業務用エアコンの種類について紹介!形(タイプ)別の特徴も解説
公開日:2020.07.22 最終更新日:2024.07.29
業務用エアコンにはさまざまなタイプがあることをご存じでしょうか?
業務用エアコンは形によって主に4つのタイプに分けられ、それぞれに異なった特徴があります。
タイプごとの特徴を知らないと、業務用エアコンを選ぶ際にどれがいいのかわからず困ってしまうかもしれません。
そこで本記事では、業務用エアコンのタイプごとの特徴をご紹介してます。
業務用エアコンを導入・入れ替えするご予定の事業者様はぜひご一読ください。
主な業務用エアコンの種類
業務用エアコンの中でも主流となっているのが、次の4タイプ。それぞれの特徴やメリット・デメリットについて紹介します。
- 天井埋込カセット型
- 天吊り型
- 壁掛け型
- ダクト型
なお、業務用エアコンのタイプ別設置費用相場をご確認いただくことで、エアコンのタイプも選びやすくなります。
タイプ①天井埋込カセット型
天井の中に本体がすっぽりと入り、壁に凸凹ができないスタイリッシュなタイプが天井埋込カセット型です。
業務用エアコンの中で特に需要が高いタイプで、圧迫感がなく、天井から部屋全体に効率よく風を送り込めます。
以下5つのタイプはすべて天井埋込カセット型です。
- 天井埋込カセット4方向吹出形
- 天井埋込カセット2方向吹出形
- 天井埋込カセット1方向吹出形
- 天井埋込カセットラウンドフロー
- 天井ビルトインカセット形
関連記事:天カセエアコンとは?種類や馬力から交換費用の相場まで解説
天井埋込カセット4方向吹出形
天井埋め込みカセット4方向吹出形は最も汎用性が高くオールマイティなタイプです。
正方形で天井に貼り付くように取り付けられているのが特徴で、よく見られる設置場所は、オフィスや病院、工場などの広い部屋。エアコンの存在感を目立たせたくない方におすすめします。
メリット
温度のバランスが良好で、風向き・風量などの調節機能が充実しています。4方向からムラなく送風可能で、デザイン面もさまざまなカラーを選べることで人気です。
また、天井と一体化するためインテリアの雰囲気を損ないません。
デメリット
埋め込み型のため天井裏にスペースが必要なこと、設置には天井に穴をあける必要があることがデメリットです。
さらに天井までの高さが5メートル以上あれば、風が足元まで十分に届きません。設置工事費が他のタイプに比べ高くなることも注意しましょう。
天井埋込カセット2方向吹出形
天井埋込カセット2方向吹出形は、吹き出し口が2つあるタイプ。4方向に吹き出すとバランスが崩れるような長方形の部屋や、複数台並べるときに使いやすい商品です。
長方形型の店舗やオフィスに使われています。
メリット
メリットはデザインがシンプルなため部屋の基調を崩しにくいことです。また、オフィスの照明欄が広くないスペースでもきれいに調和できます。
吸い込み口と吹き出し口がそれぞれ2本の細いラインのため、掃除がしやすいこともメリットです。
デメリット
天井に穴を開ける必要があること、天井裏にスペースがあることが条件での設置になります。また、気流は縦に長くなるため、部屋の形によっては設置方向をしっかり考えねばなりません。
天井埋込カセット1方向吹出形
天井埋込カセット1方向吹出形は先ほどの2方向吹出形と同じく長方形のタイプ。ただし吹き出し口が1か所のみのため、設置は部屋のコーナーや下り天井に取り付けます。高天井にも対応可能です。
メリット
メリットは長方形の部屋で気流を無駄にすることなく温度調節が可能なことと、吹き出し口の方向を選択できることです。部屋のコーナー部分や下がり天井にエアコンを取り付けたい場合に最適で、デザインを含めて天井をすっきりと演出できます。
