ISOとJISの違いとは?関係性や規格が異なる例をわかりやすく解説
公開日:2023.12.19 最終更新日:2023.12.19
ISOとJISは規格を表す言葉ですが、具体的な違いがわからない方も多いのではないでしょうか。
両規格の内容がわからなければ、結局どちらに従うべきなのかわからずモノづくりの際に混乱してしまう可能性があります。
この記事ではISOとJISの違いや関係性、規格が異なる実際の例を丁寧に解説します。ぜひ最後までご覧ください。
ISOとJISの違いは国際規格か国内規格か
ISO(国際標準化機構)はモノづくりに関する国際規格なのに対し、JIS(日本産業規格)は国際規格を訳した国家規格です。
JISの内容はISOの他にもIEC(国際電気標準会議)、ITU(国際電気通信連合)の2つの国際規格が含まれ、さらに産業標準化法をもとに作成されています。
ISOは国際規格
ISO(国際標準化機構)とは、国家間でスムーズな取引を行うため世界で共通する標準規格を取り決めている非政府組織です。
1947年に発足したISOは、重量、長さ、寸法といった基本的なものから情報やネットワークなど目に見えないものまであらゆる分野で活用されています。
ISOの目的は国家同士が協力しながら技術・知識・経済・科学分野での活動を発展させていくことにあり、加盟国は167ヵ国、規格数は24,000以上です。
ISOが取り決めた規格はマネジメントシステム規格と、モノ規格と呼ばれる方法規格、製品規格、基本規格があります。
JISは国内規格
JIS(日本産業規格)はISO、IEC、ITUの国際規格を訳し、産業標準化法を考慮してつくられた国内規格です。
電化製品や自動車など産業製品に関するものから、プログラムコードなど情報処理やサービスに関する規格も取り決められています。
規格を取り決め、標準化を進めることで利便性や公正性の確保、生産の効率化や技術進歩の促進、環境保全や安全や健康を保つことが可能です。
身近な例をあげると電池は単3形など大きさが決められているので、どの商品にも使用できます。他にも、駅や交差点など公共空間で使われている案内音は、周波数や音楽の流れる時間が決められ、目の不自由な人や高齢者も聞き取りやすいようになっています。
ISOとJISの関係性
ISOとJISは関係性があります。
ISOは1947年に発足した非政府組織で、JISはISOの内容を普及させる目的で1949年に制定された工業標準化法をもとに作成されました。
国際規格であるISOを日本語に訳したものがJISです。 内容もISO規格に準じたもので、違いはありません。すでに国内規格がある場合は、ISOと整合性を保つことが義務付けられています。
ISOとJISが定められた理由は、国際貿易を活発化させるため
ISOとJISが定められた理由は、国際貿易を活発化させるためです。
ISOが制定され、その後JISが発足したことで国際貿易の活性化につながりました。
1996年に欧州規格のひとつであるEN規格と国際規格のIEC(国際電気標準会議制定)によって、モノやサービスに関する品質の一貫性が図られました。これは1967年のEC(欧州共同体)発足がきっかけとなっています。
つまりJISとISOが定められた理由は、さまざまな国同士での円滑な国際貿易を実現しようとした目的があげられるということです。
ISOとJISの対応表をつくる方法とは
ISOやJISではさまざまな素材やサービスの規格が取り決められており、それらすべてが載った対応表を探すことは難しいです。
調べたい素材があるときはJIS・国際規格の整合性情報にJIS番号を入力すると対応するISO番号が調べられます。
具体的には以下のとおりです。
- ネット上で調べたい素材のJIS番号を検索する
- JIS番号を上記のサイトに入力する
- 検索ボタンを押す
他にも専門分野のサイトには、素材によって対応表が載せられていますので以下を参考にしてください。
ISOとJISの規格が異なる例
ISOとJISの規格が異なる例を3つ紹介します。
ISO | JIS | |
