時期を予測します。
この予知保全を行うことで、ダウンタイムの削減や効率的な生産プロセスの実現が可能です。
そのほかにも、以下のような例があげられます。
- 機械による作業の自動化
→製品の品質向上やコスト削減につながる - 工場内のデータを収集する
→異常を検知した場合早期メンテナンスを行う(予知保全) - 無駄な工程を削減する
→効率的な生産体制の構築ができる
製造業では、IoTシステムによって部品の在庫管理も自動化している企業も少なくありません。
必要な時に必要な量を正確に調達でき、生産コストが削減され、品質向上と生産性向上が実現できます。
製品同士でデータ共有ができる
相互接続によって製品同士が連携して動作し、高度な機能を実現します。スマートホームでは、照明やセキュリティシステムなどが連携して、生活パターンに合わせた自動化が行われるのが特徴です。
製品間のデータ共有により、システム全体のパフォーマンスが向上し、ユーザー体験もスムーズになるでしょう。
また、IoTを活用した健康管理ができるデバイス(スマートウォッチなど)では、以下の情報をモニタリングしてユーザーの健康をサポートします。
- 心拍数
- 血圧
- 睡眠時間や質
- 毎日の歩数
健康状態によってアドバイスをしたり、必要に応じて製品やサービスを紹介したりもします。
さらに、生活習慣病や基礎疾患があるユーザーに対して、IoTデバイスを活用する場合も。
異常が検知された場合には自動でアラートが送られ、医師にリアルタイムで情報を提供します。
操作や処理を自動化できる
IoTシステムを活用することで、さまざまな場面で利便性が向上します。
センサーやAIと連携することで、条件に応じて機器が自動的に動作し、効率的にタスクを遂行します。たとえば、工場では生産ラインの各段階を自動化し、製造プロセスの最適化が可能です。
また、家庭では、温度や湿度の変化に応じて自動でエアコンが調整されるなど、生活の質を向上させる自動化が実現します。
そのほか、IoTを活用した農業の自動化も進んでいます。
スマートアグリカルチャーの一環として行われており、国内の農業人口の減少や少子高齢化などを背景に、農業を完全自動化を目指した取り組みです。
具体例をあげると、以下のとおりです。
- 土壌の湿度や温度、作物の成長状況をセンサーで監視する
- 作物にあった最適な量の肥料や水を与える
- ドローンを使って農地を監視する
- 自動収穫機を使った収穫作業の効率化
「スマート農業」として知られており、世界の農業を大きく支える取り組みと言われています。
IoTシステム開発にかかる費用
IoTシステム開発にかかる費用は、下記のとおりです。
項目 | 費用 |
IoT機器導入費 | 数千円~数千万円 |
システム開発費 | 数百万円~数千万円 |
その他の運用にかかる費用 | 月額数万円~数十万円 |
詳しく解説します。
IoT機器導入費
IoT機器導入費は、センサーやデバイスなどのハードウェアの購入・設置にかかる費用です。機器の種類や性能によって、費用が変動します。
下記に、NTT東日本の「置くだけIoT」における機器費用の例を示します。
機器 | 費用 |
温度センサ | 6,160円~ |
電流センサ | 11,660円〜 |
振動センサ | 134,750円~ |
風量センサ | 14,850円 |
距離設定形光電センサ | 31,020円 |
近接センサ | 11,770円 |
点灯確認センサ | 34,320円 |
クランプオン式流量計 | 507,650円 |
参考:NTT東日本|クラウド付きIoTパッケージ「置くだけIoT」
温度センサのような基本的な機器は、1個数千円程度から導入可能ですが、高性能なセンサや特殊なデバイスの場合、数十万円以上かかることもあります。
サービスの利用には、機器代金のほかに、クラウドライセンスや機器設置費用がかかります。設置台数や大規模なIoTシステムを導入する場合、数百万円から数千万円の費用がかかることも。
ただし、近年ではNTT東日本の「置くだけIoT」のように、低コストで導入可能なIoTデバイスも増えています。
システム開発費
システム開発費には、IoT機器から取得したデータを処理・分析するためのソフトウェア開発費用が含まれます。おもな内訳は下記のとおりです。
- データ収集・分析プラットフォームの構築
- ユーザーインターフェースの開発
- クラウドサービスとの連携
- データベースの設計
- セキュリティ対策
システムの複雑さやカスタマイズの度合いによって費用は大きく異なり、数百万円から数千万円になることがあります。プロジェクトの規模や、要求される機能の複雑さに依存します。
その他の運用にかかる費用
IoTシステム導入後は、運用にかかる継続的な費用も考慮しなければいけません。おもな費用は下記のとおりです。
