アプリ開発を依頼するときのプロセスや費用相場および内訳など
公開日:2019.08.01 最終更新日:2024.09.27
アプリ開発を依頼するときは、いくつかのポイントは押さえていたいもの。
まず、大まかでよいため開発プロセスを知っておくと、順調に進捗しているかどうか把握しやすいでしょう。また、アプリ開発の依頼先に個人と法人のどちらを選ぶかによって、変わってくることもあります。
こういったあたりは、初めてアプリ開発を依頼する際にはなかなか理解しづらく、判断が難しいものです。
そこで本記事では、アプリの開発費用や保守管理費用などの相場や、アプリ開発を依頼する際の注意点などを解説しましょう。
アプリ開発の依頼を考えている方にとって、有益な情報をまとめているため、ぜひ最後まで読んでください。
アプリの開発プロセス
まず、アプリ開発の依頼をするなら、全体的な流れは知っておきましょう。いくつぐらいのプロセスがあって、全体的に見るとどのあたりまで進んでいるか、把握するためです。
開発プロセスは以下のとおりです。
- アプリの企画立案
- パートナー選定・見積もり依頼
- 発注・契約書の締結
- アプリ開発
- ストア申請・公開
それぞれで、どのようなことをおこなうのか解説します。
アプリの企画立案
まずは、アプリの企画立案です。誰をターゲットにして、どのような機能を持ち、どういった困りごとを解決するか、具体的に考えています。
実際に検討していきたい項目は以下のとおり。
- アプリのターゲット
- 競合アプリ
- アプリが提供できる価値
- アプリが持つ機能
- アプリ開発費用
- アプリ開発の主要メンバー
- アプリ開発の依頼先
- スケジュール
自社がアプリ開発会社ではない限り、どこかに依頼する会社がほとんどだと思いますが、具体的にどのようなアプリをつくりたいのか詳細は決めておく必要があります。
また、アプリ開発にかけられる費用や、アプリ開発会社とコミュニケーションをとる社内メンバーの確保なども検討します。さらに、アプリをいつまでにリリースしたいかも考えて、プロジェクトが軌道に乗ってうまくいくかイメージしてみましょう。
パートナー選定・見積もり依頼
続いて、アプリ開発をどこに依頼するか選びます。ここでは、複数社を選んで、見積もりを出してもらうようにするのが理想的です。
見積もりを1社からしかもらわないと、開発費用の妥当性がいまいちピンと来ないこともあるでしょう。
そこで、それぞれの会社が提案してきた内容を見比べて、より自社の条件に合ったところを選ぶのです。複数社と打ち合わせするのは面倒に感じるかもしれませんが、必要なプロセスだと捉えてください。
なお、たくさんあるアプリ開発を複数社選ぶときに、チェックしたいポイントは以下の7つです。
- 得意分野
- 技術力
- 似たアプリの開発実績
- 保守・運用の内容
- 担当者との相性
- 開発費用
- 開発スケジュール
とくに、得意分野や、技術力、自社がつくりたいアプリと似たものを開発した実績があるか、という点は重視してください。
機能を多く持ち、複雑なアプリは、経験不足なエンジニアだと対応しきれないこともあります。プロジェクトが無事成功するか、しっかり確認しましょう。
発注・契約書の締結
複数社の見積書や担当者の対応力などを比べて、ここがよい、と1社に決めることができたら、契約書を交わします。
さまざまある契約書の項目の中でも、以下については詳しくチェックしましょう。
- 締結する契約の有効期限
- アプリ開発をおこなう場所はどこか
- アプリを納品する期限
- 納品されたアプリの不具合対応
- アプリの権利は誰が持つか
何について書かれているか分からない箇所や、納得できない箇所があれば、契約書を交わす前にしっかり相談してください。
とくに、アプリ開発にかかる費用が多くて期間が長いプロジェクトの場合、万が一うまくプロジェクト完了とならなかったときに失うものが大きいでしょう。
