Pマークで求められる社内教育の方法とは?テストのサンプル問題も紹介
公開日:2023.11.30 最終更新日:2023.11.30
Pマーク(プライバシーマーク)を取得するためには、個人情報保護の教育を社員に施す必要があります。
本記事では、Pマークの社内教育の定義や目的、Pマークで求められる社内教育の方法について解説します。テストのサンプル問題も紹介しているので、社内教育を実施する際の参考にしてください。
Pマークの社内教育とは
Pマークの規格「JIS Q 15001:2017」では、全ての従業員に対して、個人情報保護に関する教育を実施することが義務付けられています。
Pマークに関する社内教育では、以下の内容を指導する必要があります。
- 個人情報保護方針((内部向け個人情報保護方針及び外部向け個人情報保護方針)
- 個人情報保護マネジメントシステムに適合することの重要性及び利点
- 個人情報保護マネジメントシステムに適合するための役割及び責任
- 個人情報保護マネジメントシステムに違反した際に予想される結果
組織は、個人情報保護を従業員へ認識させるために、年1回以上は教育を実施しなければなりません。
Pマークの社内教育を実施する目的
Pマークの社内教育を実施する主な目的は、従業員の情報セキュリティに対する意識低下や、情報漏えいの発生などを防ぐことです。
特に新卒社員や若手社員は、個人情報の重要性や取り扱い方法の知識が不足している傾向のため、念入りに教育する必要があるでしょう。
Pマークの社内教育を実施する手順
Pマークの社内教育を実施する際には、まずは手順を把握しましょう。
- 対象者の把握
- 利用する教材の準備
- 社内教育の実施
それぞれ詳しく解説します。
1.対象者の把握
Pマークの社内教育を実施する際には、まずは教育を受ける対象者の人数を把握しましょう。正社員のみでなく、契約社員やアルバイト、パート社員なども受ける必要があります。
2.利用する教材の準備
対象者の人数を把握できたら、教育で利用する教材を準備します。利用する教材に決まりはないため、自社のニーズに応じた適切なものを選定しましょう。
3.社内教育の実施
利用する教材の準備ができたら、教育方法やスケジュールを決め、社内教育を実施します。教育方法はさまざまなので、自社に合った方法を選択しましょう。
Pマークで求められる社内教育4つの方法
Pマークで求められる社内教育の方法は、主に4つあります。
- 集合教育
- eラーニング
- 動画教育
- 外部講師による研修・セミナー
それぞれ詳しく解説します。
1.集合教育
従業員を集めて一斉に教育を実施する、集合教育があります。集合教育は、従業員が知識を習得するまで、自社の裁量で繰り返し行える点がメリットです。
また、教育内容を自由に設定できるので、自社のニーズに合わせた教育を実施できます。しかし、事業拠点が複数ある組織や企業では、従業員が会場へ移動する際に負担が生じる可能性もあるでしょう。
2.eラーニング
eラーニングとは、パソコンやタブレット、スマートフォンなどを使用し、インターネット上で学習する形態です。
端末とネットワーク環境さえあれば、場所や時間を問わず教育を進められます。サービスによっては、受講者の学習進捗度や効果測定を管理できるものもあります。
3.動画教育
セミナーや講演などを撮影した動画を利用し、社内教育する方法もあります。一度動画を撮影すれば、何度も利用できる点がメリットです。
また、従業員それぞれが好きな時間や場所で動画を視聴できるため、効率的に教育することも可能です。一方で、社内の方針やルールに変更があった場合、撮影や編集が再度必要になる点がデメリットです。
4.外部講師による研修・セミナー
外部講師を招いて研修やセミナーを実施する方法も挙げられます。研修やセミナーを通して、専門家による解説を聞けることはもちろん、疑問点を直接質問できる点もメリットといえます。
ただし、講師のスケジュールが合わない、講師によってセミナー質に差が出るなどの可能性もあるでしょう。
Pマークの社内教育を実施する時期・頻度
Pマークの社内教育は、年に1回以上実施する必要があります。しかし、多くの会社では、年に1回の教育ではなく、入社教育も都度実施されています。入社教育とは、自社に新しく入社してきた従業員に対して、入社後すぐに教育を実施することです。
実施する時期については、会社ごとに自由に決められ、全従業員を同時期に教育しなくても構いません。
Pマークの社内教育における「効果測定」とは
Pマークの社内教育を実施した後は、効果測定を実施します。効果測定は、受講者が教育内容を理解しているかどうかを確認するテストを意味します。
Pマークの社内教育は実施して終わりではなく、全従業員が教育内容を理解できている状態であることが求められます。理解度を確かめる指針として、合格基準を明確に定めたテストを実施しましょう。テストは、教育内容を網羅した内容にします。
PマークとISMS教育との違い
ISMSとは、情報セキュリティマネジメントシステムの略称で、情報セキュリティ確保の仕組みを意味します。ISMSの教育は、業務・セキュリティに関する知識や技術、経験などを身につけるためのものです。Pマークの教育のように、全従業員に実施する必要はありません。
Pマーク教育テストのサンプル問題
Pマークの社内教育を実施する際には、教育テストの問題を準備する必要があります。ここでは、個人情報保護教育と運用ルールのサンプル問題を紹介します。
個人情報保護教育のサンプル問題
個人情報保護教育のサンプル問題は、以下の通りです。
1.名刺は、個人情報にあたる。
A:Yes
2.個人情報を含んだファイルをメール添付する際には、ファイルにパスワードをつける必要がある。
A:Yes
3.業務上必要であれば、ファイル共有ソフト(Winnyなど)を自己判断で、インストールしても問題ない。
A:No
4.個人情報を含む案件について外部へ依頼する際には、外部に管理監督者としての責任を負ってもらう必要がある。
A:Yes
5.個人情報を含んだ紙媒体などを手渡しする際は、授受の記録を残さなくてよい。
A:No
6.氏名や住所別に分類したアンケート用紙は、「個人情報データベース等」に当たらない。
A:No
7.個人情報を取得する際には、利用目的を明らかにし、目的の範囲内で利用する必要がある。
A:Yes
運用ルールのサンプル問題
1.業務効率化を図るために、パソコンのスクリーンセーバーの設定をオフにした。
A:No
2.業務中に、少し席を外しただけのため、個人情報の記載がある書類を机に置いたまま離れた。
A:No
3.パソコンにウイルス対策ソフトをインストールしても、更新しなければ、ウイルスに感染する危険性がある。
A:Yes
4.件名に「重要情報」と記載のあるメールが届いたため、すぐに添付ファイルを開封した。
A:No
5.会社が管理する個人情報を営利目的や故意に持ち出したら、懲戒処分になる可能性がある。
A:Yes
まとめ:Pマークの社内教育環境を整えよう
Pマークを取得する際には、全従業員に対し、個人情報保護に関する社内教育を実施する必要があります。まずは対象者を把握し、利用する教材を選んだ後、社内教育を実施しましょう。
社内教育の方法は、集合教育、eラーニング、動画教育、外部講師による研修・セミナーなど、さまざまです。自社に最適な教育方法を選択して、Pマークの社内教育を進めましょう。
この記事を書いた人
hata