エレベーターに防犯カメラを設置するメリットや注意点を解説
公開日:2019.09.04 最終更新日:2024.05.15
エレベーターは密室空間であるために犯罪や問題行為が起こりやすい環境です。
そのため近年では、防犯目的でエレベーターに監視カメラを設置する管理者様も増えてきています。
しかし、エレベーターへの監視カメラの設置は容易ではなく、いくつかのポイントに注意しながら設置工事を進める必要があります。
そこで本記事では、エレベーターに監視カメラを設置するメリットや設置方法、おすすめのカメラタイプ、そして監視カメラ設置時の注意点などについて解説します。
エレベーターのセキュリティ面を強化したい管理者様は、ぜひ最後までご覧ください。
エレベーター内に監視カメラを設置するメリット
安全性を高めるのに効果的な監視カメラですが、セキュリティ面以外にもさまざまなメリットが挙げられます。
しかしメリットが理解できない場合、ただ監視カメラ設置にかかる労力が目立ち、監視カメラ設置の意義が感じられない場合があるかもしれません。
途中で監視カメラ設置を諦めてしまわないように、監視カメラのメリットについて正しく理解しておく必要があります。
ここからは、エレベーター内に監視カメラを設置するメリットとして、3つのポイントについてくわしく解説します。
メリット①トラブルを抑止しやすい
監視カメラの設置は犯罪や問題行為の抑止力としてはたらき、エレベーター利用者に対し「自分の姿を撮影されている」という意識をもたせることでいつもより行動に気をつけるように誘導できます。
つまり監視カメラの大きなメリットとして、エレベーター内でのトラブルを抑止する効果が挙げられるのです。
具体的には、器物破損や住民同士のトラブル、そしてストーカー行為など密室で起こりやすいトラブルを未然に防げる可能性が高まります。
また飲食店やスナック・バーなどの飲み屋が入っているテナントビルのエレベーターでは、盗難被害や利用者の嘔吐による被害などの問題が頻発します。
財布や貴重品の盗難が起こった場合には警察に捜査依頼が必要だったり、利用者がエレベーターを汚した場合には清掃が必要になったり、エレベーター内でのトラブルに対し人件費や清掃費などのコストをかけて問題に対処する必要があります。
そこで監視カメラを設置しておくことで、犯罪行為を起こしにくい環境をつくったり、問題行為を踏みとどまらせたりする効果が得られます。
密室空間に監視の目を置いておくことで、あらゆるリスクを軽減できるようになるのです。
メリット②トラブルが早期解決しやすい
監視カメラを設置することで犯罪行為や問題行為を証拠映像として記録でき、万が一トラブルが発生しても比較的問題の早期解決に至りやすいというメリットがあります。
通常犯人が判明しづらい器物破損やイタズラ行為に関しても、監視カメラの映像から班員の顔や服装といった人物像を把握できることで、犯人特定に役立てることが可能です。
さらに住民同士のトラブルやストーカー行為が判明した際にも、本人による証言だけでなく監視カメラによる映像として客観的な証拠が確実におさえられます。
確実な証拠をもとに捜査を進められるため、警察や管理会社など関係各所との連携が取りやすくなり解決への可能性が高まるというメリットが得られます。
メリット③利用者に対して安心感をあたえられる
エレベーター内に監視カメラが設置されていることで、例えばマンションのエレベーターに監視カメラを設置した場合には住民が日頃から安心してエレベーターを利用できるようになる点がメリットといえます。
階層が高い建物にエレベーターがあることで移動が楽になる利点がある一方「密室でもしトラブルが起こったらどうしよう」という不安を利用者が感じるケースは多く存在します。
その点監視カメラを設置することで、利用者の不安を軽減でき、マンションやアパートに新たな入居者を募集する際にも入居を決める1つのきっかけになるでしょう。
エレベーター内に監視カメラを設置するデメリット
ここまで、エレベーター内に監視カメラを設置するメリットについて解説しました。
それでは反対に、監視カメラを設置するデメリットはあるのでしょうか。
ここからは、エレベーター内に監視カメラを設置するデメリットとして、3つのポイントについて解説します。
デメリット①従業員に心的負担を与える
エレベーターに監視カメラを設置することで、利用者に対し「監視されている」という意識を与える効果があります。
そうした意識から、エレベーターを頻繁に利用する従業員や住民は言動を正さなければならないというプレッシャーを感じ「会話がしづらい」「ずっと見られているような気がして気になる」といった心的負担を感じるリスクがあります。
