アプリ開発のやり方とは?プラットフォーム別のツールや必要な環境も合わせて解説
公開日:2023.11.16 最終更新日:2023.11.16
自社サービス提供の手段としてアプリ開発を検討している企業は多いはず。
しかし、具体的な開発方法や何から始めたら良いかが分からず、お悩みの企業が多いのもまた事実です。
そこで本記事では、そもそもアプリとは何かという定義の部分から、開発の具体的な方法までを網羅的に解説します。
そもそもアプリとは?
アプリは、スマートフォンやパソコンなどのコンピューターにインストールすることで、新しい機能や操作を可能とするプログラムのことです。
アプリの正式名称は「アプリケーション・ソフトウェア」で、コンピューターを動かす「基盤」ソフトウェアである「bios」や「OS」と対比する意味で、アプリケーション(応用)ソフトウェアと名付けられました。
アプリには、「表計算ソフト」「地図アプリ」「SNSツール」など、様々な種類があります。
また、スマートフォン向けのアプリケーション・ソフトウェアを「アプリ」、パソコン向けを「ソフトウェア」と呼び変えていましたが、近年は両者を同じくアプリと統一して呼称する傾向があります。
(本記事では、パソコンとスマートフォン用両方のアプリを扱います。)
開発方法は主に2種類ある
アプリ開発を行う場合、大きく分けて「アジャイル開発」と「ウォーターフォール開発」の2通りあります。
アジャイル開発
アジャイル開発とは、開発工程をチームに分けて、同時並行で開発を進める方法です。
開発グループやクライアントとのコミュニケーションが取りやすく、エラーが発生した際も工程を遡る必要がないため、短期間の修正が可能になることがメリットです。
ユーザーの声を拾ったり、市場分析をしたりしながら、スモールステップで開発を進めたい方におすすめの手法です。
ウォーターフォール開発
ウォーターフォール開発とは、開発工程を順序立てて行う開発工程です。
一つの工程が完了するまで、次に進みません。
工程の流れを滝(ウォーターフォール)に見立てているため、このように呼称されています。
メリットとしては、スケジュールや品質の管理がしやすいなどのメリットがあります。
開発したアプリを収益化できる?
開発したアプリのユーザー数によっては、安定した収益を得ることが可能です。
パソコン向けのアプリと、スマホ向けのアプリでは収益獲得方法にも違う傾向が見られます。
有料ダウンロード
収益化の方法の一つ、ユーザーがアプリをダウンロードした際に、料金を請求する「有料ダウンロード」があります。
有料ダウンロードのメリットとしては、最初にお金を支払ってもらうため、他の方法に比べて素早い収益化が可能です。
一方デメリットとして、購入後は無償でアプリのエラー修正やアップデートを行う必要があるため、場合によっては、運営費の方が高額となり赤字を被る場合があります。
アプリ内課金
アプリ内課金は、ユーザーがアプリの機能を使用するときに料金を請求する収益方法です。
アプリ内課金で収益を考える場合は、アプリのダウンロード自体は無料にして、有料の新しい機能や便利な機能を訴求する宣伝にするケースが多いです。
アプリ内課金のメリットは、ユーザーが課金機能を使用してくれる限り定期的な収入が見込める点です。
デメリットとしては、ユーザーが課金をせず無料プランを使い続けたう場合、収益がない状態で様々な運営コストを負担しなければならないことです。
アプリ内広告
アプリに広告を表示することで、広告元から広告費を受け取る収益モデルです。
広告収益の種類としては、ユーザーが広告をアクセスして商品を購入した場合、売り上げの一部を受け取れる「アフィリエイト広告」、サイトのアクセス数で報酬を受け取る「リワード広告」、広告がアプリに表示される大きさや回数で報酬が支払われる「インプレッション方式」があります。
アプリの種類
一口にアプリと言っても、構造や運用スタイルによって種類が「Webアプリ」「ネイティブアプリ」「ハイブリッドアプリ」の3つに分けられます。
Webアプリ
Webアプリとは、アプリのデータのほとんどが、クラウドの様に管理者サーバーで保存されており、ブラウザ上で起動できるアプリを指します。
例えば、ネット接続が前提になっている「ECサイト」や「動画共有サイト」などが該当します。
メリットとしては、エラーの修正やアップデートを行う場合、ユーザーがデバイスに保有しているデータの修正を求めなくても済む点です。
他にも、ユーザーのデバイスの容量を圧迫しない点も、ユーザーを増やせるポイントです。
また、ユーザーが使用するデバイスのOSに基づいてアプリ開発を行う必要がない点も魅力的です。
一方デメリットとしては、ブラウザ上で起動するアプリのため、インターネットに接続されていないオフライン環境ではほとんど活用できないところでしょう。
ネイティブアプリ
ネイティブアプリとは、スマートフォンにインストールして起動するアプリのことをいいます。