後悔しないようにひとつひとつ確認して契約書を結んでください。
アプリ開発
契約を結んだら、やっとアプリ開発が始まります。
アプリ開発の進捗度までは細かく知っておく必要はないかもしれませんが、次の工程である「ストア申請・公開」までを100%とすると、進捗度は何%くらいかどうかは把握できているのが望ましいでしょう。
何かトラブルがあって遅延する恐れがあったら、早めに把握することができます。アプリ開発会社によっては、多少トラブルがあっても何とか納期に間に合わせようとしますが、そういった焦りがアプリの不具合(バグ)につながるかもしれません。
もし、アプリのリリース期限を遅らせることができるのであれば、機会を見計らって提案してみてもよいでしょう。
なお、アプリ開発は「要件定義書の作成→設計→プログラミング→テスト」と進んでいきます。基本的に、途中での機能変更や機能追加は対応しきれないこともあるため、最初のプロセスである、要件定義書の作成にて、すべての希望を伝えきれるようにしてください。
ストア申請・公開
アプリ開発が完了したら、最後にアプリストアに申請して公開することになります。
Apple Storeへの申請は、基本的に以下のような流れとなっています。
- Apple developer programアカウントを作成する
- Certificateでリリースに必要な証明書を発行する
- Apple IDを作成する
- 必要情報を記載する
- アプリをアップロードする
知らない言葉も出てきてよく分からないこともあるかもしれませんが、このあたりは、アプリ開発会社に任せてよいでしょう。
ただし、アプリの申請期間には気をつけてください。Apple Storeの場合、審査待ちからレビュー中になるまで、最大5日間前後が必要になるとされています。
審査期間は、アプリによって異なり、24時間以内に終わるものが50%で、48時間以内に終わるものが90%以上だと公表されています。
一方、AndroidアプリであるGoogle Playへの申請も同じようなもの手順となるのですが、審査期間に最大で7日間程度、まれに例外的に7日間以上かかることもあるため、念のため余裕を持ったスケジュール調整をおこなっておくほうがよいでしょう。
アプリ開発依頼におけるプロジェクト管理とコミュニケーション
アプリ開発を依頼する際に、重要な選定基準がいくつかあります。選定基準をクリアした信頼できるパートナー選定が、アプリ開発の成功につながります。
選定基準は以下のとおりです。
- アジャイル開発手法の活用と利点
- 効果的なコミュニケーション戦略
- 進捗管理とフィードバックの重要性
それぞれの項目について詳しく解説します。
アジャイル開発手法の活用と利点
開発プロセス中に柔軟性と迅速な対応を求める場合は、アジャイル開発手法を採用している会社がおすすめです。
アジャイル開発とは、大きな単位で区切ることなく、計画→設計→実装→テストという工程を、小さな単位でくり返して開発を進めていく手法です。アジャイルとは「素早い」「頭の回転が速い」という意味で、従来の開発手法に比べて期間が短縮されるため、アジャイル開発と言われています。
小さな単位で区切るため、仕様変更や改善が柔軟に行えるのが利点です。
効果的なコミュニケーション戦略
開発の目標や全体像を説明することが大切です。また定期的な会議や進捗状況の確認を行うことで、考え方のズレを防いだり、問題解決を迅速に行えたりします。
綿密なコミュニケーションが、アプリ開発の成功の鍵です。
進捗管理とフィードバックの重要性
進捗状況をこまめに確認し、定期的にフィードバックを行うことで、お互いの認識のズレを防ぎます。
進捗状況を報告しないまま開発が進み、提供したときに思っているものと内容がズレていたら、修正に時間がかかります。
定期的に状況を共有することで、問題の早期発見や作業の効率化につながります。
アプリ開発の依頼先は個人と法人でどう違う?
