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ISO9001認証を取得するまでの流れを期間の目安とともに解説

公開日:2019.08.29 最終更新日:2021.07.13

本記事では、ISO9001認証を取得するまでの流れを4つのステップに分けて紹介していきます。
ISO9001認証の取得を検討されている事業者様はぜひ最後までご覧ください。

【おさらい】ISO9001とは?

ISO9001の目的は、品質管理による顧客満足度の向上

ISO9001の目的は、品質管理による顧客満足度の向上

ISO9001とは、製品やサービスの品質の改善を続け、より良いものを顧客へ提供するための国際的なガイドラインです。
ISO9001の内容に沿って自社に合ったマニュアルやルール(品質マネジメントシステム)を作り、そのマニュアルの内容を守ることで自社の製品やサービスの品質をより良いものにすることができるということです。

「マネジメントシステム」とは、企業や自治体のように複数人が集まっている組織が、同じ目標に向かって動くための仕組みです。
この仕組みは、組織を運営するための手順や規定、どの役職の人にどんな権利と責任があるのかといったルールによってつくられます。

そしてISO9001の大きな目標は、品質の改善そのものではなく、適切な品質を提供することによる顧客満足度の向上です。
顧客の満足するものを提供するには、質の良いものである必要があります。
そのために品質を改善していこう、というのがISO9001であり、品質はあくまで顧客満足度向上のための手段であり、そのものが目的ではないことを念頭に置きましょう。

ISO9001認証とは

ISO9001認証とは、ISO9001に沿ったマネジメントシステムを構築し、問題なく運用できている、つまり製品・サービスの品質管理が適切に行えていると認められた企業に付与される証明です。
認証を取得していることで、自社の製品・サービスの品質が保証されていることを内外にアピールする役目があります。

ISO9001認証は誰でも簡単に取得できるわけではなく、二度の審査を経て適切なマネジメントシステムの構築・運用ができていることを認められた企業だけが取得できます。

ISO9001認証を取得するメリット

ISO9001認証を取得しマネジメントシステムを適切に運用することで、ISO9001本来の目的である品質の改善・維持、および顧客満足度の向上まで実現できるという点は大きなメリットです。

また、ISO9001認証を取得できると、自社のWebサイトやパンフレット、名刺などに認証取得を証明するロゴマークを記載できます。
これにより品質管理の体制が整っている企業であることをアピールできるため、取引先や顧客からの信用を得ることができます。

中にはISO9001認証を取得していることを取引条件に掲げている企業や入札案件もあるため、取引機会の拡大という直接的に売上に直結するようなメリットも得られるのです。

ISO9001認証を取得する方法は?

ISO9001認証は、ISO9001の内容に基づいて自社に合った品質マネジメントシステムを構築・運用し、審査に通過することで取得できます。

一見、簡単に見えるかもしれませんが、専門的な知識を要する場面が多いため、まったくの初心者が一から独学で挑戦するのはあまり現実的とは言えません。
では一体どうすればいいのかというと、その専門知識が必要な部分を補い、ISO認証の取得が初めてでも効率的に取得・運用を行えるようサポートしてくれるコンサルティング会社を利用するという方法が一般的です。

コンサルティング会社へのサポート依頼には費用が発生しますが、節約を優先して自力で取得を目指しても一発合格はまず難しく、審査に落ちてしまえばそれまでにかかった時間や審査料金が無駄になってしまいます。

つまり、最もコスパ良くISO9001認証を取得できるのは、コンサルティング会社にサポートを依頼してマネジメントシステムを構築・運用し、審査に臨むという方法なのです。
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ISO9001認証を取得するまでの大まかな流れ

ISO9001認証の取得には、ざっくりと半年ほどかかると見ておきましょう。

認証取得に向けた準備を始めてから実際にISO9001認証を取得するまでの大まかな流れは、大きく4つの段階に分けられます。

審査合格を目指し、まずは社内の体制を整えるところから始まります。

ISO9001認証取得の大まかな流れ

まずは社内の体制を整えるという準備段階からスタートし、ISO9001の「要求事項」に沿ったマネジメントシステムを構築。
そして、実際にマネジメントシステムを運用し、自社にとって適切なマニュアルができているかを確認します。
問題がなければ最後に審査を受け、適合と判断されれば無事に認証取得することができます。

ステップ①ISO9001認証の取得に向けた組織の体制をつくる【目安:1ヶ月】

まずはISO9001認証の取得に向けて社内の環境を整えるという事前準備が大切です。

プロジェクトチームの編成、キックオフ、勉強会の3つの手順を踏んで、ISO9001認証の取得に向けた体制を作っていきましょう。

1.プロジェクトチームを編成する

はじめに、ISO9001認証の取得のために社内でプロジェクトチームを発足させます。

人数や年齢、役職に決まりはありませんが、ある程度社内の事情に精通しており、裁量権を持っている人を中心に集めたほうが後々スムーズに進みます。
プロジェクトチームの人数は、全社員の10%程度の人数が目安とされています。