監視カメラが利用者に与えるプレッシャーは犯罪抑止力としてはたらく一方、気楽に過ごせる空間としてのエレベーター内空間で安心して過ごせないといった不満に繋がる恐れがあるのです。
デメリット②コストがかかる
エレベーターへの監視カメラ設置を躊躇する要因として、通常屋内や屋外に防犯カメラを設置する場合と比較したとき、エレベーター内に監視カメラを設置すると費用が高額になる点が挙げられます。
エレベーター内に監視カメラを設置する際のコストが格段に高くなる理由は、エレベーター内の防犯カメラは映像を送受信するのに必要なケーブルの接続が難しく、有資格者しか作業が行えないために人件費が高額にのぼることが関係しているためです。
新たにマンションを建築する際に防犯カメラの設置を検討する場合には予算調整など相談の余地がありますが、一方で既存のマンションに防犯カメラを導入する際には通常の防犯カメラ設置よりも高額な費用が必要であるため、防犯カメラ導入を躊躇してしまう管理者も少なくありません。
さらに状況に応じて作業工程が複雑になったり、既存のマンションで工事を行う際にエレベーター保守会社の立ち会いが必要になったりする場合には、さらなる追加料金が発生し経済的負担は大きくなります。
関連記事:防犯カメラの設置費用の相場はいくら?ランニングコストの相場も紹介
デメリット③プライバシーを侵害する可能性がある
エレベーター内に音声録音機能付きの防犯カメラを設置する場合、エレベーター内で何気なく交わした会話が第三者に共有され、個人情報が予期せぬ範囲まで伝搬する可能性があります。
またエレベーター内映像を映すモニターをエレベーター前に設置する場合、搭乗者がエレベーター内の様子を遠隔で確認できるようになります。
さらに通常密室空間として誰にも見られない空間のはずのエレベーター内空間が、誰しもが確認できるようになることで、プライバシーを侵害されていると感じる利用者も少なからずいるかもしれません。
防犯カメラはセキュリティ面を強化できるという大きなメリットがある反面、エレベーター内の様子を第三者が閲覧できるようになるという点で、利用者のプライバシーに対し適切な配慮を行うことが必要です。
エレベーター内に監視カメラを設置する費用の目安
エレベーター内に監視カメラを設置する際の費用は「監視カメラのみを導入する場合」「エレベーター内にモニターを設置する場合」「ネットワーク機能が搭載された防犯カメラを設置する場合」で価格が異なります。
エレベーター内に監視カメラを設置する費用の目安は、以下の通りです。
監視カメラのみを導入する場合 | 約25万円~ |
エレベーター内にモニターを設置する場合 | 約40万円~ |
ネットワーク機能が搭載された防犯カメラを設置する場合 | 約50万円~ |
監視カメラのみを設置する場合、犯罪抑止効果は期待できますが、リアルタイムでエレベーター内の様子を確認できないため、トラブル発生から迅速に対応に向かったり、離れた監視室からエレベーター内の様子を監視したりできません。
またエレベーター内にモニターを設置する場合、リアルタイムでエレベーター内を監視できるため利用者の安心感が高まります。
このとき、万が一監視カメラに不具合が生じた場合でもモニターを通じて迅速にトラブルを発見できます。
モニターを別途設置する場合には設置費用がその分加算されますが、費用が高い分利用者の安心感や管理のしやすさを実現できるメリットが得られます。
さらに管理人室から監視カメラ映像を確認したい場合には、ネットワーク機能搭載の監視カメラの導入がおすすめです。
エレベーター内でトラブルが発生した場合でも、ネットワーク機能が搭載されているとトラブル対処まで迅速に行動できます。
エレベーター内に監視カメラを設置する方法
ここまで、エレベーターに防犯カメラを設置する際の設置費用の目安価格について解説しました。
監視カメラの機種や設置方法、設置を依頼する業者によって費用価格は変動するため、注意が必要です。
それでは実際に、どのような方法で監視カメラを設置するのでしょうか。
ここからは、エレベーター内に監視カメラを設置する方法についてくわしく解説します。
エレベーター内に監視カメラを設置するためには、有資格者にエレベーターの配線工事を依頼する必要があります。
このときエレベーターの配線に関する知識がない素人が誤った設置方法を行ってしまうと、エレベーターの誤作動や停止に繋がる恐れがあるため、注意が必要です。
そのためエレベーターへの監視カメラ設置は、エレベーター会社もしくは専門資格を有する防犯カメラ業者に設置工事を依頼することが大切です。
エレベーター内の監視カメラの設置は個人でも対応できるのか?
