ISO認証においてPDCAが重要な理由を解説
公開日:2024.01.24 最終更新日:2024.01.24
本記事では、品質管理と問題解決の鍵となるPDCAサイクルについて、各フェーズ「計画(Plan)」「実行(Do)」「評価(Check)」「改善(Action)」の重要性と、それぞれの関連性を紹介します。
ISO認証にける、PDCAサイクルの活用方法などをまとめているので、ぜひ最後までご覧ください。
PDCAとは
PDCAサイクルは、問題解決や品質改善のプロセスを構成する手法です。「計画(Plan)」「実行(Do)」「評価(Check)」「改善(Action)」の4つのステップから成り立っています。
P:計画(Plan)
「計画(Plan)」では、目標設定や改善方法を策定します。問題の特定や解決策の提案、目標の明確化が重要なフェーズです。
最初の段階のため、効果的にPDCAを回すためにしっかりとした計画が重要です。具体的には、リスク評価やリソース割り当て、時間管理など、プロジェクトのさまざまな側面を考慮して計画します。
D:実行(Do)
「実行(Do)」では、計画された方法を実際に実施します。計画に基づいた行動を取り、必要なリソースを活用しながら、目標達成に向けて具体的な手順を進めましょう。
この過程で重要なのは、計画を忠実に実施することと同時に、進行中の施策チェックです。「実行(Do)」の過程で得た経験とデータは、次のアクションの貴重な情報源となるからです。
C:評価(Check)
「評価(Check)」では、実行の結果と策定した目標を比較します。実行の効果を評価し、予期しない問題や偏差などを特定することが「評価」段階で重要です。
またデータ分析、フィードバックの収集、パフォーマンス指標の評価も行いましょう。「評価(Check)」の段階で得られた知見は、施策を改善するための貴重な材料となります。
A:改善(Action)
「改善(Action)」では、評価で得られた知見をもとにプロセスや方法を改善します。このステップでは、解決策を実装することで、最適なプロセスの平準化を図ります。
施策の改善は継続的に行うものであり、PDCAサイクルは再び「計画(Plan)」へと移行し、品質や効率の向上を目指すのがおすすめです。
「改善(Action)」では、改善策の効果を最大化するために、新たなアイデアの採用や、前段階での学びを活用しましょう。改善は一度限りではなく継続することで、組織全体の成長と発展につながります。
ISO認証においてPDCAが重要な理由
ISO認証の中でも、特に品質管理システムであるISO 9001では、PDCAサイクルが重要な役割を果たします。ISOの要求事項は、組織が品質を継続的に向上させるためのフレームワークに重点を置いているからです。
それぞれの段階における役割は以下のとおりです。
- 計画(Plan): 規格の要求事項に沿った適切な品質マネジメントシステムを計画
- 実行(Do): そのシステムを実際に運用し、規格の要求を満たすことを目指す
- 評価(Check): システムの有効性を評価し、規格に対する適合性を確認
- 改善(Action): 評価を基に、システムの改善点を特定し、継続的改善を行なう
PDCAサイクルは、継続的に改善するための枠組みとして機能します。
ISO認証におけるPDCAのポイント
ここで各フェーズのポイントを確認し、実際にPDCAサイクルを回してみましょう。
P:「数値で明確にする」
「計画(Plan)」の段階では、目標を数値で明確にすることが大事です。目標の数値化は、定量的で客観的な評価に不可欠だからです。
定量的に目標設定することで、プロジェクトの透明性を高め目標達成への道筋を明確にします。例えば「年間の不良品発生率を前年の80%」などとすることで、誰が評価しても同じ結果となります。
D:「計画どおりに実行する」
「実行(Do)」では、施策を計画通りに実行します。効果的な評価をするためには、計画した改善策が適切だったのかを正確に判断しなければいけません。
もし個人的な判断などで計画外の方法をとった場合、評価がブレてしまい目標達成への道が遠のく可能性もあります。次のフェーズである「評価」で正確なデータを収集するためには、勝手に計画を変更してはいけません。
C:「複数人でチェックする」
「評価(Check)」では、複数視点でのチェックが求められます。マネジメントレビューは、計画の適切性や「実行」で実施した改善策を評価する上で不可欠です。
複数人でチェックすることで、プロセスの弱点や改善の余地が明らかになります。異なる視点からの評価は、改善策の方向性をより明確にし、包括的な改善策を導くための重要な情報源です。
A:「1回で終わりにしない」
「改善(Action)」では、一回限りの改善ではなく継続的な改善を目指してます。評価から得られた知見に基づき、プロセスの改善や新しい手法を導入しましょう。
改善(Action)のステップをより充実させることで品質管理の永続的な改善ができ、組織全体の効率性向上と成長が期待できます。また継続的な改善は、次のPDCAサイクルの質を高め、組織の成長に役立つでしょう。
ISO認証におけるPDCAについてよくある質問
ISO認証におけるPDCAサイクルについて、よくある質問を2つ厳選しました。疑問点を解消して、ISO認証取得を目指しましょう。
PDCAは時代遅れ?
PDCAサイクルは、現代においても時代遅れではありません。理由はPDCAサイクルには高い柔軟性と適応性があるからです。
ビジネス環境が急速に変化するなかでも、PDCAサイクルは目標達成のための体系的なアプローチが可能です。新たな技術や市場の動向を取り入れることで、継続的な改善もできます。
またPDCAサイクルを回す過程で得たデータは、意思決定をサポートし変化への迅速な対応に役立ちます。よってPDCAサイクルは時代遅れではなく、今日のビジネス環境においても重要な役割を果たします。
ISO 9001の要求事項は?
ISO 9001の要求事項は以下です。
- 組織の状況: 組織の内外環境や顧客の要求事項を理解すること
- リーダーシップ: 経営層が品質マネジメントシステムの重要性を伝え、方針を確立すること
- 計画: 組織の課題に対応し、品質目標を設定し計画を策定すること
- 支援: 必要なリソースを提供し、文書化された情報を適切に管理すること
- 運用: プロセスの実施や製品・サービスの提供に関連する要求事項を明確にすること
- パフォーマンス評価: システムの有効性を評価し、顧客満足度を測定すること
- 改善: 不適合の是正とシステム全体の継続的な改善を行うこと
ISO認証取得においては、これらの要求事項に基づいて審査されます。
まとめ:ISO認証に向けてPDCAサイクルを回そう
一般的な問題解決のフレームワークとして有名なPDCAは、ISO認証においても重要な役割を果たしています。本記事では、PDCAサイクルの各ステップの実践方法を解説しましたので、ISO認証の際に活用してみてください。
この記事を書いた人
hata