病院運営で役立つISO認証5選|取得するメリット
公開日:2019.11.01 最終更新日:2021.08.10
本記事では、病院運営で役立つ5つのISO認証とそれぞれの認証を取得するメリットをご紹介します。
病院を運営している医療関係者様は、ぜひご一読ください。
病院の運営に役立つISO認証5選を紹介
病院の医療サービスの品質保証や安全保障は、患者にとって病院を選ぶ重要なポイントといえます。
そのため第三者機関からサービス品質の保証を受けているとして、ISO認証は大きく役立つでしょう。
病院や診療所が運営に役立つとして取得することの多いISO認証は、主に以下の5つの認証です。
- ISO9001(品質マネジメントシステム)
- ISO14001(環境マネジメントシステム)
- ISO13485(医療機器・体外診断用医薬品)
- ISO15189(臨床検査室の認定)
- ISO27001(情報セキュリティ)
上記の認証は一概に医療サービスの品質を保証するといっても、それぞれで対応しているサービス内容が異なってきます。
ここからは各認証の詳細と、病院や診療所が各ISO認証を取得するメリットをご紹介していきます。
ISO9001
ISO9001は、製品・サービスを一定上の品質で提供できる体制を整えていると認定された際に取得できる国際規格です。
ISO9001は品質マネジメントシステムとも呼ばれ、一定水準以上の製品・サービスの品質を継続的に保持でき改善し続けることで顧客満足度の向上を目的としています。
病院内での運用の場合は、主に患者への対応やサービス内容といった場面に大きく関わってきます。
病院がISO9001を取得するメリット
病院内で患者によって医師や看護師の対応が異なると、後にクレームとなる恐れがあります。
ISO9001認証の取得を目指すことにより、全ての患者に平等なサービスを提供できるように体制を整えるため、結果的に良質なサービスの提供につながります。
それによって、医療事故やクレームなどの発生頻度を抑えることが可能となります。
ISO14001
ISO14001(環境マネジメントシステム)は、環境に配慮した取り組みを継続的に行う体制を整え、実行することで得られる認証です。
病院での運用の場合は、ISO14001を取得することにより医療廃棄物の管理がを明確化することができます。
つまり、環境を配慮した適切な廃棄を行っているとして、病院自体の社会的価値を高めることができるというわけです。
病院がISO14001を取得するメリット
病院では注射針や手袋、カテーテルなど、患者ごとに使用および廃棄する医療機器は、適切な方法で廃棄しないと感染拡大のリスクや法に触れることにつながります。
そこでISO14001を取得することにより、適切な廃棄方法をしていることを社会的に明示することができます。
それにより、病院自体の社会的信頼が向上し患者へ安心感を提供することが可能となります。
また、ISO14001の取得を目指す過程で病院内の環境に対する体制を改善することになるため、廃棄物の削減や廃棄処理に関するコストの削減も実現できます。
ISO13485
ISO13485(医療機器の品質マネジメントシステム)とは、その名の通り医療機器における品質マネジメントシステムのことです。
ISO9001(品質マネジメントシステム)と基本的には同じですが、医療機器に限定しており医薬品医療機器等法に順守した内容となっています。
血管用カテーテルやMRI装置などの一般医療機器や、管理医療機器、高度管理医療機器が適用範囲となっており、これらが一定水準の品質を保持・改善され続けているかといった観点で審査されます。
病院がISO13485を取得するメリット
医療機器の品質証明となるISO13485は、認証を取得することによって安全な医療機器や体外診断用医薬品を提供している証明となります。
医療に使われる機器がきちんと法に順守して製造されているか、適切な管理がなされているかといった観点で第三者機関から品質の保証をされるということは、大きな信頼へとつながります。
患者の安心感を得るためにも、ISO13485の取得は目指すべきといえます。
ISO15189
ISO15189(臨床検査室の認定)とは、臨床検査室の品質マネジメントシステムと臨床検査の技術能力を求める国際規格です。
血液学的検査や免疫学的検査など、臨床検査を行うにあたって一定水準以上の能力を有しているという証明になります。
