ISO9000シリーズとは?規格の特徴と取得するメリットを解説
公開日:2019.09.24 最終更新日:2023.07.18
本記事では、ISO9000シリーズの各規格について、特徴や役割をくわしく解説します。
ISO認証の種類がわからない、もしくはどのISO認証を選べばよいか迷っている事業者様は、ぜひ最後までご覧ください。
ISO9000とは?
ISO9000シリーズとは品質マネジメントシステムの基準となる規格を指します。
とくにISO9000シリーズは「すべての製品・サービスを製造するすべての工程において、正しく実施される品質マネジメントシステム」を構築し運用していくために作成された一連の規格です。
つまりあらゆる場面において品質チェックを行う際、マネジメントの基準となるのがISO9000シリーズです。
とくにISO9001はISO9000シリーズのなかでも品質マネジメントシステムに対する要求をまとめた規格であり、この認証を国際認証規格として成立させるためにはその他さまざまな規格が必要となります。
企業はマネジメントシステムを導入する際「自社製品の目的や業種に適したシステムであるか」という点を意識することで、継続的な品質改善ができるようになります。
品質チェックを高い水準で実施すれば顧客満足度は向上することに加え、外部企業から高い信頼を得ることが可能です。
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【規格別】ISO9000シリーズの概要
ここまでISO9000シリーズの概要について解説しました。
ISO9000シリーズに属するあらゆる規格は、度重なるシリーズ改訂を経て生まれ変わってきました。
そのため現在ISO9001として認識されている規格は最新版のISO9000シリーズである可能性が高く、更新が滞り古い規格にとどまっている場合には2007年版や2008年版といった昔の形態のものかもしれません。
このように、製造された時期によって規格ごとの内容は異なります。
ここからは、規格別にISO9000シリーズの概要についてくわしく解説します。
ISO9000
ISO9000は、品質管理および品質保証に関する規定をまとめた規格の第1部です。
内容には品質マネジメントシステムにおける基本や用語などに関する規定が含まれます。
つまりISO9000シリーズの各規格において使用されている用語の説明や基礎的な考え方がまとめられており、各規格に用いられている重要なキーワードに関する説明についても定められています。
ただしISO9001を和訳したJISQ9001においても重要語句に関する説明は記述されているため、改めてISO9000に目を通したことがある人は一部に限られるでしょう。
ISO9001
ISO9001には、組織運営やリーダーシップ、事業計画、支援体制などに関してPDCAサイクルに沿って品質マネジメントシステムの構築・運用を行うための要求事項を規定しています。
要求事項とは、ISOやJISといった認証規格において企業が最低限実現すべき基本要件を指します。
つまりISO9001内で定められる規格に沿った事業内容を実施することで、ISO9001の規格に即した品質マネジメントシステムを実現していることが承認され、ISO9001の認証を取得することが可能です。
ISO9001が要求する要件を満たすことで初めて認証を取得できることを踏まえると、ISO9001はISOのなかでも最重要文書といえます。
ちなみにISO9001は1994年版において「ISO9001」「ISO9002」「ISO9003」の3つに分けられていましたが、2000年版以降はすべての事項がISO9001にまとめられています。
とくに1994年版のISO9001では、事業の設計・開発、製造、据え付け、そのほか付帯サービスにおける品質保証モデルに関する記述がみられます。
ISO9002
ISO9002は、製造据え付けおよび付帯サービスにおける品質保証モデルです。
先述したように同内容は1994年版のISO9001において規定されていましたが、2000年の改訂によって製造据え付け、および付帯サービスにおける品質保証モデルに関する記述が要求事項に吸収され、ISO9001内の設計開発に関する規定が除外されました。
この2000年の改訂は、ISO9001をさらに柔軟なマネジメントシステムに変えるために実行されました。
ISO9003
ISO9003は、長期間にわたって製造、設計、その他使用方法が確立されているために、最終検査のみで問題なしとみなされた製品にのみ認証される規格です。
このISO9003も、ISO9002と同じく2000年の改訂によってISO9001に吸収されました。
ISO9004
