決済代行会社の仕組みとは?メリット・デメリットや選び方も解説
公開日:2024.06.01 最終更新日:2024.08.02
決済代行会社は、複数の決済手段を導入する事業者におすすめの会社です。多くのメリットがありますが、デメリットや会社選定時の注意点もあります。
本ガイドでは、決済代行会社の仕組みやメリット・デメリット、選び方を紹介します。決済代行会社の利用を検討している方は、ぜひご覧ください。
決済代行会社の仕組みとは?
決済代行会社の仕組みを理解するには、事業内容の把握が欠かせません。
- 契約手続きの代行
- 決済システムの構築と運用
- 入金処理の実行
決済代行会社の事業内容を1つずつ解説します。
契約手続きの代行
決済代行会社は、決済サービス事業者やアクワイアラー(加盟店契約会社)との契約手続きを代行します。
複数の決済手段を導入するには、決済サービス事業者やアクワイアラー(加盟店契約会社)と加盟契約を締結しなければなりません。たとえば、Visaカードの支払いを受け付けるにはVisaから認められたアクワイアラーとの契約が必要です。
このように、複数の決済手段に対応するには複数の会社と契約しなければなりません。こういった煩雑な契約手続きを代行してくれているのが決済代行会社です。
関連記事:決済代行会社の契約が難しい5つの業種一覧と審査通過のポイント
決済システムの構築と運用
決済代行会社は決済システムを構築・運用しており、各加盟店に提供しています。
本来、加盟店はクレジットカード発行会社に決済データを送信し、カードの利用承認番号を取得しなければなりません。しかし、決済システムを決済手段ごとに個別に構築するには、多くの開発スキルやリソースが必要です。
また、カード情報非保持化に対応するか、国際的なセキュリティ基準「PCI DSS」に対応する必要があります。
このような手間をかけることなく簡単に決済手段を導入できるよう、決済代行会社は簡単な接続方法で決済できる環境を加盟店に提供しています。
入金処理の実行
決済代行会社は、加盟店の売上を決められた日に入金する役割も担っています。決済サービス事業者やアクワイアラー(加盟店契約会社)と個別に契約した場合は、決済手段ごとに入金日が異なります。一方、決済代行会社を利用していれば、異なる決済手段であっても同じ日に売上が入金されるので管理が容易です。
決済代行会社を利用するメリット
決済代行会社を利用するメリットをまとめます。
- 多様な決済手段を一括導入できる
- システムの開発・運用にかかる費用を抑えられる
- 複数の決済手段の売上を一元管理できる
- 入金サイクルを統一できる
- 決済周辺サービスも利用できる
総じて、個別に契約するより運用・管理しやすくなるのがメリットといえるでしょう。詳しく解説していきます。
多様な決済手段を一括導入できる
個別契約では、申し込みする数だけ審査に必要な書類を準備し、やり取りしなければなりません。申込先ごとに同じような手続きを繰り返すなど、大きな負担となるでしょう。
決済代行会社を利用すると、1社との契約手続きで30種類以上の決済手段をまとめて導入することもできます。30社との契約にかかる時間や手間がなくなると考えれば、メリットの大きさを実感できるでしょう。
システムの開発・運用にかかる費用を抑えられる
決済システムは、カード情報の非保持化を実現するか、PCI DSSに準拠する仕様を満たさなければなりません。また、決済手段ごとに、個別の仕様に対応する必要があります。
決済代行会社に頼らず決済システムを構築するなら、開発スキルがあっても時間や人件費を費やすことは避けられません。開発スキルがない場合、外注費用の負担も発生します。
一方、決済代行会社を利用するなら個別のシステム開発は不要です。決済代行会社と接続する必要はありますが、リンクを設置するだけなど、ノーコードで簡単に接続する方法もあります。
自社で決済画面を構築する場合でも、サンプルコードが準備されている決済代行会社もあるので比較的簡単に対応可能です。
複数の決済手段の売上を一元管理できる
複数の決済手段に対応していると、個別契約では売上管理ツールも複数になってしまいます。クレジットカード決済の売上はAツール、コード決済の売上はBツールといったように、1つのツールでは管理しきれません。決済手段が多いほど管理は煩雑になります。
一方、決済代行会社が提供している売上管理ツールでは、異なる決済手段であっても1つのツールで管理できます。ツールごとにエクスポートして、売上データを転記していくといった作業が不要です。
異なるツール間のデータを手動で連携すると、どうしてもヒューマンエラーは避けられません。手動データ連携におけるヒューマンエラーを防止できるのもメリットです。
入金サイクルを統一できる
個別契約では、決済手段ごとに売上金が振り込まれる入金サイクルは異なる可能性があります。例を挙げると次のとおりです。
決済手段 | 入金サイクル |
クレジットカード決済 |
|
コード決済 | 月末締め翌月10日払い |
上記のケースでは1ヶ月につき入金日が10日、15日、月末日と3回あるため、会計処理(記帳が必要な取引)も多くなります。一方、決済代行会社を利用すると異なる決済手段でも入金サイクルは固定されているので、会計処理にかかる手間を抑えられます。
決済周辺サービスも利用できる
一部の決済代行会社は、決済代行サービスにとどまらず、便利なサービスも提供しています。
たとえば、ソニーペイメントサービス株式会社には企業間取引における次の請求業務を代行する「BtoB掛け払い決済サービス」があります。
- 与信審査
- 請求書発行
- 代金回収
- 入金確認
- 督促
バックオフィス業務をアウトソースし、コア業務にリソースを集中することが可能です。また、取引先から入金がなくてもソニーペイメントサービスから支払いがあるので、未払いリスクを移転する機能もあります。
ほかにも、テレコムクレジット株式会社はアフィリエイトやリスティングなどの広告を駆使した集客支援サービスの相談が可能です。
