ISOマネジメントシステムとは?種類や取得する手順を解説
公開日:2024.01.23 最終更新日:2024.01.23
ISOマネジメント規格は、組織の運営と品質管理に不可欠な国際基準です。モノ規格やマネジメント規格に分類され、さまざまな種類があります。
本記事では、ISO規格の種類や取得手順、重要性について詳しく解説します。ISOマネジメント規格について詳しくない方でも分かりやすいよう説明しますので、ぜひ最後までご覧ください。
ISOマネジメント規格とは
ISOマネジメント規格は、モノ規格とマネジメント規格に分かれています。
モノ規格
「モノ規格」とは、具体的な製品や材料、プロセスに関する要求事項を定めたISO規格です。
製品の安全性のほか、信頼性、効率性を確保するための基準や指針で、消費者の安心と信頼を得るために重要です。例えば、電子機器の安全性に関する規格や特定の材料の品質基準などが含まれます。
国際市場における製品の競争力の向上や、消費者の信頼獲得につながります。また製品の品質向上や革新も期待でき、持続可能な製造プロセスを推進する効果もあります。
マネジメント規格
「マネジメント規格」は、組織の運営や管理に関する枠組みを定める規格です。組織の効率的な運営、リスク管理、品質管理、環境保護などを包括し、組織のマネジメントシステムの効果を高めます。
ISO 9001(品質管理システム)、ISO 14001(環境マネジメントシステム)、ISO 27001(情報セキュリティマネジメントシステム)などがこのカテゴリに含まれ、組織の効率的かつ持続可能な運営を目指します。
国際的な基準に従っていることが証明できるため、グローバル市場での競争力を向上させます。また顧客の期待に応え、継続的な改善と革新を促進することで、長期的な顧客満足度を高めることも可能です。
ISOマネジメント規格の種類
ISOマネジメント規格にはさまざまな種類があります。ここからは、7つのISOマネジメント規格の種類をご紹介します。
ISO 9001
ISO 9001は、品質管理システムの設計、実施、維持に関する国際的な基準です。顧客満足を最優先し、製品やサービスの品質を継続的に改善するプロセスを示します。
この規格は、企業が一貫した品質の製品とサービスを提供し、顧客の要求に対応することを目指しています。
ISO 14001
ISO 14001は、組織が環境への影響を管理し、持続可能な運営を行うための枠組みです。
環境パフォーマンスの改善、リソースの効率的な使用、廃棄物の削減など、環境保護と組織の経済的な目標を両立させることを目指しています。
ISO 27001
ISO 27001は、情報セキュリティのリスク管理に焦点を当てた規格です。組織が情報資産のセキュリティを保護し、機密性、完全性、可用性を維持するための指針となります。
これにより、情報セキュリティ事故のリスクを減少させ、顧客や利害関係者の信頼を獲得できます。
ISO 22000
ISO 22000は、食品の安全性を保証するための規格です。食品チェーン全体での食品安全のリスクを管理し、安全で健康的な食品の提供を目指しています。
消費者への信頼を高め、企業のブランド価値向上につながります。
ISO 27017
ISO 27017は、クラウド環境における情報セキュリティの管理に特化した規格です。
クラウドサービス提供者と利用者に対して、セキュリティのベストプラクティスと制御の指針を提供し、クラウドサービスの安全性と信頼性を向上させます。
ISO 20000
ISO 20000は、ITサービスの提供と管理に関する国際基準です。ITサービスの品質、効率、信頼性を向上させるためのプロセスと方法論により、顧客満足度の向上を目指します。
ISO 21001
ISO 21001は、教育機関に特化したマネジメントシステム規格です。教育サービスの質を向上させ、教育機関が社会的責任を果たすことを支援します。
具体的には、生徒や利害関係者のニーズに応じた、効果的な教育サービスの提供を促進します。
ISOマネジメントシステム規格を取得する手順
ISOマネジメントシステム規格を取得する手順は、3つのステップに分類できます。
- 事前準備
- マネジメントシステムの改善
- 審査
それぞれの内容を確認し、取得を目指しましょう。
事前準備
事前準備段階では、ISO規格に関する知識を深め、自組織に適切な規格を選定します。ISO規格の要求事項に関する十分に理解し、現在のマネジメントシステムを評価する作業が含まれます。
また規格取得の目的と目標を明確にし、組織内でのコミュニケーションとスタッフのトレーニングを行うことも重要です。初期の目標設定と計画は、後のステップを効率的に進めるための基盤となります。
マネジメントシステムの改善
このフェーズでは、ISO規格の要求事項に基づいて既存のシステムを見直し、必要に応じて変更します。
具体的にはプロセスの再設計、リスク管理の強化、品質管理の改善などです。また手順の文書化や内部監査を通じて、マネジメントシステムの適合性と効果を確認します。
この段階での継続的なレビューと改善は、組織の全体的なパフォーマンス向上に影響を与えます。
審査
審査では、外部の認定機関による正式な評価が行われます。審査員は、組織のマネジメントシステムがISO規格の要求事項を満たしているかを確認し、必要に応じて改善内容を提案します。
審査には文書のレビュー、現場訪問、従業員への聞き取りなどが含まれます。審査を通過するとISO認証を取得でき、継続的な改善と定期的な再審査を通じて認証を維持することが可能です。
ISOマネジメントシステム規格を取得する理由
ISOマネジメントシステム規格を取得する理由として、3つの内容を解説します。
生産性アップにつながる
ISO規格はプロセスの効率化と最適化を促進し、組織の生産性向上が期待できます。規格の要求事項に従うことで、無駄の削減、リソースの効率的な使用、および運営プロセスの効率化が可能です。
例えばISO 9001の品質管理システムは、エラーの削減と作業プロセスの改善により生産効率を高めることを目指しているため、最終的にコスト削減と収益増加が期待できます。
社会的信頼が確立できる
ISO規格の取得は、組織が国際的な基準に従って運営されていることの証明につながります。信頼の証として、利害関係者や市場に対して組織が品質、安全性、環境保護などの面で責任を持って運営していることが示されます。
環境マネジメントシステムであるISO 14001では、企業が環境に配慮した責任ある運営をしていることをアピールできます。
顧客満足度の向上が期待できる
ISO規格は顧客ニーズの理解と対応を重視しており、顧客満足度の向上に役立ちます。結果として、品質管理やサービスの改善を通じて顧客の期待に応え、長期的な顧客関係の構築が可能です。
ISO 9001の場合、顧客のフィードバックを活用し製品やサービスの質を継続的に向上させることが推奨されています。そのため、顧客満足度の向上と新たなビジネス機会の創出が期待できるでしょう。
まとめ ISOマネジメントシステムを取得しよう
本記事では、ISOマネジメント規格について幅広く解説しました。製品の安全性や効率性を高め、組織のマネジメントシステムを改善するための国際的な基準です。
本記事を参考に、自組織において適切な種類を選び、ISOマネジメントシステムの認証取得を目指しましょう。
この記事を書いた人
hata