アプリ開発の依頼先には、個人と法人のどちらも選ぶことができます。
個人と法人のどちらに依頼するかどうか決めるときは、開発費用や開発期間、リリース後の保守・運用、アップデートへの対応などを比較するとよいでしょう。
単純に比較すると、個人のほうが開発費用は少なくて済むことがほとんどでしょう。しかし、1人で開発するなら、開発期間が長くなり、リリース後は対応しきれないこともあるかもしれません。
アプリ開発会社には、個人にはできない手厚いサービスが期待できます。たとえば、個人では年単位でかかってしまうような大規模なアプリも複数人体制で開発して数ヶ月で納品してくれることもあるでしょう。
また、会社単位で契約しているため、アプリ開発に携わったエンジニアが離職してしまっても、ほかのエンジニアが引き継いでくれて、安定性の高い保守・運用の体制を整えてくれるはずです。
アプリ開発は個人でも対応できるのか
そもそもアプリ開発は個人でもできるのか、疑問に思っている方もいるかもしれませんが、結論を言うと、アプリの規模や内容などによっては十分対応可能です。
もともと、アプリ開発会社で働いていたエンジニアがフリーランスになって、個人で受注していることもあります。
個人に依頼する場合のアプリ開発費用の相場
アプリの開発費用は条件によって大きく変わります。まずは、フリーランスエンジニアの個人に依頼することを想定しましょう。
「シンプルな検索アプリ」を以下の条件で依頼した場合、33万円以上が費用相場になります。
- 開発期間:1ヵ月程度
- エンジニアの経験年数:1~2年程度
- 使用言語(アプリのOS):Androidのみ
- エージェントサービス:利用する
それぞれの項目について詳しく解説しましょう。
開発期間
アプリ開発にかかる費用は、一般的に「人月単位」と呼ばれます。人月単価とは、1ヵ月(140~180時間程度)あたり1人に支払う単価のこと。
つまり、今回は開発期間が1ヵ月程度のシンプルなアプリを想定していますが、複雑なアプリで開発期間に6ヵ月以上かかる場合、費用が膨らんでいきます。
開発期間に6ヵ月以上かかるような中規模~大規模のアプリであれば、比較的安い個人に依頼しても240万円程度かかることもめずらしくありません。
経験年数
エンジニアの経験年数は、スキルや費用のひとつの評価軸になります。
一般的に、経験年数が多くてスキルが高いエンジニアに依頼する場合は、費用が高くなります。エンジニア経験年数が浅くても、実力のあるエンジニアもいますが、基本的には以下のような費用が目安となっています。
- 経験年数が1~2年:人月単価30万円以上
- 経験年数が3年以上:人月単価50万円以上
とてもスキルが高いベテランのエンジニアに依頼しなければいけないほど、複雑なアプリであれば、個人ではなくアプリ開発会社に依頼するほうが安心できるでしょう。
あまりにも高額な契約を結んでしまうと、無事プロジェクトが完了するか冷や冷やするかもしれません。
使用言語
また、アプリを、Apple Storeでリリースするか、Google Playでリリースするか、それともどちらでもリリースするかによっても費用は変わってきます。エンジニア経験が1年程度の場合は、iOSなら36万円~、Androidなら30万円~が相場です。
日本では、iOSアプリの開発に使われるSwiftという言語に対し、Androidアプリの開発に使われることが多いJavaという言語を扱えるエンジニアのほうが多いため、単価に若干の違いが出てきています。
もちろん、Apple StoreとGoogle Playの両方でリリースするなら、1つの場合よりも多くの費用がかかります。
しかし、同時開発することもできるため、単純な足し算よりも安い金額で対応してくれることもあります。このあたりは、交渉の余地があると言えるでしょう。
エージェントの手数料
フリーランスエンジニアを探すときに、エージェントサービスを利用するかどうかもポイントのひとつです。
フリーランスエンジニアは、クライアントとの仲介をおこなって案件の受注を代理でおこなうエージェントサービスに登録していることも多いでしょう。
