業務用エアコンの本体価格と設置にかかる工事費の相場
公開日:2020.07.21 最終更新日:2024.07.29
業務用エアコンの新規設置や交換を検討しているものの、どのくらいの費用がかかるのかがわからない方もいらっしゃるでしょう。
「導入コストが高くついてしまい、事業運営が苦しくなってしまった」という事態を避けるためにも、費用の目安は把握しておきたいですよね。
本記事では、業務用エアコンの本体価格とあわせて、工事費の費用相場を紹介します。
業務用エアコンの導入に失敗したくない事業者様は、最後までご覧ください。
業務用エアコンとは?
オフィスや店舗、商業施設などに設置することを目的に製造されたエアコンを「業務用エアコン」といいます。
家庭用エアコンよりもパワーがあるため、広い空間や、多くの人がいる場所でも空調をコントロールできます。
また、家庭用エアコンにはない機能を搭載していることも、業務用エアコンの特徴です。
たとえば、室温や人の動きをセンサーで感知して、運転が自動的に切り替わるセンシング機能や、暖房運転停止後に、室内に残った熱を利用する余熱再利用機能などが挙げられます。
設置場所に適した機器を選べば、従業員やお客様の快適性が向上することはもちろんですが、電気代の削減にも効果が期待できます。
関連記事:業務用エアコンと家庭用エアコンは何が違う?異なる3点を徹底解説
【タイプ別】業務用エアコンの本体価格の目安
業務用エアコンは、天井埋め込み、天井吊り、床置き、壁掛けの4種類があり、タイプごとに本体価格は異なります。
まずは、それぞれのタイプの特徴を紹介します。
業務用エアコンのタイプ別の特徴
機器のタイプ | 特徴 | おすすめの設置場所 |
天井埋め込み型 | 天井の内部に設置する。インテリアの美観を損ねない。部屋全体に効率よく風を送り込める | 大規模のオフィスや店舗など |
天井吊り型 | 天井に設置する。直線的に空気を送り込めるので、室内に奥行きがある場合でも風が行き届く | 中~大規模のオフィスや店舗、大学の講義室など |
床置き型 | 床に設置する。室内全体だけでなく、局所的に風を送り込める。サイズが小型で、簡単にメンテナンスできる | 工場、倉庫など |
壁掛け型 | 壁に設置する。機器のサイズは小型で、パワーも小さい傾向にある。工事に手間がかからない | 小規模のオフィスや小売店など |
室内の面積や形状、人数などによって最適な機器は異なるので「このタイプを選べばよい」という明確な答えはありません。
どのタイプを選べばよいのかがわからない場合は、業者に現場調査を依頼し、最適だと思える機器を提案してもらいましょう。
続いて、それぞれのタイプの本体価格の目安を紹介します。
天井埋め込み型
業務用エアコンのなかでも、天井埋め込み型は本体価格がもっとも高く、費用の相場は25万~85万円程度です。
生産数や流通数が多く、値引き率も高い傾向にあるため、業者に交渉すれば導入コストを抑えられる可能性があります。
関連記事:埋込型業務用エアコンが持つ2つの特徴と代表的な機種
天井吊り型
天井吊り型の本体価格の目安は20万~70万円程度です。
審美性は天井埋め込み型よりも劣りますが、コストの面では天井吊り型が優れます。
天井にエアコンを設置する場合において、内装をそこまで重視しないのであれば、天井吊り型を選ぶのも一案です。
関連記事:天吊り型業務用エアコンが持つ2つの特徴と代表的な機種
床置き型
床置き型の本体価格の相場は10万~50万円程度です。
タイプによっては10万円ほどで購入できますが、大型のタイプであれば50万円以上かかることもあります。
関連記事:床置き型業務用エアコンとは?メリットとデメリットも詳しく解説
壁掛け型
壁掛け型は本体価格が安い傾向にあり、相場価格は10万~50万円程度です。
少しでもコストを抑えたいのであれば、導入を視野に入れたいところです。
関連記事:壁掛け型業務用エアコンが持つ4つの特徴と代表的な3つの機種
【タイプ別】業務用エアコンの工事費の相場
