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システム開発でミスを減らす設計書の書き方5つのポイント

公開日:2021.05.12 最終更新日:2023.11.14

この記事では、ミスを減らすシステム開発の設計書の書き方について5つのポイントを紹介します。
システム開発の設計書の作成を検討している事業者様は、ぜひご一読ください。

システム開発における設計書とは?

システム開発における設計書は、システムやアプリケーションの機能や仕様を詳細に記述した文書です。
設計書は、システムの要件や目的に基づき、実現すべき機能やデータの処理方法、アーキテクチャなどを記述します。
具体的には、画面のレイアウトや操作フロー、データベースの設計、モジュールの関連性などが含まれます。
また、設計書は、開発者や関係者が全体の構造や動作を理解し、実装の指針となる重要な資料です。
設計書はチーム間のコミュニケーションや品質管理にも使われ、プロジェクトの進行管理やアプリケーションの保守・改善にも役立ちます。
設計段階で詳細な設計書を作成することは、開発プロセスでのミスや不具合の抑制、品質向上につながります。

設計書と仕様書の違い

設計書と仕様書の違いは、仕様書がプロダクトの要件や完成イメージをまとめたものであるのに対し、設計書は設計プロセスや工程を明確にしたものです。
仕様書はゴールに焦点を当て、設計書は過程に焦点を当てます。

設計書の書き方

次に、設計書の書き方を解説します。
設計書は、一般的に以下の2種に分けて書いていきます。

  • 基本設計書
  • 詳細設計書

それぞれ解説していきます。

基本設計書

まずは基本設計書から解説していきます。
以下7つの項目は確実に押さえておきましょう。

  • 機能一覧
  • 業務フロー図・システム構成図
  • 画面設計図
  • 帳票設計図
  • バッチ設計図
  • データベース設計図
  • 外部インターフェース設計図

それぞれ確認してください。

機能一覧

基本設計書の項目である機能一覧は、システムに実装する機能を一覧でまとめたものです。
機能一覧には、要件定義で洗い出したすべての機能を含める必要がありますが、最初の段階では必要な機能を完全に網羅することは難しいかもしれません。
そのため、徐々に機能一覧をアップデートすることが良いでしょう。
機能一覧によって、開発すべき機能を一覧で把握できるため、手軽にシステムの全体像を理解することができます。
また、不要な機能が含まれていないかどうかをチェックすることも可能です。
機能一覧は、システム開発における重要な文書であり、開発の進行や品質管理に役立ちます。

業務フロー図・システム構成図

業務フロー図は、ユーザーが実際に行う業務の流れを示す図です。
具体的な業務手順や関係者の役割、情報のやり取りなどを順序立てて表現します。
業務フロー図を描くことで、開発するシステムがどのように業務をサポートしていくのかが明確になります。
一方、システム構成図は、システムを利用する際のシステム側の処理をまとめたものです。
主要な機能やモジュール、データベースなど、システムの構成要素を示します。
さらに、各要素の関連性やデータの流れ、外部システムとの接続なども示すことで、システムの全体像が把握できます。
業務フロー図とシステム構成図を描くことにより、開発するシステムの機能や自動化される業務範囲が明確化され、プロジェクトの進行やリスク管理がしやすくなるでしょう。
概略図や記号を用いて、わかりやすく表現することが大切です。

画面設計図

画面設計図は、システムに表示される画面のイメージを明確にするための図です。
この設計図は、デザインや操作方法を視覚的かつ直感的に把握できるようにまとめられます。
具体的には、各画面の構成や配置される要素、フォームやボタンのデザインなどを示します。
画面設計図では、詳細設計書にまとめられる画面ごとの構成要素の詳細には触れず、タイトルバーやメニューバー、画面の共通部分の仕様をまとめるのが一般的です。
共通部分の仕様を一元化することで、画面間の統一感や一貫性を保つことができます。
また、正常時のイメージだけでなく、エラー発生時のパターンも考慮して設計図に反映させることが重要です。
エラーメッセージやエラー時の表示状態など、ユーザーに分かりやすくエラーを伝えるためのデザインも考慮しましょう。
画面設計図を作成することにより、開発メンバー間の共通理解や顧客とのコミュニケーションを円滑にできるだけでなく、実際の画面イメージを具体化することで、ユーザビリティ向上やユーザーのニーズに沿ったデザインの検討も可能となります。