決済代行会社を選ぶときは、便利なサービスがないか確認してみるとよいでしょう。
関連記事:【2024年版】決済代行会社おすすめ11選!導入するメリットや会社選びのコツを解説
決済代行会社を利用するデメリット
決済代行会社の利用には多くのメリットがありますが、反対にデメリットもあります。
- 決済代行会社に支払う手数料の負担がある
- セキュリティを依存することになる
メリット・デメリット双方を十分に理解したうえで、決済代行サービスを活用しましょう。
決済代行会社に支払う手数料の負担がある
決済代行会社を利用すると、通常は決済サービス事業者やアクワイアラーに支払う手数料より高い手数料を負担します。手数料は決済代行会社によって異なるので、できる限り複数の会社から見積もりを取得して比較することが重要です。
一部の決済代行会社はアクワイアラーとしての役割も担っているため、割安な手数料の提案を受けられる場合もあります。
セキュリティを依存することになる
決済代行会社の利用は、煩雑な決済システムの構築が不要な反面、依存してしまいがちです。決済代行会社のセキュリティ問題は、自社の信用問題にかかわる可能性もあるので注意しましょう。
決済代行会社を選定するポイント
決済代行会社を選定するときは、以下8つの基準で比較して自社に合った会社を選びましょう。
- 豊富な決済手段に対応しているか
- 新たな決済手段を積極的に採用しているか
- 入金サイクルは短いか
- システムが使いやすいか
- サポート体制は充実しているか
- セキュリティ体制が充実しているか
- 導入実績が豊富か
- 総合的に比較して費用に納得できるか
多くの決済代行会社があって選べないとお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
豊富な決済手段に対応しているか
決済代行会社を利用するメリットは、個別に契約したり、システムを構築したりする必要がないことです。また、運用管理の面でも売上の管理がしやすく、入金日も統一されるといったメリットがありました。
メリットを最大限に活かすには、できる限り多くの決済手段に対応している決済代行会社を選ぶことが重要です。
新たな決済手段を積極的に採用しているか
コード決済で親しまれたサービスがオンライン決済やテーブル決済に対応するなど、新たな決済手段も続々と登場しています。新たな決済手段の導入が遅れると、販売機会を失ってしまうかもしれません。
したがって、新たな決済手段を積極的に採用しているかもチェックしましょう。
入金サイクルは短いか
入金サイクルが短い決済代行会社ほど、資金繰りに困る可能性を抑えられます。
たとえば、月末締め翌月末払いより月末締め翌月10日払いのほうが事業者にとって有利です。入金が早いと、仕入れ費や人件費の支払いも滞りなく進めやすくなります。
一部の決済代行会社は、早期入金オプションとして規定の入金日より早めに入金してくれるサービスを提供しています。しかし手数料がかかるケースも多いので、早期入金の手数料も含めて決済代行会社を比較しましょう。
システムが使いやすいか
決済代行会社のシステム・ツールは頻繁に利用するため、以下の項目をチェックしておきましょう。
- 特定の決済データを絞り込むためのフィルタが充実しているか
- 売上集計レポートは見やすいか
- 取消処理が簡単にできるか
- 管理権限の設定ができるか
決済代行会社によっては、契約前に管理ツールのデモ操作が可能です。
サポート体制は充実しているか
決済手段の導入直後は、トラブルが生じやすいです。また、管理ツールの操作がわからない場合もあるでしょう。
少しでもダウンタイムを減らすために、迅速で丁寧なサポートを受けられるか確認しておくことが重要です。なかには、担当者が24時間体制でサポートしてくれる決済代行会社もあります。
セキュリティ体制が充実しているか
決済代行会社を選ぶときは、次の基準でセキュリティ体制をチェックするとよいでしょう。
- PCI DSSに準拠しているか
- プライバシーマークを取得しているか
- ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証を取得しているか
PCI DSSとは、国際カードブランド5社が共同策定したカードセキュリティの国際基準のこと。プライバシーマークは、個人情報について適切な保護体制が整備されていると認定されたことを示すマークです。
ISMSは、組織に求められる情報セキュリティマネジメント体制のことです。
導入実績が豊富か
導入実績が豊富な決済代行会社ほど、多くの事業者から信頼を得ています。そのため、ほかの比較要素を見ても決めきれない場合は、導入実績を決め手に選んでもよいでしょう。
総合的に比較して費用に納得できるか
同じ売上額であっても、どの決済代行会社と契約しているかで負担する費用は異なります。当然ですが、費用を安く抑えられる決済代行会社がおすすめです。
しかし、費用が安くても対応している決済手段が少ない、入金サイクルが長い、システムが使いにくい場合は要注意。あらゆる要素を総合的に比較したうえで、費用に納得できるかといった基準で決済代行会社を選びましょう。
関連記事:信頼できる決済代行業者の選び方で押さえるべき7つのポイント
まとめ:決済代行会社を利用して事業を拡大しよう
決済代行会社は、決済サービス事業者やアクワイアラーとの契約と、決済システムの構築を代行してくれる会社です。決済代行会社を利用すると、複数の契約や決済システムの構築をすることなく、簡単に多様な決済手段を導入できます。
また、売上管理や入金日が統一されるので、管理運用面でも決済代行会社の利用がおすすめです。一方、個別契約と比べて手数料の負担が増え、セキュリティを依存してしまいがちになる点は注意しておきましょう。
ぜひ本ガイドで紹介した決済代行会社の選定ポイントを意識して決済代行会社と契約し、事業を拡大してください。
この記事を書いた人
hata