人選が決まったら、管理責任者や書類作成担当者など、各メンバーの役割を決めます。
また、この時点で予算を決め、サポートを依頼するコンサルティング会社を選びましょう。

2.社内に周知する

プロジェクトチームを結成し、依頼先のコンサルティング会社が決まったら、経営者は全社員に対してISO9001認証の取得を宣言しましょう。

プロジェクトチームに所属し実際に認証取得までに動くのは一部のメンバーのみですが、ここで全社員に対しキックオフ宣言を行うことは重要です。
なぜなら、ISO9001認証の取得および運用は組織全体で取り組むことであり、プロジェクトチームに所属していない従業員もしっかりと当事者意識をもつ必要があるためです。

3.社内勉強会

キックオフを終えたら、認証取得に向けてチームも動き出します。
とはいえ、知識が不十分な状態では、何をすればよいのかもわからない状態です。

具体的に動き出す前に、ISO9001について基礎的な知識を身に着ける必要があります。
そのため、まずはチームメンバーで勉強会や研修に参加しましょう。

コンサルティング会社によっては、担当コンサルタントが社内勉強会を開いたり、ITツールを活用して効率良く勉強する方法をレクチャーするといったサポートを行っているため、取得が全くの初めての場合は社内教育も含めて相談しましょう。

ステップ②品質マネジメントシステムの構築【目安:1~3ヶ月】

組織内でのISO9001認証の取得に向けたプロジェクトチームの下地づくりを終えたら、いよいよ品質マネジメントシステムの構築に入ります。
ISO9001の要求事項をしっかりと理解し、抜け漏れのないマネジメントシステムを目指しましょう。

このとき押さえておきたいのは、あくまでも自社に適切な品質マネジメントシステムを目指すということです。
“自社に適切”とは具体的にどのようなことかというと、業種や業務内容、従業員の規模、会社の理念・方針など自社の条件に見合ったものということです。

自社と全く業務内容や規模の違う他社のマネジメントシステムを参考にするのは、もちろん現実的ではありません。
しかし、中には自社に見合わない内容のマネジメントシステムを構築してしまい、その後の適切な運用ができなくなってしまうという失敗例もあります。
せっかく費用と手間をかけて認証取得を目指すのですから、しっかりと自社にとって適切なマネジメントシステムを構築できるよう心がけましょう。

1.品質管理の方針・目標を策定する

まずは、これから自社の製品・サービスの品質をどのようにしていきたいのか、目標を定めます。

目標設定のためには、社内の課題、および社会全体の課題を洗い出し、その課題を自社の活動でどのように解決できるか? を考えます。
また、自社は顧客や取引先からはどのようなことを期待されているのか、どう応えることができるのか? という点も大きな判断材料となります。

このとき、各部署にヒアリングを行うなどして現場の声をよく聞くことが、実際の現場との乖離がない適切なマネジメントシステムの実現につながります。

2.マネジメントシステムの適用範囲を決定する

品質管理の目標が決まったら、マネジメントシステムを適用させる範囲を決めます。

適用範囲は企業全体に設定しても問題ありませんが、部署ごと、支店ごと、製品ごとといったように一部に決めることもできます。
ただ好きな範囲を決めればよいというわけではなく、ポイントは、適切な範囲を制定するということです。

目標設定の段階で洗い出した課題を踏まえ、どの範囲までマネジメントシステムを適用すればそれらを解決できるのか? ということを考えれば、適切な適用範囲が見えてくるはずです。

3.品質マネジメントシステムを構築する

ISO9001の要求事項に沿って、自社製品・サービスの品質に関するルールを策定していきましょう。
まず、適用範囲における現在の業務内容を見直し、ISO9001の要求事項との間にギャップがないかを確認します。

現在の業務内容とISO9001の要求事項との間にギャップがあるのなら、対応策を考えます。
そして、対応策を盛り込んだ品質マネジメントシステムを新しく構築し、従業員は具体的にどのように動けばよいのか? といったことを示すマニュアルを作成します。

これでひとまずは、マネジメントシステムが完成です!

ステップ③品質マネジメントシステムの運用・改善【目安:3~4ヶ月】

マニュアルが完成したら終わり、というわけではありません。
ISO9001のマネジメントシステム運用において重要なのは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)のPDCAサイクルを繰り返していくこと。

PDCAサイクルを回してマニュアルを改善しよう

ISO9001認証取得におけるPDCAサイクルの仕組み

ここまでで行ったのは、実はまだPlanの段階なのです。

実際にマニュアルを社内で運用し、出てきた問題点を解決してPDCAサイクルを回していくことが必要です。

1.品質マネジメントシステムに関する社内教育を行う

キックオフ宣言をしたとはいえ、プロジェクトチームに所属していない従業員にとっては、ある日突然「ISO9001を今日から運用します」と言われても混乱してしまうでしょう。