このエージェントサービスを利用すると、エンジニアの報酬の10%程度が仲介手数料として必要になります。
たとえば、人月単価40万円のエンジニアに3ヶ月の案件を依頼した場合、「40万円×3ヶ月×1.1」という計算式で、合計132万円の費用を支払うこととなります。
この仲介手数料のパーセンテージは、各エージェントサービスによって異なるため、契約する際は念入りに確認してください。
たとえば、知り合いのフリーランスエンジニアに依頼する場合は、この仲介手数料は不要となりますが、エージェントサービスには保証が付いていることもあるため、より安心感があるかもしれません。
開発会社に依頼する場合のアプリ開発費用の相場
続いて、アプリ開発会社に依頼するときの費用相場について解説します。とくに依頼することが多い下記の3つのケースに分けて考えてみます。
- 業務ツール系アプリ
- マッチングアプリ
- ショッピングアプリ
業務ツール系アプリの開発費用相場
業務ツールと言っても、名刺管理や営業活動支援、勤怠管理など、種類が豊富で、どういった機能を持つかでアプリ開発の難易度が大きく変わるため、費用相場は50~300万円と幅広く考えておくとよいでしょう。
基本的に、ログインや位置情報の取得など、機能が増えるにつれて費用は高くなりやすい傾向があります。
業務ツールについては、既存アプリでもかなり優秀なものがリリースされているため、まずは既存アプリで対応できないか、検討するのがおすすめです。
また、どうしてもアプリ開発する必要性が出てきたら、「既存のこのアプリに、こういう機能を追加したい」というような要望の伝え方をすると、アプリ開発会社とコミュニケーションを図りやすいでしょう。
マッチングアプリの開発費用相場
人と人、あるいは、人と会社、などをマッチングするアプリなら、開発費用の相場は500~1,000万円程度です。
マッチングアプリでは、ユーザーの登録が必須となるため、それを管理するためのデータベース構築に50~70万円程度かかります。
さらに、マッチングアプリでは、プッシュ通知やチャット機能、SNS連携などの機能を付けることが多く、これらを充実させようとしたら、開発費用が大きくなります。
しかし、ユーザーにとって便利なアプリでないと、そもそも使われないため、費用対効果を意識して取捨選択しましょう。
ショッピングアプリの開発費用相場
近年では、さまざまな店舗が持っているショッピングアプリは100~300万円程度かけて開発することがほとんどです。
ショッピングアプリでは、決済システムが必須で、自社のECサイトなどですでに利用している決済システムと連携することも実現可能です。この場合は、通常よりも費用を抑えられることが多いでしょう。
ただし、ECサイトはデータ更新を頻繁におこなうものですので、ユーザーにとっての使いやすさも十分考慮しなければいけません。
アプリ開発の費用の内訳
ここで、「だいたいの費用は分かったけれど、なぜその金額になっているのか気になる」という方の疑問を解決できるように、アプリ開発の費用の内訳について解説しましょう。
まず、アプリ開発の費用は「『開発期間・開発工数』×『人件費』」という計算で算出されえます。
開発期間・開発工数
開発期間・開発工数については、アプリの内容を具体的に考えていくと、アプリ開発に慣れている担当者なら、何ヵ月くらいあれば完成できるか予想が立ちます。
その予想については、複数のアプリ開発会社に見積もり依頼をして、話を聞くとその妥当性を確かめられるでしょう。
人件費
また、人件費もアプリ開発費用に深く関わっています。
なお、この人件費を考える際、IT業界では「人月単位」という作業量を表す単位を用いるのが一般的です。人月単位とは、1人が1ヵ月を費やしてこなせる作業量を「1」として表現したものです。人月単位の計算も「作業時間 × 人数」でおこなわれます。
アプリ開発するエンジニアと一口に言っても多種多様なシステムエンジニアやプログラマーがいます。
たとえば、以下のようにエンジニアの経験年数やスキルによって、人月単価が異なります。
上級システムエンジニア | 100~160万円 |
中級システムエンジニア | 80~120万円 |
