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公開日:2024.10.01 最終更新日:2025.08.21
従来、LinuxはCLIでの利用が主流なOSでしたが、現代ではGUIアプリの開発にも広く使われています。しかし、Linuxでの開発は自由度と汎用性が高いです。そのため、GUIアプリの開発に取り組もうと思っているものの、開発方法や環境構築に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事ではLinuxを使ったGUIアプリ開発の概要やメリット、おすすめの開発環境などを紹介します。Linuxを使ってGUIアプリを内製しようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
Linux(リナックス)とは、1991年にリリースされたオープンソースのOSです。OSはオペレーティングシステムの略称で、PCやスマホなどのデバイスを制御するソフトウェアを指します。WindowsやmacOS、iOSなど、PCやスマホには必ず組み込まれています。
Linuxの特徴は自由にカスタマイズでき、無料で使える点です。汎用性の高さと手軽さから、システム開発系の企業では頻繁に利用されている、メジャーなOSです。そのため、デスクトップPC向けのOSとして誕生しましたが、現在では下記のような多様なシステムの制御に活用されています。
GUIアプリは、「グラフィカルユーザーインターフェースアプリ」の略称です。GUIとは、グラフィカルな要素を用いて、ユーザーが視覚的かつ直感的に操作できるUIのことです。
つまりGUIアプリはアイコンやボタン、ダイアログボックスなどの要素を使って構築した、直感的に操作できるアプリを指します。
スマホの普及により、ポインティングデバイスを使ったアプリの利用が一般的になりました。ユーザーの目が肥えているため、操作が複雑なアプリは敬遠されます。したがって現代のアプリ開発において、画面を見ただけで使い方が分かり、シンプルに操作できるGUIの実装が不可欠です。
Linuxには、下記のような特徴があります。
Linuxは誰でも無料でインストールできます。制限なくテストを繰り返せるため、高度なGUIアプリの開発も低コストで行えます。
また拡張性の高さもGUIアプリの開発に向いている理由です。初期状態のLinuxには、必要最低限の機能しか実装されていません。カスタマイズ時にデフォルトの機能が干渉することが少なく、自由に開発が行えます。
オープンソースであるため、世界中のエンジニアがノウハウを公開しており、情報も見つけやすいです。セキュリティについても同様で、システムの脆弱性を開発者が発見してくれます。バグやトラブルの情報が回るのが早く、安定性と堅牢性の高いシステムを構築できます。
Linuxを使ってGUIアプリを開発すると、下記4つのメリットが得られます。
メリットを理解して開発にあたれば、Linuxの特徴を最大限活かした開発が可能です。それぞれ詳しく解説します。
Linux以外のメジャーなOSは、いずれも利用にコストがかかります。
| Windows | 有料のみの提供 |
| macOS | OS単体での販売がなく、利用にはMacのPC購入が必須 |
厳密にはmacOSは「macOS X Mountain Lion Installer」というOSを無料配布しています。しかし、2015年8月でセキュリティアップデートが終了しているため、安全に利用するのは困難です。
つまりLinuxは、無料かつ安全に利用できる貴重なOSなのです。PCが複数台必要な開発においては、とくに大きなメリットになります。
デバイスドライバとは、デバイスに接続した周辺機器の制御や操作を行うためのソフトウェアのことで、ドライバとも呼ばれます。周辺機器の仕様はメーカーによって異なるため、OSが単独での制御はできません。そのため、デバイスドライバをOSに組み込み、互換性を持たせる必要があります。
また、下記のように種類が複数存在します。
Linuxには豊富なデバイスドライバが存在するため、さまざまな周辺機器を簡単に利用可能です。幅広いデバイスに対応するGUIアプリを効率的に開発できます。
ミドルウェアとは、OSとアプリの間に入り、複雑な処理を実行するソフトウェアです。OSとアプリはそれぞれ目的が異なるソフトウェアであるため、直接連携しても実行できない作業が多いです。