まずは、構築したマネジメントシステムについての教育を社内で行います。
目的や内容を社内に浸透させ、理解を深められるような教育を行いましょう。

また、のちの“内部監査”というフェーズで必要になる内部監査員という役割を担う社員もこのタイミングで選定し、内部監査員に必要なことを教育しましょう。
基本的には、他部署の社員がそれぞれの部署の内部監査を行います。

2.現場で品質マネジメントシステムを実際に運用する

社内教育をある程度進め、そもそもISO9001とは何なのか? という部分をチーム外の従業員にも共有できたら、作成した品質マネジメントシステムを現場で動かします。

実際に運用をしながら問題点と向き合うことで、マネジメントシステムの構築時には気付かなかった問題点や改善点などがわかります。

3.内部監査の実施・改善

品質マネジメントシステムが適切に運用できているか、その運用によって実際に効果が見込めるかどうかを同じ組織内の人間がチェックを行う“内部監査”を実施します。

内部監査の結果、改善点や課題が見えてくるはずですので、マネジメントシステムを今一度見直して指摘のあった点はここで必ず改善しましょう。

4.マネジメントレビューの実施・改善

内部監査、および内部監査を受けてのマネジメントシステム見直しを終えたら、経営者を含む経営陣による“マネジメントレビュー”というものを実施します。

マネジメントレビューでは、内部監査の結果や顧客からのフィードバックなど総合的なデータを参照し、品質マネジメントシステムによる改善結果はみられるかどうかを判断されます。

マネジメントレビューでも指摘事項があった場合はここでマネジメントシステムの見直し・是正を行います。

ステップ④ISO審査機関による審査・認証取得【目安:1ヶ月】

ISO認証の審査は、文書審査と実地審査の2種類あります

マネジメントシステムの運用から3ヶ月程度経ったタイミングを目安に、いよいよISO認取得の審査を実施します。
審査は「文書審査」と「実地審査」の2回あり、それぞれに通過したら無事認証取得となります。

1.ISO審査機関を選び、契約する

社内での準備が終わったら、審査機関と契約します。
ISO9001の審査を行っている機関は複数あるので、自社に合った審査機関を選択するといいでしょう。

2.ISO審査機関による文書審査(一次審査)を受ける

最初の審査はマニュアルなどの文書を対象とした審査です。
ここでは、実際に構築・運用しているマネジメントシステムがISO9001の規格要求事項に沿っているかどうか、適切なものかどうかを判断されます。

文書を中心とした審査といっても、実際に審査員が会社まで足を運んで色々と質問を受けることになります。
事前に全社的なマネジメントレビューや研修を実施し、どの従業員もある程度の質問に答えられるような環境を整えておくとよいでしょう。

3.文書審査での指摘事項を改善する

文書審査の結果、マネジメントシステムがISO9001の内容に沿っていないと指摘された場合は、定められた期限内にマネジメントシステムの修正を行い、再提出する必要があります。

4.ISO審査機関による実地審査(二次審査)を受ける

実地審査は文書審査の約1ヶ月後に行われます。
審査員は作業現場を見ながら、品質マネジメントシステムが正しく運用されているかをチェックします。

文書審査同様、実地審査で指摘があった場合は、後で改善報告を提出する必要があるので、覚えておきましょう。

5.審査登録を行う

改善報告を提出して、無事に登録可の認定を受ければ、ついに審査登録へと進むことができます。
最終報告書と登録料の請求書が送付され、入金後に認証書が発行されます。

認証が付与されるおおよその目安は、審査終了から1~2ヶ月程度です。

ISO9001認証取得にかかる費用

ISO9001の認証取得にかかる費用の内訳は、コンサルティング費用と審査費用の2つです。

コンサルティング費用の相場は少ない場合で50~60万円ほど、基本料金の相場は50~100万円ほどで、いずれも会社の規模をはじめとする条件により具体的な費用は変動します。
つまり、ISO9001の認証取得にかかるトータル金額は最低100万円からと思っておけば問題ありません。

具体的な相場や費用をできるだけ安く抑える方法など、詳細な内容はISO認証取得費用の相場解説記事をご覧ください。

ISO9001認証取得にかかる期間の目安は半年程度

以上、ISO9001認証の基本的な概要や取得までの流れについて解説しました。

ISO9001認証を取得するためには、新しく品質マネジメントシステムを構築・運用するのはもちろん、2回の審査を受けて指摘事項を改善していく必要があります。

本記事を読んで取得までの流れを把握し、事前準備から取得完了まで気を抜かず取り組む決意を固めましょう。

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この記事を書いた人

編集部員 河田

編集部員の河田です。編集プロダクションでの書籍編集の経験を経て、現在はEMEAO!のWebコンテンツ編集・執筆とお客様へのインタビューを担当させていただいています。日々、コツコツと皆さんのお役に立つ情報を発信していきます!よろしくお願いします。

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