特に健康診断のようなさまざまな臨床検査を行う病院にとっては、不可欠な認証といえます。
病院がISO15189を取得するメリット
病院がISO15189を取得するメリットは、臨床検査において精確な結果を提出できる高い技術能力を有していることを証明することができます。
臨床検査と一口に言っても検査方法には複数の種類があり、いずれも患者の状態を正しく判断するために精確な結果を出す必要があります。
そこで、第三者機関から臨床検査の高い技術力があると認定されたISO15189を取得することで、患者に安心感を与えられます。
ISO27001
ISO27001とは、情報のセキュリティにおいてのマネジメントシステムを構築・改善することで得られるISO認証です。
ISMS認証とも呼ばれ、一般的に個人情報や機密情報など組織にとって価値のある情報を保護することを目的とします。
病院では患者のカルテや問診票のような個人情報保護を多く取り扱うため、情報漏洩を防ぐためにも情報セキュリティを追及した体制を構築する必要があります。
病院がISO27001を取得するメリット
ISO27001の適用範囲は、デジタルデータだけでなく紙の書類も該当します。
カルテや問診票・診察結果などをデータとしている病院も多いですが、まだまだ紙の書類として取り扱う場面も多々あります。
ISO27001の取得にあたって情報セキュリティマネジメントシステムを構築することで、従業員一人一人のセキュリティに関する意識と責任感の向上にもつながり、結果的に情報漏洩のリスクを減少させます。
ISO認証の取得方法
ISO認証の取得方法は、まず取得するISOの規格基準を満たすマネジメントシステムを構築する必要があります。
たとえば品質マネジメントシステムであるISO9001を取得する場合、患者の都合のよい時間に診察を受けられるようにネット予約ができるシステムを用意するといった、サービス面で品質をよくする施策をしなければなりません。
マネジメントシステムを構築し、問題なく運用できるようになれば審査機関に申請書類を提出して、2度の審査を通過すれば認証が与えられるという仕組みです。
ISO認証取得に必要な費用の相場
ISO認証取得に必要な費用は、認証取得そのものに必要な基本費用とコンサル会社に依頼するコンサル費用に分けられます。
基本費用は会社の規模によっても異なりますが、一般的な相場は、30人程度の社員数の場合は50万円から、50人程度であれば100万円ほどとなっています。
また、コンサル費用の相場は約50~60万円となるので、最低100万円程度は必要となります。
ISO認証取得にかかる費用の詳細については、こちらのISO認証取得の費用相場をご確認ください。
ISO認証取得までにかかる期間
ISO認証取得までにかかる期間は組織の状況によって異なりますが、一般的に着手から半年~1年ほどかかります。
マネジメントシステムの構築に3~4ヶ月ほどかかり、その後3ヶ月~半年ほどかけて実際に運用するためこれほどの時間がかかります。
また、認証取得後も3年ごとに更新審査があるため、維持にもそれなりの期間が必要となります。
病院運営で活用できるISOの認証取得・維持をすることでサービスの質の向上につながる
以上、病院の運営に関係するISO認証を5つ紹介してきました。
病院がISO認証の取得と維持に取り組むことで、組織の活性化やサービス向上といったメリットが得られます。
あらゆるサービス・製品の質を担保するためのマネジメントシステムであるISO認証。
より良い医療の提供を目指す病院や診療所の運営者様は、ぜひISO認証の取得を検討してみてください。
「うちの病院の場合はどの認証の取得から目指したらいいのか知りたい」
「さっそくISO認証取得を目指して動き出そう」
と思われた病院の運営者様は、ぜひEMEAO!のコンシェルジュにご相談ください。認証取得を目指すISO規格の種類に関するアドバイスから、第三者機関の審査を通過した優良なコンサル会社のご紹介まで、誠心誠意サポートいたします!
この記事を書いた人
編集部員 濵岸
編集部員の濵岸と申します。コンテンツ作成と取材を主に担当しております。身長が低いため学生時代は「お豆」と呼ばれていました!豆らしく、皆様の役に立つ記事を「マメに豆知識を!」の意識で作成します!どうぞよろしくお願いいたします!