初級システムエンジニア | 60~100万円 |
プログラマー(大手企業) | 50~100万円 |
プログラマー(下請け・個人) | 40~60万円 |
こういったことを考慮して、アプリ開発は見積書を提案してきます。
アプリの機能が複雑で高度なスキルが必要ならば、上級システムエンジニアが2人以上必要かもしれません。
反対に、シンプルなアプリであれば、初級システムエンジニアでも対応可能かもしれません。
見積書の説明を受けているときは、その工程でどういったエンジニアが携わるのか、意識して聞いてみてもよいでしょう。
こういったことも知ると、見積もりの依頼は複数社にしないと、判断するのが難しいことに気付かれるのではないでしょうか。
アプリ開発以外に必要となる費用
また、アプリ開発とは別にかかる費用もあります。具体的には以下のとおりです。
- アプリのデザイン費用
- アプリの公開費用
- アプリ内課金手数料
- 保守管理費用
- OSアップデート対応費用
あまり馴染みがないものかもしれませんが、それぞれ必須の費用ですので、詳しく解説します。
アプリのデザイン費用
まず、アプリのデザイン費用がかかります。デザインとは、アプリ画面のレイアウトや装飾といったUIにあたる部分で、アプリの操作しやすさにも大きな影響を与えるものです。
自社でおおよその構想を練っていた場合は、10~30万円程度で引き受けてくれることもあるでしょう。しかし、一からすべて任せるということであれば、100万円程度かかることもあります。
こういった費用を抑えるために、自社の社員で対応できることの範囲を把握しておくとよいでしょう。実は、前職でアプリのデザイン経験がある社員がいるかもしれません。
アプリの公開費用
また、少額ではありますが、アプリの公開費用もかかります。
アプリは、App StoreやGoogle Playといったアプリストアに登録する必要がありますが、その申請に、iOSの場合は99US$の年会費、Androidの場合は25US$の登録料がかかります。
アプリ開発会社によっては、この金額もアプリ開発費用として含み、見積書に記載している場合もあるため、チェックするとよいでしょう。このアプリの公開費用は、どのようなアプリでも一定金額です。
アプリ内課金手数料
ユーザーがアプリ内でコンテンツに課金したとき、iOSの場合はApp Store、Androidの場合はGoogle Playに対して、アプリの運営者は手数料を支払う必要があります。
ユーザーがアプリ内で課金をおこなった場合、ユーザー課金額の30%程度が、アプリ内課金手数料としてかかり、売上入金の際にはこの手数料を引いた金額が入金される仕組みです。
そのため、アプリ内課金手数料が引かれることを前提にして、コンテンツ料金を設定する必要があります。
多くのお金や時間をかけてアプリを開発したのに、たいした収益が入ってこず、プロジェクト全体として赤字になってしまうことも考えられるため、慎重に判断しましょう。
保守管理費用
アプリ開発が完了しても、小さな不具合が見つかる可能性も潜んでいます。アプリ開発会社によっては、保守・運用には対応しておらず、ほかの保守・運用を専門的におこなっている会社を紹介されるかもしれません。
とはいえ、ほとんどのアプリ開発会社はリリース後も対応可能なため、毎月どのくらいの金額がかかるか事前に確認しておきましょう。
基本的には、開発費用の15%程度が、毎月かかる費用の相場となっています。保守管理費用だけでも、大きな金額になることも考えられるため、慎重に判断してください。
OSアップデート対応費用
iOSでもAndroidでも年に1回程度は大規模なOSのアップデートがあります。
ユーザーに長期間、安全にアプリを使ってもらうには、そのOSアップデートに合わせてアプリの仕組みも修正する必要があります。アップデート対応費用の相場は、OSごとに150万円程度になるでしょう。
iOSとAndroidの両方に対応しているアプリの場合は、OSアップデートのたびに300万円が必要になります。