デメリット
吹き出し口が1つしかないため、2方向吹出形や4方向吹出形に比べて気流が偏ります。
設置前には気流の拡散範囲などをしっかり検討しなければ冷暖房効率が下がるリスクもあるでしょう。
天井埋込カセットラウンドフロー
天井埋込カセットラウンドフローは、名前の通り360度全方向への吹き出しが可能な業務用エアコンです。他の商品よりも美しく天井と一体化するため、ほとんど目立ちません。
インテリア重視の方や、天井のスペースが狭い店舗、壁を有効に使いやすいミニショップなどにおすすめです。
メリット
360度全周から送風可能なため、4方向吹出形エアコンよりも温度のムラができにくくなっています。天井と一体化するうえにパネルのカラー選択が豊富にできるため、インテリアの雰囲気を損ないません。
また、センサーやお掃除機能など、オプション選択も豊富なのもメリットです。
デメリット
天井に穴を開ける必要があることがデメリットです。また、天井裏にもスペースが必要なため、スペース確保ができない場合は取り付けられません。
設置工事費は天吊形や壁掛形よりも高くなります。
天井ビルトインカセット形
天井ビルトインカセット形エアコンは、吹き出し口を本体から離して送風するタイプ。さまざまな形状の部屋・スペースに対応できます。
レイアウトフリーなため、照明や換気装置に影響されません。1室内ユニットあたり吹き出し口は2〜4個の設置が可能です。
メリット
大きなメリットは室内のレイアウトに合わせて柔軟に対応できること。たとえば間取りや部屋の形がユニークに作られているデザイナーズ物件などにも使いやすくなっています。
また、埋め込み型と同じく天井と一体化します。インテリアの雰囲気を損なわないうえ、吹き出し口のタイプは選択可能です。
デメリット
埋め込み型と同じく天井に穴を開ける必要がありますし、天井裏にスペースも必要です。
本体から離して送風ができるため、他のタイプに比べてメンテナンスに手間がかかります。また、設置工事費も高額です。
タイプ | メリット | デメリット | 最適な設置場所 |
4方向天井埋込カセット形 | ・4方向から温度にムラを出すことなく送風可能 ・デザインやオプション機能が豊富 | 工事費が高い | オフィス、病院、工場などの広い部屋 |
2方向天井埋込カセット形 | ・デザインがシンプルで部屋の基調を崩しにくい ・オフィスなどの照明ラインと調和しやすい | 4方向タイプに比べると、風向・風量が偏りやすい | 長方形型の店舗やオフィス |
1方向天井埋込カセット形 | ・吹き出し口の方向を選択できる ・コーナーや下がり口に最適な形状 | 2または4方向タイプに比べると、風向・風量が偏りやすい | 部屋の隅や、下がり天井 |
4方向天カセット型ラウンドフロー | ・天井スペースが取れない店舗でも設置可能 ・360度からムラなく送風できる | 工事費が高い | 天井のスペースが狭い店舗やミニショップ |
天井ビルトインカセット型 | 吹き出し口を本体から分離できるので、部屋のインテリアに合わせて設置できる | 部品や工事費が高い | インテリアを重視した部屋 |
関連記事:埋込型業務用エアコンが持つ2つの特徴と代表的な機種を解説
タイプ②天吊り型業務用エアコン
天井に設置されるタイプ業務用エアコンを、「天吊り型」と呼びます。
埋込型のように天井に穴をあける必要がないので工事費を安く抑えられますし、遠くまで風を送ることも可能です。
一方で、天吊り型は風向が1方向なので、左右に風が届きにくいというデメリットがあります。
したがって、天吊り型の業務エアコンは会議室など直線的に長い部屋への設置がおすすめです。
メリット