- クラウドサービスの利用料
- ネットワーク通信費用
- システムの保守・メンテナンス費用
- データのバックアップ費用
- トラブル対応・セキュリティのアップデート費用
データ量や処理の複雑さによって変動し、月額数万円から数十万円程度が一般的です。とくにセキュリティ対策費用は重要で、定期的なセキュリティ監査やソフトウェアの更新が必要です。
また、IoTシステムの規模や複雑さによって、運用コストは大きく変動します。実際に開発を依頼する際は、システム開発会社に詳細な見積もりを依頼することが大切です。
IoTシステム開発会社を選ぶコツ
IoTシステム開発会社を選ぶ際は、下記のコツを押さえることが大切です。
- 自社の目的を明確にする
- 開発会社の得意分野を確認する
- 自社の予算と依頼内容のバランスを考慮する
- セキュリティ対策が強い会社を選ぶ
- 実際に開発会社を見学し、雰囲気を把握する
- 複数の開発会社に見積もり依頼をし、比較する
詳しく解説します。
自社の目的を明確にする
具体的にどのような課題を解決したいのか、どのような機能を実現したいのかを明確にしましょう。システム開発会社に対して的確な要件を提示でき、プロジェクトの成功につながります。
目的が曖昧なままでは、システムの設計や機能が自社のニーズに合わず、期待した成果が得られない可能性が高くなります。
開発会社の得意分野を確認する
IoTシステムの開発には、下記のような幅広い知識と技術が必要です。
- ハードウェア
- ソフトウェア
- ネットワーク
- センサー技術
開発会社によって得意分野が異なるため、自社のプロジェクトに最も適した分野で強みをもつ会社を選ぶことが大切です。過去の実績や成功事例を参考に、開発会社の専門性や技術力を確認しましょう。
自社の予算と依頼内容のバランスを考慮する
優れた技術力をもつ開発会社でも、予算を大幅に超える場合は、継続的なプロジェクト進行が難しくなります。事前に自社の予算を明確にし、依頼内容に見合った価格でサービスを提供してくれる会社を選びましょう。
必要な機能を明確にし、予算内で最大の効果が得られるように調整することが大切です。
セキュリティ対策が強い会社を選ぶ
IoTシステムは多くのデータを扱い、ネットワークを通じて接続されるため、セキュリティ対策が重要です。セキュリティに関する実績や取り組みを確認し、万全の対策を講じている会社を選びましょう。
セキュリティが不十分なシステムでは、データ漏洩や不正アクセスのリスクが高まり、重大な問題を引き起こす可能性があります。信頼できるセキュリティ対策を提供できる開発会社を選びましょう。
実際に開発会社を見学し、雰囲気を把握する
開発チームの働き方やコミュニケーションのスタイルを直接確認することで、プロジェクトがどのように進められるのか具体的にイメージできます。
また、会社の文化やスタッフの専門性を理解することで、自社との相性を判断しやすくなります。見学時には、さまざまな質問を投げかけ、担当者の対応力や誠実さもチェックしておくと安心です。
複数の開発会社に見積もり依頼をし、比較する
開発会社を選ぶ際は、下記の項目ごとに比較することが大切です。
- 提案内容
- 費用
- サービスの範囲
1社ずつ確認するのは手間がかかるため、複数の開発会社に一括見積もりを依頼をするのがおすすめです。また、見積もりの際には、プロジェクトの進行に関する詳細な説明やスケジュールも確認し、信頼できる会社を選びましょう。
IoTプロジェクトの実績及び経験
IoTシステムを導入する場合、会社が過去にどのようなIoTプロジェクトを手がけたか、成功事例を確認することが大切です。
特に、企業で導入したい分野の経験が豊富な場合、依頼の信頼性が高まります。
【IoTプロジェクトの例】
- スマートホーム
(例:家電や照明の統合管理システム、エネルギー効率化デバイスなど) - ヘルスケアデバイスの管理・製造
(例:医療機器のモニタリング、患者の健康データの管理システムなど) - 産業用IoT
- (例:製造ラインの自動化、予知保全システムの導入など)
- 農業アグリカルチャー
(例:農薬の自動散布、肥料や水の自動調整など)
具体的なプロジェクト例や導入事例を尋ね、同様の業界や規模で成功したケースがあるかをチェックしましょう。
過去に手掛けたプロジェクトの成果や、導入後に得られた効果の具体例がある場合、それを踏まえた提案ができるかも確認することで、より安心して依頼できます。
柔軟に対応してくれるかどうか
IoTプロジェクトは、ビジネスの成長に伴って拡張する必要があります。
そのため、開発会社が提供するシステムが、将来の拡張に柔軟に対応できるかどうかも考慮しましょう。