このように、アプリ開発は、1回だけ必要な開発費用だけでなく、毎年あるいは毎月かかる費用もあります。そのため、アプリ開発開始から3~5年間ほどで、合計いくらかかるのかという計算もして、収支がプラスになるか考える必要があるでしょう。
アプリ開発を依頼する際の注意点
アプリ開発を依頼するときは、以下のポイントを押さえるようにしましょう。
- アプリを使って実現したいこと
- 予算
- 必要な機能
- デザイン
兎にも角にも、アプリを使って実現したいことを明確にし、その軸はぶらさないようにしましょう。多額の費用を支払ってでもつくりたいアプリがあるなら、アプリ開発を依頼する必要があります。
しかし、その際は、予算と必要な機能については、しっかり検討してください。
アプリ開発会社は、「こういった機能を追加するとこんなことができます」と提案してくることもあると思いますが、重要性の低い機能を追加して、予算オーバーとなるリスクが潜んでいます。
まず、前述した「アプリを使って実現したいこと」に立ち返り、必要な機能かどうかを判断していきます。
また、アプリ開発会社との認識のずれを解消させるために、見積もり依頼時におおよそのデザインイメージを伝えられるとよいでしょう。
社内でも、アプリをつくる必要があるかどうか質問されたとき、「このボタンを押すとこういうことが実現します」とデザインを用いてプレゼンできたほうが、説得力があるのではないでしょうか。
アプリ開発依頼時の最新トレンドと注意点
アプリ開発の世界は日々進化しているため、常に新しい情報を知ることが重要です。下記の4項目に分けて、最新トレンドや注意点を解説していきます。
- AIとクラウド技術を活用したアプリ開発
- セキュリティ重視の開発プロセス
- クロスプラットフォーム開発の利点と課題
- プライバシーに配慮したデータ収集と活用
それぞれ見ていきましょう。
AIとクラウド技術を活用したアプリ開発
AIとクラウド技術は相性が良く、組み合わせて活用することで、さまざまなメリットが得られます。
- パフォーマンスの向上
- コスト効率の向上
- 迅速な開発
- ビッグデータの活用
- 自動化と効率化の促進
AIとクラウド技術を活用し、アプリ開発の効率化をしましょう。
セキュリティ重視の開発プロセス
アプリ開発をする上で、セキュリティを強化することは重要です。個人情報の漏洩や、不正アクセスを防がなくてはならないからです。
セキュリティについての会議を序盤にすることで、セキュリティを考慮した設計ができ、あとから付け足すよりもコストが低い場合もあります。
クロスプラットフォーム開発の利点と課題
クロスプラットフォーム開発の利点は、1度で複数のプラットフォームに対応できることです。開発工程やコストの削減になったり、開発するOSを絞る必要がなくなりました。
しかし、海外に比べて日本ではクロスプラットフォーム開発の事例が少なく、エンジニアも多くいません。その他、OSごとの不具合に応じて、それぞれに合わせた対処が必要な場合もあります。
プライバシーに配慮したデータ収集と活用
アプリ利用者のデータを集めることで、アプリの改善やユーザーサポートの強化につながります。
たとえば、ショッピングアプリの利用歴を集めることで、利用者に適した商品を紹介できます。
利用者の個人情報を保護しつつ、必要なデータのみを収集することでプライバシーに配慮しましょう。
アプリ開発依頼時のUI/UXデザインとユーザビリティ
アプリ開発において、UI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザーエクスペリエンス)は重要です。
- ユーザー中心設計の実践方法
- デザインシステムの構築と活用
- アクセシビリティを考慮したデザイン
上記の3つの項目に分けて解説します。
ユーザー中心設計の実践方法
ユーザー中心設計をすることで、ユーザーが使いやすく満足したサービスを提供できます。
- 予想されるユーザーのニーズを理解する
- 集めた情報を元にデザインを決めていく
- 試作を作る
- 被験者に体験してもらい、フィードバックをもらう
- フィードバックを元に改善していく
4、5を繰り返し、よりニーズに合ったアプリを開発していきます。