ISO9004は、品質マネジメントシステムのパフォーマンス改善を目的とする規格です。
2018年4月に改訂され、組織が継続的に社会から信頼を得るための指針などが記載されています。
ISO9004はISO9001よりも高い水準で品質管理システムを構築したいと考える企業を対象とする規格です。
ここまで紹介したISO9001は製品やサービスの品質管理に関して重点的に記述されている一方、ISO9004は組織の品質経営について言及しているという違いがあります。
またISO9001は中小企業や零細企業でも柔軟に取り組める設計を行っています。
そのため大企業が行うような大規模なマネジメントシステムへ適用するには「物足りない」と感じる企業も多いのが現状でした。
そうした現状に対し、大企業であってもマネジメントシステムの向上を実感できる規格として生み出されたのがISO9004でした。
ISO9004とISO9001は併用が推奨されており、同時に取得することで安定した製品・サービスの製造が可能になります。
基礎的な内容を規定したISO9001ではカバーしきれない枠組みを、ISO9004が補うことが可能です。
ただしISO9004はあくまで指針に関して規定するものであり、認証規格ではありません。
品質マネジメントシステムをさらに向上させたいという場面で役立つ、参考書のようなものといえます。
ISO19011
ISO19011は、品質マネジメントシステムの監査を行う組織を対象に、監査の指針を制定した規格です。
ISO19011には内部監査を行う際に留意すべき事項や、理解しておくべき内容が記載されています。
審査機関においても、ISO19011を用いて規格に沿った審査をしている事実を把握することが重要です。
ISO9000を導入するメリット
ここまで、規格別にISO9000シリーズの内容について解説しました。
それでは、ISO9000を取得することでどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここからは、ISO9000を取得・導入するメリットについて、3つのポイントを解説します。
メリット①商品やサービスの生産性が向上する
ISO9000を導入することで製造プロセスをしっかり見直し改善することが可能になり、結果として商品やサービスの生産性が向上します。
ISO9000では品質管理や組織運営、高い品質の製品を製造するための適切な製造プロセスに関する規定や指針を把握でき、良好な品質マネジメントシステムを組織内で構築・運用できます。
継続的に組織運営や製造プロセスを改良することで、ユーザーにとって満足度の高い製品製造の実現に繋がります。
メリット②効果的な内部監査制度が確立できる
ISO19011のように監査に関する指針を示した規格を導入すれば、効果的な内部監査制度を確立できます。
内部監査では社内のなかで限られた価値観や指針を採用することだけでなく、第三者的立場から適正な監査内容を見直すことが重要です。
効果的な内部監査制度を確立することで、客観的指針をもとに適正だと判断できる基準に基づいた監査が可能になります。
メリット③他社との差別化が図れる
ISO9000を導入することで高い生産性や効果的な監査制度を実現でき、自社の特性を活かした製造プロセスを構築できます。
自社独自の事業計画や運用プロセスが確立すれば、自社だけの強みを活かした事業展開が可能になり、他社との差別化を図れるでしょう。
他社とは異なる独自の強みをユーザーや他企業にアピールできれば、自社にしか実現できない事業内容を明示でき、クライアントとの取引を進めやすくなります。
ISO9000シリーズで認証を取得するならISO9001
ISO9000シリーズは6つの規格がありますが、そのうち現存しているのはISO9000、ISO9001、ISO9004の3つです。
とくにISOのなかでも最低基準の基礎的内容を定めたISO9000について、内容や特徴についてしっかりおさえておきましょう。
ISO認証は繰り返し改訂されることによって現在のかたちになっているため、今後新たな規格や認証規格が追加・削除された際には追加内容や規格別の違いについて理解することが大切です。
ISO認証の取得を検討している方は、規格変更の予定があるかどうかをしっかり検討したうえで、適切な規格を選定・採用するように気をつけましょう。
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この記事を書いた人
編集部員 河田
編集部員の河田です。編集プロダクションでの書籍編集の経験を経て、現在はEMEAO!のWebコンテンツ編集・執筆とお客様へのインタビューを担当させていただいています。日々、コツコツと皆さんのお役に立つ情報を発信していきます!よろしくお願いします。