エレベーター内の監視カメラ設置について、資格をもたない個人が行うことは不可能です。
エレベーターに監視カメラを設置する場合には『昇降機検査資格』という資格をもつ業者が対応する必要があります。
昇降機検査資格は、エレベーターやエスカレーターなどの昇降機、または観覧車のような遊戯施設などの定期検査を行うための資格です。
また昇降機検査資格をもたない人が監視カメラを設置する行為は、法律上認められていないため、違法行為にあたる点にも注意しましょう。
さらにエレベーターの防犯設備を取り扱う際には、昇降機検査資格だけでなく『防犯設備士』や『電気工事士』の資格を持つ業者に依頼することで、エレベーターの不具合を防止でき適切な方法で監視カメラ設置を行えます。
エレベーター内に設置するおすすめのカメラのタイプ
エレベーター内に監視カメラを設置する場合、小型で屋内への設置に適しており、また必要以上に利用者へプレッシャーを与えにくいドーム型カメラがおすすめです。
ドーム型カメラであれば住民や利用者に対し威圧感や不快感を与えることなく設置可能であり、また天井や壁面への設置が簡単です。
さらに一般的なバレット型カメラとは異なり、狭い設置場所でも撮影範囲を調整することでエレベーター内全域を撮影できるメリットがあります。
この撮影範囲を調整できる機能を備えた「バリフォーカル型レンズ」のカメラを選ぶことも、エレベーターに設置する監視カメラを選ぶ際に重要です。
エレベーターは密閉された狭い空間であるため、撮影範囲についてあまり意識する必要がなければ撮影範囲の調整は不要なケースもあります。
しかし1カ所しか撮影できない単焦点レンズの場合、死角で問題行為が起こるリスクも懸念されます。
そのため可能であれば、さまざまな角度から撮影可能なバリフォーカル型レンズの導入がおすすめです。
ちなみにドーム型カメラには、エレベーターなどの雨風や湿気など外環境による影響を受けづらい「屋内専用タイプ」や、暗闇での撮影に適した「夜間撮影対応タイプ」などがあります。
なかでも「夜間撮影対応タイプ」は、照明が破壊されたり照明トラブルが発生したりした場合でも赤外線照射によって暗闇での映像を明瞭な状態で撮影できる特徴があります。
エレベーターや施設の環境に応じて、必要な機能を十分に備えた監視カメラを選びましょう。
バリフォーカル型レンズのほかにも、防犯カメラのレンズの種類に関してもっとくわしく知りたい管理者様は、ぜひこちらの記事もあわせてご覧ください。
監視カメラをエレベーターに設置する際の注意点
ここまで、エレベーターに監視カメラを設置する方法についてくわしく解説しました。
エレベーター内に監視カメラを設置する場合には、特定の資格を有する業者へ設置を依頼する必要があります。
それでは、そのほかにも監視カメラ設置の際に気をつけるべきポイントはあるのでしょうか。
ここからは、監視カメラをエレベーターに設置する際の注意点について、3つのポイントを紹介します。
注意点①入居者や従業員にカメラ設置の事前告知をしておく
エレベーター内の監視カメラに対し威圧感や不安感を覚える利用者も少なくないため、監視カメラを導入する際にはマンションの入居者やビルの従業員に対し、カメラ設置に関する事前告知を行う必要があります。
カメラ設置を告知した際に「防犯カメラの設置は不安だ」「監視カメラはプライバシー侵害にあたるのではないか」といったネガティブな声が挙がった際には、必要に応じて個人に対し監視カメラ設置に対する説明を十分に行いましょう。
