ISO9001とISO14001とは?違いや統合について解説
公開日:2023.12.16 最終更新日:2023.12.16
ISO9001とISO14001といったマネジメントシステムについて、違いがよく分からないなど悩んでいる方も少なくありません。また取得することで得られるメリットや、統合の方法を知りたいかたも多いと思います。
今回は品質マネジメントシステムであるISO9001と、環境マネジメントシステムであるISO14001の違いや、統合する方法も解説します。
初めての方でも理解しやすいように丁寧に解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
ISO9001(品質マネジメントシステム)とは
ISO9001(品質マネジメントシステム)とは、世界中で規定されている国際規格です。マネジメントシステムの国際規格の中では、170以上の国、100万以上の組織で利用されています。
また、ISO9001は組織が認証取得するための要求事項を次のように定めています。
- 製品やサービスの提供を一貫しておこなうこと
- 製品やサービスの取引先である顧客の満足度の向上につなげること
この2つの要求事項を守ることで組織の品質保証が担保され、社会的な信頼にもつながります。
ISO14001(環境マネジメントシステム)とは
ISO14001(環境マネジメントシステム)は環境における国際規格です。環境問題に配慮している組織としての証明にもなります。
ISO14001でも、以下3つの要求事項が定められています。
- 環境へのパフォーマンスを向上させること
- 環境マネジメントシステムにおける順守義務を満たしていること
- 環境に対する目標を達成すること
ISO14001の認証取得により、コストの削減につながるメリットがあります。
ISO9001とISO14001との違い
ここで、品質マネジメントシステムであるISO9001と環境マネジメントシステムであるISO14001の違いは、以下の3点です。
- 焦点
- 目的
- 応用範囲
それぞれの違いを把握し、理解を深めてください。
焦点
ISO9001の焦点は、基本的に品質の保証や管理です。この品質の保証や管理は、取引をおこなう顧客の満足度を向上させることにもつながっています。つまり、最終的な焦点は取引先の満足度に向いているのです。そのため、より品質の良い製品やサービスを提供することや、効率よく増産できるようなマネジメントシステムであるといえます。
一方ISO14001は、組織や企業の活動における環境への影響に焦点を当てています。環境を保護するために不良品などを出さないことや、電気やガスなどの削減を第一に考えるマネジメントシステムです。
目的
ISO9001の目的は、顧客の満足度を向上させることで、高品質なサービス提供だけでなく、適性な価格や納期も重要視されています。Quality(品質)、Cost(価格)、Delivery(納期)の適度なバランスが、顧客の満足に結びついているともいえるでしょう。
一方ISO14001の目的は、環境に対するリスクを減らすことや環境保全への貢献度を向上させることです。ISO14001には、環境を守る取り組みをしながら、自社のコストを削減していくための目的も含まれます。
応用範囲
ISO9001は、品質マネジメントシステムであるため、広い範囲で応用できます。具体的な組織例としては、以下のようなものです。
- 製造業
- サービス業
- 医療機関
- 教育機関
一方、環境マネジメントシステムであるISO14001の応用範囲としては、次のような例があります。
- 製造業
- サービス業
- 建設業
- エネルギー業界
製造業やサービス業は、環境への配慮をした上で組織を運営するという点で、ISO14001の応用が可能です。加えて、建設業やエネルギー業界においても環境保全のための取組みが必要となるため、ISO14001の応用範囲といえるでしょう。
ISO9001・ISO14001認証を取得するメリット
それぞれの認証取得によって得られるメリットとして、以下の3点について解説します。
- 競争力の強化
- 取引条件への適合
- 継続的な改善
競争力の強化
ISO9001・ISO14001の認証取得をすることで、他の組織に対する競争力を強化できます。
ISO9001は、品質の向上や管理を徹底していることを示す指標ですので、顧客の信用にもつながります。他の組織や企業との差を生みだすことで、利益の向上が期待できるでしょう。
ISO14001の認証取得においても同様です。環境への取り組みがなされていることは、社会的にも貢献している組織であると示すことが可能です。
取引条件への適合
ISO9001とISO14001の認証取得は、それぞれのマネジメントシステムを確立していて、顧客が要求する条件へ適切に対応できる点もメリットです。
条件への対応の幅が広がることで、組織や企業のイメージ向上にも貢献できます。加えて顧客の満足度を高めることにもつながり、企業としての本来の目的を果たすことに結びついていきます。
継続的な改善
ISO9001・ISO14001を認証取得した組織や企業は、継続的に品質や環境保全への対応を改善する必要があります。そのためには、品質向上や環境保全に対する継続的な改善を繰り返すことが大切です。
これにより、環境保全や品質に対する組織や企業の活動が加速し、取引相手である顧客の信頼や満足度向上が期待できるでしょう。
ISO9001とISO14001の統合について
ここでは、それぞれの統合について以下の3点を解説します。
- 統合すべきケース
- 統合しない方がいいケース
- 統合する方法
統合すべきケース
ISO9001とISO14001の統合すべきケースとしては、それぞれの違いを把握した上で、業務の効率化を図る場合です。
ISO9001の認証取得で品質保証を、ISO14001の認証取得によって環境保全を意識している組織や企業とみなされます。組織や企業によっては、品質保証をするために、環境保全を行わなければならない場合も少なくありません。この場合は、統合するべきであるといえるでしょう。
またそれぞれ個別に認証取得するよりも、統合して取得する方がコストの削減になることが多いです。さらに2つを同時に認証取得する場合、審査回数も1回で済ませることも可能です。
統合しない方がいいケース
組織や企業内で、品質部門と環境部門が分かれている場合は、それぞれのマネジメントシステムを別々に取得する方が望ましいでしょう。
品質部門と環境部門で、異なる責任者が配置されている場合、それぞれの部門の責任者同士で、取得のために調整をしなければなりません。調整の必要性が出てくると、組織や企業にとっては負担になってしまいます。
統合する方法
統合には、審査を統合する方法と、マネジメントシステムを統合する方法があります。
審査を統合する方法は、ISO9001とISO14001それぞれの審査を1回で行う方法で、「複合審査」と呼ばれることもあります。本来であれば規格ごとに異なる時期に行う更新審査や維持審査を、1度に済ませてしまう方法です。
マネジメントシステムを統合する方法は、「統合審査」とも呼ばれます。同じマネジメントシステムで異なる規格の審査を行うことから、「マネジメントシステムが統合されている」という点で、複合審査とは違います。
いずれの方法で統合しても、審査日程がコンパクトになりスケジューリングしやすいことや、同じ審査機関に依頼するためコストカットにつながるケースがあるなどのメリットがあります。
まとめ:ISO9001とISO14001の認証取得の強み
ISO9001とISO14001には、それぞれ異なった特徴があります。しかし、認証取得によって達成すべき最終的な目標は「顧客満足度の向上」です。ISO9001とISO14001を認証取得すると、顧客へのアピールができます。
他の組織や企業とは違う「マネジメントシステム」を確立していることは、大きなアドバンテージになるでしょう。また、組織や企業の大きさや部署によっては、統合を考えてみるのも良い方法です。
この記事を書いた人
hata