ねじ | ①ユニファイねじ、メートルねじが扱われてる ②ねじのピッチ(ギザギザになっている部分の頂点同士の間隔)が異なる 例、M3のねじ:0.5mm | ①ISOにないウィットねじも扱われている ②ねじのピッチ(ギザギザになっている部分の頂点同士の間隔)が異なる 例、M3のねじ:0.6mm |
用紙 | B版のサイズがJISと異なる 例、B4:250 x 353 | B版のサイズがISOと異なる 例、B4:257 x 364 |
ホイール | PCD(ホイール中心部のボルト穴の中心点を結んだ円の直径)が19.5インチのホイールでは275mm | PCD(ホイール中心部のボルト穴の中心点を結んだ円の直径)が19.5インチのホイールでは285mm |
それぞれの違いは以下のとおりです。
ねじ
ISOよりJISで規定されているねじの種類が多く、ISOの規格や寸法でないものがさまざまな業界で使われています。
違いが発生した原因は、日本古来から使われてきたJISのねじとISOを統合する際、古いものを付属書の取り扱いにしたものの市販品として残ったためです。
たとえば、ISOでは現在「ユニファイねじ」と「メートルねじ」が規定されていますが、1968年に廃止された「ウィットねじ」も実際の業務では使用され続けています。
他にもナットの種別、小ねじ頭形状、ワッシャー寸法で違いが見られ、実際の業務ではISOと統合する前のJISが利用されている場合も多いです。
用紙
ISOとJISでは、A版は共通したサイズなのに対しB版は異なります。
日本で主に採用されているJISのサイズはISOよりひとまわり大きいことが特徴です。JISのB判サイズは日本以外にも中国や台湾で同じものが使われています。
B判の具体的なサイズと主な用途は以下のとおりです。
B判 | ISO(mm) | JIS(mm) | 用途 |
B0 | 1,000 x 1,414 | 1,030 x 1,456 | 大判ポスター、図面 |
B1 | 707 x 1,000 | 728 x 1,030 | 大判ポスター |
B2 | 500 x 707 | 515 x 728 | ポスター |
B3 | 353 x 500 | 364 x 515 | 電車の中吊り広告 |
B4 | 250 x 353 | 257 x 364 | チラシ、グラフ誌 |
B5 | 176 x 250 | 182 x 257 | チラシ、週刊誌、教科書、辞典 |
B6 | 125 x 176 | 128 x 182 | 一般書籍 |
B7 | 88 x 125 | 91 x 128 | 手帳 |
B8 | 62 x 88 | 64 x 91 | ー |
B9 | 44 x 62 | 45 x 64 | ー |
B10 | 31 x 44 | 32 x 45 | ー |
ホイール
ホイール中心部のボルト穴の中心点を結んだ円の直径を表すPCDも、ISOとJISで異なります。
たとえば、19.5インチのホイールの場合ボルト穴数はISOもJISも8つですが、PCDは275mm(ISO)と285mm(JIS)です。
19.5インチではボルト穴数が同じため、JIS方式ホイールをISO方式車両に装着してしまう間違いがおきやすいです。
しかし、それぞれに互換性はなくISO方式車両にはISO方式のホイールしか対応しないため、組み合わせが違うと十分な締め付け力が得られず、ホイール亀裂や車輪脱落事故につながります。
ホイールの識別はラベルを見て確実に行いましょう。
参考:日本自動車タイヤ協会 大型車ホイールの新・ISO方式について
まとめ:ISOとJISの違いを理解することがモノづくりでは必要
ISOとJISの違いはISO(国際標準化機構)がモノづくりに関する国際規格なのに対し、JIS(日本産業規格)は国際規格を訳した国家規格です。
JISはISOの内容を普及させる目的で制定されました。
ISOとJISで整合性が図られているものの、日本特有の規格や寸法が使われ続けている例もあり、ねじや用紙、ホイールがこれにあたります。
サイズのズレなどISOとJISの違いを理解することがモノづくりでは必要です。
この記事を書いた人
hata