また、規模が大きくなった場合にも安定して運用できるリソースを持っているかどうかの確認も大切です。
製造業を例にすると、初期導入時には小規模な工場や施設での運用が前提だったとします。
しかし、将来的に複数の拠点や国際的な規模に拡大する可能性があります。
その際、システムが新しいデバイスや拠点を簡単に追加でき、通信やデータ処理が遅延なく行えるかが重要です。
そのほか、大規模なIoTプロジェクトでは、大量のセンサーやデバイスのデータが円滑に収集・処理されます。(例:スマートシティ)
その結果、安定したサービス提供ができるかどうかが求められます。
さらに、クラウドプラットフォームの利用拡大や、AIと連携したデータ分析機能を取り入れる場合も、既存のシステムが柔軟に対応できるかがカギとなります。
いずれも、開発会社のシステムの柔軟性とリソースが十分であれば、将来のビジネス展開や技術進化にも対応可能です。
導入時に拡張性の確認をしておくことで、長期的なコスト削減と運用効率の向上が期待できます。
クラウドやプラットフォームの対応状況
IoTシステムの多くはクラウドと連携して動作するため、開発会社がどのサービスに対応しているかを確認しましょう。
【クラウドサービスの例】
- AWS IoT、Azure IoT
→グローバル規模でのIoTデバイス管理やデータ分析に強みがある - Google Cloud IoT Core
→ビッグデータの管理やAIによる高度なデータ分析が可能
これらのサービスに対応していれば、クラウド上で大量のデータを迅速に処理し、リアルタイムでのデータ解析や自動化が容易になります。
また、独自のIoTプラットフォームや既存の大手プラットフォームとの連携がスムーズにできるか、互換性があるかどうかもチェックしましょう。
たとえば、スマート工場やスマートシティのような特定業界向けのプラットフォームに対応しているかどうか確認することで、プロジェクトがスムーズに進行するかが決まります。
プラットフォームの対応状況を事前に把握しておくことで、システム統合や運用におけるトラブルを未然に防げます。
IoTを導入する際の注意点
IoTを導入する際は、下記の注意点を押さえましょう。
- セキュリティ問題
- プライバシー問題
- 導入直後の入力忘れ
- サーバーに大きな負担がかかるおそれ
それぞれ解説します。
セキュリティ問題
IoTデバイスはインターネットに接続されるため、サイバー攻撃や不正アクセスのリスクが伴います。機密データの漏洩やシステムの不正操作が発生するおそれがあります。
たとえば、2013年に米国大手小売業で発生した事例では、POS用ウイルスに感染し、約4千万人のクレジット・デビッドカード情報及び約7千万人の顧客情報が漏洩しました。
事件の原因は、2011年頃から増加していたPOS用ウイルスへの対策が不十分であったと考えられます。
IoT機器メーカやシステム・サービス提供者は、問題に早急に対応するため、関係者と協力しながら継続的に情報収集・分析を行う必要があります。
おもなセキュリティ対策は、下記のとおりです。
- デバイスや通信経路の暗号化
- 定期的なソフトウェア更新
- 強固な認証システムの導入
さらに、ネットワーク全体のセキュリティを強化し、外部からの脅威に対する防御策を徹底することも大切です。
プライバシー問題
IoTデバイスが収集するデータには、個人情報やプライバシーに関わるものが含まれているケースがあります。そのため、IoTを導入する際は、プライバシー問題に配慮しなければいけません。
データの収集・保存・利用のプロセスで、個人情報の扱われ方を明確にし、必要に応じてユーザーの同意を得ることが重要です。また、データの匿名化やアクセス制限を設けるなどの対策を講じることで、プライバシー保護を強化し、ユーザーの信頼を得られます。
導入直後の入力忘れ
IoTシステムを導入した直後は、新しいデバイスの操作に不慣れなため、入力忘れや設定ミスが発生する可能性があります。システムの精度や効率が低下し、期待された効果が得られないおそれも。
そこで導入初期は、従業員への十分なトレーニングを行い、操作マニュアルを整備することが重要です。また、初期段階でのモニタリングを強化し、入力漏れや設定の不備を早期に発見・修正する体制を整えましょう。
サーバーに大きな負担がかかるおそれ
IoTデバイスは大量のデータを継続的に生成し、サーバーに送信するため、サーバーに大きな負担がかかる可能性があります。とくに大規模なIoTシステムでは、サーバーの処理能力を超えると、パフォーマンスの低下やシステムダウンが発生するおそれがあります。
リスクを減らすためには、サーバーのスケーラビリティを確保し、負荷分散やクラウドサービスの利用を検討しましょう。また、不要なデータのフィルタリングや圧縮を行い、サーバー負荷を軽減する対策も有効です。