間にミドルウェアを挟むことで、お互いに足りていない機能を補填でき、複雑な処理も実行できるようになります。LinuxではおもにUNIX系のミドルウェアを利用することが多く、LANスタックやTCPスタックなど、プロトコルスタックも豊富です。選択肢が多いため、GUIアプリの目的に合わせて柔軟に開発を行えます。
初期状態のLinuxには必要最低限の機能しか入っていません。そのため動作が軽く、型落ちやスペックの低いPCでも問題なく動きます。
使えなくなったPCにLinuxをインストールすれば、再利用も可能です。開発環境を整える際のコストを抑えられるでしょう。
Linuxを使ったGUIアプリの開発には、下記3つのデメリットもあります。
デメリットを理解していないと、開発が思うように進まず頓挫してしまうこともあるため、必ず確認しておきましょう。
LinuxそのものにはGUIがないため、コマンドを使った操作が必要です。ある程度の勉強が必要なので、とくにノーコード開発しかしたことがない方には、難しく感じるでしょう。
またLinuxには公式サポートがありません。そのため問題が起きた際には、自身で解決策を探す必要があります。しかし、ピンポイントな解決策が見つからない、誤情報が存在するなどの問題から、調査や精査の能力が必要です。ある程度のリテラシーが求められるため、初心者が0から扱うのは苦労します。
Linuxは、WindowsやmacOSに比べてリソースの消費が多いです。そのため、複数のアプリを同時に扱うなど、起動しているプロセスの数が多いと、処理落ちする可能性があります。
大規模なGUIアプリを開発する場合、動作が重くなる、途中で強制終了するなど、挙動が不安定になるおそれがあるため、注意しましょう。
Linuxは動作が軽いOSですが、起動に時間がかかることがあります。リソースの消費量が多いため、デスクトップ環境で複数のプロセスが実行されている場合、デバイスに負荷がかかるのです。
Linuxは環境を整えて利用すれば、WindowsやmacOSよりも立ち上がりが早いです。Linuxの起動に時間がかかると感じたら、デスクトップ環境を見直しましょう。
Linuxを使ったGUIアプリ開発に必要なものは、下記の3つです。
それぞれ詳しく解説します。
Linuxは、あらゆるプログラミング言語に対応しています。そのため、作成するGUIアプリに合わせて、自由に言語を選択可能です。
GUIアプリの開発によく利用される、下記3つのプログラミング言語を紹介します。
C言語は、構造化プログラミングを得意とする言語です。アプリをはじめ、システム開発やゲームなど、多様な領域で使用されています。
C言語は、下記のような特徴からGUIアプリの開発によく利用されます。
高機能なシステムを制御するプログラムを作りやすいため、繊細な機能が必要なGUIアプリの開発も容易です。また、C言語は低水準のプログラミング言語であるため、直接メモリやハードウェアを制御できます。パフォーマンスを維持しやすいシステムが作れるため、安定して動作するアプリを開発可能です。
反面、低水準言語は人間に理解しにくい構文であるため、扱いが難しい点には注意しましょう。
C#は、「.NETフレームワーク」上で動作するアプリ開発に特化したプログラミング言語です。C#はMicrosoftが開発した言語であるため、Vidual Studioと連携して開発を進められます。コードの保管やデバッグ、リファクタリングなどを効率化できるため、スムーズに開発を行えます。
また、クロスプラットフォームが開発しやすいのも、C#がGUIアプリ開発に使われる理由です。Linux以外のOSでも動作する、汎用性の高いシステムを構築できます。
Pythonは、シンプルで読みやすい記法が特徴のプログラミング言語です。高水準言語であるため、プログラムの意味が理解しやすく、比較的簡単に扱えます。
また、PythonにはGUI開発に特化したライブラリやフレームワークが豊富です。TkinterやKivy、PyQtを利用して効率的にGUIアプリを開発できます。
Pythonを使って作ったGUIアプリは、クロスプラットフォーム性にも優れています。そのため、WindowsやmacOSなど、OSを選ばずに動作するGUIアプリ開発も容易です。一度プログラムを作成すれば展開しやすいため、サービスとしての提供もスムーズに進むでしょう。