メリットは静かでスペースが不要であることです。遠くまで風を送れるため、細長い空間で実力を発揮します。また、天井が高くても足元まで送風できること、設置工事で天井に大きな穴を開けなくてよいことも大きなメリットです。
周辺のインテリアにも溶け込みやすいうえ、室内機が1台あれば最大10馬力まで出ます。
デメリット
デメリットは送風が1方向であるため、エアコンの真下や両サイドの壁際などは風がいきにくい点です。また、配管が露出するため、意匠的にカバーしなければなりません。
関連記事:天吊り型業務用エアコンが持つ2つの特徴と代表的な機種を解説
タイプ③壁掛け型業務用エアコン
家庭用エアコンのように、壁に設置するタイプの業務用エアコンを「壁掛け型」と呼びます。
壁掛け型は業務用エアコンの中でもっとも費用がかからないタイプなので、工事費や本体代を抑えたい方におすすめです。
ただし、風量は家庭用よりは強いですが、あまり遠くまでは届きません。
そのため、壁掛け型の業務エアコンは小さな事務所や応接間への設置が最適です。
メリット
壁掛け型業務用エアコン最大のメリットは、設置が簡単であること。埋め込んだり送風口を別に設置したりする必要がないため、比較的工事費用が安価です。
床スペースも取らずすっきりと設置できるうえ、全体が露出しているためメンテナンスが簡単にできます。
デメリット
デメリットは天吊り型に比べて風が遠くまでいきにくいこと。特に奥行きがある部屋の場合は、冷暖房が効きにくいエリアが発生します。また、両サイドには風がいきにくいため、温度ムラが出やすいのも注意点です。
タイプ④ダクト型業務用エアコン
吸い込み口と吹き出し口がエアコン本体と分離しているタイプの業務用エアコンを「ダクト型」と呼びます。
ダクト型は本体を完全に天井内部へ隠せるため、部屋のインテリアに合わせて自由に配置を決められる点が最大の特徴です。
ただし、部品と工事費が高くなってしまうというデメリットがあります。
したがって、ダクト型はインテリアを重視したいスペースに最適な業務用エアコンといえるでしょう。
メリット
吸い込み口と吹き出し口が本体からは慣れており一見すると空調に思えず存在を感じさせないため、インテリア重視の空間づくりにピッタリです。かなり自由度が高いエアコンで室内のレイアウトを選びません。
また、吸い込み口と吹き出し口はタイプを選択可能です。天井ふところが狭い建物にも対応しています。
デメリット
天井裏にスペースが必要で、天井に穴もあけなくてはなりません。また、部材や工事費用が比較的高いうえにメンテナンスにも手間がかかります。
タイプ⑤床置形業務用エアコン
古い店舗などでよく見られるのが床置型業務エアコンです。
機器本体を床に据え付け、上部にあるルーバーから風が送られます。物理的に床に設置するため、天井が高すぎる場合や低すぎる場合にも影響せずに設置可能です。
最近は各メーカーが競って機器をスリムにしているため、昔のような圧迫感はありません。また、施工性や操作性は格段に良くなっています。
メリット
天井が高くても足元まで送風できるうえ、天井が低くて埋め込み型エアコンが使えない場合でも関係なく設置できます。また、取り付けは非常に簡単で特別な工事が不要なため、手入れが簡単です。
デメリット
送風が1方向であるため、温度ムラができやすくなります。さらに床の直接設置するので床面積を狭めることになるうえ、配管が露出することもデメリットです。
床置形業務用エアコンについて、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
【関連記事】
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業務用エアコンの選び方とは?押さえたいポイントを紹介
オフィス・工場にピッタリなマルチエアコンとは?