業務用エアコンの能力を表す単位を「馬力」といい、この馬力と機器のタイプによって業務用エアコンの工事費は異なります。
今回は、オフィスや店舗に導入されることが多い、1.5~10馬力の機器を設置することを前提とした、工事費の相場を紹介します。
なお、業務用エアコン本体にかかる費用の相場は、こちらの業務用エアコンのリースにかかる月額相場をご覧ください。
天井埋め込み型の工事費の相場
馬力数 | シングルタイプ | マルチタイプ |
1.5~2.5馬力 | 7万円~ | – |
3馬力 | 9万円~ | 12万円~ |
4馬力 | 11万円~ | 14万円~ |
5馬力 | 12万円~ | 15万円~ |
6馬力 | 12万円~ | 16万円~ |
8馬力 | – | 19万円~ |
10馬力 | – | 20万円~ |
天井吊り型の工事費の相場
馬力数 | シングルタイプ | マルチタイプ |
1.5~2.5馬力 | 7万円~ | – |
3馬力 | 9万円~ | 11万円~ |
4馬力 | 10万円~ | 13万円~ |
5馬力 | 10万円~ | 14万円~ |
6馬力 | 11万円~ | 15万円~ |
8馬力 | 14万円~ | 18万円~ |
10馬力 | 16万円~ | 18万円~ |
床置き型の工事費の相場
馬力数 | シングルタイプ | マルチタイプ |
1.5~2.5馬力 | 5万円~ | – |
3馬力 | 6万円~ | – |
4馬力 | 7万円~ | 10万円~ |
5馬力 | 8万円~ | 11万円~ |
6馬力 | 9万円~ | 12万円~ |
8馬力 | 12万円~ | 16万円~ |
10馬力 | 14万円~ | 18万円~ |
壁掛け型の工事費の相場
馬力数 | シングルタイプ | マルチタイプ |
1.5~2.5馬力 | 4万円~ | – |
3馬力 | 5万円~ | – |
4馬力 | 7万円~ | 8万円~ |
5馬力 | – | 9万円~ |
6馬力 | – | 10万円~ |
8馬力 | – | 13万円~ |
10馬力 | – | – |
このように、業務用エアコンのタイプごとに工事費の相場は大きく異なります。
壁掛け型は手軽に設置できるため、工事費がもっとも安く設定されており、一方で設置に工数がかかる天井埋め込み型や天井吊り型などは工事費が高い傾向にあります。
【タイプ別】業務用エアコンの工事費込みの相場
続いて、業務用エアコンのタイプ別に、工事費込みの費用の相場を紹介します。
天井埋め込み型の工事費込みの費用の相場
馬力数 | シングルタイプ | マルチタイプ |
1.5~2.5馬力 | 30万円~ | – |
3馬力 | 36万円~ | 46万円~ |
4馬力 | 42万円~ | 53万円~ |
5馬力 | 48万円~ | 59万円~ |
6馬力 | 52万円~ | 64万円~ |
8馬力 | – | 77万円~ |
10馬力 | – | 88万円~ |
天井吊り型の工事費込みの費用の相場
馬力数 | シングルタイプ | マルチタイプ |
1.5~2.5馬力 | 25万円~ | – |
3馬力 | 32万円~ | 41万円~ |
4馬力 | 37万円~ | 47万円~ |
5馬力 | 43万円~ | 52万円~ |
6馬力 | 47万円~ | 57万円~ |
8馬力 | 62万円~ | 70万円~ |
10馬力 | 73万円~ | 82万円~ |
床置き型の工事費込みの費用の相場
馬力数 | シングルタイプ | マルチタイプ |
1.5~2.5馬力 | 20万円~ | – |
3馬力 | 27万円~ | – |
4馬力 | 32万円~ | 43万円~ |
5馬力 | 38万円~ | 48万円~ |
6馬力 | 43万円~ | 54万円~ |
8馬力 | 59万円~ | 66万円~ |
10馬力 | 72万円~ | 77万円~ |
壁掛け型の工事費込みの費用の相場
馬力数 | シングルタイプ | マルチタイプ |
1.5~2.5馬力 | 15万円~ | – |
3馬力 | 23万円~ | 30万円~ |