開発ツールは、アプリを効率的に開発するために必要な、ツールやプラットフォームの総称です。LinuxでのGUIアプリ開発では、一般的にIDE(総合開発環境)を使います。IDEとは、アプリやソフトウェアの開発に必要な機能が、包括的に実装されたツールのことです。
IDEにはさまざまな種類があるため、開発するGUIアプリに合わせてツールを選定する必要があります。また、使用するプログラミング言語によっても、使用できるものが変わります。
たとえば、Pythonで開発する場合、IDEによっては特定のフレームワークが使えません。とくにPyQtが使えないと、開発に差し支えるため注意が必要です。ほかにもIDEの操作性や、機能性が開発効率を低下させることもあります。
したがってIDEは、下記のポイントを意識して慎重に選びましょう。
IDEは、初期設定にもそれなりの手間がかかります。一通り作業を終えたあとで使えないことが分かると時間が無駄になるため、よくリサーチしてから導入してください。
デザインツールとは、UI/UXのデザインを補助、開発を効率化するためのソフトウェアのことです。アプリの外観や操作性を設計する際に使われ、おもに下記のようなものがあります。
デザインツールを使用すれば、デザイン作業が効率化できるのはもちろん、エンジニアとデザイナーの意思疎通も図りやすくなります。ツールごとにさまざまな特徴があるため、自社の要件に応じたものを選ぶとよいでしょう。
なお、もっとも利用者が多いAdobe系のデザインツールは、Linuxで使えない点に注意が必要です。Adobe XDやAdobe Photoshopを使ってデザインを行っている人は、代替ツールを探してください。
Linuxは、プログラミング言語を選ばず、さまざまなツールが使えるため、環境の選択肢も広いです。GUIアプリの開発にはUbuntu(ウブントゥ)を使って環境を構築すれば、さまざまな要件に対応できます。
UbuntuはオープンソースのOSで、Linuxディストリビューションの1つです。Linuxディストリビューションとは、OSの基本機能とその他のソフトウェアを1つにまとめて、簡単に使えるようにしたものです。
Ubuntuには下記のような特徴があり、LinuxでGUIアプリの開発を行うエンジニアから高い人気を誇っています。
豊富なライブラリやツール、開発をアシストする機能を駆使して、GUIアプリを効率的に開発できます。また、システムに一貫性があるため、実行環境を選ばずに利用できる、汎用性の高いGUIアプリを開発しやすいです。適したライブラリやツールが豊富なことから、とくにデスクトップアプリの開発によく用いられています。
ただし、開発するGUIアプリの要件によっては、別の環境のほうが向いている場合もあります。Ubuntuが合わないと感じた方は、下記のようなLinuxディストリビューションも試してみてください。
それぞれの特徴を理解し、最適な開発環境を構築しましょう。
Linuxを使ったGUIアプリの開発には、下記のような知識やスキルが必要です。
そのため、初心者が商業品質のアプリを開発するには、膨大な時間を要します。GUIの使い勝手はもちろん、セキュリティなどに配慮する必要もあるため、いきなりの自作は不可能に近いでしょう。
したがって、社内に適任者がいない場合、外注するのがおすすめです。優良なシステム開発会社に外注すれば、高品質なGUIアプリが制作できるだけでなく、社内にノウハウも溜まります。
Linuxは、無料で使えるオープンソースのOSです。拡張性が高く、開発言語を選ばないため、柔軟にGUIアプリを開発できます。
また、デバイスドライバやミドルウェアも豊富なため、実行環境を選ばないアプリを制作可能です。Pythonなどの実行環境を選ばない言語でプログラムを作成すれば、多様なデバイスで動作するアプリを効率的に開発できます。
この記事を参考に自身に合った開発環境を構築し、LinuxでのGUIアプリ開発に取り組んでみてください。
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現在は、お客さま対応を担う。年間実績として、120社を超えるクライアントのSEOコンサルを担当。
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