ISO9001における適用範囲を決める3つのポイント
公開日:2020.02.27 最終更新日:2021.05.19
本記事では、ISO9001の品質マネジメントシステムの適用範囲についての概要と、範囲の決め方について解説します。
認証取得を目指す際に適用範囲とはなにか、どう決めればよいか分からないという事業者様は、ぜひご一読ください。
そもそもISO9001とは
品質マネジメントシステムであるISO9001ですが、具体的にどのような認証かご存知でしょうか?
ISO9001は、安定した品質の製品・サービスを提供できると認定された際に付与される認証です。
ISO9001取得時に構築する品質マネジメントシステムの運用をすることで、顧客満足度向上につながります。
また、ISO9001を含めるISO認証の取得費用については、ISO認証の取得でかかる費用の相場をご覧ください。
ISO9001を取得するメリット・デメリット
ISO9001を取得することで得られるメリットは、マニュアルがしっかりしているため社員教育がしやすいことでしょう。
つねに改善点を見つけてマニュアルを作成するため、どんな人でも一定の品質を維持することが可能となります。
ただし、デメリットとして責任者の負担が大きくなることと、システムの作り方を誤った場合は逆に業務効率が下がることがあります。
ISO9001における「品質マネジメントシステムの適用範囲の決定」とは
ISO9001の要求事項である「品質マネジメントシステムの適用範囲の決定」とは、構築した品質マネジメントシステムを自社の業務内でどこまで適用するかを決めるということです。
適用範囲を決めることにより、どの部署のどの作業に関して改善をするべきかということが明確になります。
また、最終的にこの品質マネジメントシステムの運用によって、どのような結果を残したいのかという具体的な目標も立てられます。
ISO9001取得における適用範囲の決め方
それでは、ISO9001の取得に向けてどのように品質マネジメントシステムの適用範囲を決めればよいのでしょうか?
ここからは、ISO9001における適用範囲決定の際、企業が注意すべきポイントについて解説していきます。
ポイント①業務に応じた適切な適用範囲にする
ISO9001に関わらずISO認証の適用範囲は、前提として自由かつ柔軟性のある決定が認められています。
ただしISO9001取得を目指すのであれば、基本的には範囲を限定するのではなく会社全体で取り組むべきといえます。
特に、ISO9001は品質の保持という観点で適用範囲を決めるため、かなり幅広い範囲での適用をすることになるでしょう。
たとえば、事業所や部門が複数に分かれているケースや異なる方向性の製品を多く扱っているケースでも、それぞれの品質を保持するという目的が同じであれば全て適用範囲となります。
とはいえ、全く該当する活動がないという場合もあるので、その際は適用範囲外となります。
ポイントは、組織の業務内容に応じて適切な適用範囲を定めるということです。
ポイント②適用範囲の根拠となる要素を把握する
ISO9001の要求事項では、「組織の内外の課題」「利害関係者のニーズ及び期待」「組織の製品・サービス」をもとに適用範囲を考慮することが求められています。
以下に、それぞれの項目についての詳細をまとめました。
「組織の内外の課題」
組織内外の課題とは、品質マネジメントシステムの運用によって、社内と社外の課題解決が期待できるものです。
たとえば、人材不足や設備の老朽化などは社内の課題に該当し、少子高齢化や競合の参入のような、社会全体の課題が社外の課題に該当します。
「利害関係者のニーズ及び期待」
組織を運営するうえで、顧客や株主、取引先銀行など利害関係は必ず発生してきますよね。
利害関係者とは、そのように自社のパフォーマンスに影響を与えたり、逆に影響を受ける可能性のある人や組織のことを言います。
「利害関係者のニーズ及び期待」とは、利害関係者から自社へ対するニーズを考えた品質マネジメントを構築、及び適用を行っていくことが求められているということです。
「組織の製品・サービス」
ISO9001の品質マネジメントシステムの適用範囲を考えるうえで、一番考慮すべきなのが自社で扱っている製品やサービスです。
ほとんどの場合は社内全体で取り組むべきですが、適用できない部門・業務内容がある場合には根拠となる理由の提示を求められることがあるので注意しましょう。
ポイント③適用範囲の文書化
ISO9001の要求事項における適用範囲は、文書化することが求められています。
社外の人に向けて会社の取り組みを明確にするため、非常に重要なことなので忘れないよう注意しましょう。
ISO9001は2015年の改訂によりフォーマットが自由となりましたが、もともと品質マニュアルを維持している組織であればそのままマニュアルに示してよいでしょう。
ISO9001の要求事項とは
ISO9001の要求事項は、2015年に改訂されました。
従来の要求事項より、新たにリスクマネジメントが追加されたりアプローチの要求内容が変更されています。
文書の自由化もその1つで、自社の適用範囲の文書化をする際は自由な形式で作成することが可能となりました。
ISO9001取得におけるマネジメントシステムの適用範囲は、品質に関わる全て
今回は、ISO9001の認証取得に欠かせない、品質マネジメントシステムの適用範囲の概要と決め方を解説しました。
ISO9001に関わるマネジメントシステムの適用範囲は、基本的に品質に関わる全てに適用されます。
提供する製品・サービスはもちろん、人材育成のような一見関係なさそうな部門も該当するケースがあります。
組織内の業務内容を吟味したうえで、適切な適用範囲を設定しましょう。
とはいえ、適用範囲の設定は難しく一般的には専門家の助言を得て決定するものです。
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この記事を書いた人
編集部員 城下
EMEAO!編集部員の城下です。雑誌編集者と人材コーディネーターの勤務経験を生かし、現在はWebコンテンツの作成を担当しています。業者選定ガイドでは真っ白でクリーンな情報を届け、皆様にとって有益な知識の溢れるお城となるようなメディアを目指します。よろしくお願いします!