4馬力 | 30万円~ | 36万円~ |
5馬力 | – | 42万円~ |
6馬力 | – | 48万円~ |
8馬力 | – | 54万円~ |
10馬力 | – | – |
上記の金額はあくまでも目安です。
取付工事とは別途で特殊な工事が必要である場合や、機器の搬入に工数がかかる場合などには、追加費用が発生します。
こちらの詳細は後述します。
業務用エアコンの設置工事で追加費用がかかる4つのケース
業務用エアコンの設置工事にかかる費用の相場は前項で紹介したとおりですが、設置場所の状況によっては、追加費用が発生します。
予算オーバーしないためにも、機器を導入する際は、以下のケースに該当するかどうかを事前に確認しましょう。
ケース①室内機と室外機の距離が離れている
業務用エアコンを設置する際は、室外機と室内機を配管でつなぎます。
配管を接続する工賃は、基本的には工事費に含まれますが、室外機と室内機の距離が一定以上離れており、用意されている配管の長さを超えた場合には別途で費用が発生します。
配管1mあたり、5,000円前後が費用の相場です。
ケース②高所に室外機を設置する
業務用エアコンの室外機はサイズが大きく、重量があるため、建物外の高所に設置する場合にはクレーン車などを使います。
このような場合は、設置費用とは別途で搬入費用が発生します。
道路の状況や設置する階層によって追加費用の金額は異なりますが、最低でも1万円ほどはかかるということは覚えておきましょう。
ケース③業務用エアコンに対応する電源がない
業務用エアコンに使われる電源の種類は「単相200V」と「三相200V」のどちらかです。
設置場所にこれらの電源が通っておらず、電気工事を実施しなければならない場合においても、追加費用が発生します。
コンセントの交換や新設であれば1万円以下で対応してもらえますが、ブレーカーを交換したり、電線を引き込んだりする場合には、10万円ほどの費用がかかります。
ケース④既存の業務用エアコンを取り外したり廃棄したりする必要がある
設置されている業務用エアコンを新しいものに交換する場合には、機器の取り外しや廃棄に費用がかかります。
機器のタイプや設置個所によって金額は異なりますが、1台あたり2万~20万円程度は必要です。
複数台の業務用エアコンを同時に交換する場合には、取り外しや廃棄だけで、数十万円の費用がかかることもあります。
予算オーバーしないためにも、設置作業だけでなく、取り外しや廃棄まで含めて、見積もりを出してもらいましょう。
業務用エアコンの取付工事の流れ
業務用エアコンの設置は、以下の手順に沿って進められます。
今回は、既存の天井埋め込み型の業務用エアコンを交換することを前提とした、一連の流れを紹介します。
- 機器の設置場所や搬入・搬出経路をシートで養生する
- 既存機器を撤去して、フロン類を回収する
- 新しい機器を設置する
- 冷媒配管やドレン管を接続する
- 耐圧試験や試運転を実施して、正常に稼働するかどうかを確認する
業者の方針や、機器のタイプによって順序が一部前後することもありますが、一連の流れは上記のとおりです。
なお、工事は基本的に1~2日で完了しますが、機器の設置台数が多い場合や、搬入にあたりクレーン車が必要な場合などには、3日~5日程度かかることもあります。
業務用エアコンの設置業者を選ぶ際に押さえておきたいポイント
業務用エアコンの設置業者は数が多いため「どの業者に依頼すればよいのだろう」と思われている方もいらっしゃるでしょう。
業者選びに失敗しないためにも、以下で挙げるポイントを押さえておきましょう。
ポイント①業者の実績を確認する
設置業者によって、工事の技術には差があります。
業者の技術と実績は比例するので、ホームページやカタログを確認して、過去の工事の事例やユーザーからの評判を確認してください。
施工の実績が豊富で、なおかつユーザーからの満足度が高い業者を選べば、工事に失敗するリスクを抑えられます。
ポイント②事前に現地調査をしてもらう