一般的にはアプリというと、このネイティブアプリを意味します。
ネイティブアプリのメリットとしては、高度なアプリを開発できる点です。
例えば、ネイティブアプリだと、Webアプリでは難しい通知機能や電話帳との連動などが可能です。
ハイブリッドアプリ
ハイブリッドアプリとは、Webアプリとネイティブアプリの機能を一体化させたアプリです。
ハイブリッドアプリの基本構造はWebアプリと変わりませんが、ネイティブアプリのように「App store」や「Google Play」などのプラットフォーマーでダウンロードすることが可能です。
そのため、一般ユーザーはハイブリッドアプリとネイティブアプリの違いに気づいていないことが多いです。そのためWebアプリではアクセス数が伸びなかったアプリが、ハイブリッドアプリだと認知度を高めてアクセス数が伸びることがあります。
ただし、純粋なネイティブアプリよりは動作が重くなってしまう可能性もありますので注意が必要です。
アプリ開発で必要になるもの
次にアプリ開発をするとき必要になるものを紹介します。
実際にアプリ開発を始める人や学習を考えている人は参考にしてください。
パソコン
アプリ開発には、開発環境をインストールできる機能をもつデバイスを用意する必要があります。
アプリ開発に使用するデバイスとして、おすすめなのはパソコンです。
実はスマートフォンやタブレッド向けの開発環境は提供されているので、パソコン以外でもアプリ開発を行うことができます。
しかし、後述するプログラミングをする際に、キーボードが付属しているパソコンの方が効率的に開発を進められるため、キーボードを使用しないスマートフォンやタブレットで開発を行うのはおすすめできません。
また、パソコンの方が一般的には、計算能力や保存領域のスペックはスマートフォンやタブレットより優れている傾向にあるので、安定した開発のためにもパソコンでの開発がよいでしょう。
注意点としては、iPhoneやMacbookなどのapple製品向けのアプリを開発するならば、サポートやテストのやりやすさからMacbookを推奨します。
開発環境
デバイスを用意することができたら、アプリ開発用のソフトウェアである開発環境をインストールする必要があります。
開発環境を選ぶ基準は、開発に使用するプログラミング言語によって変わります。
例えば、iPhoneやiPadに搭載のiOS用のアプリを開発する場合は、「Xcode」と言われる開発環境を使用することが一般的です。
また、MicrosoftがOfficeのサービスとして提供している「Visual Studio」ではWindows・MacOS・iOS・Android全てを対象にしたアプリを開発することができます。
テスト用のスマホ
開発したアプリがAndroidとiPhoneなどのスマートフォン用のアプリケーションである場合は、開発後のテストのために、対応したスマートフォンを用意する必要があります。
注意点としては、アプリの一般配布を考えている場合は、比較的新しい機種を用意しましょう。あまりにも古い機種でテストしても、一般に普及しているスマホではエラーが出る可能性があるからです。
また、Androdはエミュレータという、仮装システムがWindowsやMacOs向けに提供されているため、最悪Androidの端末は用意できなくてもテストを行うことができます。
アプリ開発のやり方
アプリ開発の準備が整ったら、実際にアプリ開発を行ってみます。
今回はアプリ開発で行う工程を紹介します。
プログラミング
アプリ開発で使用するプログラミング言語を開発環境のエディターを使用して執筆していきます。
プログラミング言語には、iOSやMacOS向けのアプリ開発で使用される「swift」や、Windows向けのソフトウェアに必須な「C♯」、全てのアプリ開発に用いられる「Pyhon」などが挙げられます。
開発に使用するプログラミング言語は、開発するアプリの特徴や機能によって決める必要があります。
また、プログラミング言語には難易度があるので、作りたいアプリに必要な言語の難易度が高かったら、ハードルの低い言語から学習して、順序だてて難易度の高い開発に挑戦することをおすすめします。
ゲームエンジン
複雑な動作を行ったり、高画質な表現ができたりするゲームアプリを開発する場合、高いプログラミング技術が求められます。
しかし、「ゲームエンジン」と呼ばれるツールを利用することで、細かいプログラムをショートカットしながらゲームを開発できます。
有名なゲームエンジンにはポケモンGoやドラゴンクエスト8に用いられた「Unity」や、「FInal Fantasy7:re」や「ストリートファイターV」の開発に使用された「Unreal Engine」などがあります。
ゲームエンジンを使う場合でも、高度なゲームを使用するためには、プログラミングの技術は必須ではありますが、簡単なゲームであれば開発が可能なので試してみるのもいいかもしれません。