コスト管理を徹底する
IoTシステムを導入する場合、以下のコストが発生します。
- ハードウェア
- ソフトウェア
- 通信インフラ
- クラウドサービス
システムの導入後も、定期的なメンテナンスやセキュリティ対策のアップデート、クラウド利用料金が発生することもあります。
そのため、初期導入費用だけではなく、運用中に発生する維持コストや、拡張した際の費用を見越した予算計画が必要です。
長期的な視点で、IoT導入によるROI(投資対効果)を念入りに計算し、導入後に利益を上げるための計画を立てることが重要です。
導入時に省エネ効果や生産性向上が期待できる場合でも、それが何年後にコスト回収できるかを具体的にシミュレーションしましょう。
すると、無理のない予算でプロジェクトを進めることができるようになります。
通信インフラの整備
IoTデバイスが多数接続される場合、通信インフラに大きな負荷がかかるため注意が必要です。
たとえば、工場内で複数のセンサーや機械が同時にデータを送信する場合、ネットワークの帯域幅が不足するとデータ遅延が発生したり、通信が途絶えたりすることがあります。
その結果、重要なデータがリアルタイムで収集・処理されないことが原因で、システム全体のパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。
特に、遠隔地や広範囲にIoTデバイスを配置するプロジェクトでは、安定した通信環境が必要です。
対策としては、高速通信インフラ(5G)の整備があげられます。
5Gを活用すると、広範囲にわたるデバイス接続が可能になり、通信遅延や接続の途切れを防げます。
また、LoRaWANやNB-IoTなどの長距離低消費電力の通信技術を使用することで、消費電力の低いデバイスを長期間運用しつつ、広範囲での安定した通信が可能です。
通信インフラの整備は、デバイス数の増加や運用範囲の拡大を考慮し、余裕を持って構築することが重要です。
初期の段階から適切なインフラを整えることで、長期的に安定したIoT運用が可能になります。
運用が複雑
IoTシステムは、複数のデバイスやプラットフォームが連携して動作するため、運用が複雑になる場合があります。
製造業を例にあげると、工場内で使われるセンサー、カメラ、機械がそれぞれ異なるシステムで動作します。
すべてを統合的に管理するには、異なるフォーマットやプロトコルを扱わなければなりません。
このような状況では、システム間の互換性が問題となり、デバイスやソフトウェアのアップデート時にトラブルが発生するリスクも高まります。
とくに、大規模なIoTシステムでは、数百台のデバイスやセンサーを管理しなけれないけませんす。
さらに、メンテナンスやトラブルシューティングに時間がかかり、障害が発生した際にシステム全体のダウンタイムを最小限に抑えるための対応も難しくなります。
これらを防ぐ意味でも、事前にトラブル対応の体制やプロセスを整備し、スタッフのトレーニングを徹底することが不可欠です。
そのほかに、運用の手順を標準化し、どのデバイスが故障した場合にも迅速に対応できる仕組みの構築も重要です。
また、予知保全ができるモニタリングシステムを導入することで、トラブルの影響を最小限に抑え、効率的な運用が可能になります。
IoTシステム開発会社おすすめ5選
IoTシステムにおすすめの会社5選を紹介します。
会社名 | 強み |
株式会社SEAZOO |
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株式会社プロフェッショナルエフェクト |
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株式会社Jitera |
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株式会社エージェント |
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株式会社Nurinubi |
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それぞれ詳しく解説します。
株式会社SEAZOO
会社名 | 株式会社SEAZOO |
所在地 | 東京都港区西麻布3-21-14 センチュリーホーム西麻布2階 |
対応業務・得意分野 |
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強み |