少しでも早く業務用エアコンを導入したいと思うあまり、現地調査が不要かつ、即日対応できる業者に工事を依頼したいとお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、現地調査を依頼しないと、工事に時間がかかってしまったり、不適切な箇所に穴を開けてしまったりするような事態に発展する可能性があります。
工事を安全かつスムーズに進めるためにも、業務用エアコンを設置する際には、必ず現地調査を依頼しましょう。
ポイント③見積書を作成してもらう
業務用エアコンの設置業者のなかには、見積書を作成しない、もしくは見積もりの内訳を提示しない業者もいます。
このような業者に依頼すると、工事完了後に高額の費用を請求されることや、見積書に記載されていない費用を追加で請求してくるおそれがあります。
無用なトラブルを避けるためにも、明瞭な見積もりを提示してもらえる業者を選んでください。
ポイント④アフターサービスや保証制度を確認する
基本的に、業務用エアコンにはメーカー保証がついていますが、この制度は工事不良や設置不良、消耗品の摩耗が原因である故障には適用されません。
メーカー保証の期間が切れている、もしくは故障の内容が保証の適用対象外でも、業者が独自の保証制度を設けていれば、修理代を抑えられます。
また、追加料金を支払うことで、保証期間を延ばせる業者もいます。
機器を長期かつ安全に使いたいとお考えの方は、業者のアフターサービスや保証制度も確認しておきたいところです。
ポイント⑤複数の業者に問い合わせる
業者ごとに、工事費や用意できるエアコンのタイプ、工事の得意分野などはそれぞれ異なります。
そのため、「費用が安いから」「家のすぐ近くに事業所があるから」という考えだけで業者を選ぶと、工事後に思わぬトラブルに見舞われる可能性があります。
このような事態を避けるためにも、業者を選ぶ際は、1社だけに絞り込まず、複数の業者を比較検討してください。
そのうえで、ご自身が希望する条件に合った提案をしてくれるような、信頼できる業者を選びましょう。
複数の業者に効率よく問い合わせるには
複数の業者を比較検討したいものの、主業務が忙しく、業者への問い合わせに時間が割けない方もいらっしゃるかもしれません。
このような場合は、1回の問い合わせで複数の業者から見積もりがとれる「相見積もりサービス」を利用してみてください。
対応エリアや機器のタイプ、用意できる予算の目安などをフォームに入力するだけで、条件に合った業者から連絡がくるので、問い合わせの時間を削減できます。
ただし、業者選びに慎重になりすぎるあまり、何十社もの相見積もりをとると、かえって工数がかかってしまいます。
問い合わせる会社の数は、3~5社程度に留めましょう。
業務用エアコンの本体価格や工事費の相場は機器のタイプごとに異なるので慎重に決めましょう
今回は、業務用エアコンの本体価格や、工事費込みの費用の相場を紹介しました。
業務用エアコンのタイプごとに、導入コストは異なります。
工事費込みの費用の相場は、天井埋め込み型であれば25万~90万円程度、壁掛け型であれば15万~55万円程度です。
「このタイプを選べばよい」という明確な答えはないので、室内の面積や形状に合った機器を選びましょう。
「業務用エアコンの導入費を抑えたい」
と、お考えの方はEMEAO!にご相談ください。
コンシェルジュに希望をお伝えいただければ、条件に合った優良業者を厳選して、無料で紹介いたします。
業務用エアコンの優良おすすめ業者とメーカーを知りたい方はこちらをご覧ください。
業務用エアコンのおすすめ主要国内メーカー6社を比較!優良な販売・設置会社も紹介
地域別におすすめ業者を知りたい方はこちらをご覧ください。
この記事を書いた人
編集部員 河田
編集部員の河田です。編集プロダクションでの書籍編集の経験を経て、現在はEMEAO!のWebコンテンツ編集・執筆とお客様へのインタビューを担当させていただいています。日々、コツコツと皆さんのお役に立つ情報を発信していきます!よろしくお願いします。