アプリ作成ツール
ゲームエンジンと同じ様に、プログラミングに関する知識がなくても、アプリを開発可能なツールが存在します。
このようなツールでは、アプリのフォーマットが用意されているためウェブサイトのフォントを選択する様な形式で機能やデザインを選択できます。
アプリ開発で必要な環境や言語
アプリは、使用される予定のOSによって、向いているプログラミング言語や開発環境が大きく異なります。
以下にOSやデバイス別に、使用されるプログラミング言語や開発環境を解説します。
iPhone向けアプリの場合
iPhone搭載のiOS向けアプリの開発には、「Python」や「C♯」などの他の用途でも使用されているプログラミング言語の他に、「Swift」と呼ばれるApple製品に特化したプログラミング言語があります。
「Swift」は、直感的にコーディングができるため、比較的難易度は低いプログラミング言語であるといわれています。
そのため、「Swift」はiOS向けのプログラミング言語として、シェアを伸ばしています。
また、Swiftは「Xcode」というMacOSにのみインストール可能な開発環境で使用することが可能である点と、テスト用にアプリデータをiPhoneに移すことが容易です。よって、iPhone向けのアプリ開発にはMacOSが搭載されたMacbookやiMacを使うことおすすめします。
Android向けアプリの場合
Android向けのアプリは、iOS向けのアプリと同様に、「Python」や「C#」で開発を行うことが可能です。
特に「Python」はフレームワークと言われる、開発するジャンルに特化したコードを短縮した「ライブラリ」が搭載されているため、初心者から上級者までAndroidのアプリ開発にPythonを使う人は多いです。
また、開発環境はAndroidの開発元が提供している「Android stadio」やMicrosoftが提供する「Visual Studio Code」まで多種多様です。
フレームワークによって得意としている開発環境は大きく異なるので、開発に使用したい言語、アプリの機能、開発環境を相性良くチョイスすることが重要です。
また、開発に使用するパソコンが「Chromebook」である場合は、Androidアプリをそのままインストールして使用することが可能ですので、テスト用のデバイスは必要ないかもしれません。
Webアプリの場合
Webアプリの開発は、通常のアプリ開発よりWeb制作に近いものがあります。
また、開発もPythonのWeb制作用フレームワークの「Django」からC♯まで様々です。
また、開発に必要となる準備としては開発環境の他にも、Webアプリを梱包するサーバーと、サーバー構築用のシステムも必要になります。
ただし、小規模で独自性の薄いwebアプリを開発する場合は、レンタルサーバーを借りることで、付属しているシステムを利用することが可能です。
また、多くのユーザーが使用することを前提としたWebアプリを開発する場合、様々な端末でアクセスされることが想定されますので、テストデバイスとしてパソコンからAndroid、iPhoneの他にガラケーなど多くの端末を用意する必要があります。
Windowsアプリの場合
Windowsのアプリは、開発に自由度が高く難易度の高い「C#」から初心者でも覚えやすい「Ruby」まで様々な開発言語が使用されます。
また、開発環境は「Visual Studio」が使用されることが多いです。
他にも、Windowsを搭載したパソコンは様々なメーカーから販売されているためスペックも様々です。
そのため、高度な計算能力を要求されるようなアプリを開発してしまうと、どんなにwindows用に開発したアプリでも一部のモデルしか起動できないこともありえます。
そのため、Windowのアプリを開発する場合は、必要とされる容量や処理速度を考えながら開発するようにしてください。
【プラットフォーム別】アプリ開発で利用できるツール
アプリを開発する場合に、開発環境やプラグインとして、使用可能なツールをアプリごとに開発します。
Windows
前述しましたが、Windowsのアプリ開発では開発元が同じMicrosoftであるため「Visual Studio」が使用されることが一般的です。
Visual StudioはWindowアプリを開発するためのツールが殆ど標準搭載されているため、このツールでアプリ開発が完結できる場合が多いです。
また、Visual Studioは、MacOSとLInux版が提供されています。
他にも、Visual Studioは高額なツールなため、学習などで使用される場合は無償版である「Visual Studio Communityエディション」を利用することをおすすめします。
Android