マンションやビルの入居者・利用者に対するプライバシー配慮を徹底したうえで、十分に理解を得てから設置に進んだほうが、その後のトラブルを未然に防げます。
オフィスビルのエレベーターの場合では事前告知は不要かもしれませんが、マンションやアパートなどに監視カメラを導入する場合にはプライベートな空間に関与することにも繋がるため、十分な配慮と丁寧な事前告知が必要です。
注意点②全体が見渡せるタイプの機器を設置する
先述したように、撮影範囲が限定されるカメラレンズを搭載した監視カメラの場合、死角となった場所で犯罪行為や問題行為が発生するリスクがあります。
そのため、エレベーターに導入する場合には全体が見渡せるタイプのレンズを搭載した監視カメラを設置することが重要です。
あわせてズーム機能が搭載された監視カメラであれば、問題や事件が発覚後に犯人の姿を確認する場面でより詳細な映像を確認できます。
また防犯カメラの機種に迷ったときには、どの程度明瞭な映像が必要かにあわせて適切な画素数で撮影可能なレンズが搭載された機種を選ぶことが大切です。
そのほか録画映像の保存期間や録画機とカメラの規格など、細かなチェック項目に沿って適切な機種を選びましょう。
注意点③複数の業者を比較検討する
監視カメラ設置に際して業者へ見積もりを申請する場合には、必ず複数社に対し相見積もりを申請し、複数社の料金プランや費用項目、サービス内容を比較・検討しましょう。
複数の業者を比較することで、業者ごとにどのようなサービスを強みとしているのか、どの種類の監視カメラ設置を得意としているのか、設置工事後にはどのようなアフターサービスを受けられるのかについて、業者の特徴や長所・短所を正確に把握できます。
また業者を選ぶ際には業者のホームページやレビューサイトを参考に、その業者がどれほどの実績をもつ会社なのか、実際の現場ではどれほど迅速に対応してくれるのかといったポイントに関して、詳細に確認できます。
数多くの実績をもち、高評価を多く獲得している業者であれば、安心して設置工事を依頼できるでしょう。
関連記事:防犯カメラの設置業者はどこに依頼する?機種を選ぶ13のポイントも紹介
エレベーターの防犯カメラ設置には専門資格が必要
エレベーターに監視カメラを設置することで、犯罪抑止力として効果を発揮したり、万が一犯罪が起こった場合にも捜査を迅速に進めるための確実な証拠を残せたりするメリットがあります。
ただしエレベーター内に監視カメラを設置するには、昇降機検査員の資格を有する専門業者に配線工事を依頼する必要があるため、業者選びでは資格の有無に注目しましょう。
また監視カメラ設置によって利用者や入居者に威圧感やプレッシャーを与える恐れもあるため、監視カメラを新たに導入する場合には利用者へ事前告知したり、目立たないタイプのカメラを選んだりといった配慮が必要です。
このとき防犯カメラ業者によっては昇降機検査員の資格をもっておらず、エレベーターへの設置に対応できないケースも想定されます。
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この記事を書いた人
編集部員 河田
編集部員の河田です。編集プロダクションでの書籍編集の経験を経て、現在はEMEAO!のWebコンテンツ編集・執筆とお客様へのインタビューを担当させていただいています。日々、コツコツと皆さんのお役に立つ情報を発信していきます!よろしくお願いします。