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ハードウェア・ソフトウェア含め、IoT開発案件の実績が豊富な会社です。IoTビジネスのトータル支援を目的とし、アプリの企画提案から開発、運用保守までトータルサポートを提供しています。また、IoTハードウェア開発の経験があるため、アプリ開発にも対応可能です。
アプリやメディアの企画から運用まで手掛けた人材が多く在籍しており、サービス開発段階から的確なアドバイスを受けられます。
実績の例では、美容会社様の顧客向けの会員アプリを開発し、リピーター増加により広告費30%削減・売上20%アップを実現しました。IoTのハードウェアを用いたビジネス企画設計・開発力が強みです。
株式会社プロフェッショナルエフェクト
会社名 | 株式会社プロフェッショナルエフェクト |
所在地 | 東京都千代田区有楽町2-10-1東京交通会館6階 608 |
対応業務・得意分野 |
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強み |
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評論家無用・実務主義・他責NGの行動指針に基づき、システム開発やコンサルティング業務を提供しています。システムの運用から保守まで、幅広い分野でのシステム開発が可能です。
また、システムと連動したアプリ開発・ITコンサルティングも得意としています。必要に応じて、ITの現場に入って現状把握も行いながら、最適なプランと見積もりを提示します。
200万円から1,000万円を超える案件まで幅広く対応しており、お客様に柔軟な対応が可能です。
株式会社Jitera
会社名 | 株式会社Jitera |
所在地 | 東京都渋谷区松濤1-28-2 |
対応業務・得意分野 |
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強み |
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自社開発のコーディングオートメーション「開発AIエージェントJITERA」を活用し、システム・アプリ開発を行っています。要件定義を書くだけで、コード・APIドキュメント・ERD・ビジネスロジックを自動生成するのが特徴です。
従来の開発スピードの3倍以上の速さで開発を進められます。セキスイハイムやカルビー株式会社など、数多くの企業に導入実績があります。
株式会社エージェント
会社名 | 株式会社エージェント |
所在地 | 東京都渋谷区宇田川町33-7 アイ・アンド・イー渋谷ビル4階 |
対応業務・得意分野 |
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強み |
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東京都に本社を構え、システム開発・アプリ開発を専門に行っています。北海道や大阪、愛知などにも拠点をもち、全国の依頼に対応可能です。
また、世界トップのIT拠点であるインドの「バンガロール」にラボを構えているのが特徴です。AI・音声認識・5Gなどの最新技術を提供しています。
業務フロー整理を行ったうえで、最適なシステムプランを提示するため、何から手をつけていいか分からない方にもおすすめです。すべての業務を一元化できるシステム開発や、特定の業界向けのソリューション開発の実績も豊富です。
株式会社Nurinubi
会社名 | 株式会社Nurinubi |
所在地 | 東京都千代田区神田佐久間町3丁目38番地 第5東ビル203号 |
対応業務・得意分野 |
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強み |
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システムエンジニアリングサービスを提供してきた経験をもつ会社です。約90名のエンジニアが在籍しており、スピーディな開発が可能です。大手通信企業やITベンダーへの納品実績も多くあります。
予算や納品期日などの要望に合わせた開発方法を提案しており、初級開発者単価は月額60万円、中級開発者単価は月額80万円からです。
まとめ:IoTを導入する目的を明確にし、自社に最適な開発会社に依頼しよう
IoTを導入する際は、目的を明確にすることが大切です。自社が達成したい目標を定めることで、最適なシステムの開発が可能になります。
また、開発会社を選ぶ際は複数の会社から見積もりを取り、実績や技術力、サポート体制を比較検討しましょう。自社に最適な開発会社と協力することで、IoT導入の成功に向けた第一歩を踏み出せます。
この記事を書いた人
hata