マルチエアコンは1台の室外機で、複数の容量が異なる室内機を個別に運転できる機器です。たとえば室内機1は1馬力で運転、室内機2は停止、室内機3は4馬力で運転といった個別対応ができます。そのため、個別に冷房や暖房が要求されるホテルなどにうってつけのエアコンです。
一般的な業務用エアコンとの違いは対象の大きさや目的。業務用エアコンは店舗や戸建て事務所などを対象としていますが、マルチエアコンは主に3,000㎡以上の中大規模の建物を対象としています。
また、業務用エアコンにも1台の室外機で複数の室内機を運転するマルチシステムはあるのですが、それは同じ容量での接続かつ同時運転です。対してマルチエアコンは容量別・個別接続ができるため、必要な部屋だけを個別に空調でき、さらに同じ空間でも場所によって運転状態を変えられます。
マルチエアコンに関して、さらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
業務用エアコンの業者を選ぶポイント
オフィスや工場、ホテル、店舗などで快適な空間にするために設置するのが業務用エアコンです。業務用エアコンは容量も内容も目的も家庭用とは違うため、専門の業者に取り付けてもらわねばなりません。
よくある業者選びの失敗が、家電量販店などの工事店に依頼してしまうケースです。業務用エアコンには配管がかかわるため、家庭用エアコンとは違って管工事の分野の専門家が必要となります。
次の3つが業務用エアコンの設置業者を選ぶ際の最低限のポイントです。
- 空調機械設備業者を選ぶ
- 空調設備に係る許認可を持っている
- フロンガス回収資格がある
空調機械設備業者を選ぶ
業務用エアコンは家庭用エアコンとは違い、家電工事ではできない作業があります。たとえば、エアコンの天井への埋め込みやフロンガスの回収、破壊と配管洗浄、プラスして壁紙の張替え工事などが含まれるのです。
このような専門工事を得意としているのが、空調機械設備業者です。
空調機械設備業者は業務用エアコンだけでなく、特殊な冷凍機や大型の換気設備なども扱う空調と換気のプロを指します。
空調設備に係る許認可を持っている
空調設備工事には建設業許可が必要です。空調設備は管工事にあたるため、管工事の許認可を持っている業者かどうかを確かめましょう。
許可を持つ業者を選ばなかった場合、後々に大きなトラブルが発生するリスクを負うことになります。
フロンガス回収資格がある
業務用エアコンにはフロンガスが入っているため、破棄するときには「フロン回収・破壊法」に基づいて、回収業者にフロンを回収してもらわなくてはなりません。フロンガスはオゾン層の破壊など、地球温暖化にかかわる問題の一部です。
業務用エアコンを破棄するさいには、エアコンを持っていた人(破棄する人)が、回収業者(都道府県に登録されている業者)にフロンの回収依頼をする必要があります。もしも回収せずにフロンを放出してしまった場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられますので注意してください。
ちなみに、この罰則は機器を破棄した人ではなく、フロンを放出した人に課せられます。
業務用エアコン取り付け業者の選び方について、さらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
関連記事:業務用エアコン取り付け業者の選び方とは?優良業者の条件も解説
業務用エアコンは形によって適している設置場所が異なる!
以上、業務用エアコンの主な4つのタイプについて詳しく解説してきました。
業務用エアコンは形によってそれぞれに異なった特徴があり、適している設置場所が異なるということがご理解いただけたのではないかと思います。
部屋の間取りや使用用途に合った形の業務用エアコンを取り付けることで、省エネ効果も期待できます。
ぜひ本記事を参考にオフィスや施設などに設置する業務用エアコンを選んでみてください。
「うちのオフィスにはどれが最適か判断が難しい……」
「どのタイプにするか決まったからさっそく発注したい」
そう思われた事業者様やご担当者様は、ぜひEMEAO!にお問い合わせください。
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業務用エアコンの優良おすすめ業者とメーカーを知りたい方はこちらをご覧ください。
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この記事を書いた人
編集部員 河田
編集部員の河田です。編集プロダクションでの書籍編集の経験を経て、現在はEMEAO!のWebコンテンツ編集・執筆とお客様へのインタビューを担当させていただいています。日々、コツコツと皆さんのお役に立つ情報を発信していきます!よろしくお願いします。