帳票設計図

帳票設計図は、販売管理システムのように帳票が必要なシステムの開発時に作成されるもので、システムが出力する帳票に関する情報をまとめた図です。
具体的には、帳票一覧や帳票のレイアウト、出力項目一覧や編集方法などが記載されます。
帳票設計図では、帳票テンプレートごとに仕様を決める必要があります。
帳票のフォーマットやデザイン、表の配置や罫線の有無など、詳細な仕様が定義されます。
また、帳票がPDFなどのファイル形式で出力される場合は、そのファイルの仕様についても定義することが重要です。
帳票設計図によって、システムが出力する帳票の全体像や詳細な仕様を把握することができます。
これにより、帳票の作成作業が円滑化され、一貫性のある帳票がシステムから出力されることが保証されます。

バッチ設計図

バッチ設計図は、ある特定のタイミングでプログラムが複数のデータをまとめて処理する「バッチ処理」についてまとめた図です。
バッチ処理は、処理件数や処理時間、回復可能性などの要素を考慮して開発されます。
バッチ設計図では、バッチ処理のフローを示します。
つまり、データの入力や加工、出力などの処理手順を順序立てて示します。
また、関連するテーブルのIDやテーブル名など、バッチ処理が使用するデータの関連性を示すのもこの設計図です。
バッチ処理を行うプログラムの仕様を詳細にまとめることにより、バッチ処理が正しく実行されることや、データの整合性が保たれることが確認できます。
さらに、バッチ処理中にエラーが発生した場合の回復手順も設計書に落とし込まれます。

データベース設計図

データベース設計図は、システムで使用するデータの処理や保管方法を表した図です。
データベース内のデータの保管方法に関する情報は、ER図(Entity-Relationship Diagram)で表されるのが一般的です。
ER図はテーブル間の関係や属性を示し、システムの全体像をシンプルにまとめることができます。
CRUD図が用いられることもありますが、とくにER図はデータベース設計の基本的なツールです。
ER図であれば、システムのデータ構造をより直感的に理解することができ、そのままデータベースの実装に繋げることができます。
いずれにせよ、データベース設計図はシステム開発において不可欠な要素であり、効果的なデータ管理を実現するために重要です。

外部インターフェース設計図

外部インターフェース設計図は、別のシステムと連携するために必要な外部インターフェースを設計するための図です。
外部インターフェース設計図には、連携時に使用するデータやデータのやり取りの定義が記載されます。
具体的には、データの形式やフィールド、送信方法や受信方法などが詳細にまとめられます。
また、外部サービスとの連携方法をまとめた処理概要や、連携において必要な仕様(暗号化通信の要件など)が含まれるのも一般的です。
外部インターフェース設計図は、システム間の連携を円滑にするために必要な情報を提供し、システム間のデータやり取りのルールが明確化され、連携の効率や信頼性向上に寄与します。

詳細設計書

次に、詳細設計書について見ていきましょう。
基本となる以下の4つはぜひ押さえてください。

  • クラス図
  • モジュール構成図
  • アクティビティ図
  • シーケンス図

それぞれ解説していきます。

クラス図

クラス図は、システム内のクラス(オブジェクトの設計図)とその関係性を表現します。
具体的には、クラスの属性(データ)やメソッド(操作)、それらの関連性や継承関係などが示され、システムの構造や処理の流れを把握しやすくなります。
クラス図はチーム開発においても重要です。
複数人で開発を行う場合、各担当者が設計したクラス図を統合することで、開発全体の一貫性や連携を確保できます。
また、クラス図は他のUML図(アクティビティ図やシーケンス図など)とも連携し、システム開発全体の設計を支える重要な要素となります。

モジュール構成図

モジュール構成図は、システム内での機能ごとの処理をモジュール(独立した部品)で表現し、それらがどのように分割されているのかや、各モジュールがどのように関連しあっているのかを示す図です。
図形や矢印を使って簡略化し、わかりやすく表示されます。
モジュール構成図の作成により、開発者間での役割分担や開発の進捗管理がスムーズに行えます。
さらに、各モジュールの依存関係や組み合わせ方を把握することで、システム全体の安定性や保守性も向上できるでしょう。

アクティビティ図

アクティビティ図は、システムの処理の流れやユーザー操作などを開始から終了までまとめた図です。
システム内で行われる一連の手続きや条件分岐などを、順番通りに記載し、矢印でつないだものです。
アクティビティ図は、システムの処理フローを可視化するために使用され、プログラムの設計や機能の把握にも役立ちます。
とくに、システムの複雑なフローを明確に示す場合や、ユーザー操作による画面遷移を表現する場合に活用されます。