デザインシステムの構築と活用
デザインシステムとは、企業のアプリデザインのルールや基準を示し、実装するためのUIやコンポーネントも含まれます。
システムを活用すると、複数のデザイナーが関わったり、複数のアプリを開発する場合でも、デザインを統一することができます。デザイン設計の効率化や、ブランディング効果などのメリットがあります。
アクセシビリティを考慮したデザイン
誰もが使いやすいデザインにすることで、多くのユーザーの利用きっかけや継続につながります。
たとえば同じようなアプリが2つあった場合、ユーザーは使いやすいデザインの方を選びます。
デザインのアクセシビリティを高め、ユーザー獲得を目指しましょう。
アプリ開発の費用を抑える方法
アプリ開発の費用を抑えるためには、不必要な機能は付けないということが挙げられますが、それとは別に活用したいものがあります。それは、補助金や助成金です。
少しでも費用負担を減らしたいなら、以下の補助金や助成金を受けることも検討してみてください。
- IT導入補助金:業務効率化や売上向上を目的としたアプリやツールに対して補助する
- ものづくり補助金:革新的サービスの開発や設備投資などを支援する
- 持続化補助金:持続的な経営を実現するために必要なアプリやツールに対して補助する
それぞれ、適用条件や申請方法などが異なるため、詳しくは各公式サイトを見てみるとよいでしょう。
意外に、アプリ開発に補助金や助成金を利用できることを知らない方もいます。いずれも申請しなければ対象とならないため、気を付けてください。
アプリ開発依頼後のマーケティングと運用戦略
アプリ開発が成功しても、ユーザーに利用してもらわなければ意味がありません。
- App Store OptimizationとGoogle Play最適化
- ユーザー獲得とリテンション戦略
- 継続的な改善とアップデート計画
上記の3つのポイントを抑え、多くのユーザーを獲得していきましょう。
App Store OptimizationとGoogle Play最適化
アプリを上位表示させることで、多くの人の目に留まり、ダウンロードを期待できます。
App Store OptimizationやGoogle Playのアルゴリズムを理解し、アプリの詳細ページやアイコンに反映させましょう。最適化することで、多くのユーザー獲得を目指します。
ユーザー獲得とリテンション戦略
アプリをリリース後は、リテンションも大切です。
たとえばゲームアプリでは、ユーザーが飽きてしまわないように、イベントを開催したりします。
リテンション戦略を立て、アプリの離脱を減らしたり、離れていたユーザーの呼び戻しをしましょう。
継続的な改善とアップデート計画
ユーザーがアプリを使っていく際に、不具合が発生したり不満な部分が出てきたりします。アプリリリース後も、継続的な改善が不可欠です。
また、新機能などのアップデートをすることで、ユーザーの継続も狙えます。
アプリリリース後も継続的な改善やアップデートをしていきましょう。
アプリ開発の依頼は法人のほうがメリットが多い
本記事では、アプリの開発費用や保守管理費用などの相場や、アプリ開発を依頼する際の注意点などを解説しました。
今回は、フリーランスエンジニアである個人に依頼したケースも想定しましたが、複数人体制でアプリ開発をおこなってくれ、保守・運用にも手厚い、アプリ開発会社に依頼するほうがスタンダードになっています。
しかし、どのアプリ開発会社に相談したらよいか悩むはず。そういったときは、コンシェルジュが希望条件に合ったところを複数社提案してくれる「EMEAO!(エミーオ)」の利用を検討してみてください。
EMEAO!は、一般的な一括見積サービスではありません。無料で利用できるサイトですので、まずはのぞいてみてください。
この記事を書いた人
編集部員 河田
編集部員の河田です。編集プロダクションでの書籍編集の経験を経て、現在はEMEAO!のWebコンテンツ編集・執筆とお客様へのインタビューを担当させていただいています。日々、コツコツと皆さんのお役に立つ情報を発信していきます!よろしくお願いします。