Androidのアプリを制作するには、「Android Studio」の使用をGoogleが推奨しています。
「Android Studio」は「Java」をメインに「Python」や「Ruby」などの様々なプログラミング言語に対応している統合開発環境です。
また、Android Studioではコーディングとコンパイルの両方に対応している
iOS・MacOS
iOSやMacOSなどは、Appleが提供している「Xcode」が使用されます。
Xcodeは、ファイルデータの管理からデバッグの確認まで、アプリ開発に必要とされる機能を一通り備えています。
また、Xcodeは「Interface Builder」と呼ばれるコーディングせずにアプリの機能を付け加えられるので、プログラミング言語学習の初心者にとっては便利です。
Webアプリ
ブラウザで動作するWebアプリは、「Intellij IDEA」などのツールを使用することをおすすめします。
使用言語はウェブサイトと同じく、「HYML」や「javascript」になっています。
「Intellij IDEA」も無償版が存在するため、学習に使用する場合は活用しましょう。
アプリ開発の基本的な流れ
実際にアプリ開発を行う場合の流れについて解説します。
企画
アプリ開発を行う場合、最初のプロセスとしてアプリの「企画」を行います。
企画では、アプリに関する技術的なことの前に「だれが使用するのか」「何を目的に使用するのか」などアプリのイメージについて固めます。
また、グループ単位でアプリを開発する場合は、メンバー同士でアプリのイメージを詳細まで共有する必要があります。
少しでも、メンバーのアプリに対するイメージが異なると、デザインや機能面における不具合や違和感の原因となります。
要件定義
アプリのイメージを決めたら、要件定義に入ります。
要件定義では、企画案を元にアプリの機能やデザインを決めます。
要件定義の内容は「要件定義書」に記載して、プロジェクトを統括アーキテクトと呼ばれる管理職や責任者に配布します。
要件定義書は、アプリ完成後の不具合の確認に用いられる大事な書類です。
基本設計
要件定義で決めた内容を実現するために、上流工程のプログラマーがプログラミングレベルに落とし込んだ設計書を作成します。
詳細設計
要件定義で決めた内容を実現するために、上流工程のプログラマーがプログラミングレベルに落とし込んだ設計書を作成します。
開発
各種設計書の完成をもって、実際のアプリ開発に入ります。
設計書に基づいて、現場のプログラマーが制作を行います。
テスト
アプリの開発が完了したら、「単体テスト」「結合テスト」「運用テスト」など、細かい確認から大きな確認の順にテストを行います。
リリース
アプリが開発されたら公開作業である「リリース」を行います。
WindowsやMacOSでは開発者や独自のプラットフォームから配信するのが一般的ですが、
スマホはOSの開発元が提供している「Google Play」や「App store」から提供されることが一般的です。
運用
開発が完了した後も、アプリを正常に運用するためには、不具合やアップデートなどが欠かせません。
アプリ開発のレベルを上げるために必要なこと
アプリ開発に挑戦する場合は、どのような方法で学習すると効率的か解説します。
GitHubのソースコードから学ぶ
「GitHub」はAndroidで頻繁に使用されるソースコードを紹介しているサービスです。
初歩的なコードをまとめたページを覚えることで、プログラミング言語学習への近道になります。
実際の現場で学ぶ
学習と並行しながら、実際にアプリを開発してみることがアプリ開発のスキルを高める秘訣です。
また、既存のアプリで使用されているコードを確認するなどして、参考にしてみてください。
書籍や学習サイトで学ぶ
アプリ開発の需要に伴い、アプリ開発に関する書籍や学習サイトも充実しています。
実際の工程を説明してくれる学習サイトで配信している内容は、実際のアプリ開発で再現性の高い内容が多いため、確認してみることは有意義です。
スクールに通う
独学でのアプリ開発に行き詰まりを感じたら、プログラミングスクールへの通学も検討してみましょう。
ピンポイントで講師に質問できるため、独学に比べて学習のスピードを高めることができます。
アプリ開発のやり方は自分に適したものを探そう
アプリ開発と聞くと、極めてハードルの高い作業であると考える人も少なくありませんが、アプリの内容によって難易度はまちまちです。
どんなアプリでも構わないので、一旦アプリ開発を行ってみることが上達するコツです。
アプリ開発に悩んだ際にはEMEAO!へのご相談を一度ご検討ください。
この記事を書いた人
編集部員 濵岸
編集部員の濵岸と申します。コンテンツ作成と取材を主に担当しております。身長が低いため学生時代は「お豆」と呼ばれていました!豆らしく、皆様の役に立つ記事を「マメに豆知識を!」の意識で作成します!どうぞよろしくお願いいたします!