シーケンス図

シーケンス図は、アクティビティ図よりも詳細にシステム内部の処理を示す図です。
アクティビティ図はシステムの処理やユーザーの流れを順番に把握するためのものですが、シーケンス図では特定の処理が行われる際にオブジェクト間でどのような相互作用が発生するかを視覚的に理解できます。
シーケンス図では、オブジェクト同士のメッセージのやり取りを時間の経過に沿って示し、オブジェクト間の関係性やデータのやり取りを明確に表現します。
シーケンス図は、ソフトウェアの動作を理解しやすくするだけでなく、プログラムの設計や実装においても役立ちます。

システム開発でミスを減らす設計書の書き方

ミスを減らすことができる設計書の書き方のポイントは5つあります。
失敗という結果を招かないためにもぜひ書き方を参考にしてください。

ポイント①シンプルなテンプレートを用意する

1つ目のポイントは、シンプルなテンプレートを用意して設計書を作成することです。

設計書のフォーマットは、作成を開始する前に決めなければなりません。
もし、テンプレートが事前に決まっていないと統一感を持たせることが難しいです。
シンプルで見やすいテンプレートを採用することで、誰が見ても内容が理解できる設計書にすることができるでしょう。

できるだけフリーフォマットを採用し、設計者が比較的自由に表現できるようにしておくとよいです。

ポイント②最新の情報に更新する

設計書の書き方のポイントは、最新の情報を記載するように心がけることです。

ソースコードは最新バージョンに変わっているが、一方で設計書は古い状態のまま更新されていないケースがあります。
設計書の情報が更新されていないと、開発効率に影響を与えることも少なくありません。

使用言語のアップデートなど、情報が新しく更新されたときは、プログラムだけでなく、設計書も最新の状態になるように書き換えます。

ポイント③わかりやすい文章を心がける

ポイントの3つ目は、わかりやすい文章で作成することを心がけることです。

例えば、一文を短くしたりシンプルな文章構成を心がけると、とても読みやすく意図が伝わりやすくなるでしょう。
わかりやすい文章にすることで読み間違いが発生したり、誤解が生まれたりする心配が少なくなります。

そのほかにも、下記のような書き方をすることでわかりすい設計書になります。

わかりやすい文章にするための工夫
  • 箇条書きを使用する
  • 図を活用する
  • 表でまとめる

ポイント④変更履歴を残す

システム開発の設計書の書き方としては、変更履歴を残すこともポイントの1つです。

設計書は新しい情報を保つために、その都度変更を加えなければなりません。
また、仕様変更が発生したら、その部分を新しく編集する必要があるでしょう。
もし、変更履歴を残していないと誰がどのように変更したのか後で確認することができません。

記録を残す際は、変更履歴シートの活用がおすすめです。
変更シートを活用することで、どの部分を誰が変更したのか容易に知ることができるため便利です。

ポイント⑤表記ゆれを意識する

設計書を書く上で懸念されるのが表記ゆれです。
例えば、サーバーとサーバは同じ意味ですが、表記が異なります。
言葉を統一せずに複数のエンジニアが設計書を作成すると「サーバー」と「サーバ」が混在してしまうのです。

また、表記ゆれは読み手に誤解を与える可能性があるため、本来意図した設計とはかけ離れたものができてしまう可能性もあります。

そのため、設計書を書くときは表記ゆれが生まれないように意識しなければなりません。

ポイント⑥結論を最初に記載してから詳細を述べる

結論を最初に記載してから詳細を述べる設計書の書き方は、ミスを減らすために効果的です。
読者は結論を最初に知ることで全体像を把握しやすくなり、詳細を読む際にも目的や方針を意識することができます。
また、結論を最初に記載することで、文書の要点が明確になり、情報の漏れや誤解を防いで設計の品質向上につながります。

ポイント⑦図や表を用いる

図や表は視覚的に情報を整理し、理解しやすくする効果があります。
複雑な関係や流れを図示することで、システムの仕組みや機能を明確化し、誤解や漏れを防げるでしょう。
また、図や表による可視化は、開発者や関係者間の共通理解を助け、コミュニケーションをスムーズにする効果もあります。

システム開発の設計書の書き方のポイントは5つ

以上、システム開発で失敗しないミスを減らす書き方を解説しました。

ミスを減らす書き方のポイントは5つあり、これらを意識することで失敗が起こる危険性を少なくできます。
また、システム開発の設計書の作成にはスキルや経験が必要です。

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この記事を書いた人

編集部員 濵岸

編集部員の濵岸と申します。コンテンツ作成と取材を主に担当しております。身長が低いため学生時代は「お豆」と呼ばれていました!豆らしく、皆様の役に立つ記事を「マメに豆知識を!」の意識で作成します!どうぞよろしくお願いいたします!

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